俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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テイルバイオレット苦戦し過ぎじゃねと思う今日この頃。



第15話 太陽の戦士

 俺とティアナの二人は大急ぎで、ある場所に向かっていた。

 その場所は俺たちが普段通学している双神高等学校の旧校舎一階の最奥。双神高等学校にて最も有名且つ最も歴史のある部活動の拠点。

 学校にたどり着いた俺たちはバイクを停めると目的地まで全速力で走った。

 

『双神高等学校 新聞部』

 

 相変わらず達筆な文字で書かれた歴史感じる看板が全力で走ったことで疲れ果てる俺たちを出迎えてくれた。

 

「……いるかしら?」

 

 ティアナの言葉から不安なのが感じ取れる。俺だって同じ気持ちだ。

 

「いてくれよ……」

 

 俺たちがここに来たのはある人物に会う為……いや、ある人物が無事かどうかをこの目で確かめるためであった。

 

「「悠香さん!!」」

 

 勢いよく新聞部の扉を開けるとその名を叫ぶ。そうその人物とは俺たちの一つ年上で俺たちの先輩にあたる人物でツインテール好きの俺を唸らせるほどのポニーテールが特徴なこの新聞部の現部長、片霧悠香。

 以前テイルバイオレットの正体を相棒である神外青葉のサポートの下でたどり着き、取材のためにコンタクトをとってきた人物だ。

 

「…………うるさいなぁ……まだ午前中だよ……」

 

 奥から青葉さんの眠そうな声が聞こえてきた。

 室内は以前訪れた時と同様に酷く散らかっており、足場がほとんど存在していない。照明も何も点いていないばかりかカーテンすらも全部閉められている。まだ11時過ぎで外は明るいというのに中はとても暗く、まるで夜中だ。

 散らかっているのはいつもこととこの際置いておくとして、青葉さんの声とこの暗さからして今まで寝ていたのはすぐにわかった。

 

「午前中っていってももう11時だぜ。まだ寝てたのかよ……」

 

 その様子を察してしまい、俺はさっきまでの焦りを忘れて少し呆れてしまう。

 

「和輝、特大ブーメランが突き刺さっているわよ……」

 

 それは言わないでくれよ……

 俺の発言を聞いてティアナは酷く呆れているようだ。

 

「……悠香ならいないけど……なんの用……?」

 

 奥から出てきた青葉さんはふぁぁと欠伸をしながら俺たちに何の用かと尋ねてきたながら照明を点けた。

 俺たちはここに来た理由を思い出すと、事の経緯を手短に説明する。

 

「最近、起きている連続傷害事件。もしかしたらポニーテールに恨み持ったエレメリアンが犯人かもしれないんだ。で、俺たちが知っているポニーテール属性を強く持っている人物と言えば……」

 

「……それが悠香ってこと?」

 

 悠香さんと青葉さんの新聞部コンビは以前の取材を通してエレメリアンのことについて詳しい。さらに二人とも新聞部なのでニュースにとても詳しい。おかげで青葉さんは事の経緯を直ぐに理解してくれた。

 俺とティアナは黙って頷いた。

 

「……事情はわかったけど、悠香の安否が気になるなら直接電話でも何でもすればいいのに……」

 

「「あ……」」

 

 そう言えば知り合った時に連絡先を交換していたことをすっかり忘れていた。反応からしてティアナも同じなんだろうな……

 俺とティアナ。二人とも少し焦ってしまうととりあえず行動しようとする癖があるようだ。バアルギルディ戦の時を思い出す。あの時、まだ変身のための条件も何もわかっていないのに奇跡が起きるかもなんて曖昧過ぎる自信のままに策の一つも用意せずに現場に向かってしまった。

 青葉さんはそんな俺たちに呆れるとスマホを取り出して悠香さんに連絡をとりだした。

 

「……もしもし、悠香?」

 

『…………もしもし? 青ちゃん?』 

 

 スマホのスピーカーがオンになっており悠香さんの元気な声が聞こえてきた。とりあえず無事でよかったと俺とティアナはホッと胸を撫で下ろす。

 

『どうしたの? まだ寝てる時間じゃなかったっけ?』

 

 こんな時間の電話が予想外過ぎたのか悠香さんは青葉さんに要件を尋ねていた。

 

「……いや、無事ならいい……」

 

『変な青ちゃん……』

 

 口調ではわかりづらいものの、青葉さんも安心しているのが見てとれる。二人の良さがよくわかる。

 

「……早く戻ってきて…………」

 

『よくわからないけど……まぁ、目当ての情報も手に入らなかったことだし……一旦そっちに戻るわ』

 

 これで一安心と誰もが思っていた…………

 青葉さんが通話を切ろうとしたその時、恐れていた事態は起きた。

 

『……ちょっと待って!? あれってもしかしてエレメリアン!?』

 

「「「!?」」」

 

 青葉さんのスマホから聞こえてきたのは驚愕する悠香さんの声。俺たちがそれに驚いている間に聞こえてくる悠香さんの声が悲鳴に変わった。

 

「悠香!! 悠香!!」

 

 そして、スマホから聞こえていた悠香さんの声は途切れた。スマホに向かって叫ぶ青葉さんの声が響き渡る。

 

「悠香さんはどこにいるの!?」

 

 ティアナが悠香さんの今の居る場所を尋ねる。

 

「確か今日は……シャイニーブルームのファンサイトを運営していた人の家に行くとかなんとか言っていたから…………」

 

 そう言いながら青葉さんはタブレットを操作して悠香ささっきまでいたであろう場所を提示してきた。

 

「……ここが今日、取材のために向かった場所……少なくともその近くにいる筈…………」

 

 提示した場所はここからそう遠くない住宅街に立っているアパート。

 

「行くわよ和輝!!」

 

「ああ!!」

 

 俺とティアナは来た時と同じ勢いでドアを開け、飛び出した。

 

 

 

 

 閑静な住宅街の中でも一際、人通りの少ない街外れ。その一角にある廃墟と思われしき建物の陰に悠香は息を潜めて隠れていた。

 

「一体何なのよ……あのエレメリアン? もしかして、最近起きてる連続傷害事件の犯人って……まさか!?」

 

 悠香の頭に最近話題になっている連続傷害事件が過る。

 

「でも……この事件はエレメリアンは関係ないって和輝君やティアナちゃんは言っていた筈……」

 

 悠香自身も気になったのでエレメリアン関係の専門家ともいえる和輝とティアナに「この事件はエレメリアンが関係しているのか?」と尋ねていたが、レーダーにも反応しなかった上に属性力を奪われた痕跡がないから関係はないと言われてしまった。

 

「やっぱり、気になることはちゃんと自分で調べなきゃね……」

 

 後悔してももう遅い。今は逃げ隠れることが先決だ。スマホはさっきエレメリアンに襲われたときに落としてしまい手元にはない。だが、幸いなことにさっきの通話中に和輝君とティアナちゃんの声が薄っすらとではあるが聞こえてきた。逃げ隠れる続ければきっと彼らが助けにきてくれる。

 そう思いながら悠香は息をひそめてジッと隠れていた。しかし――

 

 

「隠れても無駄だよ」

 

 絶望は天から姿を現した。それは大きな翼を広げながらゆっくりと降下し、悠香の前に降り立った。

 

「ッ!?」

 

 蒼炎を身に纏い、巨大な羽を背負った金色の怪物。何かに例えるというのならその姿は不死鳥……だが、それは幻獣(フェニックス)ではなくソロモン72柱序列37の悪魔(フェネクス)

 目には見えないが確かに感じ取れる邪悪なオーラを放ちながら悠香に迫る。

 以前、テイルバイオレットの正体を掴むために和輝たちを尾行していたためにエレメリアンを実際に生で見たことがある悠香であったが、恐怖で体が動かなくなっていた。それほどまでに目の前のエレメリアンは今までのエレメリアンとは比較にならないオーラを放っているのだ。

 

「死ぬの? このあたしが?」

 

 震える悠香は思わず心の声が漏らしてしまう。

 

「そうだよ。ムカつくポニーテール属性を持つ奴はみーーんな僕が殺すんだ」

 

 子供のようにあっさりと純粋に。エレメリアンから放たれた言葉の意味は死刑宣告。

 

(コイツ、ポニーテールを狙っているの!?)

 

 悠香自身、ポニーテールは大好きであった。ポニーテールに対する情熱ならスクープに対する情熱にも負けはしない。幼少期にポニーテールにしてからは一度も他の髪型に変えようとしなかった。

 

(まさか、ポニーテールへの愛があたしを殺すなんて……)

  

 10数年、愛し続けた髪型が原因で死ぬかもしれないなんて……そんなこと露ほども知らなかっただろう。

 

「じゃあね」

 

 諦め、絶望する悠香に迫る蒼き悪魔の炎。悠香は目を閉じた。今までの思い出が走馬灯のように蘇ってくる。もう終わるのか……

 少しすると何かが衝突する大きな音が聞こえてきた。しかし体は無事だ、何も起きていない。恐る恐る悠香は目を開けた。

 

「和輝君!! ティアナちゃん!!」

 

 ヘルメットを被っているので顔はわからないが、悠香にはその正体がわかった。

 

 

 

 

「やってみるもんだな……」

 

「ちょっと!! 無茶しないでよ!!」

 

「悪ぃ悪ぃ」

 

 悠香さんを見つけた俺たちは一か八かでバイクを猛スピードで加速させて体当たりを敢行した。

 結果としては成功だった。本来ならエレメリアンにそんな原始的な攻撃は効かないのだが、今回は上手く不意を突くことができたのだろう。

 

「何? 今の?」

 

 道端に吹っ飛ばしたエレメリアンはまるで何も起きていないかのようにムクッと立ち上がる。

 この反応はある意味予想通り。寧ろ、少しではあったが効果があったことに驚いている。

 

「ティアナ!! 悠香さんを頼む!!」

 

「わかったわ!! こっちは任せて!!」

 

 道端にへたりこむ悠香さんとバイクをティアナに任せた俺は目の前にいる不死鳥のエレメリアンに対峙する。ティアナのテイルブレスから放たれた光が腰に収束し、テイルドライバーに変わっていった。

 今、周囲に人は存在していない。変身する絶好のチャンスだ。

 

「そのベルト……へぇ、君がそうなんだ」

 

 少しだが驚いている様子の奴を見据えながらテイルドライバーの右側面のスイッチを押し込み、変身コードを叫ぶ。

 

「テイルオン!!」

 

 テイルドライバーから溢れ出る青紫の光が俺の体を繭のように包み込む。

 変身を完了した俺は光の繭を突き破り、その姿を現す。

 青紫のツインテールと女の子には合わないようなメカニカルな装甲がトレードマークの正義の女戦士、テイルバイオレット。俺が変身したツインテールの戦士だ。

 

「一つ聞きたい」

 

「何かな?」

 

 俺はコイツに聞かなくてはならないことがある。戦う前にそれを聞くことにした。

 

「お前……!! 何でポニーテールの女性ばかり狙うんだ!! 何故、属性力ではなく人の命を奪おうとするんだ!! 答えろ!!」

 

「ポニーテール属性が嫌いだから。たったそれだけさ」

 

 今までのエレメリアンは自分たちが生きるため、人を襲い属性力を奪っていた。なのにコイツはただムカつくからという自分勝手なガキみたいな理由で……

 仮説通りとはいえ、本人からこうもあっさりと襲撃理由を言われると怒りが沸いてくる。

 

「そんなことで……!! てめぇだけは絶対に許さねぇ!!」

 

「丁度いいや。そろそろ飽きてきたころだし…………」

 

 飽きてきただと…………命をなんだと思っているんだ…………コイツは!!

 

「僕の名前はフェネクスギルディ、よろしくね」

 

 戦いの幕は切って落とされた。

 

「それじゃ一発目」

 

 先に仕掛けたのはフェネクスギルディの方であった。フェネクスギルディは翼を展開し、猛スピードで突っ込んできた。その速さはまるでジェット機のようだ。ソニックブームが発生し、周囲の建物が、自動販売機が、アスファルト舗装された道路がその衝撃にそれぞれ吹き飛ばされていく。そして、加速されたまま放たれた拳が俺の腹を抉った。

 

「ッ!!」

 

 俺は殴られた勢いのままにさっきまで悠香さんが隠れていたであろう建物に叩きつけられた。

 幸いなことにその建物は既に廃墟となっていたので巻き込まれた人はいない。そのことに少し安心する。しかし、なんてパワーだよ……フォトンアブゾーバーの限界値は超えてはいないものの、こいつは効くぜ。

 今までの出現してきたエレメリアンは属性力を奪いにくるだけで直接、命を奪いにくるようなことはほとんどなかった。やはりというかコイツは違う、もの凄い殺気を放っていやがる……!!

 

「もう終わりなの?」

 

「んなわけねぇだろ!!」

 

 フォースリヴォンを触れてウインドセイバーを取り出すと同時に俺は一直線に斬りかかりにいく。

 挑発に応じる形ではあったが心は至って冷静だ。我武者羅にではなく、今までの戦いで得た経験に沿いながらウインドセイバーを振るう。

 

「おらよぉ!!」

 

「クッ!!」

 

 フェネクスギルディは鎧のような腕でウインドセイバーを受け止め防御に徹する。しかし、ウインドセイバーの紫の刃は美しい軌跡を描きながらフェネクスギルディを皮膚を傷つけていく。

 

「少しはやるようだね……でも」

 

 フェネクスギルディもこれにはたまらず少し距離をとった。

 このまま攻め続ければいけるか……!? そう思ったのも束の間。フェネクスギルディは全身から蒼い炎を噴きだし始めた。体から溢れ出る蒼炎は右手に収束し、剣の形に姿を変えていく。

 

「これでどう?」

 

「んだと……この野郎……!!」

 

 フェネクスギルディが握るは蒼と金の二色の刀身が特徴で禍々しい形をした東洋風の剣。日本刀のような形状をしているウインドセイバーとは全く異なる。

 反撃とばかりにその剣は振るわれた。俺はその斬撃をウインドセイバーで受け止め防御する。

 

「熱っ!!」

 

 凄まじい熱気が全身を襲った。

 フェネクスギルディの剣にウインドセイバーをかち合わせてみて初めて気づいた。この剣は実体こそあれど正体は炎その物なんだ。

 それにしてもコイツの炎、熱すぎるぜ。油断していると骨の髄まで焼き尽くされちまう。地獄の業火か何かかよ……

 

「……だから熱いって言ってんだろうが!!」

 

 このままかち合い続ければ全身が熱気で丸焼きになってしまう。そう直感した俺は全力を持ってフェネクスギルディの剣を天高く弾き飛ばすとガラ空きになった胴体目掛けてケンカキックを放つ。

 蹴りとばされるもののフェネクスギルディは薄ら笑いを浮かべており、まだまだ余裕といった感じであった。

 

「やっぱり、面白いね」

 

「……何がだ。何が面白いんだよ……!!」

 

 面白いだと? こちとらは全然面白くないぜ……!! 寧ろ戦えば戦うほど怒りが湧いてくる。

 

「君くらいの実力ならいたぶりがいあるってことさ」

 

 この野郎……!! 舐めやがって…………!! 

 こうなったら俺たちの全力をぶつけてやる!! 覚悟しやがれ!!

 

「行くぜティアナ!!」

 

『わかった!! 受け取って和輝!!』

 

 俺の掛け声に合わせるようにティアナのツインテール属性がテイルブレスから送られてくる。全身に属性力が駆け巡ったことを感じ取った俺は必殺の構えを取る。

 

完全開放(ブレイクレリーズ)

 

 紫の風が吹き荒れ、嵐を作っていく。そしてその嵐はエネルギーとなってウインドセイバーの刀身に吸収され、刀身を眩く光り輝いていく。

 エネルギーが満ちたことを感じた俺は全力でウインドセイバーを大きく横に薙ぎ払うように振るう。振るわれたウインドセイバーからは嵐その物かと思われるほどの斬撃波が飛んでいった。

 

「…………」

 

 無言のまま立ち尽くすフェネクスギルディ。その姿勢は躱す体勢どころか防御する体勢ですらない。

 

「おらぁぁぁぁ!!」

 

 強化ストームブレイクは無防備のフェネクスギルディに直撃し、大爆発を起こした。

 

「っしゃあ!!」

 

 確かな手ごたえを感じた。全くの無防備で攻撃を受けたことに少し驚いたものの、これなら確実に撃破しただろう。しかし――

 

『和輝!! 見て!!』

 

 爆心地から蒼い炎が噴き出してくる。その炎は元の形に戻るかのように集まりだした。見覚えのある脚が腕が羽がそれぞれ形になっていく。そして、俺の目の前にはさっき倒した筈のフェネクスギルディが立っていた。

 

「嘘だろ…………!?」

 

 そうだ、奴は不死鳥(フェネクス)…………!! 復活能力を持っていても何の不思議もない。

 絶望しかける俺をあざ笑いながらフェネクスギルディは体についた誇りを払うかのような仕草をする。そしておもむろに背中の羽を大きく広げ周囲に熱波をまき散らす。

 

「なッ…………!?」

 

 その熱波の威力に思わず驚愕した。周囲の瓦礫が焼き尽くされるように消滅し、辺り一帯は何もなかったかのような更地になった。しかもその熱波は俺を守るフォトンアブゾーバーを貫通したために俺自身もかなりのダメージをうけてしまった。

 

「おい、ティアナ!! そっちは無事か!!」

 

 この惨状だ。俺は自分の体よりも離れて見守るティアナのほうが心配になった。

 

『こっちは大丈夫よ!! それよりも和輝!!』

 

「よそ見しちゃ駄目だよ……!!」

 

「!!」

 

 いつの間にか接近していたフェネクスギルディに俺は殴りとばされていた。一転攻勢に転じたフェネクスギルディの拳が全身に襲い掛かる。

 全く歯が立たなかった。

 

「く……そがァ…………」

 

 殴りとばされた俺は力尽きるようにその場にうつ伏せで倒れこんだ。

 さっきの攻撃の威力もそうだが、奴が不死身という事実を知ってしまったことがより一層強くのしかかり全身の力を奪う。

 

「立ちなよ、ほら!!」

 

 俺の首根っこを片手で掴み持ち上げるフェネクスギルディ。変身が維持されていることが不思議なくらいのダメージを受けているために一切の抵抗をすることができず、完全にフェネクスギルディのなすがままになっていた。

 

「ぐはァッ!!」

 

 鋭く重い拳が何度も何度も腹に叩きこまれた。

 

 

 

 

「どうするのよ…………この状況……」

 

 離れて見守るティアナにもこの絶望的すぎるテイルバイオレットの状況は痛いほどわかった。

 自分にできることは自分自身のツインテール属性を送ることくらいだ。しかし、奴が不死身で倒すことができないのならいくらツインテール属性を送っても全く歯が立たない。

 

「あいつ、不死身だなんて……」

 

 隣で見ていた悠香も驚きを隠せなかった。ここ最近のテイルバイオレットは少しの苦戦こそあれどここまで絶望的な状況に陥ることは全くなかった。

 

『ぐはァッ!!』

 

「和輝!!」

 

「和輝君!!」

 

 テイルブレスから聞こえてくる和輝の苦痛の声がより一層絶望的な空気を作っていく。そんな絶望感溢れる中だった――

 

「!」

 

 エレメリアンを探知するレーダーがフェネクスギルディとは別の属性力を捉え、ブザー音が鳴り響く。

 

「噓でしょ……」

 

「どうしたの、ティアナちゃん?」

 

 悠香はそんなティアナの様子に心配しながらレーダーを覗き込んだ。

 

「これって……もしかして敵の増援!?」

 

 レーダーが探知したのはここへ猛スピードで飛んでくる何かだ。この反応からしてこちらに向かっている何かが持つ属性力は和輝が戦っているフェネクスギルディに匹敵するレベルだ。

 もしかしてアルティデビルは確実にテイルバイオレットを倒すために増援を送ったのか? ティアナと悠香はその考えを頭に浮かべた。

 この場にさらなる絶望が漂い始めた。

 

「お願い神様…………和輝を助けて…………!!」

 

 ティアナと悠香は祈ることしかできなかった。

 

 

 

 

「ハハハッ!!」

 

 高笑いしながら殴りつけてくるのに対し俺は何もできなかった。このままじゃ完全にサンドバッグだ。なんとかして打開しなくては……

 

『和輝!! 凄い属性力がそっちに向かっているわ!!』

 

 嘘だろ……コイツ一人でも倒すことが不可能に近いっていうのに新しいエレメリアンだと……!!

 さらなる絶望が俺を襲う。

 

「!」

 

 ティアナと同じように何かを察したフェネクスギルディは俺を投げ捨て、空を睨み付けはじめた。その目は今までの俺を見る目とはまるで違う。強い憎しみの籠った目だ。

 

「まさか……こんなとこにも来るなんて……」

 

 フェネクスギルディの反応からして仲間ではなさそうだ。ならなんなんだ、この状況で何がやって来るんだよ!?

 俺が困惑していたその時だった。

 

 

 

「バーニングフェニックスキーーーーーーーーーーーーーーーーーーック」

 

 天を引き裂くように現れたのは紅い装甲を纏ったポニーテールの少女。少女は灼熱の炎とともに勢いのままフェネクスギルディに飛び蹴りを浴びせた。

 荒々しくも優雅に着地した少女は威風堂々と名乗りを上げる。

 

「ポニーテールは世界を繋ぐ架け橋! 太陽の戦士! テイルフェニックス見参!!」




焦らしてすいません。テイルフェニックスの活躍は次回からとなります。
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