俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~ 作:中川カイザー
正直、私の文章力では説明しきれているとは思えないので何となくで理解していただければ幸いです。
燃え上がるビル街にてぶつかる二つの影。
一人はこの俺、テイルバイオレットブレイブチェイン。もう一人は敵であるアナザーテイルレッドの野郎だ。
俺は荒々しくも流れるような剣捌きで二刀のウインドセイバーを巧みに扱いアナザーテイルレッドに食らいついていく。
「でりゃぁぁッ!!!」
「おおっと!!」
ウインドセイバーの一太刀を大きく宙がえりすることで回避するアナザーテイルレッド。
この野郎、俺がブレイブチェインになって以降、さっきから俺の攻撃を避けるばっかりで碌に攻撃をしてこねぇ。まるで俺の動きを観察しているかのようだ。
だけどまぁ、たとえそうであっても俺は止まらねぇ。
ノーマル状態でボコボコにされていたさっきまでの俺とは違って、今の俺にはティアナが傍にいてくれている。
おかげで今の俺は負ける気が一切しねぇ。
野郎が俺の動きを見極めようとしていやがるってんならさっさとぶちのめすまでだぜ。
「うらぁぁぁッ!!!」
「ッ!?」
さらなる勢いで振るわれるウインドセイバー。
これにはさしものアナザーテイルレッドも今度ばかりは回避しきる事が出来ない。
ウインドセイバーの一太刀は遂に野郎の装甲を捉えた。
「ぐぅぅぅ……!!」
苦悶の声を漏らして後退るアナザーテイルレッド。
その表情から察するに今の一撃は奴のフォトンアブソーバーを貫通したに違いない。
今までにない確かな手ごたえを感じた俺は、追撃を入れるべく急接近して二刀のウインドセイバーを振り回す。
「おらおらおらッ!!」
「くッ……!! 想定していたデータ以上のパワーじゃねぇか……!!」
ブレイザーブレイドを巧みに操り、俺の怒涛の攻撃を捌くアナザーテイルレッドの野郎がぶつぶつと何かを呟いていやがる。
俺はそれに構わずに攻める手を緩めない。
「これも全て、総愛の奴の持つツインテール属性がなせる技ってかい。流石は究極のツインテールを継いだ者だ……!!」
「おらぁッ!!!」
「全く、つくつぐお前ら親子は俺の想定を上回ってくれるなぁ総二……!! おかげで俄然奪いたくなってくるじゃねぇか……!!」
「あーもう!! さっきからぶつぶつぶつぶつとうるせぇんだよ!!」
まるで俺の事なんぞ眼中にない。
そんな風な気がした俺はウインドセイバーを握る手により一層怒りをこめる。
だがしかし、アナザーテイルレッドの防御は完璧に近く、全く持って俺の攻撃を寄せ付けない。
「くっそ……!!」
「ああん? そういや坊主? なんだかご立腹のようだがぁ?」
「当たり前じゃボケぇ!!」
俺はウインドセイバーを横薙ぎに大きく振るう。
しかし、アナザーテイルレッドはそれを読んでいたかのように体を屈ませてそれを回避、俺の攻撃は空を切る。
「おらよっと!!」
そして、反撃とばかりにアナザーテイルレッドはブレイザーブレイドをゴルフクラブかの如く側面で叩くかのように振るい、俺の事を大きく吹き飛ばす。
「ぐあぁぁぁ!!」
「和輝!!」
幸か不幸か。吹き飛ばされたすぐ近くはティアナがいる場所だった。
駆け寄って来るティアナが見てティアナは無事そうで良かったと胸を撫で下ろす。
「ねぇ和輝、大丈夫?」
「ああ、俺は大丈夫だ。だけどあの野郎、やっぱりとんでもなく強ぇ。まるで俺の動きを読んでいるかのようだ……」
ティアナに肩を貸してもらいながら立ち上がった俺はそこまで言った際にとある重大な事を思い出した。
アナザーテイルレッドの野郎、奴は俺のブレイブチェインを見たときにその名を言い当てやがった。それは即ち、この強化形態の事を知っている事になる。いや、それだけじゃない。初戦の時の変身妨害も本来なら妨害できるタイミングをあの野郎が知る筈が無いんだ。なのに奴は妨害できるタイミングを予め把握していたかのように妨害を成功させた。
俺の動きが完璧に読まれている事や俺の性別を初見で見抜いた事、ブレイブチェインの存在やテイルドライバーの弱点を予め知っていた事、なのにそれでいてテイルブルームの事は知っている素振りを見せなかった事、それら全てが当てはまるという事はもしかして奴は……
パズルピースが埋まっていくかのように信じたくない現実が浮かび上がって来る。
「おいおい坊主、愛しの彼女に肩貸してもらっちゃって随分と余裕だなぁ? ええ?」
じりじりと寄って来るアナザーテイルレッド。
そんなアナザーテイルレッドに俺は一つ問いかける。
「おいてめぇ……」
「あん? どうした坊主?」
「どうしてお前はこの姿の事を知っていた……。どうしてお前はテイルドライバーの弱点を知っていた……。答えろ……!! お前まさか……」
そこまで言った瞬間、何かに気が付いたかのように口元を歪ませ笑い出すアナザーテイルレッド。
この反応、やはりまさか……
「はっはっはっは、成程、坊主は中々に勘が鋭いと来た。そうさ……そのまさかって奴さ……!!」
やはりそうなのか……
どう表現していいかわからない感情が俺の心に広がっていく。
「え? どういう事なの? 何がそのまさかなのよ? 教えなさいよ和輝!!」
そんな俺とは違い、何が何だかわからず混乱するティアナ。
傍から見れば急に戦意を失った俺の姿は不思議と言わざる得ない。
次の瞬間、混乱するティアナに向かってアナザーテイルレッドはこう告げる。
「いいか総愛、大事な真実を教えてやるよ。お前たちが使っているそのテイルドライバー、それを作ったのはオレなんだよ」
ティアナを襲うその言葉の衝撃は想像を遥かに凌駕するものであった。
◇
テイルドライバー。
私はそれを魔法か奇跡の産物なんじゃないかと思っていた。変身できなくなった私の為にツインテールの女神様が託してくれたそんな神秘的な物だと信じていた。
でも、現実はまるで違った。
「嘘でしょ……。これを作ったのがあなただなんて……」
にわかには信じられない現実。
故に私はそんな筈が無いと否定したくなる。
でも、アナザーテイルレッドは嘘をついているようには到底思えない。
「信じられねぇって顔だなぁ総愛。でもざんねーん、そのテイルドライバーは正真正銘このオレが作った物なんだな~これが」
「じゃ、じゃあどうして!! 何のために!! テイルドライバーを作ったのよ!! 答えなさい!!」
実際問題、アナザーテイルレッドの目的が私のツインテール属性の奪取だとするのなら何故、私たちに戦う術を用意したのかが謎でしかない。
そんな物を用意しなければ変身できない今の私のツインテール属性を奪うだなんて造作もない筈なのに……
煽るアナザーテイルレッドに向かって私は声の限りに叫んだ。
するとアナザーテイルレッドは静かな口調でこう告げる。
「お前という最高の宝を守る為さ」
「守る為……ですって!?」
私の事を守る為?
矛盾しているその言葉を聞いて私は訳が分からなくなってくる。
「訳わかんねぇって面してるなぁ総愛? ま、一応言っておくがオレの目的は何も変わらねぇ。お前という究極のツインテール属性を手に入れるって事なんだからよ」
「じゃあ余計にどういう意味なんだよ……!!」
隣に立つテイルバイオレットこと和輝が口を開く。
それを聞いたアナザーテイルレッドは口元を歪ませる。
「どういう意味もなにも、そういう意味だぜ坊主。お前は意地でも手にしたい物が近くにあったとしてそれを直ぐには手にできない時どうするよ?」
「どうするって……」
口ごもる和輝。
私も同じ気持ちなので何も言えない。
そんな私たちを見てアナザーテイルレッドは口を開く。
「もしも……変身も出来ない癖にツインテール属性だけは一丁前に強力な奴がオレの目の前から姿を消した時、どうやってそいつをオレと同じ奴らから守ればいい?」
「ッ!? まさかてめぇ!?」
「流石は坊主だ。ようやく気が付いたようだな。というかそもそも、不思議に思わなかったか? どうして総愛のテイルブレスが起動しなくなったのか」
「え!? じゃあやっぱり私が変身できないのって……」
「ピンポン!! ピンポーン!! 大正解だぜ総愛!! そう、お前さんのテイルブレスに細工したのはオレなんだよ」
さっきからの話の流れからして薄々そうなんじゃないかと思い始めていたけど、いざそう答えを告げられるとくるものがある。
私が今まで苦悩し続けた原因は全部コイツのせい……
今まで感じて来た悔しさと辛さが怒りとなって湧き上がって来る。
「どうしてよ!! どうしてそんな事をするのよ!!」
「はぁ……。んなの決まってんだろ。お前に変身されると都合が悪いんだよ」
「何ですって?」
「どういう意味だ……!!」
怒りに燃える私を下がらせるように前に出た和輝が静かに問いかける。
対するアナザーテイルレッドは相も変らぬ邪悪な笑みを浮かべながら答え始める。
「オレは石橋を叩いて渡る性分でね。何事もイレギュラーを先に想定して先手を打ってから事に移す質なのよ。要するにオレはお前の持つ究極のツインテールの力を警戒したって訳さ」
「つまり、まだまだ未知数なティアナの力を警戒して変身を出来なくさせたはいいが、もし万が一ティアナが同じ野望を抱いた奴に襲われた際に戦えるボディーガードが必要で、それがたまたま俺でありテイルドライバーをそれを作る為の道具って訳かよ」
「解説ごくろーさん。そういうこったぜ」
じゃあなに? テイルドライバーは変身できない私の代わり且つ、いざという時に自分で倒せる範囲の存在でしかない。そう言いたい訳なの?
ブレイブチェインもエモーショナルチェインも通常時では歯が立たない強敵と出会った際に使用できるようになる一種の強化パッチで、いざそれを使われても自分はその動きも実力も把握しているから問題ないから……
点と点が繋がり真実がより鮮明になっていくと同時に絶望という暗雲が広がっていく。
「唯一の誤算はブレイブチェインもエモーショナルチェインも総二と愛香の戦闘データを元に作ったせいで使用するのに条件が必要になっちまったって事とそもそもの変身に使用者と総愛の心を一つにしないといけなかったって事だが、何とかそれら両方をクリアしてくれて助かったぜ」
つまり、私たちが初めて自分の意思で変身した時に聞こえたあの不思議な声は全部コイツが仕掛けた事だというの?
私はあの時に聞こえた声を内なるツインテールの声なんじゃないかと思っていたけど、それすらも違っただなんて……
次々と明かされる衝撃の真実に戸惑いを隠せない。
「さて、答え合わせはこれくらいでいいか。そろそろ頂くぜそのツインテール!!」
「まだだ!! まだてめぇにはその前に聞きてぇ事がある!!」
「あん? なんだ坊主?」
ブレイザーブレイドを突き付けそう宣言したアナザーテイルレッド相手に臆することなく前に出た和輝がそう発言した。
邪魔された事もあり、苛立ちを見せるアナザーテイルレッドであったけど、ブレイザーブレイドを下ろした所を見るにどうやら和輝の言う事をすんなり聞いてくれたみたいね。
「お前は一体、何者なんだ!! 総二さんや愛香さんとはどういう関係なんだ!! 答えやがれ!!」
そう言えば確かにアナザーテイルレッドことレイジはお父さんやお母さんとどういう関係なのかしら。
言い方から察するに険悪そうな関係ではなかったようではあるけど、コイツの目的を知れば知るほどお父さんと仲良くなれる訳がないのが引っかかる。
「フッ、いいぜ。だったら教えてやるよ。オレが何なのか。そして総愛……お前が一体、どんな存在なのかをなぁ!!」
「わ、私……!?」
どういう事? 私にも秘密があるって言うの!?
予想だにしていない宣告を受け私は酷く戸惑ってしまう。
「ティアナがどんな存在かだと!? どういう意味だ!!」
「どうもこうもそういう意味だぜ。坊主、お前は以前、ここではない世界で総二たちツインテイルズと出会った事があるだろ?」
「ッ!? どうしてそれを!?」
「どうしたもこうしたもオレもあの戦いは見ていたからな。ま、あの世界から戦士を消えたのも元はと言えばオレが狩ったからなんだがな」
「何だと!?」「何ですって!?」
アナザーテイルレッドがいうあの世界というのは十中八九リーンたちが住む世界。確かあの世界では世界を守護する筈のツインテール戦士が突然消えてしまい、その隙を突かれる形でメフィストギルディたちに侵略されかかってしまっていた筈……。
その原因となったのがまさかアナザーテイルレッドだったなんて……
まさかまさかの犯人の登場に私たちは声を荒げた。
「おっと、つい口を滑らせちまったな。ま、今はそれは置いておいて、それよりもお前ら、総二と話の一つや二つしただろ? 総二の未来の娘についてとかよぉ?」
「「!?」」
アナザーテイルレッドが言う総二さんの未来の娘、それは私ではない双愛という少女の事に違いない。
同じ親を持ち外見も瓜二つなのに確かに違う私と双愛。私たちはその関係性をパラレルワールドにおける似て非なる同一人物だと結論付けたけど、それ以外にも何かあるって言うの?
私自身が何者なのかがわからなくなってくる。
私は確かに観束総二と観束愛香の娘、観束総愛な筈……
「教えて!! 私は一体……何者なの!!」
「フッ、いいぜぇ……教えてやるよ」
ニヤリと笑ったアナザーテイルレッドが静かに語りだす。
この男は何者なのか……そして私は何なのかを……
◇
オレが生まれたのは遥か未来。
嘗てテイルレッドと呼ばれた英雄が活躍したとされるとある世界だ
オレは物心ついた時からツインテールという髪型が好きだった。
理由やきっかけなんざとうの昔に忘れたが、確かだったのはその世界においてこのオレこそが最もツインテールを愛していたという事だ。
オレは幼い時からツインテールを研究し続けた。
ツインテールが最も輝く為に必要な要素、例えばどんな髪色がいいのだろうかだとか髪の艶を最も維持させることが出来るシャンプーやらリンスは何を使えばいいのだろうかだとかその他色々のオーソドックスな事、それ以外ではツインテールと会話するにはどうすればいいのかだとかや目に見えない己のツインテールを触れるにはどうすればいいのかだなんて傍から見れば可笑しな事だろうと構わずに研究し続けた。
そんなある日、オレは大昔にこの世界に襲来したとされるアルティメギルと呼ばれる怪物たちの集団と、それに対抗するツインテイルズと呼ばれるツインテールを愛する戦士たちの戦いの記録を纏めた一冊の本を入手した。
その名は「俺、ツインテールになります。」
どうやらテイルレッドの子孫が残した物らしい。
その本に書かれている事はまるで絵空事かのような信じがたい物だったが、調べれば調べる程、その内容は史実に忠実な書き物であるとわかり、同時にオレの心を大きく揺さぶった。
テイルレッドに会いたい。
テイルレッドと共に戦いたい。
アルティメギルとツインテイルズの戦いを調べるにつれ湧き上がるオレの想い。いつしかそれは一つの大きな狂気となりオレを支配する。
歳にして13歳を超えた頃だった。オレは禁忌にして誰もが憧れる産物、タイムマシンを作成に取り掛かっていた。
目的は勿論、在りし日のテイルレッドに会う為。
元から類まれなる天才と称されていたオレは2年の月日をかけてその研究を遂に形にする事に成功した。
2年という短い月日で作られたそのタイムマシンは一方通行の危険な物。一度行けばもう二度と戻ってこれないし、そもそも目的の時間にいけるとは限らない。最悪、時空と時空の狭間を永遠に彷徨ってしまうかもしれない危険性もあった。
だがオレは止まらなかった。
ただテイルレッドに会いたいという気持ちがオレを後押しした。
結果、オレは自身が生まれた時代よりも遥か過去であるツインテイルズが活躍する時代にタイムスリップに成功した。
「お、おれは……レイジ、レイジ・レオン=ザード。よ、よろしく……」
「ああよろしく。俺は観束総二。君、ツインテールは好き?」
「う、うん……」
タイムスリップしたオレは観束総二たちの通う陽月学園へと転入、憧れの存在である総二たちと友好的な関係を結ぶことに成功した。
そして始まるアルティメギルとの戦い。
オレは持ち前の天才的な頭脳と頭の中に記憶した「俺、ツインテールになります。」の知識を生かして総二たちのサポートに回り共にアルティメギルと戦った。
元居た時代では決して味わえない充実した毎日。
その毎日がオレにとってはかけがえなく、輝いた物だった。
そして時は流れ、最終決戦となるアルティメギル首領との全ツインテールをかけた最後の戦いが始まった。
本でみた内容以上に胸を熱くするドラマさながらの熱い展開の嵐。
皆が固唾を呑んで見守る中、ゴールドチェインへと覚醒を果たし、アルティメギル首領を圧倒するテイルレッドの雄姿はそれはもう言葉で表す事が不可能なレベルだった。
遂に勝利したテイルレッド。
皆の瞼にツインテールが刻まれたその時、オレはとある想いを抱いていた。
オレもテイルレッドになりたい。
それは純粋且つ誰もが一度は思い描く英雄になりたいという願望。
総二たちの戦いを見ていくにつれオレはオレもテイルレッドになりたいという気持ちが芽生えて来ており、それの想いは最終決戦の金色に輝くテイルレッドを見た事で爆発した。
そしてある日、オレは持てる技術を全て使いアナザーテイルレッドへの変身を行うテイルブレスを完成させた。
「一緒に戦おうアナザーレッド!!」
「ああ!! いくぜ総二!!」
アルティメギル無き後に押し寄せるエレメリアン共の前に並び立つ二人の赤。
オレは念願の一つであったテイルレッドと共に肩を並べて戦うという事を実現させた。
より充実した毎日を送る日々。
だが欲望は加減を知らない。オレはいつしかアナザーではない本物のテイルレッドになりたいと思いようになっていた。
だが、それをするには総二の持つ究極のツインテールを奪わねばならない。
生まれて初めて出来た唯一無二の親友である総二のツインテール属性を奪う事が出来なかったオレはその想いに蓋をしながらどこか満たされぬ毎日を過ごしていった。
そんな中だった。
「おめでとうございます総二様! 元気な女の子ですよ!!」
ある日、総二と愛香、二人の下に子供が生まれた。
オレは驚いた。
何故ならオレが読んだ「俺、ツインテールになります。」には総二と結婚する者が一体誰なのかについては書かれていなかったからだ。
果たしてそれが本来の歴史通りなのか、はたまたオレというイレギュラーによって改変された影響なのかはわからない。
だがハッキリしていた事が一つあった。
生まれてきた娘が観束双愛ではなく観束総愛だったという事だ。
観束総愛。
それは本来の歴史で生まれる筈の観束双愛とは似て非なる別人。間違いなくオレというイレギュラーが介入した事で生まれた双愛のもう一つの可能性。
オレはそれを知った時、ふと思った。
総愛ならばオレの求める究極のツインテールを受け継いでいるのでないかと。
本来の歴史で生まれる筈の双愛は変身こそ出来るもののお世辞にもツインテール属性が強いとはいえず、テイルレッドの後継者としては不十分もいい所だったと記録されている。
だが、オレというイレギュラーによって生まれてきた総愛は違うのでないか?
オレは生まれて間もないの総愛の属性力を計測した。
するとその数値は予想以上だった。
総愛の潜在的に持っているツインテール属性は赤ん坊とはとても思えない素晴らしい物だったんだ。
このままちゃんと育てばオレの求める究極のツインテールに匹敵、あるいは凌駕するほどのツインテール属性になる。
そう確信したオレは「俺、ツインテールになります。」の知識を生かして総愛が本来の歴史の双愛のようにならないように尽力した。
そうした結果、総愛はオレの求める究極のツインテールに匹敵する強大なツインテール属性を育むに至った。
テイルレッドの後継者ではなく、新しい赤紫のツインテイルズとして戦い始めた総愛。
オレは来たるべき日の為、総愛のテイルブレスにオレの意思で変身が出来なくなる装置と万が一の為にテイルドライバーを仕込み、その日を待った。
そしてその日はやってきた。
総二たちオリジナルのツインテイルズが元の世界をオレと総愛に任せて長い旅に出たんだ。
その来たるべき日、オレは総愛を誘き出すべくアナザーテイルレッドに変身して破壊の限りを尽くした。
そしてまんまとやって来る総愛。
オレは総愛のテイルブレスに仕込んだ装置を起動させ、無力化を図り、全てが上手くいく筈だった。
「いただくぜぇ!! 究極のツインテールぅ……ッ!?」
変身を解除され無防備になった総愛など赤子の手をひねるよりも簡単な作業だとそう思って油断したのが不味かった。
突如、総愛の体を光が包み込み、その頭上に平行世界を移動する際に用いるゲートが開きやがった。
何故、そんな現象が起きたのかは未だにわからない。
だがハッキリしているのはオレと総愛はそのゲートに吸い込まれそれぞれが別々の世界に飛ばされてしまったという事だ。
「これは一体……?」
目を覚ましたオレは奇妙な現象を目の当たりした。
なんとオレが飛ばされた世界はオレというイレギュラーが介入しなかった本来の歴史を辿るツインテイルズの世界だったのだ。
最初、タイムスリップでもしたのかとさえも思ったこの奇妙な光景。
だがオレは調べていくうちにある仮説を立てた。
もしも本来の歴史を辿る筈だったAの世界線があったとして、オレというイレギュラーの介入した場合、新しくAの世界線とは別にBの世界線が生まれたのではないかという事。そしてその世界線にはそれぞれ似て非なる別の異世界や人間、エレメリアンが存在しているのではないかという事。
元から属性力やエレメリアンと言った物が存在しない場合やエレメリアンの代わりとなる別の怪物が平行世界間に存在しうる可能性。つまりオレたちが認知している平行世界の上位存在である平行次元が存在するのならこの現象も納得できる。
現にオレの持つ平行世界を超えても反応するレーダーにはオレの知っている総二たちのツインテール反応は確認できず、逆に総愛の持つツインテール反応は検知できる。これはつまり、この次元にはオレの知っている総二たちは存在しないが総愛の奴はいると言う事だ。
「フッ、まさか異世界ではなく、別の平行次元に飛ばされてしまうなんてなぁ」
結局のところ、何故こうなったのかわからない。
だけど、これはチャンスでもあるとオレは理解した。
何故なら平行世界間の移動技術は存在するが、平行次元への移動技術は未だに存在していないからだ。
そしてオレは決意した。
この次元の何処かの異世界に飛ばされた総愛を見つけ出し、そのツインテール属性を奪って全ての平行世界及び平行次元のツインテールを支配し、オレこそが新しきテイルレッドへとなって見せると。
「待ってろよ!! 観束総愛!! 究極のツインテールぅ!!」
◇
「な、何だって……!?」
「平行次元ですって……!?」
アナザーテイルレッドことレイジの口から放たれたその言葉はとてもじゃないがどう理解すればいいのかわからない事だった。
平行世界の上位概念のである平行次元。
そんな事が存在するはずもないと言うのは簡単だが、ティアナと双愛の関係性など考えるととてもじゃないが否定しきることが出来ない。
「ま、わかりやすく例えるなら、平行世界ってのが国で平行次元ってのが星って感じだ」
つまり俺たちやエレメリアンは国と国との移動は出来ても、星と星との移動は本来は出来なくて、ティアナやレイジは特殊な現象に巻き込まれたからここにいるという事なのか?
駄目だ。考えれば考える程ややこしくて頭がパニックになる。
一体、どう説明されれば理解することが出来るのだろう。
「ま、兎に角、これでわかったろう? お前という存在が何なのか」
「私という存在……」
「いいか? お前はオレというイレギュラーによって生まれた、本来生まれる筈じゃなかった存在なんだよ」
ティアナに対し、冷たく告げるアナザーテイルレッド。
当初のティアナは俺と同じで理解が追いついていないといった風の表情ではあったのだが、本来生まれる筈ではないとの言葉を聞いてその表情に曇りが見える。
「にしてもまさかあの時の衝撃でお前の記憶が飛んでしまうなんてな。おかげで説明するのも面倒だったぜ」
そういや、何故ティアナが記憶を失ったのか語られなかったが、話の内容を考えるとティアナが平行次元を渡った際にショックで記憶が飛んだのだろうと結論付けれる。
もしかしたらもっと何か重大な秘密でもあるんじゃないかと思っていた俺にとっては意外な結果ではある。
「さぁて、そろそろ遊びの時間は終わりだ。今度こそ頂くぜお前のツインテール!!」
「「ッ!?」」
溢れ出る殺気をみて身構える俺たち。
だけど心なしかティアナから覇気を感じない。
もしかしてさっきコイツに言われた事が響いているんじゃ……
「いくぜぇ!!」
「くッ!?」
ブレイザーブレイドを叩きつけんと飛び掛かろうとするアナザーテイルレッド。
俺は迎撃に回ろうとするもやはり体があまり言う事を聞かない。
間違いなくこの感じはティアナの動揺が響いているに違いない。
(くっそ……万事休すか……)
心の中でそう思ったその時だった。
「テイルオン!!」
突如、どこからともなく聞こえて来た
一体、何処の誰がかと思ったのも束の間。
白銀のツインテールをなびかせる影が光速とも間違えそうになる程の圧倒的な速度で俺とアナザーテイルレッドの間に割り込み、飛び掛かるアナザーテイルレッドのブレイザーブレイドを受け止めて見せた。
「何ッ!? お前は!?」
例えるならそれは白銀の女神。
後ろ姿を見ただけでも理解できる圧倒的な強者の風格。
それを見たティアナの表情がハッとした物に変わった。
「トゥアール……ママ……」
わかりましたでしょうか。
一応、次回は今回ラストに登場した彼女にもう少し詳しく説明してもらう予定なのでご容赦ください。
キャラクター紹介21
レイジ・レオン=ザード
性別:男
年齢:37歳
誕生日:不明
身長:186cm
体重:76kg
アナザーテイルレッドの変身者且つテイルドライバーの作成者。
究極のツインテールを手に入れ全平行次元のツインテールを支配するのが目的。
正体は正史の遥か未来からやってきたタイムトラベラー。