私の、僕の愛を 作:野良詩人
目が覚めた。朝? 僕が目を開けると、目の前には、世界で最も会いたい大好きなの男の子、レイ君の寝顔があった。
なんで、レイ君がここに……っ!
少し忘れていた記憶が蘇る。たしか、昨日レイ君と再開して……一緒にゲームして……ご飯食べに行ってからまたゲームして……そして……ああ!
そうだ。昨日、レイ君にちゅうしたんだ。それで……レイ君に好きって伝えて、レイ君も好きって言ってくれたんだ……じゃあ、両想いってことだよね……なら、レイ君にしても良いよね?
レイ君の顔、綺麗。ちゅう、したら起きてくれるかな?
────ちゅっ
「………ん? 秋葉?」
「おはよ、レイ君」
起きた。レイ君。ちゅう、したら起きたよ……甘えてもいい、かな?
「……レイ君」
「……なに?」
「ちょっと……甘えてもいい?」
「……私が対応できる範囲で」
対応できる範囲。たぶん、僕が無茶言っても、レイ君は拒絶しない。だからと言って無茶をお願いする気もない。僕は……ただ、レイ君を肌で感じたい。もっと傍で、レイ君を感じたい。
ただレイ君に抱き付いた。優しい、僕が大好きな人に抱き付いた。本当は、服もブラも取って素肌でレイ君を沢山感じたい。でも、そうすると、レイ君が困っちゃうから。今は我慢する。レイ君の匂いがする……レイ君が暖かい。もうちょっと眠っていたい……
「まだ眠たいのか?」
「うん……」
「……もう少しなら寝てもいいかもな。私も予定ないから」
「……良いの?」
「ああ、まだいいよ」
レイ君は甘やかし上手だ。僕、ダメにされちゃうかもしれない。眠たい……眠っちゃおう。レイ君も良いって言ってるし……………もうちょっとだけ、お休みなさい。
◇◆◇
秋葉と寝直して起きたのは午後一時だ。起きた理由は、ましろが私を起こそうと布団を踏み、少し寝苦しくなったからだ。
「ねこぉ~」
「にゃ~ん」
「にゃんにゃん」
「にゃぁ?」
秋葉はましろと謎の会話をしている。どうやら、猫は好きなようだ。昨日は人見知りして出てこなかったが、今日は出てきている。
私はキャットフードを餌皿に居れて、ましろはそれを食べ始めた。
「秋葉、私達もご飯にしようか」
「うん、わかった。今日は、僕も手伝うよ」
「それは、ありがとう」
私は、秋葉と一階に降りて料理を始める。秋葉がかなり食べることは、昨日わかったから今日は多目に作ろう。
「一緒にお料理かぁ~、レイ君とやってみたかったんだよね」
「そうなんだ。てかさ、秋葉は料理する時間とかあったの? グラビアもあるし、テレビもよく出てたらしいじゃん」
「へ? レイ君、僕がグラビアやってるの知ってたの?」
「……友達がグラビア誌読むのが好きだからね。あと、同期が」
「へ、へぇ~。レイ君はさ。僕の水着とか、興味あるの?」
「あるかないか所か、昨日見たし……」
秋葉と風呂に入った時に、生で水着は見た。私も男だし、興味がないわけではないけど、私は秋葉からの見返りが欲しくて居候を許可した訳じゃない。今ここで興味があるって言えば、秋葉は水着を直ぐにでも見せようとするかもしれないけど、私はそれを望んでいる訳じゃない。
「そっか……まぁ、良いけど」
秋葉から、なんかがっかりしたような声が聞こえたけど気にしない。
「……レイ君。僕ね、レイ君と一緒にこれからも仲良くしたいんだ」
「それは私もだよ。秋葉は、私の初めて出来た友達だしね」
秋葉とは仲良くしたい。友達としても、秋葉が望むなら別の関係でも。……秋葉と私は再会を約束したし、なんなら私は秋葉を幸せにすると約束した。だから、私は秋葉を大切にしたい。
私達は、調理を再開した。野菜を切ったり肉を炒めたり、味噌汁を作ったりする。
「レイ君。僕らってさ、端から見たら付き合ってるように見えるのかな?」
「何で?」
「だって、お互いに名前呼びだし。一緒の家に住んでるし。距離感近いし」
「……私がここまで近いのは秋葉だからだと言っておくよ」
「それって、褒めてる?」
「ああ、褒めてるよ」
私は友達が少ない。私の友達と言われれば、悠斗と同期二人、イラストレーターだ。ネットに入ったりすればかなりいるが、リアルで基本よくいるのはこの人達だけだ。
秋葉は、私の初めて出来た友達だ。そして、私が初めて大切にしたいと思った親友だ。幼い頃から常に一緒にいたから、私は八年ぶりの再会でもここまで気軽に話せる。
「……レイ君、ご飯食べ終わった後、時間ある?」
「あるよ」
「ちょっと、近くのデパートとか行かない? 買いたいものがあるんだ。それに、レイ君とお出掛けしたいし」
「別にいいけど、何買うの?」
「好きな作家さんの新刊、今日発売だからさ。買いたいな~って」
「そうか」
秋葉、小説読むんだ……
「私の部屋の棚にある小説、ラノベが殆どだけどさ、好きなように読みなよ」
「いいの? ありがと」
秋葉と料理を終えて食卓に並べた。そして、一緒にご飯を食べて出掛ける準備をする。今日は女装しない。が、ウィッグは着けよう。
秋葉はあまり服を持ってきてないらしいけど、着こなしがお洒落だ。似合っていて、可愛い。
「あれ? レイ君、女装しないの?」
「行き慣れてる場所に行くから、別にいいかなってさ。それに、秋葉が軟派されないように、牽制しないといけないからね」
「う、うん。ありがと……」
あのデパート、品揃えは良いけど、娯楽施設が近いから軟派してくる輩が多いい。
「ここから、電車で二駅だけどいい?」
「全然、僕は文句ないよ。うん」
「そうか、じゃあ行くよ」
財布、スマホ、鍵、よし。ちゃんと持ってる。家の鍵を閉めて、駅に向かい、電車に乗ってデパートに向かう。時間的な問題で人はあまりいない。満員は嫌いだから、私としてはありがたい。
「ねぇ、レイ君。手、繋いでいい? 僕のこと、守ってくれるんでしょ?」
「構わないよ。別に手を繋ぐぐらい」
「じゃあ、この繋ぎ方は?」
私の握った手の握り方を変えてお互いの掌に指を絡めた握り方……俗に言う恋人繋ぎだ。それも、腕を絡ませながら……
「レイ君♪」
「……なに?」
「僕のこと、ちゃんと守ってね?」
「……ちゃんと守るよ。私の大切な人だからね」
それから、静かに電車の中を過ごし、デパートに向かって買い物をして回る。
◇
私は現在、お手洗い前のベンチに座って、秋葉を待っている。買った服に着替えたいらしい。
振動し出したスマホを見ると、悠斗から電話だった。
「なんのようだ?」
『お前、取った瞬間になんのようだ?はねぇだろよ』
少し、チャラチャラしたしゃべり方が電話越しに伝わってくる。
『聞いてくれよぉ』
「レイ君、お待たせ」
「ああ、切るぞ」
電話を切った。相手は悠斗だ。別に適当に扱っても誰からも文句は言われない。
「? レイ君、誰かと電話中だった?」
「ああ、でも気にしなくていい」
スマホがまた振動し出し、画面を確認すると悠斗だ。
「レイ君、電話出なよ」
「……少し失礼するよ。もしもし、用件と要点だけ言え」
『酷くね! ブツ切っといて、かけ直したらこれは酷くね!』
「用件を言え、切るぞ?」
『グラビア誌のレビューなんだけどよぉ』
「……………………………………………切る」
やはりとも言える内容だったので、容赦なく切る。スマホがまた振動をしだしたが、即座に拒否した。
「レイ君? どうしたの?」
「何でもないよ。学ばない馬鹿に、学ぶように機会を与えただけだよ」
悠斗、いい加減学べ。私はグラビア誌を読まないし興味がないんだ。
それからも秋葉と服を見て回ったり、本屋に行ったりして、フードコートで軽食を食べている。
「レイ君、スマホ振動しっぱなしだけどいいの?」
「……アイツ、懲りないな。ごめん、席をはずす」
私はスマホを取り出して、着信履歴を見ると悠斗で埋まっていた。そのなかで、一通だけ、別の人物が紛れている。
「……もしもし、メリー? どうした?」
『やほ~、零無。いや~、声が聞きたくなってさぁ。電話しても取らないじゃん』
「……今、出掛けているもので」
『あっ、そうなの? ごめんね。じゃあ、用事だけ話すよ』
私に電話をして来ていたのはメアリーのペンネームで作家をしている同期で、ご飯行ったり、一緒にゲームしたりをしている友人だ。
『明日暇? 暇なら、久しぶりに配信しようよ。ボクのファンが、零無とコラボしないの?って、言ってるんだ~』
「私は構わないけど……なんの配信するの?」
『ゲームでも、ゲリラで歌枠でも、どっちでもいいよ。それとも、なにもせずに雑談する?』
「雑談だとありがたいかな」
『おけ~、じゃあ、明日の十五時にそっち連絡するね~』
そう言って、通話が切られた。私の作家同期、メアリー。自由人だ。私はそれから直ぐに秋葉の元に戻った。軟派はされていなくてよかったが、少し拗ねられた。
「女の子と電話ぁ」
「ただの同期だよ。さて、別のところ回るか?」
秋葉は頷いて、私の手を引く。向かっている方向にはゲームセンターがある。
「プリクラ、一緒に撮ってよ」
「別にいいけど……」
何故か一緒にプリクラ撮らされて、家に帰った。帰ってからも少し不機嫌だったが、一緒に料理してたら機嫌を直していた。
…………色々つまってきたけど……大丈夫かな? 私………