俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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はじめまして中川カイザーです。
最近、俺ツイ最終巻を読み終え自分も物語を書いてみたくなり書き始めました。
初投稿なのでよろしくお願いします。


第1話 始まりの日

 俺は生まれてこの方、女の子と付き合った事がなかった。

 

 いや、その……別に俺が女に興味がないとかではない。

 本当だ!! 俺はゲイでもホモでも何でもない!!

 俺だって好きな女の子と……あんな事や……こんな事とか……その……色々してみたい……と思っている。

 

 何故そうなのかと言われれば、恐らく俺の性格とかが原因だろう。

 自分で言っててなんだが、俺はどちらかというと無愛想だし、ガラは悪い。

 喧嘩なんて日常茶飯事。先生や警察の世話になるだなんてよくある事だ。

 

 あと、もう一つ理由があるとすれば俺の好きな物……というより癖が原因か。

 実は俺、好きな女の子の特徴に少し難がある。

 ていうのも、俺は物心ついた時からツインテールって奴が好きなんだ。

 

 ツインテールと言ってもウルトラ怪獣のほうではない。

 ましてや遊戯王の初期の通常モンスターであるわけがない。

 俺が好きなのは髪型のツインテール。

 ようするに俺は髪型をツインテールにしている女の子が好みのタイプだ。

 

 何故、ツインテールを好きになったのか?

 それは何故か覚えていない。 

 ふと物心がついた幼きある日、いつのまにか俺はツインテールに夢中になっていた。

 恥ずかしやがりやというか、意地っ張りというか、世間的には十分面倒くさい性格をしている俺が堂々と胸を張ってツインテールを好きだと答えることができるくらいには夢中だった。

 

 おっと、少し話が脱線しすぎちまったな。

 要するに俺はツインテールが好きなタイプであるが故に未だに好みの女の子を現実で見つけられていないって訳だ。

 俺と同じ歳になってツインテールをしている女の子なんてそういない。コスプレとかを除いて普段から好きでしている奴なんて見た事ない。

 いたら相当の変わり者だぜ。

 ま、世界は広いって言うし、そんな奴がどっかにいるかもしれねぇ……いや、いないか流石に。

 

 

 さて、これから始まるのはそんな俺の物語だ。

 しょーもねぇ想いを抱きながらも、いつか好きな女の子を見つけてやると息巻いていた俺はあの日、最高の相棒(ツインテール)に出会ったんだ。

 

 

 

 

 我々人間が住んでいる世界は一つではない。世界は無数に平行して存在しており、大半の世界に生きている人々はその存在に気づかない。

 そんな無数の平行世界を侵略する怪物たちの集団が存在した。

 その名はアルティメギル。

 アルティメギルは属性力(エレメーラ)と呼ばれる精神エネルギー、その中でも最強と謳われるツインテール属性を求めて人々を襲い、無数の平行世界を侵略していった。

 

 アルティメギルによって多くの平行世界から属性力(エレメーラ)が失われ、一つまた一つと世界が灰色に染まっていった。

 そんな中で人々は黙って侵略を受けていたわけではない、侵略対象となった世界では各それぞれその世界で最もツインテール属性が高い人物、すなわち最もツインテールを愛する者が戦士に覚醒し、その属性力(エレメーラ)を武器に戦った。

 

 しかし、アルティメギルは強かった。

 多くのツインテール戦士はアルティメギルと果敢に戦うも最後にはその圧倒的な強さに倒され、ツインテール属性を奪われていった。中には撤退させることに成功した戦士もいたが、そのほとんどはアルティメギル側からその世界の侵略価値が薄いと判断されたが故の自主撤退であり、言ってしまえばお情けのような物だ。

 全ての平行世界のツインテール属性が狩り尽くされる日も近い。そうやって侵略されてきた世界の人々は思っただろう。

 だが、ある世界にて生まれた戦士、テイルレッドとその仲間たちは違った。彼、いや彼女たちは誰もが諦めたくなるような状況でも決して諦めず、己のツインテールを信じて戦い、多くの幹部や精鋭部隊を激闘の果てに倒し、ついにはボスであるアルティメギル首領をも打ち倒し、全ての世界のツインテールを救った。

 

 そしてそんなテイルレッドが暮らす世界とは異なるこの世界。

 この世界はテイルレッドたちが活躍するよりも前にアルティメギルの脅威に晒されていた。

 勿論、他の世界同様にこの世界でもツインテール属性を持つ戦士(ヒロイン)は現れ、その戦士は輝く緑のツインテールと共に日々送り込まれるアルティメギルの刺客を倒し続けたのだった。

 そしてある日、とある事情からアルティメギルはこの世界から撤退していくのであった。 

 

 

 それから12年の月日が流れた。

 

 

 4月となり春を迎えた私立双神高等学校では、先生たちの熱意のこもった新学期初の授業を多くの生徒たちは熱心にうけていた。

 だが、真面目に受けている生徒ばかりではない、生徒の中には寝てしまったりお喋りを講じるたりと不真面目な生徒も必ず存在している。ここ2年2組の教室の中でも居眠りをする者、隠れてスマホをいじる者が数人存在していた。

 本来、居眠りやスマホをいじるにしても先生にばれないようにするのが一般的だろう。だが1人だけ、教室のド真ん中の1番前の席で気持ちのよさそうないびきをかきながら眠りこんでいた者がいた。 

 その人物の名は涼原和輝。

 そんな教師への反抗ともとれるような和輝の行動に、この授業を担当する山村華が気づき、声をかけた。

 

「涼原君? 聞いていますか?」

 

 だが寝ている和輝には届かない。

 

「涼原くーん? 聞いていますかー?」

 

 少し声を大きくする。しかし、届かない。

 ノートをとっているクラスメイトは既に半分を切っている。

 

「涼原君! 起きなさい!!」

 

 起きない和輝に怒った華は先ほどまでとは違い、大きな声をかけた。

 

「俺の……」

 

 するとようやく和輝は寝ぼけながら小さな声をだした。

 

 華は起きてくれたのかと思い安心するも、すぐに寝言とわかり落胆する。

 

「「「「「「「「「「俺の?」」」」」」」」」」

 

 ついに教室内でノートをとっている者はいなくなっており、クラスメイト全員が和輝と華のやり取りを見て、和輝の寝言の続きに注目していた。

 

 そんな注目の中、寝ぼけている和輝は目を開き大きな声をあげた。

 

「俺たちのツインテールは! 未来だ!!」

 

 教室が一瞬にして笑い声で埋め尽くされ、授業どころではなくなっていた。

 

 

 

 

 休み時間となりみんなが談笑をする中、俺は1人頭を抱えた。

 初授業で居眠りをしたことだけならまだよかった。まさか、寝ぼけてあんなことをクラスメイト全員に聞かれてしまうとは。

 完全に新学期スタート大失敗だ。

 

「ツインテール大好きの和輝く~ん」

 

「うっせー。しつこいぞ匠」

 

 俺の小学校時代からの腐れ縁、俗に言う幼馴染の川本匠が面白そうに笑いながら声をかけてきた。

 

「あんなことを言ってしまったんだ。当分の間はネタにさせてもらうぜ」

 

「お前、これ以上そんなこと言ってみろ。今日連れて行ってやらないぞ」

 

 匠の奴、随分と面白そうじゃねぇかよ……!!

 今日の放課後、匠をここから遠く離れた町にバイクで連れて行ってあげる約束を思い出し忠告する。

 

「それだけは勘弁してくれよ、和輝のバイクがなきゃ、交通費往復で800円かかるだぜ。今月のバイト代が厳しいの知ってるだろぉ」

 

 バイトが本来禁止されている双神高等学校で特別にバイトをすることが許されているくらい匠の家は貧乏だ。

 

「じゃあこれ以上ネタにしていじらないことだな」

 

「だけどもう既に学校中を駆け巡ってるぜ。お前のことがな」

 

 マジで勘弁してくれよ…… 

 俺はさっきよりもより深く頭を抱え絶望した。

 これからの学校生活当分の間は笑いものにされてしまう。

 廊下で人とすれ違う度、俺は「あのツインテール馬鹿の涼原和輝だ」と心の中で言われ、馬鹿にされる。

 百歩譲って馬鹿にされるだけならまだいいとして、最悪の場合、女子に侮蔑の眼差しを向けられ続けるだろう。

 そんなことがあっては俺は今年も彼女いない歴=年齢の記録を更新してしまう。

 せっかく今年はバラ色の青春を満喫する予定だったのに……

 

「ていうかどんな内容の夢見たんだよ」

 

 匠が薄っすら笑みを浮かべながら聞いてきた。俺の気も知らないでこいつは。

 

「笑わないなら教えてやるよ」

 

「わかった。笑わねぇから教えてくれよ」

 

 内容が内容なので、俺は匠に笑わないことを条件に答えることにした。

 

「金色に光り輝くツインテールの少女とツインテールが光になったような怪物が宇宙で戦っていて、俺はそのツインテールの少女になっていたんだ。」

 

 不思議な夢だった。字面なら凄く非現実的な内容だが、見た俺としてはまるで現実ような説得力のある内容でもあった。本当にこんなことがどこかで……例えるならこの世界ではない場所、異世界のような場所でだこれが現実にあったような気がする。

 

「プっ」

 

 あ、笑った。匠OUT。

 匠は我慢できなくなったのか吹き出していた。

 

「今笑ったろ」

 

「笑ってない。笑ってない」

 

 いや絶対笑った。

 言葉は否定しているが顔は完全に笑っている。そのニヤけた顔が証拠だ。

 

「そーですか。なら今日の放課後は付き合ってやらねぇよ」

 

 未だ笑い続けるのが癪なのでもう一度釘を刺しておく。

 すると匠に奴7、急に態度を変えて下手にでてきた。

 

「それだけはご勘弁を~和輝様~」

 

 相変わらず調子のいいやつだコイツは。でもこの調子の良さがこいつのいい所でもある。

 

「仕方ない。なら今度梅屋でラーメン食べる時、チャーシューを全部、俺に渡すことで許してやる」

 

 正直、この条件は我ながらかなり甘いものだと思う。

 

「それは……」

 

「じゃあ今日のことはなしってことで」

 

 まだ何か言おうとしたので、先にとどめを刺しておくことにしよう。

 

「わかった。わかったからぁ俺が悪かった」

 

 とりあえず今回のことは不問にしてやることにした。

 

 

 

 

 

 

 山村華は今年の3月に大学を卒業し、高校生の頃からの夢であった教師の夢を叶え、母校、双神高等学校に赴任してきた。

 彼女は身長165で腰まで届くほどの美しい黒髪、左の泣きぼくろがチャームポイントの美人と言って差し支えない顔、これだけの恵まれた容姿を持っていた。そんな彼女が男共の人気を集めないはずなどなかった。既に生徒の間ではファンクラブが設立しているという噂すらもあるほどだ。

 そして現在、華は職員室で項垂れていた。

 

「大丈夫ですか? 元気だしてください。山村先生」

 

 項垂れている様子を見て同僚の堀井龍之介が声をかけた。

 

「もしかしてさっきの授業のことで?」

 

「堀井先生の耳にも届いていたんですか」

 

 項垂れながら答える華。

 

「学校中で、涼原の叫び声がネタにされていますよ」

 

「やっぱり大学卒業したての新米の私の授業はつまらないのでしょうか堀井先生」

 

「いやいやそんなことありませんよ。あれは涼原の奴1人が悪いんです。後で涼原にはキツく言っておきます」

  

 初めてあった今年の入学式の時、堀井は華のことが好きになった。正に一目惚れ。

 華が関わることにはつい熱くなってしまうそれくらい華が好きだった。だから華を項垂れされる原因を作った和輝のことにとても腹を立てるのは当然であった。

 

「ありがとうございます堀井先生」

 

 少し元気を取り戻した様子の華を見て、心の中でガッツポーズをとる堀井。

 

「それしてもツインテールとは懐かしいですよね。確か12年前くらいでしたっけツインテールを我が物にとか何とか言っていた怪人達が現れていたのは。確か名前が……」

 

「アルティメギル」

 

「そうそうそれそれ」

 

「いや〜あの時は熱中しましたよ。毎週現れる怪物とシャイニングブルの戦いは」

 

「シャイニーブルームですよ。堀井先生」

 

 素早く訂正をする華。

 

「そうそうそれそれ。随分お詳しいですね世代ですか?」

 

「子供の頃に色々あったので……」

 

「それにしてもそんな事があったというのに誰も話題にあげませんよね。自分なんてもう全然覚えていない、というか思い出そうとするとモヤがかかったかのように記憶が曖昧になっちゃうくらいですし」

 

 堀井の言葉を聞いて華が悲しそうな表情を浮かべていたが、当の本人は全く気付いていなかった。

  

 

 

 

 ホームルームが終わって放課後になった。春休みでだれてしまった体には1日6科目は応える。 

 まぁ1番応えたのは周りからの反応だが。

 予想していた通り学校中の生徒から馬鹿にされたし。

 

「お~い!! 涼原の奴はどこだ~!!」

 

 げっ、堀井の奴が俺のこと呼んでやがる。十中八九、今日の居眠りのことで生徒指導室に連れ込むつもりだろう。堀井の生徒指導は無駄に長い、1年の頃はよく世話になっただからわかる。いつもなら説教くらった後に共にラーメンでも食って愚痴の一つや二つでも聞いてやるものだが、生憎今日は先客がいるんでな、堀井なんかに捕まる訳にはいかない。

 

「おい、堀井に見つかる前に行くぞ。匠」

 

 俺は堀井に捕まる前に匠を連れて急いで教室から出て、バイク置き場に向かう。

 間一髪て所か。堀井が俺たちを見つけるまでのコンマ数秒の隙、それを突いたが上手くいった。 

 

 俺は匠にヘルメットを渡し、バイクを走らせ学校から出た。

 そういや今日、何の用事があるのかを聞いていなかったので聞いてなかったので聞くことにする。目的地がわからないと連れていくなんてできない。

 

「そう言えばさ。今日、何をしに行くんだよ。」

 

「あれ言ってなかったか。今日、ヒカリちゃんの新曲がでるんだよ」

 

 あ~そう言えば匠は新人アイドルのヒカリにお熱だったな。

 匠は少し興奮しながらも答えてきた。よほど楽しみなのだろう。

 今まで俺にも何度か勧めてきたが、生憎アイドルには微塵の興味もない俺には効果なしだ。

 

「んでその発売イベントが開催されるから、それに参加したいって訳」

 

「相変わらず行動力が高いな」

 

 この行動力の高さだけは、俺も見習わなければならないかもしれない。

 俺は雑誌やらでツインテールの可愛い子を見つけても直で会いたいとか思わないし。

 

「イベントはCD買えば参加できるぜ。お前どうだ?」

 

「好きでもないアイドルのCDなんていらなねぇよ」

 

「お前、ヒカリちゃんのことが嫌いなのかぁ?」

 

「誰も嫌いとは言ってないだろ!! 好きではないだけだ!!」

 

 匠の中では好きではない=嫌いなのかよ。なんて面倒くさいこと言ってんだよ……

 匠は俺の答えに余程不服だったのか、大声で騒ぎだした。

 

「それならお前もヒカリちゃんのことが大好きになるようにしてやるぅぅぅ!!」

 

「そんなに言うならやってみやがれぇぇぇ!!」

 

 なんて馬鹿な会話だ……まあ高校生男子っぽいと言えばそれまでだが……

 そんなたわいもない会話をしていたらいつの間にか目的の町についていた。

 

「んじゃ。6時に広場集合ってことで。」

 

「おう」

 

「待っててねぇぇぇぇヒカリちゃぁぁぁぁん!!」

 

 匠はとても軽やかなステップを踏み、奇声と共に人混みに消えていった。

 不審者がいますって警察に通報したほうがいいかなアレ……

 

 

 

 

 

 

 

 匠と別れて30分ほど時間もたった。

 町を散策するのにもそろそろ飽きてきた。まぁでもこの町はオタクの町だけあってツインテールをしているコスプレイヤーさんやメイドさんが多いので景色には全く飽きない。今俺の前を横切った子も中々に可愛いかったし。

 

「暇だしゲームセンターにでも行くか」

 

 もう随分、ゲームセンターに1人で行っていない気がする。いつもゲームセンターに行こうと言い出すのは匠だ。

 あのバカ、今頃イベントではしゃいでいるのだろうか。それとも不審者として捕まったか。

 よくよく考えてみると遊ぶときはいつも匠がやろうと誘ってきている気がする。

 次は俺も何か遊びに誘うか。誘うならどこがいいだろう? 高校生男子が思いっきり楽しめる場所がいいな。

 そんなことを考え歩いていたら、大急ぎで走ってきた誰かにぶつかり尻もちをついた。

 

「痛ってぇな……!! 何処見てん……だよ……」

 

 考え事していた俺も悪いがぶつかってきたのは相手のほうだ。文句を言おうとぶつかってきた相手を見た俺は言葉を失った。

 ぶつかった相手は女の子だった。それも同年代もしくはやや歳下くらいの。

 まるでアニメの世界から出てきたかのような可愛らしい顔と慎ましやかな体。そんな彼女の容姿で俺が一番目を奪われたのは左右均等に伸びた赤紫色のツインテール。

 今まで生きてきてこんなにも美しいツインテールは見たことがない。

 ギリシャ神話の戦女神のような気高さと凛々しさすらもこのツインテールからは感じる。

 それほどまでに見事だった。

 

「何よ、じろじろ見て。気持ち悪い」

 

 やってしまった。今朝のことと合わせて本日2度目だ。

 彼女の立場からしたら初対面の男から自分のツインテールを見つめられるのだ。確かに気持ち悪い。

 

「私、急いでいるの。さっさとどいてくれない?」

 

 彼女はイライラしているのか怒気を含んだ声をかけてきた。

 俺が急いで立ち上がりその場からどくと、再び走って行ってしまった。

 

「可愛かったな……」

 

 特に可愛かったのはあのツインテールだ。

 あれほどのツインテールはもう二度と出会えないかもしれない。

 

 そんなこと言いながらボーっと突っ立っていたが、道端に紫色に光る物が落ちていることに気づき我に返る。

 それは見たこともない装飾のブレスレットだった。十中八九、さっきの彼女が落とした物だろう。

 これがあればあのツインテールの少女にもう一度会える。

 

「しゃーねぇな。ったく、届けてやるか……」

 

 彼女が走っていった方向に向かって俺は走り出した。




読んでいただきありがとうございます。
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