俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~ 作:中川カイザー
フェネクスギルディの対策会議も兼ねた唯乃さんとの情報交換であったが、明確な対策案は一つも出なかったためにお開きになった。
今現在、俺とティアナ、唯乃さんはフェネクスギルディがいつ暴れ出しても出撃できるようにアラームクロックで待機していた。
「それにしても悠香、お前いいポニーテールしてるな!」
「そ、そう?」
待機中、唯乃さんは悠香さんに話しかけていた。
アルティメギル首領を打ち倒した最強のツインテール属性を持つテイルレッド、そのライバルで彼女の持っているツインテールへ属性に負けないくらいのポニーテール属性を持っているらしい唯乃さん。ポニーテールの悠香さんに話しかけることはとても自然な行動だ。
「ポニーテールを極めた俺様が言うんだ! もっと自信持ちな!!」
「ありがと、唯乃ちゃん! 一度も褒められたことなかったからあんまし自信なかったのよね~」
「見る目がない奴らばっかりだなー 色んな異世界回ったけど、こんないいポニーテールは久々に見たぜ」
悠香さん、唯乃さんにそこまで言われるポニーテールを持っているならワンチャン、ポニーテール属性のテイルギア動かせるんじゃね?
それから白熱していく二人のポニーテール談義。ポニーテールにはいまいちピンとこない俺は目の前で白熱する二人の会話についていけなかった。いつの間にかティアナはおやっさんの手伝いに行ったようで俺一人だけがこの空気に馴染めていないようで少し気まずかった。
「今度、トゥアールに頼んでポニーテールのテイルギアでも作って貰おうかなーそうしたら悠香とも戦えるのになー」
「あら? 負けないわよ? もし、その時が来るのならポニーテール歴15年のあたしの力、見せちゃうわよー」
トゥアールって誰だよ、また増えたぞおい。てか悠香さん、3歳からポニーテールしてるのかよ…… 流石は唯乃さんに認められるポニーテール属性の持ち主だ。
あれ? 一体俺って何歳からツインテールが好きだったんだろか?
二人の会話を聞いていたらふと気になってしまった。思い返してみれば俺っていつ何処でツインテールが好きになっていたのかがわからない。生まれた時からではないのは確かだ。一体いつどんなきっかけでツインテールが好きになったのだろうか。初恋のツインテールを思い出そうにも記憶に鍵がかかっているみたいに思い出すことができない。あれ? こんな感じ、何処かで見たような……?
「なにボーっとしてるのよ」
エプロン姿のティアナが話しかけてきたので考えるのを中止する。
「いや、俺っていつからツインテールが好きなんだろうな~ってさ」
「そんなこと、私にはわからないわよ」
「いや、別にお前に聞いている訳じゃ――」
和やかなだった店内。そんな中、エレメリアン出現のブザー音が聞こえてきた。ティアナはエプロンを脱ぎ捨て準備を完了させ、唯乃さん含めた俺たち3人はアラームクロックの外に出る。
「唯乃さん! 俺たちはバイクで行くけど、あんたは?」
俺とティアナはいつもバイクで現場に向かっているけど唯乃さんはどうするつもりだろうか? 流石に3人乗りは無茶だしな……
バイクを用意しながら聞いてみた。
「なーに、そんなしゃらくせぇ物使う必要ねぇよ。ちょっと掴まってな!」
「「へ?」」
俺とティアナ、唯乃さんは二人の手を唐突に掴むと砲弾のように空へと跳躍した。
「「ええええええ!?」」
「二人ともあんま動くなよ!」
背に巨大な炎の翼を作り空を飛ぶ唯乃さん。熱い、この炎は幻ではなく本物だ。これもオリジナルのテイルギアの機能なのかと驚愕する俺とティアナは、唯乃さんに導かれるままに飛翔するのであった。
◇
唯乃さんに導かれ、たどり着いた場所は繫華街のど真ん中にある大きな広場だった。本来ならゴールデンウィークの昼過ぎということもあって人で溢れかえっているはずだというのに人の姿は全く見えない。状況から見て本来いるはずだった人々は避難した後だと思われる。何故このようになったのか、その理由は明白……
「やっと来た、今度こそどっちが本物の不死鳥か教えてあげるよ」
フェネクスギルディ、ツインテイルズの世界で唯乃さんが変身するテイルフェニックスに戦って逃げ、この世界ではその鬱憤を晴らすかの如くポニーテール属性を持つ女性を片っ端から襲うなんて最低最悪な行為をしたエレメリアン。今まで出会った中でも最悪のエレメリアンだ。
コイツの厄介な点はテイルフェニックスと互角の実力を持つことと不死身の肉体を持っているが為に倒すことができないことだ。
「今日こそ
唯乃さんの言う通りだ。いくら奴が不死身の肉体を持っていようが今日こそ倒すという気概でいかなければならない。
ティアナを安全圏まで下がらせた後、俺と唯乃さんはそれぞれの変身アイテムを構え叫ぶ。
「「テイルオン!!」」
元居た世界は違えど共通している魂の合言葉。二色の光が爆裂し、その輝きに思わず怯むフェネクスギルディ。
青紫のツインテール戦士、テイルバイオレット。不死鳥の如く紅いポニーテール戦士、テイルフェニックス。二つの世界の二人のヒーローが邪悪を打ち倒すべく現れた。
「ポニーテールは世界を繋ぐ架け橋! 太陽の戦士! テイルフェニックス見参!!」
唯乃さん、いやテイルフェニックスが敵に向かって名乗りを上げる。
こういう堂々と見得を切る行為はなんかこっぱずかしいから俺は苦手だ。
初めてバアルギルディに出会った時、どうカッコよく名乗ろうかと考えていたというのに、今はそんな考え微塵も湧かない。以前されたインタビュー動画が余程応えたのだろう。
「行け、
「モケェーーーーーーーーーーー」
フェネクスギルディの号令が聞こえると同時に戦闘員があふれ出てきた。モケ―と奇怪な鳴き声を上げるこの白い戦闘員はバアルギルディ戦以来だ。
ここ最近、エレメリアンと戦っていてわかったことだが、こいつらはプライドが高いために戦闘員を用いることがほとんどない。それなのにフェネクスギルディは戦闘員を使ってきた。それはコイツが追い詰めれた証拠なのか?
「いや、考えても意味ねぇな。初っ端から全力で行くだけだ! ティアナ!!」
『OK!! ぶっ放しちゃって和輝!!』
こんな雑魚に手間取る必要なんてない。そう思った俺はウインドセイバーを手にしてティアナを呼びかける。そしてティアナのテイルブレスから送られてきた大量のツインテール属性が全身を駆け巡った。
テイルフェニックスの出す炎に負けないくらいの勢いで紫の風が周囲に吹き荒れる。紫の風がウインドセイバーの刀身に吸収され、刀身が光輝く。
光輝くウインドセイバーを水平に薙ぎ払う。巨大な斬撃波が戦闘員を襲った。
「邪魔だ!! 雑魚ども!!」
哀れ、戦闘員は一瞬のうちに全滅。折角久々の出番だというのに5分も活躍していない。それにしても大群を一気にやっつけるのは中々爽快で気持ちがいい。
テイルフェニックス向けてどんなもんだと自信満々にサムズアップをする。一方テイルフェニックスはどこかこの状況に不満そうであった。そして、変ないちゃもんが飛んできた。
「おいバイオレット! 必殺技名はどうした!? 何故叫ばねぇ!!」
思わずズッコケた。
そこ拘るのか……
「いや恥ずかしいし、こういうのは言わないほうがクールでカッコいいと思うし……」
「バカ野郎!! 己の信念を込めて必殺技を叫ぶ! 戦闘において相手に払う
テイルフェニックスは俺の両肩を掴んで揺さぶってきた。色々と圧が凄く暑苦しい。
『一里あるわね』
テイルフェニックスの考えに賛同するティアナ。
ティアナもそっち側かよと呆れてしまう。
『テイルギアってのは心を力に変えるのよ? 言葉にすることで強くなるかもしれないじゃない』
「でもなぁ……」
意味は納得できるが俺としてはあまり納得したくはない。必殺技名を叫ぶってアニメや特撮の世界だけな気もするし………… それとやっぱり恥ずかしい。
「戦闘員をやっつけて随分と余裕だね、まだ僕がいるんだよ?」
「「!」」
そうだ……!! 必殺技名を叫ぶ、叫ばないで揉めている場合ではない。
フェネクスギルディは俺たちに向かって火炎弾を放った。お互い、回避の為に跳躍、別々の方向に着地し火炎弾を躱す。
「やっぱり戦闘員程度じゃ疲弊しないか……役立たずどもが……!」
「へっ! 当たり前だぜ!!」
「倒したの俺なんだけどな……」
俺もテイルフェニックスもピンピンしている。疲弊しているとは程遠い。フェネクスギルディの思惑は外れた。
「暑苦しいその態度……!! ムカつくんだよ!!」
テイルフェニックスに急接近したフェネクスギルディはいつの間にか作り出していたあの東洋風の剣を怒りのままに振り下ろす。
このままではテイルフェニックスが危ない。そう思ったが――
「フェニックスチョーーーーーップ!!」
心配は杞憂に終わった。テイルフェニックスは炎纏った手刀でフェネクスギルディの剣を弾き逸らす。しかも俺に言った通り、技名もちゃんと叫んでいる。
「なんて無茶苦茶な……!!」
絶対的な自信がないとあんな危ない迎撃方法とれるはずがない、なのにこの人は……!!
攻撃を弾いたテイルフェニックスはフェニックスラッシューターを取り出して反撃にでた。
「そうだ……!! 俺も――」
テイルフェニックスに負けてられない。そう思った俺はフェネクスギルディに攻撃するために飛び掛かるはずだったが――
「ムカつくんだよ!! 君も!!」
奇襲に気づいたフェネクスギルディは斬り結んでいた筈のテイルフェニックスと即座に距離をとり、俺に向かって火炎弾を放つ。余りに一瞬の出来事だったために避けることができなかった。
蒼い火炎弾が俺を襲う刹那、何処からか飛んできた光弾が相殺した。
「危なかったな、我が愛しの戦士、テイルバイオレット」
この声、この雰囲気、忘れるはずがない。俺のライバルを自称する変態野郎、バアルギルディ。
こいつが俺を助けたのか……!! でも何故だ? バアルギルディは敵同士。今戦っているフェネクスギルディの仲間のはずだ。
「バアルギルディ君、何邪魔してるのさ」
怪訝な表情をするフェネクスギルディ。俺もテイルフェニックスもティアナも訳がわからなかった。
「別に邪魔などしないさ、テイルバイオレットは私の物なんでね。私が相手をしてあげようって話だ。君はそっちに集中したまえ」
なーにが、私の物だ。俺はお前の物じゃないんだよ!! てか俺と戦いたいだけじゃねぇか!!
でもなんだ……? この感じ、こいつからは戦意が感じられない。
一方、テイルフェニックスはわかるわかるその気持ちといった感じで頷いていた。
「バイオレット!! そっちは任せるぜ!! こいつは俺様に任せな!!」
そう言うとテイルフェニックスはフェネクスギルディに向かっていった。向かってくるテイルフェニックスを見たフェネクスギルディは天高く飛び上がる。テイルフェニックスもそれを追い天高く飛び上がった。
それを見届けた俺はバアルギルディに向き合った。
◇
バアルギルディは俺に光弾が放つ。しかしその光弾は俺に当たらずに地面に着弾。外れたのではなく外しているということに気づいた俺は一切の動きをしなかった。
バアルギルディの動きが止まったのを見てから声をかける。
「で、何が目的だ……お前に戦意がないことなんてすぐにわかったぞ」
「やはりわかったか、流石は我が愛しのテイルバイオレット」
やっぱしそうか。てか、その言い方キモイんですけど……
バアルギルディの言葉を聞いて思わず後退る。てか俺の仕草、女の子みたいだな。ま、今は女だし別にいいか……
「私が来た理由は一つ。フェネクスギルディの倒し方を教えに来たのさ」
「何!?」
余りに唐突かつ予想外過ぎる理由をきいて困惑する。ティアナもテイルブレス越しで驚いていた。
全く、訳がわからない。こいつら仲間じゃなかったのかよ。
「フッ、訳が分からないって顔だな、なら教えよう。端的に言うと粛清というやつだ」
「粛清……?」
「フェネクスギルディは子供っぽく我がままで独断専行に命令無視とやりたい放題」
どうしてそんな奴が組織に属しているんだよ……心の中でツッコまずにはいられなかった。
「元々我々の目的はこの世界に存在する究極のツインテールに匹敵するツインテール属性を持つ者を探し手中に収めることと、ありとあらゆる世界全ての属性力を集めることの二つだ。だが彼は属性力を集めるのではなく属性力を持つ者も鬱憤晴らしに消し去る始末。好きにさせていたとはいえ流石にもう看過できんよ」
バアルギルディの説明で理解できた。どうやらフェネクスギルディはアルティデビル内で酷く嫌われているみたいだ。
「ま、半分は私の気まぐれだがね」
『どうする? 信じる?』
「聞いてみてからでも遅くねぇじゃないか。実際、あの野郎を倒す方法は喉から手が出るほど欲しいしよ」
ティアナは疑っていた。当たり前だ。
正直、俺も半分は疑っている。でも何故かバアルギルディが嘘をついているようには見えなかった。
「奴は正確には不死身ではない、高い再生能力を持つだけだ。倒すには相反する二つの属性力を限界まで高めた攻撃を浴びせること。例えば、君のツインテール属性とフェニックスギルディのポニーテール属性をだ」
「テイルフェニックスと合体攻撃をすればいいってか…………ん? 今なんつった!?」
バアルギルディが何気なく発した言葉。フェニックスギルディ。フェネクスギルディとは違うエレメリアンの名前。会話の流れからしてフェニックスギルディがテイルフェニックスを指しているのがわかった。
『まさか……フェニックスギルディって……!!』
テイルブレス越しで聞いていたティアナも先程以上に驚愕し困惑しているようだった。当たり前だ、こんなの困惑するなっていう方が無理がある。
思い返してみればここに来るために唯乃さんは空を飛んだ。あれはテイルギアの力と思っていたが、唯乃さんがエレメリアンで人間を超えた力を持っているなら飛ぶのなんて造作もないだろう。そういや唯乃さん、フェネクスギルディの対策会議で意味わからないこと言ってたし……
もし、それが本当なら唯乃さんは一体何が目的なんだろうか? ツインテイルズの仲間というのも本当なのか? 不安が頭によぎる。
「知らなかったのか、テイルフェニックスの正体はエレメリアン、フェニックスギルディ。かつてアルティメギルを裏切り、同族を仇名す存在となったエレメリアンだ。本当ならその力、確かめたかったのだがな」
そう言い終わるとバアルギルディは姿を消した。
アルティメギルを裏切ったということを聞き、少し安心する。しかし、不安を拭いきれたわけではない。後で唯乃さんに問い詰めなければ……
俺とティアナは空を仰いだ。
◇
和輝たちが唯乃の正体に驚愕していた頃、和輝たちがいた場所の遥か天空。テイルフェニックスとフェネクスギルディの因縁の対決は続いていた。
「おらぁっ!!」
「このおっ!!」
何度も何度も互いの武器と拳と脚がぶつかりあう。やはり実力差はほとんどないほどに互角。
このままでは消耗するだけ。そう判断し、仕切り直しとばかりに距離をとり様子を伺う二人の不死鳥。
緊迫漂うほどの張り詰める空気の中で戦っているはずなのだが……
「はっくしょん!!!」
緊張感の欠片のないくしゃみをするテイルフェニックス。その行動は余裕の表れかそれとも……
「なめるのもいい加減にしろよ……」
「悪りぃな、誰か俺様のこと噂でもしてんのかな」
鼻をこすり、軽く謝るテイルフェニックス。その行動がよりフェネクスギルディを苛つかせる。
フェネクスギルディはその苛立ちをぶつけるかの如く再度火炎弾を放つ。しかし、それを悠々と躱していくテイルフェニックス。ぶつかりそうな玉は首からたなびく青いマフラーが意思を持つかのように動き防御。怒りに身を任せたフェネクスギルディの攻撃は完全に見切られていた。
テイルフェニックスもただ攻撃を回避、防御するだけではない。しっかりと反撃も行なう。フェニックスラッシューターで火炎弾を発射、フェネクスギルディにしっかりと命中させていく。完全に流れはテイルフェニックスに傾いていた。
「うおらあっ!!」
ちまちまとした射撃戦に飽きたのか、テイルフェニックスは裂帛の気合と共に突撃。飛んでくる火炎弾はマフラーで防御していった。
速い。まさに一瞬の出来事。フェニックスラッシューターを剣状に変形する手間があったのにも関わらず、一瞬で間合いを詰めたテイルフェニックスはフェニックスラッシューターで袈裟斬り。見事、フェネクスギルディの肩から大きな傷をつけることに成功した。そのまま追撃のドロップキックで強く蹴り飛ばす。
大きくよろめき体勢を崩すフェネクスギルディ、地上に落ちないようにすることで必死であった。そのチャンスを見逃すテイルフェニックスではない。すかさず、必殺の構えに移行する。
「俺様の
テイルフェニックスは持っているフェニックスラッシューターを天高く掲げた。フェニックスラッシューターの刀身の銃口が開き、巨大な炎の刃が形成されていく。
「バーニングフォースフィニーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッシュ!!」
太陽の剣斬が悪魔の不死鳥を地上へ叩き落した。
テイルフェニックスは熱血精神を持ちながらも心は冷静であり続けた。一方フェネクスギルディは怒りに我を忘れすぎた。勝負をわけたのは最後まで冷静であったか否か、たったそれだけのことだった。
◇
『和輝!! あれ!!」
紅い炎に身を包まれたフェネクスギルディらしき影が落ちてきた。テイルフェニックスが撃墜したのだろう。なら直に降りてくる。その時、俺は……
「おーい! バイオレット!! そっちはどうだ? 片付いたか?」
「あ、ああ」
暑苦しいほど大きな声が空より響いてきた。曖昧な言葉を返す俺の隣に着地した。
正直、俺は不安を隠せているかが気になって仕方ない。
「撃墜したはいいが、まだ奴は生きていやがるぜ」
「テイルフェニックス、いや唯乃さん。聞きたいことがあるんだが」
唐突すぎる俺の質問。真剣すぎる表情を見て目をパチクリさせるテイルフェニックス。鳩が豆鉄砲を食ったような顔だ。テイルフェニックスは不死鳥だからこの例えは遠からずも当たっているような気がする。
「あんた、エレメリアンなのか?」
「そういや、言ってなかったな。俺様はフェニックスギルディっていうエレメリアンでもあるぜ」
あっけらかんと言い放つテイルフェニックス。その様子からして単純に言ってなかっただけのような雰囲気だ。何か良からぬことでも考えているのではないか? と一瞬でも考えた俺がバカだったと思ってしまう。
「だがな、この体は正真正銘、本物の人間の体だ。ちゃちな擬態や変装なんかとは訳がちげぇ」
「そうか……なら、もう二つ聞きたいことがある」
「なんだ?」
「どうしてアルティメギルを裏切ったんだ? 何のために同族と戦っているんだ?」
至極単純な疑問。何が彼女を同族との殺し合いへと突き動かしたのか、アニメや特撮の世界では当たり前ではあるが、当人がどう思っているのが気になった。
テイルフェニックスは俺の真剣な様子を見て察してくれたのか、静かに語り出した。
「親友が首領に粛清されちまってな――」
空を見上げ語るテイルフェニックスの表情はどこか悲しそうであった。この表情に嘘はない。
「紆余曲折あってアルティメギルを裏切った俺様は正義の為にツインテール属性を広げまいと活動していた。そんな中、俺様はテイルレッドと出会った」
そこから語られるテイルレッドとの熱い物語。時にぶつかり合い、時に力を合わせ合いアルティメギルを戦う物語。大雑把ではあるが熱さは十分と伝わってきた。
「今の俺様はポニーテールもツインテールも両方を守る、そう誓った」
エレメリアンにも良い奴だっているし、わかりあうことができる奴もいる。それがテイルフェニックスの話からわかったことだ。
倒すべきはアルティメギルやアルティデビルに所属し、他者の属性力を奪うエレメリアンだ。属性力を奪う、その行動が生きるために必要とはいえど絶対に渡すわけにはいかない。
『私は唯乃さんを信じるわ。和輝、あなたは?』
「当たり前だろ、俺も信じる」
もうテイルフェニックスがエレメリアンだとかは関係ない。元々の種族は違えど志は同じ。ともに戦う仲間だ。
その時だった。目の前で蒼い炎が元の形に戻るかのように集まりだした。フェネクスギルディが復活しようとしていた。
「そういや、あの野郎の攻略方法がわかったんだけど……手を貸してくれないか?」
「どうすんだ?」
「どうやらあの野郎、ツインテールとポニーテール限界まで高めた攻撃を同時にぶつければ再生せずに倒せるんだとよ」
「へーなるほどな。そんな簡単な方法なら、レッドと一緒にやりたかったぜ」
さっきから話を聞く度にテイルレッドという人物に無性に会いたくなってきた。さぞ綺麗なツインテールをした女の子なのだろう。
「ムカつくんだよぉぉ!!! お前ら!! 僕に! 僕に逆らうな!!」
復活したフェネクスギルディは全身を眩い金色に輝かせ、蒼い炎を巻き上げる。作り出すは以前、テイルフェニックスに放った蒼い暗黒の太陽。憎悪に満ちた一撃が飛んできた。
「合わせろよ、バイオレット!!」
「上等だ、俺たちの力みせてやるぜ!!」
『いくわよ!! 和輝!!』
ツインテールとポニーテール。互いの呼吸をお互いの髪で合わせた俺たちは必殺の蹴撃を放つべく天高く跳躍した。
「俺様の――」
「俺たちの――」
「「
紫の風と紅い炎が今交わる。目標はただ一つ、悪魔の不死鳥、フェネクスギルディ。
「新必殺技、バーニングフォースフィニッシュキーーーーーーーーーーーーーーーーック!!」
「ストームストライク!!」
フェネクスギルディの放った蒼い暗黒の太陽とぶつかる俺たちの必殺キック。
こんなもので俺たちの勢いを止めることなんてできやしない。拮抗することもなく貫通し突破、背後で太陽が大爆発。その爆風がより俺たちの勢いを押してくれる。
「僕は……僕は!!」
俺たち魂の合体必殺キックはフェネクスギルディの胴体を貫いた。
「合体必殺! フェニックスストライク!! ……ってお前も言えよ!!」
「勘弁してくれよ……あれでも結構恥ずかしかったんだぜ……」
俺たちが茶番を行う背後でフェネクスギルディは断末魔とともに爆発四散した。フェネクスギルディの残骸である蒼い炎は天の昇るように消滅していく。その中に奴の物と思われる属性玉が落ちていた。復活の可能性はもうなかった。
◇
戦闘が終わり、ここは夕日照らす河川敷。俺とティアナは唯乃さんを見送りにきた。
「帰っちゃうのね……」
「まぁ、仕方ねぇだろ。唯乃さんにも仲間が待っている世界があるんだからさ」
たった一日、それも半日だ。それなのに俺たちは唯乃さんとの別れが物悲しく感じていた。
「また会えるぜ、お前さんがポニーテールを愛する限りな」
「悪いけど、私はツインテール一筋なの」
「俺もだ」
決め台詞のように言う唯乃さんだが、悪いが俺たち両方ともポニーテールよりもツインテールだ。でもそれで空気が悪くなることはなかった。爽やかな笑いが河川敷に木霊する。
「んじゃ、そろそろ行くかな。悠香にもよろしくって言ってくれよ」
「あ、ちょっとタンマ」
帰るために飛びあがろうとする唯乃さんだが、俺はまだやっていなかったことを思い出し、制止した。どうした?といった表情のなるティアナと唯乃さん。
俺は唯乃さんに握手するために手を出した。すぐに察した唯乃さんもそれに応じる。
「俺たちはこの世界でツインテールをポニーテールを守っていく。だから唯乃さんも頑張ってください」
「ああ! この世界のポニーテールを頼んだぜ!!」
二つの世界の二人の戦士。固い握手を交わし俺は誓った。この世界をアルティデビルから守ると。
「じゃあな!!」
握手を終えた唯乃さんは空の彼方に消えていった。
「負けられないわね」
「ああ」
ゴールデンウィークに発生した怪事件。強敵、フェネクスギルディをテイルフェニックスと出会い共闘することで無事撃破することができた。
俺たちはこれからどんな奴がきても負けない。ティアナと二人、沈みゆく夕日に向かって改めて誓った。
テイルフェニックスはゲスト扱いなので今回で出番終了です。
次に原作キャラがでてくるのは予定ではかなり先になっています。
キャラクター紹介6
性別:女
身長:160cm
体重:47㎏
B85・W57・H81
ツインテイルズの一員としてエレメリアンと戦っている。
ポニーテールの戦士、テイルフェニックスの変身する。
アルティメギルを裏切ったエレメリアン、フェニックスギルディが進化した姿。
人間としての性別は女だが元はどちらかというと男だったため、男勝りで暑苦しい。