俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~ 作:中川カイザー
今回のストーリー、内容にエロゲをやりすぎた影響がでてますね絶対。
私、観束総愛にとって今最も恐れている事。
それはツインテールを奪われること……
……だけじゃない。
今の私は、それと同等かそれ以上に、和輝を失う事を恐れている。
ツインテールを好きな事以外にアイデンティティを持たなかった私がこんな風に変わっただなんて一年前の記憶喪失になる前の私からすれば衝撃的すぎる以外の何物でもないのだろうとは思う。
でも、それは即ち、この世界に来て今まで和輝と過ごした日々がかけがえない物だったことを示している。
共に笑い合い、涙し、困難を乗り越え、時に喧嘩する。
本来、経験するはずなのにしてこなかった青春は本当に輝いていた。
和輝という存在が私に新たな光をくれた。
ツインテールだけじゃない、他者を愛し恋する女の子としての普通の感情。
少し前までは悲しいながらも受け入れる事が出来た和輝との別れも正直今はもう受け入れられない。
いつからこうなっていたんだろう?
いつから私の中の和輝の存在がこれほどまで大きくなっていたのだろう?
正直、思いつく要因なんてここ最近のみで考えてもいくらでもある。
幼き頃の自らの言動故にコンプレックスを抱いていた私を救ったレヴィアタンとの戦い、どれだけ互いの姿が変わろうとも好きだと答えてくれたスペルビアとの戦い、夢の中で操られていたとは言え一度裏切るような真似をした私を助けようとしたマモンとの戦い。
だからこそ、『いつかは離れてしまう』『いつかは別れてしまう』といった事をもう私は受け入れられない。
私のツインテールは和輝の為にある。
和輝のいない世界で私はもうツインテールは結べないし、生きてもいけない。
もう二度と、和輝を失うような真似はしたくない。
私はこれまでもこれからも和輝と共に歩み、ツインテールを結ぶ。
そして、いずれは和輝との子を産み、私もお母さんたちのように愛し合う。
その為にも……私は……立ち上がる。
「では、そろそろだな」
「待ちなさい……!!」
アスモデウスギルディに敗れ地に伏した私たち。
和輝が気を失うのを見た私が思い起こしたのはアナザーテイルレッドによって和輝の命が一度絶たれたあの時の事だった。
もう二度と、和輝と離れたくないとそう願う私は力を絞り出し立ち上がる。
誰を恨むとか、何を恨むのではなく、和輝と引き裂かれたくない一心で立ち上がったの。
「総愛……!!」
「大丈夫よママ……!! だからママは和輝を!!」
立ち上がった事に驚くママへとそうお願いする。
ママにとっての優先順位は私だろうけど、私にとっての優先順位は和輝だ。
そもそも、敵の狙いは私自身。
これ以上、和輝が傷つく必要はない。
「ほう、立ち上がるか。ここまでヤッてヤられを繰り返して尚も果てずに追加を求めるとはお前も中々の絶倫であるな。見所があるじゃないか」
そうやって意味不明なワードと共に褒めたたえるアスモデウスギルディ。
リリスギルディはそんなアスモデウスギルディの肩に腕を回して寄り添い、隣のベルフェゴギルディはやれやれといった様相でうんざりしている。
「であるが安心するがいい。今日はあくまで下見である。吾輩はより強くより深く心体を交わったお前たちとヤリ合いたいのである」
そう言うとアスモデウスギルディは背を向けた。
え? じゃあ本当に和輝も私も見逃すっていうの?
てっきり敵側の嘘なんじゃないかとも疑っていたけど、様子からしてどうも本当にその様みたい。
安心しきったせいか力が抜けて地面にへたり込む。
しかし、その刹那、アスモデウスギルディは振り返った。
「であるがしかし、このままの様子を見るにお前たちにセックスはない。だから吾輩が手伝ってやるのである」
何をする気……?
そう反応する間もなく、アスモデウスギルディは指先から光線を発射し、私の腹部やや下を貫いた。
「うッ……!?」
「総愛!!」
ママの叫びが聞こえるけれど、私の意識は急速に失われていく。
薄れゆく意識の中、私が感じたのは痛みではなく、熱さ。
病気で高熱をだした時のような身体の火照りと、何日も水分補給をしていない時のような身体の渇き。
そして、和輝を求める熱い気持ちだった。
◇
和輝たちテイルバイオレットを倒し、基地へと帰還したアスモデウスギルディとベルフェゴギルディ。
理想の性なる伴侶たるリリスギルディは実体化しておらず、現在は二人きりの状況だ。
帰還して早々、ベルフェゴギルディはアスモデウスギルディへと先の事を尋ねていた。
「ねぇ……ほんとによかったの?」
「何であるか? ベルフェゴギルディ」
「いやさ、下見が目的とか言ってたけど、あそこまでやるんだったら目的達成しちゃえばよかったじゃんって思ったんだよね……」
気怠げながらもはっきりとそう話すベルフェゴギルディ。
彼女は全裸属性を愛する怠惰の性癖を担うエレメリアンであり、何事にも面倒くさがりながら行動する。それ故に基本的に特に自分から考えるような真似はせずに他者の言う事に無駄口を叩きながらも遂行するタイプである。
そんな彼女がこのような意見をはっきり述べるのは極めて珍しい。
「ふむ、それはそうであるな」
「でしょ、ここで終わらせておけばこれ以上ダルい真似しなくいいし……」
ベルフェゴギルディにとって物事の基準はダルいかダルくないかの二択である。
尤も、彼女がダルくないと言い出す事はまずありえない。
アスモデウスギルディはそんな彼女の意見を肯定しつつも、自身の考え……否、欲求を口にする。
「であるがなしかし、それではつまらない。いや、もう少し見てみたくはないか?」
「何を?」
「セックスだよ」
セックス。
その言葉を聞き、またかと言わんばかりのやれやれした表情を浮かばせるベルフェゴギルディ。
対するアスモデウスギルディはやけに上機嫌だ。
「よいか? ベルフェゴギルディよ。吾輩たちがターゲットにしているあの少女と共に戦っているあの少年は今でこそまだ甘酸っぱいだけの関係であるが、あともう少しすればきっとより良い性的な関係性なれるのだ」
「それが?」
「見てみたいのだ。あの二人が描く芸術というセックスを。より深まった関係性を」
要するに今倒すのが惜しくなった。
ただそれだけの事である。
エレメリアンの中には自身の欲求に正直に行動しすぎるが余り、本来の役目を忘れるような者も多いが、このアスモデウスギルディはその中でもわりかし厄介な部類に入る。
実力はあるのに良く私情で命令を無視し、その態度を咎めても結局何度も同じ事を繰り返す。だが、最終的には目標は必ず達成するし、他者に配慮できるコミュニケーション能力の高さ故に手離せない。
アスモデウスギルディ本人もそれをわかっていてやってる節があるのが面倒くさい。
「でもさ、ベリアルの奴が黙ってないんじゃないの?」
「なに、我々に要求をしておきながらそれ以降何も連絡をよこさないあやつが悪いのだ。多少好きにしてもよかろう」
正論混じりの屁理屈にそれもそうかと頷くベルフェゴギルディ。
尤も、彼女からすれば本心はさっさと要求を済ませてしまいたいのだが。
「なぁに、あの少女への仕掛けはじきに作動するのである。そうすればいくらあれ程のツインテールへの愛があろうとも抗うことは不可能である」
自信満々にアスモデウスギルディがそう語るティアナに施した仕掛け……
それは和輝たちに別の意味で大きな波乱をもたらす事になるのであった。
◇
俺が目を覚ましたのは、数時間ほど前、丁度戦いがあった日から二日ほど経ってからであった。
久々に味わうこの思い起こしたくない程の完全なる敗北感。
ティアナは未だ目を覚ましてはおらず、俺が眠っていたベッドの隣で様々な機器に囲まれながらもスースーと穏やかな寝息を立てながらその体を癒していた。専門的な事はさっぱりだが、付きっきりでない以上そこまで大事には至っていないのだろう。
幸いだったのは、敵側が俺たちの事を見逃してくれたことに尽きる。
もし、敵側に容赦がなければ俺はおろか、ティアナが無事であった筈がない。
無事であった事に安堵しつつ、コンソールルームの席に座る。
今から始まるのは前回の戦いについて振り返り兼敵の分析及び攻略法の模索だ。
「和輝君、あなただけでも一先ずは無事で何よりです」
「まぁ、何とかな……」
本題に入る前にそう声をかけてくれたトゥアールさん。
その表情は実の母親のように優しく、慈愛に満ちていたが、どこか複雑そうな影も見える。
恐らく、ティアナの事についてだろう。
アイツの様子を見るに俺が気を失ってからアスモデウスギルディらに何かされたと仮定する。
もしかして俺の事を庇ったとかじゃねぇよな?
もしそうであるなら俺としても複雑だ。
「ま、まぁ二人とも命も属性力も無事だったんですし、トゥアール先生も和くんもあんまり暗い顔してもダメダメ。今は目の前の事を考えましょ」
「そうっす!! 先輩の言う通り!! 元気なったんだしもっとお前元気出せよ!!」
悠香さんが場を明るくし、匠の奴が俺の背を叩く。
馬鹿丸出しのようなその励ましだが、今の俺には効果ありだ。
「そうだな。そうに違いねぇ。トゥアールさん、とりあえずは今どの辺りまで進んだんだ?」
「そうですね。和輝君も目覚めた事ですし、ベルフェゴギルディについておさらいしましょう」
映像が投影され、映し出されるのはベルフェゴギルディとか言う華先生が戦った方のエレメリアン。
ガタイのいいアスモデウスギルディとは打って変わって華奢な体格をした女性型のタイプであり、教室の隅で引きこもってそうな覇気とニート上等とも思えるやる気のなさや目の下の隈の濃さを見て確かにこいつは怠惰のエレメリアンだと呼称できる風貌をしてやがる。
常に気だるげなダウナー系の悪魔娘。それがベルフェゴギルディの視覚から得られる情報だ。
「属性は何だ? 見たとこやる気なさそうな感じするし、ニートとか怠け者とかか?」
「いや違うわ。ベルフェゴギルディは全裸属性。裸を愛するエレメリアンよ」
「は、裸!?」
対戦した華先生から出された衝撃的すぎる答えに俺は思わず口をあんぐりさせる。
性行為属性のアスモデウスギルディ程じゃねぇが、まぁまぁキツイなそれ。
「能力は自他含めた誰かの視線がトリガーとなり発動する絶対防御能力。
「絶対防御……」
映像が切り替わる。
映るのは全裸となり棒立ちするベルフェゴギルディへと拳の嵐を見舞うテイルブルームの図だ。
一見すると完全にこちら側有利が圧倒している場面のようだが、ベルフェゴギルディは涼しい顔で蚊が刺したような反応すらもしていない。
拡大される攻撃の瞬間に映っているのは攻撃を受け止めるモザイクのような闇だ。
「成程、全裸を他者からの視線から守るモザイクを操る能力の応用的な奴か」
「その解釈で概ね正解です。ここに出現している闇は殆どの攻撃の衝撃や威力を無力化しているようです。それに発生する速度は時間にして0.0001秒にも満たず、攻撃が当たると確信した時には既にそこにあったという現象が確認されるようです」
なんだそれ、チートとかってレベルじゃなくねぇか?
つまりコイツが裸でいる限り攻撃全部効かねぇって事だろ?
発動条件が誰かの視線ってのが一応の弱点なんだろうけど、敵の姿を見ずに戦うのはかなり厳しいしマジで無敵じゃん。
「悔しいけど、手も足も出なかったわ。目をつぶって戦ったりしてはみせたんだけどね」
「惜しかったすもんね。最悪、自分の視線でもいいとか反則っす」
「マジか……ガチの無敵かよ」
自分の視線でも発動するなんて無茶苦茶すぎるぜ。
でもまてよ? それなら目をつぶって顔面狙えばいいんじゃねぇか?
いくら何でも自分の顔面は見れねぇだろの考えでそう提案する。
しかし、華先生は首を振った。
「駄目だったわ。相手もそれを理解しているのか顔に関しては身体以上にガードが堅かったの。身体には攻撃出来たけど、頭には触れる事すら出来なかった……」
「視覚を封じて戦う以上は無理もありません。腐っても相手は七つの性癖といったところでしょう」
悔やむ華先生を励ますトゥアールさん。
確かに華先生は悪くない。
視覚ってのはそれだけ重要な要素の一つなんだ。
ティアナのような相手の属性力を感知する力があったとしても、身体のパーツをピンポイントに狙うのは至難の業だろう。
でも、となると本格的に無敵の能力って事になるな。
「向こうの視線を潰しつつ……こちらの視線を無くす……」
「または、相手の能力を真正面から突破するの二択。だけど……」
悠香さんと青葉さん、匠たち三人の視線が華先生へと集まる。
まるで能力攻略の際に何かをやらかしたようだ。
そういや、俺が気を失う前、敗北したテイルブルームはベルフェゴギルディ同様に素っ裸になっていたな。
「なぁ先生? どうしてあんとき裸に……」
「いやそれは……」
「テイルアーマーYの反動のようですね」
「ああ!! 観束先生それだけは!!」
再び切り替わる映像。
敵の能力で周囲に時間制限付きの結界に閉じ込められ追い詰められたテイルブルームがテイルアーマーの使用を決心し装着する場面だ。
黄色い追加重装甲を身にまとったテイルブルームと対峙するベルフェゴギルディ。
ここからどうしてああなるのかと思っていたら、それは意外にも早かった。
テイルブルームはベルフェゴギルディから距離を取り、その全身にある新たに追加された火器をフルバースト。弾丸やビームを嵐のごとく見舞いベルフェゴギルディをハチの巣にせん勢いを見せる。
しかし、これはどう見ても焦りからくる無理攻めだ。
確かにこの火力は映像で見ていてもわかるくらいに凄まじい。
けれど、奴の能力の凄さを考えるとこれでも真正面から貫くことが出来ないだろう。
案の定、撃ち尽くすと同時にテイルブルームは全身の装甲という装甲をパージし力尽きる。
テイルアーマーの副作用なのか、元々身にまとっていたテイルブルーム本来の緑の装甲までなくなってしまっている。
「ごめんなさい神堂さん……私が不甲斐ないばっかりに……」
「あー泣いちゃった……」
涙流し部屋の隅でうずくまる華先生。
華先生がああやって泣くのも最早今更なので、心の中でドンマイと声をかけつつもとりあえず放置する。
とりあえずベルフェゴギルディについては以上だ。
◇
目を覚ますと白い天井。
見渡すと私はベッドに寝かされ、周りにはよくわからない機械がベッドを始めとした様々な場所に接続されている。
ここが地下基地のメディカルルームである事はすぐ理解した。
同時に私と和輝がアスモデウスギルディに敗北したという事もだ。
「無事……だったんだ……」
自然と手が髪へと伸び、ツインテールが結ばれている事を確認。
どうやら私はツインテール属性を奪われた訳じゃない。
いや、そもそも敵の目的は私の属性力というより私その物だし無事なのは当たり前か。
「それより……和輝は? 和輝……!?」
改めて周囲を見渡す。
このメディカルルームには今私が寝かされていたベッドの隣にもいくつかベッドがある。
けれど、そのどれにも和輝の姿はいない。
でも、何となく今から数時間前まで和輝もここにいたって事を感じ取れた。
「よかった……」
和輝は無事。
心でそう感じ取りホッと胸をなでおろす。
その時だった。
「うッ……!?」
胸の奥、まるで炎であぶられたかのような熱さが私を貫く。
立ち上がろうとするも力が抜け、ベッドガードをつかむも体勢を崩してしまいそのままベッドから転げ落ちる。
「なに……これ……」
痛みはない。
でも、身体が熱い。
風邪をひいた時のような節々が熱を持つかのような熱さ。
呼吸もどんどん荒くなってくるのがわかる。
確か、私が気を失う直前、アスモデウスギルディが何かした時も同じ感覚だった……!!
「はぁ……は、ぁ……」
ヤバイ……このままじゃ凄くヤバイ……
このまま全身火照り続けたら私、自分が自分で無くなってしまうような気がする。
熱さがピークへ達したからか、身体全身が渇きを訴え始めている。
「助けて……和輝……!!」
自然と私は和輝の助けを求めていた。
瞬間、身体の熱は私の意識を飲み込んでいく。
「そうだ……!! 和輝なら……!! 和輝がいれば……!!」
和輝に会いたい……
和輝としたい……
和輝と……
燃え上がる劣情は私を突き動かしていく。
これこそがこの熱と渇きを癒してくれるのだろうと信じて……
◇
「では次はアスモデウスギルディについてですね」
ベルフェゴギルディについての話し合いは一先ず終わり、映像がアスモデウスギルディの物に切り替わる。
性行為属性のアスモデウスギルディは俺とティアナが戦った相手だ。
能力は受けたダメージを蓄積してそれを反射する能力と、もう一つの命とも言える自身にとって最良のパートナーを生み出す能力。
厄介なのはその二つの能力が見事なまでに噛み合っている事だ。
奴が生み出す分身は自分自身が倒された際の保険として機能している。つまり、分身ことリリスギルディがいる限りアスモデウスギルディは不死身であり、倒される際に蓄積した攻撃もしっかり残っている。リリスギルディがいる限り、この手の吸収反射能力のお約束である許容量を超えた攻撃で無理やり撃破する手段はとれないどころかその行為そのものがこちら側への敗北を作り出す。勿論、リリスギルディを先に倒したとしても、アスモデウスギルディがいる限り無限に生み出されるだろうな。
「――以上がアスモデウスギルディの現在判明している能力ですね」
トゥアールさんが皆への説明を終える。
わかってはいたが、皆もその能力の噛み合いっぷりには舌を巻く。
「互いが互いのバックアップとして機能する能力……」
「やっぱこの場合は両方同時に倒すっきゃねぇんすかね?」
「いやでも、俺がやった時、リリスギルディ諸共吹き飛ばしたんだが奴は生きていたぜ」
匠でも思いつく当然の攻略法は勿論俺だって試している。
でも、奴は生きていた。
何ならそん時の俺たちはバーストまで発動させたくらいには威力も申し分ない。
「だから何かカラクリが……」
「それについてでしたらもう答えは見えています」
流石のトゥアールさん。
もう既に能力のカラクリを見抜いているのか、映像をアスモデウスギルディをリリスギルディ諸共吹き飛ばした場面まで飛ばし爆発の瞬間を拡大する。
「アスモデウスギルディが盾になってるわね」
「そういや、んなことしてやがったな。でも、再生する暇も与えずに纏めて吹き飛ばしたし意味なかった筈なんだが……」
「いや、よく見てください。アスモデウスギルディがやられた瞬間、リリスギルディに異変が起きています」
そういうので凝視すると、アスモデウスギルディがやられた直後からリリスギルディの体が時が止まったかのように硬直し、攻撃を受け流している。
まるでゲームとかである一部キャラへの攻撃が素通りしちまう時のようだ。手応えがまるでない。
「この瞬間を分析し判明した事ですか、どうやらアスモデウスギルディがやられると同時にリリスギルディは世界の理から外れる。つまり完全な無敵状態になると想定できます」
「やっぱりかよ……」
「この状態はアスモデウスギルディが復活するまでのごくわずかな時間ですが、こうなってしまうとありとあらゆる攻撃が効かなくなる。それこそ、そういった概念と言えるくらいには強力な作用が働いています」
世界の理とか、概念だとか、普段のトゥアールさんからはあまり聞かない単語が飛び出すくらいにはその無敵っぷりは凄まじいのだろうと理解できる。
実際、今持てる最大火力で吹き飛ばしたはずなのに効いていなかったのは俺が一番よく知っているぜ。
「つまり、攻略するには完全な同時撃破しかないって事かしら?」
「はい、悠香さんの言う通りです」
「つまり、第七使徒だね……」
青葉さんがアニメかゲームかのキャラで例えるくらいにはありがちな能力だ。
でも、実際に対面するとこうも面倒くさい。
アニメやゲームと違うのはコンマ数秒のずれも許容されないって事だ。
「複数じゃ倒せない相手と、一人でなきゃ倒せない相手。面倒な組み合わせね」
「向こうもそれをわかっているから、同時に現れたのでしょう。能力を知らなかったとはいえ、実際、効果的だったのは事実です」
悠香さんとトゥアールさんの会話を聞き悩む。
アスモデウスギルディだけなら俺たちと華先生で何とかなるが、タイマン出なきゃ倒しづらいベルフェゴギルディもやってくるのがどうしたもんかだぜ。
「こっちの戦力は和輝とティアナちゃんがセットであとは華先生の二組だもんな~」
「残るはアナザーテイルレッド……」
青葉さんがそうボソッと呟く。
確かにあの野郎がいてくれれば何とかなる人数だ。
でも、あいつはやっぱし信用できないし、そもそもどこにいるかわからない上連絡も出来ねぇ。
「一応、対抗策自体は用意しています」
皆がそろってどうしようかと悩む中、突如トゥアールさんはそう言った。
「「「え!?」」」
「と言っても、元々それようで用意していた物ではないのでこれを使えば絶対に勝てると言った保証はありませんが」
そう断りを入れつつ映像を切り替えるトゥアールさん。
それは新武装の紹介などで使われるタイプの映像で左右対称の青紫と赤紫の二人のテイルバイオレット。
「これって……」
「これは本来、総愛と和輝君の融合状態が危険水域に達した際に用意していた新しいプランでのテイルバイオレットです。二人が一つになる必要を無くし、共に並び立って戦うという方向性で調整しました」
そう言えば、アスモデウスギルディらが現れる前、トゥアールさんはテイルバイオレットにも何か新装備を用意しているとか言っていたな。
トゥアールさんの説明を聞いてそれがこれかと思い出す。
でも、俺とティアナの融合の危険……
アスモデウスギルディ戦でのバースト後の反動のあれか……
「少し話は逸れますが、和輝君? アスモデウスギルディとの戦いの際に短時間とはいえエクストリームチェインバーストを発動させましたね?」
「ああ、わかってる。あんとき、終わった直後すげぇ変な気分だった。まるで、俺が誰なのかわからなくなるっつーか、なんつーか……」
あのときの感覚だけはどう表していいかわからない不思議な感覚だった。
それこそ本当に、自分が自分で無くなるようなとしか言えない。
変身中なら兎も角、変身解除後もああなるのは初めての経験だ。
「もうわかっているとお思いですが、ここ最近、それこそマモンギルディ戦以降、和輝君と総愛の融合状態は以前の物とは数倍以上に高まりを見せています」
「そんなになの和くん!?」
ああ、トゥアールさんの言う通りだ。
ここ最近、俺もティアナもすげぇ調子が良かった。短時間とは言え、任意でバーストを発動できたのもその証拠だ。
マモンギルディ戦以降、俺たちの繋がりや結びつきは強くなって……いや、強くなりすぎている。
「このままだと二人のツインテールが解けなくなる……その可能性があります」
「だから……これを作った……」
「はい、青葉さんの言う通りです。焼け石に水の可能性は否定できませんが、このままの状態を維持するよりかは危険性は少ないとそう考えます」
なんてこった。まさかこうなっちまうとはな。
最近、トゥアールさんが俺とティアナの様子をみて時折複雑な様子を見せていたのはこの事か。
反動の強烈さを身をもって味わった以上、トゥアールさんの言葉には賛同せざる得ない。
「一応、私としては二人の関係がより自立した物になれば幾分か危険性は減らせると考えていますが……」
「つまり、今の二人は少し互いに依存しているって事ね」
悠香さんの言葉が胸に突き刺さる。
いやま、それに関しては俺も少し思うところはあった。
でも、いつの間にか少しずつ歪んでいったというか……
一応、まだ手遅れになる状況じゃないのは不幸中の幸いか。
こればかりは俺の心の持ちようだな。
「どちらかというと問題なのは総愛の方ですね……先の戦いで確信しましたが、ここ最近のあの子は少々、いや、かなり危険です。今まで散々茶化し煽っていた手前勝手ですが、くれぐれも和輝君は総愛を甘えかさないでください」
ほんと、勝手だなとは思っちまうぜ。
まぁでも、そんなトゥアールさんがこうまで言うんだから説得力はある。
互いに自立するためにも先ずは俺がしっかりしなくちゃならねぇ。
ティアナだってこんな事になっちまった以上はわかってくれるはずだ。
「まーとりあえず、これがありゃアスモデウスギルディも何とかなるんすね」
「そうですね。理論上、二人の完全な同時攻撃さえ決めれば撃破できると思います」
「となるとアイツにこれを使わせる説得かぁ」
「ティアちゃんって確か、前に和くんが小さくなった時に一人で変身するの拒んでいたっけ」
「確か……そう……」
やはりというかやっぱ今回大事なのは一番はティアナ自身だ。
これからの為にも俺もティアナも次のステージに上がらなきゃいけねぇ。
互いが互いに依存するのでなく、互いが互いに自立し支えるというある種完璧なパートナーへ。
「さて、そうとわかりゃティアナの奴を……」
受けたダメージ的にもそろそろティアナも目覚めるだろう。
そう思い、俺はメディカルルームへティアナを向かいにいこうと席を立つ。
その直後、コンソールルームの扉が開き、外からティアナが現れた。
「はぁはぁ……和輝……」
「おい、ティアナ。大丈夫か?」
「和輝……!!」
「ん?」
息が荒く、顔を真っ赤にしたティアナ。
よくわからねぇが、興奮状態になっているみてぇだ。
何かおかしい。
そう思ったその瞬間、ティアナが駆け出す。
「和輝!!」
「うぉぉぉッ!? どうしたお前!?」
抱き着き押し倒してくるティアナ。
これには周りで見ていた他のみんなも何事かと目を開く。
そして、ティアナはとんでもない事を口にする。
「お願い和輝!! 私と……私とエッチして!!」
「はぁ!?」
「ダメです!! 和輝君、今の総愛とヤッてはいけません!!」
「はぁッ!?」
次回、性に飢えるティアナが牙をむく!!
トゥアールから交わってはならないと言いつけられた和輝は果たして童貞を守り切れるのか!?
キャラクター紹介29
アスモデウスギルディ
身長:342cm
体重:411kg
属性力:性行為属性
性行為を見る事だけでなく、することも好きであると豪語する特殊なエレメリアンであり、セックスの為に本来存在しない生殖器をも生やす。
セックスは一人で出来ぬという考えから理想のパートナーであるリリスギルディという分身を生み出す能力を会得。両方を同時に倒さぬ限り死ぬことはない。
嫌いな事は愛のないセックス(つまりレ〇プ)。
ベルフェゴギルディ
身長:202cm
体重:188kg
属性力:全裸属性
兎に角、面倒くさがりで「ダルイ」が口癖。自室では常に裸。
視線をトリガーに発動する絶対防御能力を有している他、他者の気力を奪う結界を展開することも出来、気だるげなその見た目に反して実力は七つの性癖上位に位置する。
見抜きを好む。