俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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第109話 極限のツインテール

 暗い闇の中、俺の新しき姿が露わになる。

 まず目に入るのは俺の青紫でもティアナの赤紫でもない紫のツインテール。それは高貴さと神秘さを兼ね備えた至高の逸品であり、今まで結んできたツインテールとはまさに格が違う事を証明するかの如く、煌めいている。

 そして、その次に目に入るのは髪と同様に鮮やかに染まった各種装甲の数々。

 腕、胸、肩、腰、それら全てを覆う新しき装甲は今までのスマートさを感じさせる物とは違うたくましい重装甲であり、一目で強くなったのだとわかる。

 

「これが……俺のツインテール……!!」

 

 ティアナと真の意味で一つとなる二重変身がもたらした恩恵は想像を遥かに超えていたと言わざるを得ない。

 全身から溢れ出る強大な属性力。それらが全てを物語ると同時に俺は初めて自分の意思でテイルバイオレットへと変身した時の感動を思い出した。

 

(俺のじゃなくて、私たちのツインテールでしょ?)

 

 感動に浸る俺の頭に突如として響く声。

 それは俺の最愛の人にして最高の相棒(パートナー)の物だ。

 

「ティアナ!? お前、一体何処にいんだよ!?」

 

(何処にって……あなた、私と融合したでしょ? もう忘れたの?)

 

 そう言えばそうだったなと思い出す。

 今の俺は新しくなったテイルドライバーによってティアナと融合した新しきテイルバイオレット。

 つまり、今の俺の身体は俺だけのものではなく、ティアナと共有している状態なんだ。

 身体の主導権こそ俺になっているが故にすっかり忘れていたぜ。

 

(もう、しっかりしなさいよ……)

 

「悪ぃ悪ぃ、こんなの初めてなもんでよ」

 

 自分の身体の中にもう一人の人格が同居するのなんてすげぇ新鮮な気分だ。

 まるでテイルバイオレットというロボットを俺とティアナの二人で操縦している気分になるぜ。

 

「けッ、ごちゃごちゃと……」

 

 俺たち二人が意識内でわちゃわちゃしているのを忌々しそうに見つめるアナザーテイルレッドが遂に動き出した。

 今までずっと足止めに徹してくれていたテイルホワイトを弾き飛ばし、俺たちへとそのターゲットを定め直す。

 

「いくら姿(ツインテール)を変えようが……今更……!!」

 

 アナザーテイルレッドはブレイザーブレイドを構えて高速接近。

 俺たちのツインテールを奪うべくその刃を大きく振り下ろさんとする。

 

「このオレのツインテールには及ばねぇ!! オレこそが究極のツインテールの継承者!! テイルレッド様だ!!」

 

 獣のように荒々しいアナザーテイルレッドの一撃。

 今までのテイルバイオレットならなすすべなくやられていたであろう攻撃だが、今の俺たちはあの時の俺ではない。

 

「効くかってんだよ!!」

 

「何ッ!?」

 

 振り下ろされたブレイザーブレイドを俺はいとも簡単に腕で受け止めてみせる。

 全く持ってビクともしない余りの力の差に流石のアナザーテイルレッドも驚愕せざる得ない。

 俺はブレイザーブレイドを弾くと同時に拳を強く握りしめる。

 

「てめぇみたいな下種が……!! その名を名乗るんじゃねぇッ!!!!」

 

「ぐぼぁッ!!」

 

 叩き込んだ渾身の一発はアナザーテイルレッドの腹部に吸い込まれるかのように命中(ヒット)し、アナザーテイルレッドはあまりの威力に苦悶の声を漏らす。

 俺は手を軽くスナップした後、体勢が崩れたアナザーテイルレッド怒涛のラッシュを叩きこむ。

 それは今まで味わってきた恨みと怒りの連撃。

 俺を殺し皆を襲いティアナを絶望へ陥れた事、トゥアールさんたちかつての仲間を平然と裏切った事、罪もない人々を巻き込み多くの人を悲しませた事。

 コイツの悪行は腐るほど存在している。

 もはや罪の数を数える事など出来やしないだろう。

 だがそれよりも……

 

「ツインテールを……ティアナを……俺の大好きを泣かせてんじゃねぇ!!」

 

「どぐばぁッ!!」

 

 今の俺が何よりも許せない事、それはコイツがツインテールを泣かせるような行動を取り続けた事その物についてだ。

 大事な物を奪われる悲しみを知っている癖にどうしてそんな真似が出来る。

 俺渾身の右ストレートがアナザーテイルレッドの頬を抉り、目にも止まらぬ速度で吹き飛んでいった。

 

「ちったぁ、頭を冷やしなこのクソカス野郎」

 

 吹き飛んだアナザーテイルレッドを見て俺はそう吐き捨てる。

 正直、あの野郎に対する怒りはまだまだこんなものじゃない。

 自分で言うのもアレだが、俺は結構執念深い質なんだ。

 

(ありがと和輝、スカッとしたわ)

 

 そいつはどうも。ま、まだまだ終わりじゃねぇけどな。

 頭の中でティアナとそう会話するが、やはりと言うか何か変な気分である事には変わりない。

 誰かと融合するってハッキリ言って結構何とも言えないもんだぜ。

 

「調子に乗るもいい加減にするんだなぁ……!!」

 

 性懲りもなく起き上がったアナザーテイルレッドがそう口にするなり、野郎の周囲にいくつもの刃が展開される。

 あれは俺やトゥアールさんを苦しめた全方位斬撃装備(サテライトソード)、ブレイザーセイバー。

 いくら最強の姿となっていようが一度苦しめられた記憶は拭えやしない。

 俺は思わず後退る。

 

「行けぇ!! セイバー!!!!」

 

 大量のブレイザーセイバーが俺目掛けて一斉に射出。

 赤黒い軌跡を描きながら飛翔するそれらの速度は光速にも迫る物であり、常人では視覚する事など到底出来やしないだろう。

 だけど、ティアナと融合し最強の姿へと至った今の俺ならば……!!

 

「効くかよ!!」

 

「なんだとぉ!?」

 

 圧倒的スピードで迫るそれらに対し、俺は強化された身体能力をフルに使う事で防御してみせる。

 右に、左に、時に宙返りや側転を交えつつ避けながら時に防ぐそのアクロバティックな様はまるでアクション映画でよくあるスローモーション映像かのような美しさだ。

 

「チィッ!! クソガキ風情が!!」

 

 怒りのままに突貫してくるアナザーテイルレッド。

 恐らく、奴の狙いはブレイザーセイバーとの波状攻撃。

 

「やっぱそうなるよな、どうするティアナ!!」

 

 いくら今の俺がティアナと融合した最強の姿であろうとも所詮、俺はただの高校生である事には変わりない。テイルホワイト程の圧倒的な経験値が存在しない俺では限界というのもまた早い。

 ブレイザーセイバーを防ぐ事に意識を割きすぎている今の俺ではアナザーテイルレッドの波状攻撃までは防げやしないんだ。

 

「どうやら終わりみてぇだなぁ!! 坊主!!」

 

「クッソ……!!」

 

 ブレイザーセイバーを受け止めた際に生まれる僅かな隙をつくように振るわれるブレイザーブレイドの一振り。

 わかってても防げないその一撃は先程効かなかったそれとは訳が違う。

 きっと当たればいくらこの姿でも大ダメージは免れないだろう。

 己の実力不足に悔しむそんな時、俺の頭に声が響く。

 

(ここは私に任せて!!)

 

 その瞬間、体のコントロール権が俺から私に移り変わる。

 四方八方から飛んでくるブレイザーセイバーからツインテール属性を感じ取った私はそれらがどんな方向からどんなスピードでどんな連携で飛んでくるのかを即座に看破する。

 

「何ッ!? 動きが変わった!?」

 

 必要最低限の動きでブレイザーセイバーを回避した私は振り下ろされたブレイザーブレイドまでも華麗に回避してみせた。

 突然動きが変わった事に驚くアナザーテイルレッド目掛けて私はお母さん直伝の投げを見舞う。

 

「やぁッ!!」

 

「ぬぅ……!!」

 

 腕を掴まれ豪快に投げ飛ばされたアナザーテイルレッドは空中にて何とか姿勢を制御してその体制を整えた。

 私はなおも襲い掛かってくるブレイザーセイバーを軒並み撃ち落とした後、その姿を捉えて次の攻撃に備えて構える。

 

「てめぇ……坊主じゃねぇな?」

 

「ええ、それがどうしたの?」

 

 ご名答。今のテイルバイオレットをコントロール権は和輝ではなく、この私、ティアナこと観束総愛よ。

 久しぶりの戦闘に少し懐かしさを感じつつも私は一瞬たりとも気を抜かない。

 和輝を……ツインテールを守る為に私は戦うんだから。

 

(って何断りなく急に俺の身体使ってんだよ!!)

 

 頭の中で和輝の声が木霊する。

 私としてはあのままじゃやられていたから仕方なくああしたと言うのに和輝ったら随分とご立腹みたい。

 まぁ確かにいきなりコントロール権を奪ったのは悪かったけど……

 

 そう申し訳なくなったその瞬間だった。

 私の意識でなく、再び俺の意識が表に現れる。

 

「だぁッ!! 戻って来たぜ!!」

 

 身体のコントロール権を取り戻した俺は喜びの声を上げる。

 数秒とは言え、思い通りに身体が動かせなかったのは凄くもどかしかったぜ。

 

(ちょっと!! 勝手に出てこないでよ!! 折角、久しぶりの戦いだったのに!!)

 

「うるせぇ!! テイルバイオレットは俺だろうが!!」

 

(何よそれ!! ちょっとは私の気持ちも考えなさいよ!!)

 

「知るk――」

 

 そこまで言い切った時、再び俺の意識は暗転し、私の意識が蘇る。

 

「ふーんだ。和輝がそうするなら私だってこうさせてもらいますよーだ」

 

(こんのぉ、返しやがれ!!)

 

「返すもなにもこの身体h――よっしゃぁ!! 復活!!」

 

 話している際中で悪いがやっぱしここは主役である俺の出番だ。

 強引に主導権を奪い返した俺に対してティアナの怒りが爆発する。

 

(もう、あったまきた!! だったらこっちも強引に行くわよ!!)

 

「ああそうかい、だったr――こうさせt――やってm――もらうわy――ろってんd――」

 

 身体の主導権を奪い合う俺と私。

 一見すると一人で漫才でもやっているのかと錯覚してしまうその姿はさっきまでのカッコいい姿とは随分とかけ離れている(ぜ)。

 

「なんだなんだぁ? 何だってんだぁ?」

 

 これには流石のアナザーテイルレッドも困惑せざる得ない様子。

 まぁ、当然だ(よね)。だって目の前の相手が急に頭の中で喧嘩し始めているんだぜ(もの)。

 

「まぁいい、だったら夫婦仲良くあの世に行きなぁ!!」

 

 遂に動き出すアナザーテイルレッド。

 なおも言い争いを続ける俺と私に向かってもうスピードで突っ込んでくる。

 その瞬間、俺と私の意識は覚醒する。

 

「誰が夫婦だ(よ)!!」

 

 完璧にシンクロしたその拳は見事アナザーテイルレッドへクリーンヒット。

 アナザーテイルレッドは勢いよく吹き飛んだ。

 

 

 

 

「全く……何をしているんですか……」

 

 役目を果たし終えて倒れ伏していたテイルホワイト。

 今現在、彼女は和輝とティアナ、二人が融合し変身した最強のテイルバイオレットを見守っており、些細な事から喧嘩に発展したその姿にため息をついていた。

 

「こんの貧乳ツインテール!! ちっとは女の子らしくしろよ!! 誰が貧乳よ!! 今はちゃんと胸がありますよーだ!! 俺と融合したおかげだろうが!! そんな事ないわよ!! あるわバカタレ!!」

 

 人格を一々切り替えながら一人で喧嘩するテイルバイオレットのその姿は傍から見れば意味不明で滑稽だ。

 テイルホワイトは思わず笑みをこぼす。

 

「にしても遂になったんですね……」

 

 ツインテールにしか興味を示さなかったあの娘が。

 かつての私と同じような境遇になってしまったあの娘が。

 今、遂にその願いを叶えて想い人と運命を共にしている。

 それがどんな形であれ、テイルホワイトことトゥアールは猛烈に嬉しいのだ。

 

「ッ……!! 涙が……」

 

 テイルホワイトの頬を伝う一筋の涙。

 思い返すと、かつて総二がティラノギルディに一度ツインテール属性を奪われてから復活してアルティメットチェインへと覚醒を果たした際、総二の母である観束未春はその晴れ姿に涙を流していた。

 あの時、トゥアールは未春の気持ちを完全に理解しきる事が出来なかったが、この場においてはこれこそが娘を見守る母としての感動なのだと理解する。

 

「総二様、愛香さん……あの娘は今、最高にツインテールですよ」

 

 テイルバイオレットを見守るテイルホワイトの姿。

 それは紛れもなく、一人の娘の晴れ姿を喜ぶ一人の母親としての姿であった。

 

 

 

 

「大体お前はなぁ……!! 和輝だって……!!」

 

 戦闘中である事も忘れて喧嘩を続ける俺たち(私たち)。

 最早、どっちが悪いとかの話ではないが故に引くに引けなくなっている。

 全く、どうすればいいんだよ(いいのよ)……。

 

「てめぇら……ふざけるのも大概にしろぉッ……!!」

 

「ッ……!?」

 

 かつてない強烈な殺気が俺と私の意識を現実へと呼び戻す。

 そうだ……。今は争っている状況じゃねぇ。

 一先ず、身体の主導権は実戦経験の多い俺に譲ると言う事で話を付けた俺たちはアナザーテイルレッドへと向きなおる。

 そこには目を血走らせ、怒り心頭といった感じのアナザーテイルレッドが立っていた。

 

「見せてやる……!! これがオレの最強の力……!! てめぇらもこれで終わりだぁ!!」

 

 アナザーテイルレッドはそう叫ぶや否や、黒いバレッタを召喚し手に取った。

 俺とティアナは直感する。

 色こそ違うがあれは間違いなくオリジナルのテイルレッドと同じプログレスバレッター。テイルレッドをライザーチェイン及びフォーラーチェインへと進化させるアイテムだ。

 アナザーテイルレッドは迷うことなくその黒いプログレスバレッターをフォースリヴォンへと合体させる。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」

 

 獣のような咆哮と共に黒い爆炎に包まれるアナザーテイルレッド。

 そして爆炎から現れたアナザーテイルレッドの姿は先程までとは打って変わって凶悪な物となっていた。

 上半身を覆う攻撃特化の強化装甲。

 下半身を覆う速度特化の強化装甲。

 上結びでも下結びでもないオーソドックスな中結びで使用したが為に本来ならば使い分けが必要な筈の力を同時に使用するその姿は正になりふり構わない暴走形態。

 

(あれはフォーライザーチェイン!!)

 

 ティアナ曰く、あの形態はツインテールに多大な負荷をかける危険な形態。

 総二さんはかつて唯乃さんとの戦いであの形態へと変身してしまい、その結果、取り返しのつかない状況になってしまう所だったと俺も聞いている。

 あの野郎、他者のツインテールだけじゃなく、自分自身のツインテールまでも泣かせるつもりかよ……!!

 

「ハッハー!! この感じだ……!! この他者を屈服させるこの感じ、最高だぁ!!」

 

 フォーライザーチェインへと進化したアナザーテイルレッドは高笑いを上げる。

 その姿からはとてもじゃないが暴走しているようには見えない。

 言葉通り、暴れ狂う自らのツインテールさえも力で屈服させているようだ。

 

(ツインテールが可哀想……)

 

 同感だぜティアナ。

 あんな乱暴で強引な結び方じゃツインテールが可哀想だ。

 

「気を付けてください!! 奴はその力を完全にコントロールしています!!」

 

 テイルホワイトからの忠告が聞こえてくる。

 どうやら俺の予想は当たっているようだな。

 俺は警戒心を強く高めて何を仕掛けてくるかを伺う。

 

「行くぜぇ!! テイルバイオレットォ!!」

 

 瞬間、野郎は凄まじい速度へと加速し、強化された拳を乱暴に叩きつけてくる。

 

「ぐッ……!!」

 

 この姿へと至ってから初めて漏らす苦悶の声。

 暴走形態ってのが伊達じゃないのがひしひしと伝わって来るぜ。

 

「おいおい、手も足もでないかぁ? ええ!!」

 

「こんのぉ……!!」

 

 奴が拳を振るう度に俺は吹き飛ばされながらアスファルトを砕き、余波で周囲のビルが崩れていく。

 陽がまだ昇っていない事もあり、周囲のビルには殆ど人がいないものの、被害は確実に増えている。

 慌ててビルから逃げ出す人と中に取り残されて悲鳴を上げる人。

 テイルギアによって強化された俺たちにはそれらがどんな苦しい思いをしているのかが痛い程伝わって来る。

 

「ウインドセイバー!!」

 

 たまらずウインドセイバーを手に取って応戦しようとするが、アナザーテイルレッドはそれを読んでいたかのようにブレイザーブレイドを二刀召喚すると今まで以上に激しく攻め立ててきやがった。

 崩れ始めるビルの残骸を空中で次々と乗り換えながら俺とアナザーテイルレッドの攻防は激しさを一層強めていく。

 

「クッソ……タレがぁ!!」

 

 型も何もない俺の雑で無茶苦茶な剣捌きではアナザーテイルレッドの一見乱暴そうだが実は計算された剣と渡り合うことなど到底出来やしない。 

 スペック差が埋まった以上、ものを言うのは単純な戦闘センス。

 一太刀、また一太刀と着実に追い詰められていく。

 

「さっきの威勢はどうしたよぉ? ほらほらぁ!!」

 

「野郎……!!」

 

「ガラ空きだァ!!」

 

 二刀のブレイザーブレイドを受け止めるのに必死になっていたが為にガラ空きとなってしまっていた俺の脇腹へとアナザーテイルレッドの鋭い蹴りが突き刺さる。

 これにはたまらず俺と、俺と一体化しているティアナも苦痛で顔を歪める。

 

「そらッ!! 堕ちな!!」

 

「うぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

(きゃあああああッ!!)

 

 遂に地面に叩き落された俺たち。

 何とか着地した後、立ち上がった俺たちは無事であった事に安堵しつつも、その表情は余りいい物とは言えない。

 

「見たかぁ? これがオレのツインテールだ。オレ以外を全てを破壊し最後に残る究極の輝き。これこそが究極のツインテールの辿り着くあるべき姿だ」

 

「どこがだ……!!」

 

 何が究極の輝きだ。

 自分以外を全て滅ぼして結果的に辿り着いた唯一の輝きなどクソもいい所だぜ。

 絶えず攻撃を仕掛けてくるアナザーテイルレッドを対処すべく俺は応戦を開始。

 アナザーテイルレッドはそんな状況下で口を開く。

 

「言っておくが、オレの言った事は本当だぜ。究極のツインテールは最終的に全てを滅ぼす禁忌の力。いずれお前たちもその力を抑えきれなくなり、破滅するんだよぉ!!」

 

(ッ……!!)

 

 一体化している影響か、ティアナの動揺が即座に伝わって来る。

 自分自身が持つ力の恐怖。

 ツインテールが好きだからこそ得た力が原因でツインテールを滅ぼしてしまうという残酷な事実。究極のツインテールは周り全てをツインテールへと変え、そして滅ぼす禁忌の力。

 この力とこの力に対する恐怖を乗り越えなければ俺たちに勝ち目はない。

 ならばやる事は一つだぜ。

 

「おい、ティアナ……!!」

 

(何よ和輝……!!)

 

「お前の力はそんなもんかよ……!! お前のツインテールへの愛はこんなもんじゃねぇだろうが!!」

 

 アナザーテイルレッドの蹴りが俺を襲う。

 俺はそれをなんとか捌きながらもティアナへの意識を集中させる。

 

(和輝!! あなたまさかとは思うけど、私にもっと属性力を解放しろって言うの!?)

 

「そのまさかだよ!!」

 

 お返しとばかりにハイキックを見舞うがアナザーテイルレッドには何の効果もなく、簡単に弾かれてしまう。

 

(でも、そんなことしたら一体化している和輝が……!! それに私だってどうなっちゃうかわからないし……)

 

 アナザーテイルレッドの拳が俺の頬を掠る。

 掠っただけとはいえその威力は俺の口から血を垂らさせる。

 だが、俺はティアナへ訴え続ける。

 

「うっせぇよ。俺なら大丈夫だ……!! それに……以前にも言ったろうが……お前がもし暴走して見境なくツインテールを求めだしても俺が止めてやるって。だから……俺を信じろ!!」

 

(和輝……!!)

 

 ブレイザーブレイドが装甲を切り裂きアナザーテイルレッドの高笑いが響き渡るそんな中、俺はティアナへ語り掛ける。

 

「それによ、この力は究極のツインテールなんかじゃねぇ。これは俺とお前が辿り着いた究極とは違う新しい力、名付けて極限のツインテール、エクストリームチェインだ。どうだ? 結構イカす名前だろ?」

 

(ふふっ、何よそれ。ただの屁理屈じゃない)

 

 そうだ。これはただの屁理屈みたいなもんだ。

 だが、ティアナを縛る最後の鎖は解き放たれる。

 

「おらぁッ!!」

 

 さらに湧き上がる圧倒的な力。

 今まで受けてきたダメージが一気に癒えていくようなこの感覚。

 俺は反撃とばかりにアナザーテイルレッドを十八番であるヤクザキックで蹴り飛ばす。

 

「なッ!?」

 

「さぁて、行くぜ!! ええ、行くわよ!!」

 

 ティアナとの意識が完全にシンクロしたその瞬間、俺たちの身にさらなる変化が訪れる。

 全身を覆う重装甲が次々と展開し始め、腕や肩、胸と言った一部の装甲が続々とパージされていき、その下に隠されていたもう一つの装甲が姿を現す。

 拘束具を破るかのように更なる変化を遂げたその姿。

 もう俺たちを縛る物は何もないその姿こそが真の最強形態。

 

 

 

 

 

 

「「これが!! 俺と私のツインテール!! エクストリームチェインバーストだぁぁぁッ!!」」

 

 

 

 

 

 

 その瞬間、遂に夜明けが訪れる。

 夜明けを告げる朝焼けが優しく周囲を照らし始めると同時に完成したその姿。

 紫と銀に彩られたそれは、重装甲でたくましいさっきまでのエクストリームチェインとは違う本来のテイルバイオレットに近いスリム且つスマートな見た目であり、カッコよさ以上に神秘的な美しいオーラを感じさせる。

 トレードマークである紫のツインテールは煌びやかな光の粒子を纏っているからのように輝いており、その輝きは昇り始めたあの太陽の光より眩い。

 湧き上がるツインテールへの情熱、想い。

 ティアナと……和輝と……完全融合したからこそ知れた俺と私の境地。

 これこそが真のエクストリームチェイン。

 俺と私、二つのツインテールが完璧に調和した極限の姿だ。

 

「二段変身だとぉ……!!」

 

「「行くぞ。アナザーテイルレッド!!」」

 

 俺と私の意識が完全に融合している事を表すかの如く二重に響く声。

 もうさっきまでの常識は通用しない。

 ここからは俺と私のターンだ。

 

「「はぁッ!!」」

 

 放たれたその拳はツインテールの軌跡を描きながらアナザーテイルレッドの拳を打ち砕く。

 それはいくらフォーライザーチェインへと進化したアナザーテイルレッドであろうとも防ぎようのない一撃。

 俺と私が動く度に周囲には光輝く粒子が飛び散り、辺り一面を煌びやかに照らしていく。

 

「あれは……ツインテリウム!!」

 

 その様子を見ていたテイルホワイトが驚きの声を上げる。

 どうやらこの粒子はツインテリウムと言うらしい。

 

「何だとぉ……!!」

 

 フォーライザーチェインのスペックに物を言わせた乱暴な攻撃。

 だが完全融合した俺と私にはそんな物は通じない。

 どんな高速の拳であろうとツインテール属性を力に変えている以上、捉えられぬ事などない。

 

「んなバカな……!! この姿までもやられるってのか!? 有り得ねぇ!! 有り得てたまるかぁ!!」

 

 ヤケクソ気味で振るわれる二刀のブレイザーブレイド。

 ライザーチェインのパワーとフォーラーチェインのスピードを合わせた強力な攻撃だが、今の俺と私はこの程度ではやられやしない。

 ツインテールの僅かな動きからその全てを見切った俺と私は達人の如き動きでそれを捌き、生じた隙を的確に拳で打ち抜いていく。

 

「ッ……!! 何故こんな力が!! ただのガキの癖に!!」

 

「「ガキとか大人とかそんな事関係ない!! ツインテールがただ好きで、愛する人のツインテールを守りたい!! ただそれだけだ!!」」

 

 俺の想いと私の想い。

 極限まで高まったこの力は生きて来た年月をも超越する。

 だから絶対に……!! 負けやしない!!

 

「ふざけるんじゃねぇ!! オレが一体、どんな想いでどれだけの時間を使ってこの計画を進めてきたと思ってやがる!! オレこそが……!! オレこそがテイルレッドだぁぁぁぁぁ!!! オレ以外のツインテールは必要ねぇぇぇ!! オレだけがツインテールを愛せればいいんだよぉぉぉぉッ!!!」

 

「「違う!! ツインテールは一人だけの物じゃない!! ツインテールは誰かが可愛いと言ってくれる相手がいる事でその輝きは極限へと高まっていく!! それがわからない、一人ぼっちなお前じゃテイルレッドになどなれやしない!!」」

 

 ツインテールの軌跡を描く光速の蹴りがアナザーテイルレッドを吹き飛ばす。

 さぁ、決着の時だ。

 

完全開放(ブレイクレリーズ)ぅぅぅ!!!」

 

 二刀のブレイザーブレイドの刀身が割れて禍々しく変化する。

 それはアナザーテイルレッドの心を具現化したツインテール。

 邪悪を打ち払うべく俺と私は最強の武器を召喚する。

 

「「こい!! ツインテール!!!」」

 

 昇りゆく太陽から飛翔するそれは大と小、二つのツインテール。

 赤紫と青紫の二つのツインテール型の武器は空中にて合体(ドッキング)を果たし、巨大な大砲型の武器へと姿を変える。

 

「「テイルバスター!! バスターキャノンモード!!」」

 

 名づけてテイルバスター。

 愛する全てを守る俺と私の極限の武装だ。

 

「「完全開放(ブレイクレリーズ)!!」」

 

 全身のありとあらゆる装甲が光輝き、高まりに高まったツインテール属性が溢れだすと同時に、背中に搭載されている翼状の装甲が展開され、ツインテリウムで形成された光の翼が出現。

 ツインテールをはためかせる紫銀の戦士が邪悪を討たんとその力を解き放つ。

 

「「いっけぇぇぇぇぇぇぇッ!!!」」

 

「ッ!?」

 

 邪悪を払うツインテリウムの奔流、エクストームブラスト。

 それはアナザーテイルレッドの放つ斬撃波をかき消しながら突き進む。

 そして、それはアナザーテイルレッドを飲み込んだ。

 

「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!」

 

 その断末魔を残し凄まじい爆発が巻き起こる。

 今、アナザーテイルレッドの邪悪なる野望は、俺と私、二人で一つのツインテールによって滅ぼされたのだった。




装甲がパージされて真の姿が現れるのが好きすぎてこうなりました。
二段変身っていいですよね。
後、アナザーテイルレッドについて皆さんはどう思いますか?



キャラクター紹介22

 テイルバイオレット(エクストリームチェイン)
 身長:160cm
 体重:70kg(バースト時は48kg)
 B80・W56・H80
 武器:風の刀ウインドセイバー、極限双房銃テイルバスター
 必殺技:エクストームブラスト、他

 真の奇跡によって生まれたテイルドライバーⅡによって和輝とティアナが融合し変身したテイルバイオレットの極限進化形態。
 互いの意識を入れ替えながら戦う事が可能であり、そのツインテール属性の強さは二人の合計値となる。
 また、和輝とティアナ二人の心が完全にシンクロした時、アーマーをパージしたバースト状態へと移行し、そのツインテール属性の強さの合計は足し算でなく掛け算へと変化し、一時的とは言えテイルレッドアルティメットチェインをも凌ぐほどである。
 一方、バースト状態は多用すると二人の融合状態を深刻化させてしまい、元の二人に戻れなくなる危険性が存在している。
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