俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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第10話 決着

 マルコシアスギルディの襲撃に備えて、ティアナと共に何時でも出撃できるように準備し終えた俺は今、アラームクロック内で昼食をとっていた。

 腹が減っては戦が出来ぬとはよく言ったものだと思う。いざ戦う時に空腹では満足に力も発揮できないだろう。そのためにもおやっさんの飯を腹一杯に食べなければ……

 しかし、その決心とは裏腹に箸が全然進まない。もう食べ始めてかれこれ30分近くたつが未だに完食は遠い。普段、早食いの俺からしたらありえない光景だった。

 

「今日のお前、どうしたんだ? 朝からおかしいぞ」

 

 おやっさんがそんな俺に心配して話かけてきた。

 確かに今日の俺はおかしい。心ここに有らずってところか。マルコシアスギルディとの決戦が控えているのもそうだがやはり匠とのことが原因なのは明白だ。匠のことは考えないようにしてもつい考えてしまう。

 

「和輝、あなたやっぱり、昨日のことが……」

 

 隣に座っていたティアナも小さな声で心配してくれていた。ティアナはおやっさんと違い、昨日の事を全部知っている。それ故に、より俺の今の状態が心配なのだろう。

 

「昨日何かあったのか?」

 

 日々様々なお客さんの注文を聞いているおやっさんだ。いくら小さな声とは言ってもおやっさんが聞き逃す筈もなかった。おやっさんはキッチンから身を乗り出して問い詰めてきた。

 

「昨日の帰りに匠と会ってさ――」

 

 おやっさんは俺がテイルバイオレットであることを知らないし、知られてはいけない。おやっさんには、帰り道に匠とばったり出くわして話している内に口論になって喧嘩に発展した、と説明した。

 

「――ってことがあってさ……匠と絶交しちまったんだよ……」

 

「なんだ、ただの喧嘩か」

 

 おやっさんの反応は予想に反して随分とあっさりしてものだった。

 もう少し、驚くものだと思っていたがどうやら違った。匠と喧嘩なんてもう随分としていないが……

 

「それにしても懐かしいな~和輝が匠君と喧嘩か~」

 

「正樹さん、どういうこと?」

 

 何かを思い出して懐かしさに浸るおやっさんにティアナの疑問が飛ぶ。

 

「いや、昔和輝が小学生の頃な――」

 

「「!」」

 

 面白そうに語ろうとしたおやっさんの声をエレメリアン出現のブザー音がかき消した。その音に面食らったおやっさん以外の俺とティアナの顔が変わる。

 遂に来たか……予想よりもずっと早い、マルコシアスギルディ、お前は今日必ず倒す。匠のことは一先ず置いておく。

 

「行くぞ……ティアナ」

 

「ええ……」

 

 おやっさんには話の最中に悪いと思うが今は急がなくてはいけない。

 

「悪いけど昔話はまた今度、俺たちちょっと行ってくる!!」 

 

「お、おう。何かあったかは知らんが、とにかく気を付けろよ!!」

 

 おやっさんに謝りをいれて俺たちは駆け出す。決着をつける為に……

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校の屋上とは仲の良い者同士親交を深めるのどかな場所であり、男女の告白などの甘酸っぱい場所でもあり、男同士の意地をかけて拳をぶつけ合う泥臭く暑苦しい場所でもあるとアニメやドラマなどありとあらゆるフィクションで描かれている。

 しかし、現実の多くの学校では屋上にあがることは危険なので禁止にされており、そのような場面に出くわすことは少ない。

 ここ私立双神高等学校に入学する前の和輝や匠などの青春に憧れを持つ生徒は学校の屋上とは言ってしまえば幻想に過ぎないものであると思っていた。だが、双神高等学校の屋上は生徒たちの立ち入りを禁止してはいなかった。入学初めはよく昼食をとる場所として多くの非リア充たちが利用していたが、現実は甘くないと知り次第に数を減らしていった。

 今現在、12時30分。双神高等学校はお昼休みの時間。新学期に入ってもう一週間は過ぎた屋上に生徒の姿はほとんどおらず、匠と堀井の二人だけの空間と化していた。

 

「「…………」」

 

 それぞれ売店で買ったサンドイッチとおにぎりを黙々と食べていた。

 生徒と教師、二人の間の空気はなんというか気まずいと表現するしかなかった。

 

「…………」

 

「で、俺に用があるんだろ? 今日は涼原もいないし、何かあったのか?」

 

 一通り、食べ終えた堀井が先に話を切り出した。

 本来なら憧れの華とのランチだったのだ。教師たるもの生徒を優先するのが当たり前だと心ではわかっていても、堀井は華とのランチを諦めきることができなかった。そのため堀井の口調はやや怒気の含んだものであった。

 

「俺さ、和輝と喧嘩したんだよ……」

 

 口の中のサンドイッチを飲み込んだ匠は思い切って告白した。

 その顔はいつものふざけたものではなく真剣其の物といったところだ。 

 

「真剣な表情で何言うのかと思ったら、そんなことか」

 

 堀井の反応は正樹と同じで至極あっさりとしたものであった。

 その反応をみて匠は堀井に怒りの声をあげる。

 

「そんなことってなんだよ!! こちとら悩んでんだぞ!!」

 

 匠は真剣に悩んだ末に信頼できる大人である堀井に相談したのだ。それ故に堀井の反応は頭にきてしまっていた。

 

「まてまて、怒るなって、俺が悪かったよ」

 

 匠の真剣すぎる怒りを感じ、堀井は手のひらを合わせ謝罪する。

 それを見て匠も怒りを鎮める。

 

「でもな、男なら喧嘩の一つや二つ当たり前だと思うがな」

 

「喧嘩したことあるのかよ……」

 

 失礼だが堀井の見た目は冴えない。匠にはそんな堀井が友達と喧嘩することはないと思っていた。さっきみたいにすぐ自分が非を認めて謝るものだと。

 

「当たり前だろ。特にお前くらいの歳の頃はよく喧嘩したもんだ。どちらがジャイアントブルーのお兄ちゃんに相応しいかってな」

 

「それ喧嘩じゃねぇだろ。てかキモイし、シャイニーブルームだろ。ニュースでやってたぜ」

 

「あれ? そういう喧嘩じゃないのか?」

 

 今回の件は堀井の言っている喧嘩とは少しズレている。

 匠はやれやれと頭に手を当てながら思う、堀井に相談してよかったのか?と

 

「じゃあ何でお前たちは喧嘩したんだよ?」

 

「それは…………」

 

 堀井に問われ、意を決した匠は事の発端を話した。と言ってもエレメリアンやテイルバイオレットの正体などのことは上手くぼかしたが。

 

「つまり、お前は涼原を励ましたのにあいつは殴ってきて、後は互いに感情的になっちまった……と」

 

「……そんなところかな」

 

 匠はやや歯切れの悪い答えをした。

 

「まあ、なんだ、俺は涼原じゃないからあいつの気持ちはわからんが、涼原の癇に障るようなことをしちまったんだろうな……」

 

「俺が悪いのかな?」

 

 思い返して見れば今回の件は先に殴った和輝も悪いが自分に非がないわけではない寧ろ和輝が落ち込む原因には自分が少なからず関係している。匠は堀井に話してみた結果そのように感じた。

 

「それはわからないな、でもそう思うなら謝ってみればいいんじゃないか?」

 

「あいつ、許してくれるかな……」

 

 匠は不安だった。和輝とは仲直りしてまた馬鹿騒ぎをしたい。しかし、和輝はどう思っているのだろうか? もしかしたら本当に絶交したいと思っているかもしれない。

 

「というかお前たちは小学校からの仲なんだろ、今まで喧嘩したことないのか?」

 

「それは…………」

 

 匠は思い出した。小学生の頃、初めはよく喧嘩したものだ。どっち女の子が可愛いか?という思い返すと途轍もなく他愛ない内容であった。

 

「……あったよ」

 

「なら大丈夫さ、今回は若さ故の過ちってやつだよ、涼原もわかってくれる」

 

 その言葉を聞き、匠は自分自身の心に巣くう不安が消えていったのがわかった。

 

「ありがとうな。なんか胸の詰りが取れた気がする」

 

 匠は屋上からの景色を見ながら、堀井に感謝の気持ちを述べた。

 

(今日の放課後、和輝に会う。そして……)

 

 匠はそんなことを考えいたら見覚えのあるバイクが凄いスピードで港の方へ走っていくのが見えた。

 

「あれは……!!」

 

 間違いない。あのバイクは和輝の物だ。もしかして港に昨日のエレメリアンが現れたのだろうか? 

 匠は居ても立っても居られなくなっていた。

 

「堀井!! 悪いけど俺、早退するから!! あとよろしくな!!」

 

 匠は急いで屋上を後にする。その後ろ姿はさっきまでの悩んでいた姿が嘘のようであった。

 

「……って呼び捨てにするな!! 堀井先生だ!!」

 

 堀井の声は屋上から学校の下まで聞こえていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 マルコシアスギルディが決戦の地に選んだのは倉庫立ち並ぶ港であった。

 幸い、何故だかわからないが人の気配は俺たちを除いて全くしない。まるでこの決戦にギャラリーは不要とマルコシアスギルディが言っているようだった。

 テイルギアによって強化された脚力を生かして空を舞い、倉庫の屋根に降り立つ。

 

「やっとおでましか……テイルバイオレット!!」

 

 マルコシアスギルディは偉そうに手を組みながら倉庫の屋根で仁王立ちして構えていた。

 なんて偉そうなんだ、あの野郎。今日こそは絶対に倒してやる……!!

 

「ああ、お前みたいな卑怯者なんかに逃げる俺じゃねぇ!!」

 

 これ以上、こんな奴の戯言に耳を傾ける必要はない。悪いが今回は最初から全開だ。速攻で終わらせてやる……!!

 ウインドセイバーを手に持つや否や必殺の構えをとる。

 

完全開放(ブレイクレリーズ)

 

 紫の風がウインドセイバーに集まり眩い光を放つ。

 光輝くウインドセイバーを構え、縦に横にいつもより多く振るう。

 

「なに!?」

 

 初手から必殺技を放つことに驚愕するマルコシアスギルディ。

 放たれた無数の斬撃波がマルコシアスギルディを襲い、直撃して爆発を起こす。既に周囲はストームブレイクの余波で滅茶苦茶になっていた。

 

『やったの?』

 

 ティアナが生存フラグ満載の台詞を吐く。集中していた俺はツッコミを入れることを忘れて立ち昇る煙を見据える。

 そして俺の目は煙の中から立ち上がるマルコシアスギルディの影を捉えた。

 

「どうした? こんなものか? テイルバイオレット……!」

 

 やはりか……。正直、この攻撃で倒しきれればいいなとは思っていたが、駄目だったか。しかし、今奴は弱っている筈だ! 次の一撃で……!!

 

「くらえぇぇーーーーーー!!」

 

「ふぅん!!」

 

 とどめを刺すべく振り下ろしたウインドセイバーはマルコシアスギルディの爪によって弾かれてしまった。

 そして、俺は煙の中から姿を現したマルコシアスギルディの体を見て驚愕する。

 

「噓だろ……」

 

 奴の体に傷一つ、存在していなかった。まるでさっきの攻撃が行われなかったかのようだ。

 

「こんなものかと聞いている!!」

 

 マルコシアスギルディの爪牙が俺の体を襲う。防御に徹するが攻撃を受ける度に体は悲鳴を上げていった。昨日の攻撃とは大違いだ。

 

「クソッ……!!」

 

 既に戦闘を開始して2時間弱。現在は防戦一方、このままでは勝てない。間一髪、攻撃を躱した俺は反撃に拳と蹴りを繰り出す。

 しかし……

 

「その程度の攻撃など!!」

 

 反撃に放った拳や蹴りは確かにマルコシアスギルディの体を捉えた。しかし、マルコシアスギルディは平然としており、唖然とする。

 

「やっぱり、俺……!?」

 

 昨日よりも弱くなっているのか……? 

 攻撃を仕掛ける度にその疑念は確信へと変わっていく。間違いない、俺は昨日よりも弱くなっている!?

 

「ふぅん!!」

 

 マルコシアスギルディが放つ渾身の正拳突きが腹に直撃し、俺は倉庫の中まで大きく吹き飛ばされた。

 

『和輝!! しっかりしなさい!! 和輝!!』

 

 ティアナの声が耳に響くが体は動かない。

 無情にもマルコシアスギルディの口から光弾が放たれる。

 

「とどめだ」

 

 躱せるはずもなく光弾は俺の体直撃し、爆発を起こした。

 煙の中で俺は変身が解除した事実に気が付いた。

 

 

 

 

 

 

 

「変身が……!!」

 

 不味い、エレメリアンに俺の正体がバレる……!! いや、不味いなんてレベルじゃない。絶対絶命だ。

 

「なるほど……それがか」

 

 テイルバイオレットに変身しているのが男だったというのにマルコシアスギルディはほとんど動じていなかった。まるで、ある程度予想していたかのようだ。

 

「言っていなかったな小僧。俺の属性は正直属性(オネスト)、嘘をつかない正直な子が好きなのだ。テイルバイオレットからは嘘の臭いがしていたが……変身しているのが貴様のような小僧だったとはな」

 

「それが……どうした。俺が男で幻滅したかよ……」

 

「いや、俺が幻滅したのは貴様のが男か女なんてことではない。貴様の属性力だ」

 

「な……!?」

 

 俺の属性力だと!? 属性力ってのは確か何かを好きっていう気持ちでそれに対する愛情などがエネルギーになったもの。俺はツインテールが好きだ。その気持ちは誰よりも強い、それはテイルギアが証明してくれているんじゃないのか!?

 

「ツインテールをすることが出来ない男でも強いツインテール属性を持つ者がいることは風の噂で聞いたことがある。ツインテイルズのメンバーにも男が一人、存在しているという噂もな。だが……!!」

 

 マルコシアスギルディは語る。怒りを露わにしながら。

 

「だが!! 貴様からは感じるツインテール属性は俺たちが追い求めるツインテール属性の足元にも及ばん!! いや、それどころか一般の男よりも少し強い程度だ!! 俺たちが優先的に狙う価値すらない!!」

 

 俺のツインテール属性が強くない……!? いや、そんなことはない。そんなことは……

 動揺を隠せない俺の耳にテイルドライバーからティアナの声が聞こえてくる。

 

『そんな奴の言葉を聞かないで!! 早く、もう一度、変身を!!』

 

 その言葉に我に返った俺は、再び変身しようとテイルドライバーを構える。

 

「そのベルト、そこからは強いツインテール属性を感じるぞ、貴様なんかよりもよっぽどな」

 

 だが、変身することはできなかった。その言葉を聞いて、俺の手が、体が動くのをやめたのだ。

 

「俺は……俺は……」

 

 俺のツインテールへの愛はテイルドライバーよって引き上げられていたもので本当は取るに足りないちっぽけなものだったのかよ……もしかして、今日の俺が弱くなっているのって……

 マルコシアスギルディの放った一言は今までのどんな攻撃よりも、効果があった。

 

『和輝!! ねぇ、和輝ってば!!』

 

「折れたか、それが貴様の嘘。貴様のツインテールへの愛など嘘でしかない」

 

 俺は動けなった。体が痛いとかそんなものではない。ただ体を動かすことができなかった。

 

「俺の勝ちだ。貴様程度の属性力、奪う価値すらないが、そのベルトはいただくとするか」

 

 マルコシアスギルディは動けない俺に近づいてくる。奪うのは俺の属性力ではない、テイルドライバーだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『しっかりしやがれ!! 和輝!!』

 

 絶望感漂う中、テイルドライバーからティアナではない別の声が辺り一面に響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この声は……匠!?」

 

 間違える筈もない。10年近く聞き続けた匠の声だ。でも、どうして? 俺は昨日、絶交なんて馬鹿なことを言ってしまったのに……

 

「なんだ!? この声は!?」

 

 突然の乱入者の声に狼狽えるマルコシアスギルディ。

 

『お前のツインテールの愛が嘘だって? そんなわけないだろ!! お前は、涼原和輝は!! 俺の知っている最高のツインテール馬鹿だ!!』

 

「でも、俺は……」

 

『でもってなんだ!! ツインテールが好きじゃなかったら昨日、俺を殴るなんてできないだろ!! それにお前は誓ったんじゃないのかよ!! これ以上、悲しむ人を増やさないって!!』

 

 そうだ、匠の言う通りだ。俺のツインテール属性はちっぽけかもしれない、でもツインテールが好きなことに変りはない!!

 

「ッ!?」

 

 間一髪、マルコシアスギルディの腕を躱し、距離をとる。

 

「ていうか匠。なんでティアナとの誓いを知ってんだよ」

 

『悪いな、昨日聞いていたんだよ』

 

 全く、コイツは……でも、助かったぜ。

 俺は三度、テイルドライバーを構え直した。

 

「ティアナ!! 行くぜ!!」

 

『ええ!!』

 

 テイルドライバーからは再び、ティアナの声が聞こえてくる。

 体からは力が溢れてくるような気がする。これなら……!!

 

「テイルオン!!」

 

 青紫の光が薄暗い倉庫の中を包み込む。そして、テイルバイオレットは再び、顕現する。今度こそ倒す為に。

 

「戯言が!!」

 

 変身が完了すると同時にマルコシアスギルディが突撃してくる。

 

「確かに俺は女でもないし、ツインテールの愛がちっぽけかもしれない!!」

 

 振るわれる爪を紙一重で躱し、カウンター気味に拳を打ち込んでいく。

 

「グッ……!?」

 

「でも俺はツインテールが!! 大好きなんだよ!! その気持ちは噓じゃない!!」

 

 揺れる胴体に向かって回し蹴りを数発、そして体勢が崩れた所に十八番の中段蹴りを見舞う。

 

「何故だ!! 何故だ!! さっき戦った時はこれほどの力は!!」

 

「さあな、俺にもわかんねえよ」

 

完全開放(ブレイクレリーズ)

 

 紫の風が周囲に吹き荒れる。

 今、ウインドセイバーは手元に存在していない。勢いに乗っているこの状況、フォースリヴォンを触れる時間さえ惜しい。本来ならウインドセイバーに集める筈の紫の風を右足に収束させ、邪悪を打ち砕くべく跳躍する。

 

「!」

 

 右足を前に出し、一般的にイメージするであろう飛び蹴りの体勢を整える。吹き荒れる紫の風を推進力にし、目標目掛けて一直線に飛んでいく。

 

「おらぁぁぁぁ!!」

 

 紫の風を纏った必殺の蹴撃<ストームストライク>がマルコシアスギルディを貫いた。

 マルコシアスギルディは全身を放電させ苦悶の声をあげる。

 

「この俺がぁぁぁぁッ!!」

 

 マルコシアスギルディは力尽きるように倒れ、大爆発を起こした。

 爆発と同時に昨日、奪ったであろ属性力と思われる光の粒子が溢れ、何処かに飛んでいくように空に消えていた。きっと元の持ち主の下に返ったのだろう。

 そういや、テイルギアは心で動かす武装だったな。弱くなっていたのは俺のツインテール属性のせいではなく、心の何処かで匠とのことが引っかかっていたからなのだろう。

 全てを終えた俺は晴れやかな顔でティアナと匠の下へと帰還した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ごめん!!」」

 

 俺と匠の第一声はそれだった。

 互いの気持ちは一つ。それがわかり心の中でホッと胸を撫で下ろす。

 これ以上、謝罪の言葉は不要。男同士の仲直りはこれで十分だ。

 

「え、それで終わりなの? もっと、こう、ねぇ?」

 

 ティアナは口を開けてポカンとしていた。

 まぁこれは男の問題だしな。わからないのだろう。

 

「急いだから腹減ってきたぜ。和輝、梅屋にラーメン食べに行かないか?」 

 

 匠が腹を鳴らしながら提案してきた。

 俺も昼飯を碌に食べていないことを思い出す。匠に釣られ俺の腹も大きな音を鳴らした。

 

「決まりだな。ティアナちゃんは?」

 

「もちろん、同行するわ」

 

「よし、決定!! 和輝、三人分よろしくな」

 

 はぁ!? 匠の一言に異議を申し立てたくなる。

 ティアナの分をだすのは構わんが何故、匠の分もださなきゃいかんのだ。

 

「これで殴ったことチャラにしてやるよ」

 

 この野郎……!! 根に持ってんのかよ……!! 

 心の中でそう言っても、先に手をだしたのは俺なので反論することができない。

 

「んじゃ、出発~」

 

 匠を先頭に俺たちは歩きだす。

 梅屋までは距離的にここから約1時間かかるかどうかだ。現在の時刻は午後3時過ぎ、少し早いが夕飯には丁度いい時間だろう。

 バイクを押しながら歩を進める俺に匠が喋りかける。

 

「なぁ、覚えてるか? 小学生の頃」

 

「はぁ? 藪から棒になんだよ」

 

「いや、やっぱいいわ」

 

 腹を空かす俺たちは目的地に向かって歩き続けた。




 堀井先生は元々、華先生の話し相手として作ったキャラだったのですがいつの間にかおやっさんよりもおやっさんっぽいことしていました。

 キャラクター紹介5

 バアルギルディ
 身長:266㎝
 体重:300kg

 究極のツインテールを超えるツインテールを求めて和輝たちの世界にやってきたアルティデビルのエレメリアン。
 ツンデレ属性を持つアルティデビル屈指の実力者。
 テイルバイオレットに一目惚れし、自らの使命との間で揺れている。
 アルティデビルに幹部や隊長といったものは存在しないが、現在は実質的なリーダー格でもある。
 また、自らの勘に絶対の自信を持っている。
 
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