俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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次回のエピソードに向けて原作を読み直していますがやはり原作は面白いですね。


第13話 二人で一つ

「……言い過ぎだし、余計なことし過ぎ」

 

「そうね青ちゃん、からかいすぎちゃったわね……反省しなくちゃ」

 

 ティアナと和輝が去った後の新聞部部室。室内は気まずい空気で溢れていた。

 青葉は相方である悠香を咎めていた。

 

「悠香先輩、なんであんなことしたんすか? 俺にもやってくださいよ、和輝にやったアレ」

 

 気まずい空気がなんのその。匠は悠香の行動理由を知ろうとするのと同時にアレなお願いも付け足してきた。

 これには青葉もため息をついて呆れてしまう。

 

「……君、空気読めない上に鈍感」

 

「へ?」

 

 匠のこういうところがモテない理由の一つであることにも本人は一向に気づかない。

 匠は思わず素っ頓狂な声をあげた。

 

 

 

 

 双神高等学校、旧校舎屋上。

 ティアナは一人、屋上のフェンス越しに夕暮れに染まっていく街を背に大きく深呼吸をしていた。

 数分前、ティアナは悠香と口論の最中に部屋を飛び出した。皆は悠香の「役に立っていないんじゃないの?」発言に傷ついたと思っているが、ティアナとしては別段、深く傷ついたわけではなかった。

 では何故、あの場で何も言わずに去ったのかというと自分の気持ちを整理するためであった。あの場で口論を続けていればティアナは自分自身感情に任せて何をするかわからなかった。あの一言を聞いて怒りが爆発し手がでそうになったと咄嗟に判断し、怒りを必死に押し殺した上で何も言わずその場を去ってしまったのだ。

 

「なんなのよ、この気持ちは……教えてよ、私のツインテール」

 

 深呼吸を終えてある程度落ち着きを取り戻したティアナは胸に巣くうこの気持ちが何なのかとテイルブレスに問う。

 当たり前ではあるが右腕のテイルブレスは何も答えない。夕日に照らされて紫の光を放つだけであった。

 

「ティアナ!!」

 

 屋上への入り口である扉は勢いよく開けられ、和輝が息を切らしながらやってきた。

 和輝を見ると先ほどまでの怒りに近い感情が再び爆発を起こす。

 

「……何しに来たのよ!!」

 

 ただの怒りとは違う、複雑な乙女心。

 ティアナはそれが何なのかはわからなかったが、ただただ己の衝動のままに叫んでいた。

 

 

 

 

 

 屋上にティアナがいることを見た訳でも誰かに聞いた訳でもなかった。

 俺は自分自身の直感を信じて階段を駆け上がり屋上へと急いだ。

 結果は大当たり、ティアナは屋上にいた。

 ティアナは傷ついて泣いていると思った俺は急いで駆け寄り声を掛けにいったのだが、ティアナは俺を見るなりさっきまでの怒りの感情をぶつけてきた。

 その態度に俺はおもわず声を荒げて言い返してしまう。

 

「何しにって……お前が勝手に飛び出すから、わざわざ追いかけてきたんじゃねえか!! 大体、最初に喰ってかかったのはお前だろ!!」

 

「あの女を庇うつもり!? 信じられない!! 胸がちょっと大きいからって……デレデレしちゃって!! 胸押し付けられてそんなに嬉しいの!?」」

 

「はぁ? それとこれとは関係ないだろ!! てか男が胸を押し付けられてデレデレして何が悪いんだよ!! ま、お前みたいな胸じゃ一生味わえねぇ感触だったぜ!!」

 

「もし、私の胸が大きくても和輝なんかに……和輝なんかに触らせてあげるもんですか!!」

 

「こっちから願い下げだ!! この貧乳!!」

 

「和輝のバカ!! 和輝の変態!!」

 

 売り言葉に買い言葉。もし泣いているのなら慰めてやろうかとやってきたものの、今の俺は完全に当初の目的を見失っていた。

 

「変態!!」

 

「貧乳!!」

 

 これの無限ループ。

 小学生でももう少しバリエーションのある悪口が言えそうなものなのだが、今の俺たちはこれ以外の悪口を思い浮かべることは出来ず、低次元な言いい争いを繰り返し続けていた。

 その様子はまるで初めて出会ったあの日のようであった。

 

「「はぁ、はぁ……」」

 

 もう随分と時間が経ち夕日も沈もうとしていた。

 大声で叫び続けたせいか、随分と疲れてしまった。ティアナも俺と同じで疲れたみたいだった。

 お互い何も言わずにフェンスに背中を預け、床に腰を下ろす。

 

「なんか懐かしいな……」

 

 これ以上黙っているのも気まずいだけなのでティアナに声をかける。

 もう怒りは収まっていた。

 

「懐かしい?」

 

 ティアナも俺と同じでさっきまでの勢いはなく、いつも通りも雰囲気で落ち着いていた。

 

「こんな低レベルな口喧嘩、随分とやってなかったからさ」

 

「確かにそうね」

 

 ここ二週間、エレメリアンが出ずっぱりで忙しかったこともあり、こんな風に口喧嘩をしたのがもう懐かしい。

 まだ一か月も経っていないが、初めて出会ったあの日が随分と懐かしく感じた。

 

「あの時は私はこの世界にやってきたばかりで焦っていたもの……」

 

 出会ったころのティアナは今と比べて凄くキツイ性格であった。今振り返ると元居た世界と別の異世界で記憶を失い、さらには残されていたすらも果たすことが出来なくなっているという焦っても仕方ない状況だ。

 

「そう思うと随分と落ち着いたよな」

 

「そうね、和輝や匠君、正樹さん、みんながいたおかげよ」

 

 そう言われると少し照れ臭い。

 

「別に何もしてねぇよ」

 

「何言ってるのよ、和輝は私の代わりにエレメリアンを沢山倒したじゃない」

 

 つい数分前に大声で喧嘩をしていたとは思えないほど穏やかな空気が周囲を漂っていた。

 こんな時間がいつまでも続けばいいのにとつい思ってしまう。

 

「ねえ、やっぱり私って傍からは役にたってないように見えるのかな」

 

 ティアナは俺を変身させる役目と戦闘中にツインテール属性を送ってテイルバイオレットを強化するという役目が存在している。変身するために必要という点は役に立つ立たない以前の話ではあるが、戦闘中のツインテール属性の供給という点は確かに傍から見たら役に立っているかどうかがわかりづらいだろう。

 どう答えていいものか悩んでしまう。

 

「別にそこまで気にしてるわけじゃないのよ」

 

 いや絶対、気にしてただろ。気にしてなかったらわざわざ言わねぇしな、普通。

 

「時々思ってしまうの。もし和輝が一人で変身できるようになってしまったら私なんかいらないじゃないかなって……」

 

 なるほどな。でもそれは違うと思う。寧ろ俺の方が……

 

「……それを言うなら俺だってマルコシアスギルディと戦った時思ったんだ。俺なんかじゃなくてもっとツインテールが好きなそれでこそ常識外れのツインテール馬鹿が戦うべきなんかじゃないかってさ」

 

 これは俺の本心だ。事実、あの時俺の心は折れかけており、匠の言葉がなければやられていた。

 俺が戦えているのはテイルドライバーとティアナから送られるツインテール属性のおかげだ。言ってしまえば別に俺じゃないといけない訳ではない。もっとツインテールが好きな人ならテイルバイオレットは今以上の強さでエレメリアンと戦えるだろう。

 

「和輝……」

 

「でもな、今はこうも思っているんだよ。ティアナと会えて、テイルバイオレットになれて良かったってな。おかげで俺はもっとツインテールが好きになれそうだ」

 

 ティアナと共に戦っていけば俺はもっとツインテールが好きになれる、もっとツインテールを知ることが出来るそんな気がする。

 これ以上、悲しむ人を見たくないのもそうだが、その好奇心のような何かが俺が戦う原動力にもなっているのもまた事実だ。

 

「ツインテールって髪の束が二つだからツインテールって言うんだろ? だったら俺たちも同じさ、ティアナが右の髪なら俺は左。俺たちは二人で一つのツインテールなんだよ」

 

「二人で一つの……」

 

 少し格好つけすぎたかもしれない。言ってしまった後ではなんだが少し恥ずかしくなってしまった。

 夕日に照らされながら俺を見つめるティアナの顔がとても美しく綺麗に見える。中でもティアナの赤紫のツインテールは別格の美しさだ。

 見惚れていたことに気づいて慌てて平静を装いながらさっき言った言葉の訂正を行う。

 

「べ、別にお前のことが好きって言ってる訳じゃないからな!! か、勘違いすんなよ!! これはな俺たちは二人共にちゃんとそれぞれの役割があるから役に立ってないほうなんていないって意味だからな!!」

 

 早くこんな時間が終わればいいのにと思った矢先、ここ最近聞き飽きたほど聞かされたエレメリアン出現を知らせるブザー音がティアナのポケットから聞こえてきた。

 状況が状況なだけあってこれほどまでエレメリアン出現を喜んだことはない。

 

「は、早く行くぞ」

 

 このまま喋り続けていたら自分自身何を言うかわからなかったのもあって、駆け足で屋上を後にした。

 

 

 

(どうしてだろう、和輝と喋っていると心が落ち着く)

 

 和輝が先に行ってしまい、一人取り残されたティアナは考える。この気持ちは一体なんだろう。

 もう和輝と悠香に対する怒りは全くといっていいほど存在していなかった。

 

「二人で一つのツインテール……か」

 

 一人呟くとティアナは駆け足で和輝の後を追った。

 

 

 

 

 ティアナとともに向かった場所は学校近辺に存在している眼科クリニック近くの大きな地下駐車場。

 壁際には様々な種類の自動車が駐車されていたが、戦闘において邪魔になりそうな数ではない。時間が時間なだけあって利用している人が少なくて助かった。

 ティアナをエレメリアンにバレないくらい離れた場所で待機させると、俺は変身を完了させてエレメリアンの目の前に降り立つ。 

 エレメリアンの近くの自動車内には診察帰りと思われる女性が運転席で横たわっていた。

 

「ようやく会えたな!! テイルバイオレット!!」

 

 俺を出迎えてくれたのはコウノトリにそのまま人間の両腕が生えた鳥人のようなエレメリアン。

 この雰囲気からして今回も面倒くさそうな臭いがプンプンしてくる。

 

「今回ばかりはでてきてくれて少しありがたかったぜ、感謝するよ」

 

「ほう、テイルバイオレットも俺を歓迎してくれるのか。だが残念だ、俺はお前を倒さねばならない」

 

 別に歓迎しているわけではないんだがな……あのままティアナと屋上にいたら何言うものかわからかったからいい感じにその場を離れる言い訳には丁度良かったって話だ。

 そんなことつゆ知らず目の前のエレメリアンは少し浮かれているようだった。

 鳥人のような怪物が無駄に渋いボイスで浮かれている様は中々に気持ち悪い。感謝して少し損した気分だよ……

 

『なにエレメリアンに感謝してんのよ』

 

 耳に聞こえてくるティアナの声からしてひどく呆れているようであった。

 事情がわかっていないティアナからしたら俺が急にエレメリアンに感謝するなんて確かに気味が悪いし呆れて当然だ。

 

「こっちの話だよ。さ、てと!!」

 

 変身し強化された脚力で一気に間合いを詰め、先ずは一発。先手必勝、勢いを乗せた拳がエレメリアンを襲うがエレメリアン側もしっかりとガードしており先制攻撃は失敗に終わる。

 

「……中々の拳。流石は多くの仲間を葬っただけはある。だが、俺にはお前を討つ自信しか存在していない!!」

 

 防いだものの勢いを殺しきれなかったので大きく後退するエレメリアン。

 手ごたえからしてコイツ……中々やる。それにこの言動、かなりの自信だ。

 

「歓迎してくれた礼だ!! 俺の名はシャックスギルディ!! 目隠れ属性(ヒドゥンアイ)を愛するアルティデビルの戦士だ!!」

 

 目隠ねぇ、だからここを狙ったのわけか。確かにここは目を怪我して眼帯をつけている人がいても不思議ではない。

 

「王道の前髪で隠れるのも良いが、眼帯や包帯で隠れているのもまた良し。そうは思わないか? テイルバイオレット」

 

 悪いが俺には全く魅力が伝わってこない。第一目が隠れていては日常生活に危険を伴う可能性がある。それに目は漫画などでキャラクターを書くのに最も大事なパーツとも聞く。

 考えれば考えるほど余計に目隠れのどこがいいのかがわからなかった。

 

「わからぬのならわからせてやるだけだ!!」

 

 そう言うとシャックスギルディは手のひらを俺にかざす。するとどうだ、シャックスギルディの手のひらに魔法陣が描かれその中から包帯が飛び出してきた。

 飛び出してきた包帯は凄まじい速さで俺に向かって放たれる。余りにも一瞬の出来事すぎて躱すことが叶わず、包帯は俺の目を覆うように巻き付いた。

 ティアナのテイルブレスからの音を拾う耳の小さな装甲を器用に避けて巻き付いた包帯は全く取れる気配がない。俺の視界は暗闇に覆われた。

 

「野郎!! 小賢しい真似しやがって!!」

 

 目が見えないのは戦闘においてかなり危険だ。

 声では強がってみるも内心はかなり焦っている。

 

「どうだテイルバイオレット!! これが目隠れの力だ!!」

 

 言葉と共にシャックスギルディからの攻撃と思われる衝撃が目の見えない俺の体を襲う。躱そうにも目が見えないこの状況ではどうすることも出来ず、次々に攻撃を貰っていった。

 

「もうおしまいか!!」

 

「……ッ!!」

 

 拳が、蹴りが、それら全てが俺の体に命中していく。一発一発の威力はバアルギルディやマルコシアスギルディらの攻撃と比べると大したことはない。しかし、どんなに弱くても何度も何度も繰り返し攻撃を行えばいずれ限界はやってくるもの。テイルギアを覆っている見えない膜、フォトンアブゾーバーは遂に限界を迎え始めたようで衝撃が直に伝わり始める。

 

「クッソたれ!! 一か八かだ!!」

 

 このままでは埒が明かない。未だ視界は見えないが何もせず攻撃を食らい続けるよりかは遥かに良い。俺は感覚を頼りにフォースリヴォンを触れてウインドセイバーを取り出す。

 音だけを頼りに周囲を斬りつけるも手ごたえはない。ウインドセイバーは虚しく空を切るだけであった。

 装甲が悲鳴を上げはじめる。もう限界が近い。

 

「どうすりゃいいんだよ!!」

 

「哀れだな、テイルバイオレット。せめてもの情けだ。次で終わりにしてやる」

 

 そしてシャックスギルディはとどめを刺すべく攻撃を行う。

 絶体絶命。もう終わりかと思ったその時、

 

「和輝!! 右斜め前、二時の方向よ!!」

 

 ティアナの声がテイルギアを通してではなく直に聞こえてきた。その声を頼りにカウンターで蹴りを放つ。

 シャックスギルディは大きく吹き飛んだことが足の感触からわかった。

 シャックスギルディのうめき声が聞こえると巻き付いていた包帯が剥がれて視界が開ける。久々の光ということもあって駐車場内の照明が眩しい。

 包帯が剥がれ目が見えるようになったと同時にある事実に気づいた。

 

「ティアナ……お前……!!」

 

 ティアナが待機している場所からは戦う様子は見えない筈、なのにティアナは正確に位置を伝えてきた。さらに声はテイルギアを通してはいない。ここから導き出される結論は一つしかなかった。

 ティアナは俺の隣にいた。

 

「和輝が苦しんでいるのに私は安全圏でずっと待機ってわけにはいかないわ。それに私たちは二人で一つのツインテールなんでしょ?」

 

 困惑している俺にティアナは力強く答えてくれた。

 そういやそうだったなと思う。あの時は二人で一つのツインテールなんて格好つけた自分を恨みそうになったが、今は格好つけておいて良かったなと思う。そのおかげで今回はティアナに救われたのだから。

 

「…………そこの少女、何者だ。そのツインテール属性からして只者ではないな」

 

 初撃の時とは違って防ぐことが出来ずに大きなダメージを受けたシャックスギルディはティアナに気づき、何者かと問う。余程さっきの蹴りが応えたのかその声には覇気がない。

 

「私は……テイルバイオレットと共にあなたたちエレメリアンからツインテールを……属性力を守る者よ!!」

 

 ティアナは胸を張って宣言する。その姿は歴戦の戦士の風格であり、とても頼もしく感じた。

 

「……ならばお前からも属性力も頂かせて貰おうか」

 

「下がってろ、終わらせてやる」

 

 頼もしく感じたが流石にこんなに近くにいては危なすぎる。そう判断した俺はティアナを下がらせるとウインドセイバーを構え直す。

 

『受け取って!! 私のツインテール!!』

 

「おう!!」

 

 テイルブレスからテイルドライバーへ。ティアナの持つツインテール属性が全身を覆うテイルギアすべてに駆け巡る。

 コイツはすげぇ……!! バアルギルディの時以上だ。ティアナ、お前のツインテールへの愛は間違いなく俺以上だよ。だからこそ俺も負けていられない。ティアナが全力でいくなら俺もそれに応えるだけだ。

 

完全開放(ブレイクレリーズ)

 

 いつも以上に吹き荒れる紫の風。そして紫の風はウインドセイバーに集まり、刀身を光輝かせていく。エネルギーが満ちたことを感じ取った俺は光輝くウインドセイバーを水平に構えると一直線にシャックスギルディに突っ込んでいく。

 

「おらぁぁぁぁ!!」

 

「ならば、もう一度喰らえ!! テイルバイオレット!!」

 

 再び、シャックスギルディは手をかざす。手のひらに魔法陣が描かれると中からさっきよりも速い速度で包帯が放たれた。

 しかし、突撃する俺の体は風の障壁で守られているので包帯は弾かれる。

 

「なんだと!?」

 

「同じ手が通用すると思うなぁぁぁ!!」

 

 反応が遅れたシャックスギルディにストームスライサー否、強化ストームスライサーが直撃した。シャックスギルディは苦悶の声をあげると全身から放電を起こした。

 

「む、無念……!! やはり目隠れは前髪で隠れているのものに限る……か」

 

 相変わらずの間抜けな断末魔を残してシャックスギルディは大爆発を起こし、地下駐車場内を明るく照らした。

 

 

 

 

 時刻は午後7時を回り、空は夜に染まる。

 シャックスギルディを倒した俺とティアナは新聞部に荷物を忘れていることに気づき、新聞部に戻っていた。

 匠はもう帰ってしまったようで姿が見えなかったが、悠香さんと青葉さんはパソコンの前に座っていた。

 部室内に入った後で俺は数時間前の出来事を思い出す。

 悠香さんは兎も角、ティアナの様子が心配だ。また悠香さんに怒りをぶつけるんじゃないかと内心冷や冷やしてたまらない。

 

「おかえりなさい、遅かったわね……」

 

 向こうが俺たちに気づくと同時にティアナは無言で悠香さんに近づいていく。

 無言で近づくその様をみて俺は息をのんだ。

 

「ティアナちゃん、さっきは――」

 

「もういいんです」

 

「え?」

 

 悠香さんは謝ろうとしたがティアナはそれを制止する。

 ティアナの様子からして怒ってはいないようであり、ひとまずホッとする。

 

「もう気にしていません。それよりも悠香さん、少し提案があるんですけど……」

 

 面食らう悠香さんにティアナは近づくとひそひそ声で何かを提案していた。

 その様子を見ていると寒気が走った。なにか途轍もなく嫌な予感がする。

 

「それいい!! ティアナちゃんナイスアイデア!!」

 

「でしょ!!」

 

 二人とも随分と仲良く盛り上がっている数時間前と比べると平和そのものだ。なのにどうしてこんなにも嫌な予感がするんだ……

 ティアナは俺の方を向くなりテイルブレスを構えてテイルドライバーを俺の腰に召喚した。この嫌な予感、まさか……

 

 

 

 

 それから二日後。早朝から教室でティアナと匠はスマホである動画を見ていた。ちなみに俺は見ていない。いや見たくないと言ったほうが正しいかもしれない。その理由は……

 

 

『ではテイルバイオレットさん本日はよろしくお願いします』

 

『よ……よろしくお……お願いします』

 

 これだ。動画に映っているのはインタビューを行う悠香さんとガチガチに緊張したままインタビューを受けるテイルバイオレット。つまり俺だ。

 あの日、ティアナが悠香さんに提案した内容というのはテイルバイオレットにインタビューをしている動画を記事に載せないかというものだ。勿論抵抗しようとしたものの、多勢に無勢。三対一では俺に勝機は存在しておらず、抵抗虚しくこの様になってしまった。

 

「お前、緊張し過ぎだろ」

 

「そうよ、和輝。リラックスリラックス」

 

「お前らうるせぇんだよ!!」

 

 匠が笑いながら俺の肩を突っついてきた。ティアナも面白がりながら匠に便乗する。俺は殴りたい気持ちを必死に抑えながら寝る体勢をとった。

 この野郎、他人事だからって面白がりやがって……いくら悠香さんがトークが上手いとはいえどカメラを回されれば話は別だ。こんなの緊張するに決まっている。

 

『人々の心の輝きを守るためにこれからも頑張っていきましゅ』

 

「おいおい、テイルバイオレットちゃん噛んでるぜ!」

 

「普段、男勝りなのにこういう面もあるから可愛いんだよな~」

 

「そうそう」

 

 教室の隅でオタクの集団がインタビュー動画を見ているのが目に映った。

 もう我慢できない。俺は立ち上がり、オタクの集団にむかって飛びかかった。

 

「見るんじゃねぇぇぇーーー!!!!」 




この作品は他の俺ツイ二次と比べても戦闘シーンが短い上に少ないような気がします……
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