俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

19 / 164
第19話 迷える偶像

 いつぞやのマルコシアスギルディとの初戦の舞台となった多目的アリーナ。俺とティアナ、匠は中に入る為に並んでいた。

 今日は5月8日、日曜日。夢宮ヒカリのライブ当日。天候は清々しいほどの快晴、絶好のライブ日和だ。といっても今日のライブ会場は屋内なので天候はどうでもいいのだが。

 そんなライブ日和の晴れ晴れした空とは違い俺の心は曇りに曇っていた。

 理由としてはいつも通りの寝不足が原因だ。

 今日のライブは昼過ぎの15時から開始だと聞かされていたので、休日と同じ感覚で寝ることが出来ると思っていたが、甘かった。匠の奴、物販は朝早くから開始だからと言って、午前8時に自宅にティアナとともにたたき起こしにやってきやがった。当然、俺は抗議した。「何故、こんな朝早くに物販コーナーで並ばないんといけないんだ。時間的に物販などライブが終わってからでも余裕で間に合うだろう」と。しかし、匠は俺の提案を断固拒否、曰く人気のグッズはライブ終了してからだと無くなっているらしい。流石の俺も折れ、今に至る。

 

「だからってこんなに買うこたぁねぇじゃねか!!」

 

 俺の両手の紙袋には特製Tシャツ、バンダナ、団扇等々のグッズが一杯に詰め込まれている。グッズはお1人様数個のみと限られているために匠の奴、俺とティアナを使ってこんなに買い込みやがった。

 

「しゃーねぇだろ? 今日のライブで使う用に布教用他にはコレクションとして飾る用、後は俺の弟と妹の分だな」

 

「和輝、いつまでぶー垂れているのよ。このくらいなら別にいいでしょ」

 

 ティアナは俺ではなく匠の肩を持つようだ。それが何故か無性に腹が立つ。

 

「ったく……アルティデビルの奴らは何してんだが……早く来てくれよ……」

 

 遂、思ってもない文句が口から出てしまった。その発言を聞いたティアナがジト目で睨んでいるのが見えた。

 

「……最低」

 

 ティアナの言葉が胸に突き刺さった。

 

 

 

 係員の指示に従い俺たちは入場し、チケットに指定された席まで足を運ぶ。先頭ではライブ用Tシャツと法被を着て頭にバンダナをした匠がいつも以上に張り切っていた。

 全く……いつの間に着替えたんだよ……

 

「お前ら、あまりはしゃいで警備員さんのお世話になるなよ。 マナーはキチンと守る。これ常識だからな!!」

 

 物販コーナーでマナー違反ギリギリの行為をしていたのは何処のどいつだよ……

 俺たちも共犯者といえばそうなのでなのであまり声を大にしては言えないのがもどかしい。

 

「わーったよ……ったく……」

 

「あのテンションばっかりは勘弁してほしいわね……」

 

 物販を買い終わった後に近場のファーストフード店で昼飯をとっている間もマナーについてしつこくこのテンションで言ってきた。

 そして現在、今までずっとこのテンション、うんざりしない奴なんていないだろう。さっきは肩を持っていたティアナも隣で呆れて酷くうんざりしていた。

 そんな場違いなテンションに気づいた匠はそのテンションのままに声をかけてくる。

 

「おい、お前らどうしたんだ? テンション低いぞ。もっと上げていこうぜ!!」

 

「「うるさい!!」」

 

 溜まっていた鬱憤を発散させるかの如く、俺とティアナは声を荒げた。だが、匠は全く聞こえていないかのように先先と指定された席の方向へ走っていってしまった。

 通路を走るのはマナー違反だろ……。ティアナと顔を合わせながら呆れるだけだった。

 

「ん……? お前、それどうしたんだ?」

 

「それって何?」

 

 今、顔を合わせてみて気づいた。ティアナの奴、会場に入るまではかけていなかった眼鏡をかけていた。ティアナは目がいいので恐らくこの眼鏡はレンズの入っていない伊達眼鏡だろう。

 

「これだよ、これ」

 

「ちょっと、何すんのよ」

 

 ティアナの目にかかっている眼鏡を突っついた。ティアナは嫌そうな顔をしながらその眼鏡を外し、俺を睨んでくる。だが俺はその態度を無視し何故、眼鏡をしているのかを問う。

 

「どうして眼鏡なんてしてんだよって聞いてんだよ。てかいつの間に……」

 

「なんとなく、眼鏡をかけることがライブのマナーだと思ったからよ」

 

 その答えを聞き、より一層俺は首を傾げた。おそらく、ティアナのこの行動は記憶がなくなる以前にしていた行動だろう。だが何故、ライブに眼鏡? 因果関係が全くわからなかった。

 それにしても眼鏡をしたティアナは知的で可愛かったな。眼鏡とツインテールって結構合うんだ……

 

 

 それから数分後、席に着いた俺は会場にいるファンたちの雰囲気に圧倒されていた。

 まだ始まってすらいないのに会場のボルテージの高まりは収まるところを知らない。会場内の多くのファンたちがライブが始まるのを今か今かと楽しみに待っていた。今までずっと文句を垂れていた俺も考えが少し変わり、ライブが始まるのをファンたちと同じように待っていた。

 

「結局、楽しそうじゃない」

 

「まぁ、こんな熱気に当てられりゃ考えも変わるってな……」

 

 それからさらに時間が経った。既に会場は満員。俺たちの周囲も見知らぬ人々で埋め尽くされている。

 俺は匠に渡されたペンライトを持ちながら夢宮ヒカリがステージに登場するの待っていた。しかし、何時になっても始まらない。腕時計を見て時間を確認する。時刻にして15時30分。もうライブが始まってもおかしくない時間になったというのにも関わらずだ。

 初めの10分間はまだ周囲も特にざわつきも見せなかったが、30分、1時間と過ぎる度にざわつきが広がっていく。

 

「どうしたんだよ!? ヒカリちゃぁぁぁぁん!!」

 

 隣の席の匠が立ち上がり奇声を上げながら嘆く。本来の俺なら通報してやりたいが、今は違う。この状況がおかしいと俺も気づきだしたからだ。

 不安気に腕時計を見る俺と顎に手に当て何かを考えるティアナ。

 

「何かおかしくねぇか」

 

「事故でもあったのかしら……それとも…………」

 

 そんな時だった。ティアナのポケットからエレメリアン出現を知らせるブザー音が聞こえてきた。

 

「クッソ……!! こんな状況で来てんじゃねぇよ!!」

 

 早く来てくれとかほざいていた過去の自分自身の顔面をぶん殴りたくなった。

 

「場所は近いわ!! 急ぎましょ!!」

 

 気づいていない匠は無視し、俺とティアナは席から立ち上がり一目散に出口に向かって走りだす。訳を話すのも面倒だったので係りの警備員は振り切った。レーダーが示すのはこのアリーナの駐車場。俺たちは全速力で走った。

 

 

 

 

「はぁ……はぁ…………」

 

 逃げる。ただ逃げる。それだけを考えて少女は走る。

 迫りくるのは巷で世間を騒がせている未知の怪物。目をギラギラ光らせた恐ろしい豹の顔、頭部より下はボディビルダーを連想させる筋骨隆々な男性の体、背には鷲もしくは鷹と思われる鳥の翼が生えていた。また、この怪物は股間部分にある男として大事な部分のみが深い毛に覆われており、ほぼ全裸と言っても仕方がない様であった。

 

「はぁ……はぁ…………」

 

 パーカーのフードを顔がわからないように深く被りながら少女は走る。

 少女の体付きは筋肉質とは言い難いほどに華奢で一見、運動が苦手そうに見えるが、しかし彼女は違った。怪物に追跡されてから数分間、全速力で逃げながらもその速度は決して落とさずに維持し続けられる持久力があった。

 人間相手なら容易に逃げ切れた可能性もあっただろう。だが相手は常識の通じない怪物、追いつかれるのは時間の問題であった。

 

「ちょっと待ってよ~待ってってば~」

 

 怪物は恐ろしい見た目とは裏腹に少し甲高いオタクのような声を出した。声と見た目のギャップが形容しがたい不快感をより強めていく。

 

「はぁ……はぁ……ッ!?」

 

 無人の駐車場で数分間走り逃げ続けていた少女の体に限界がやってきた。溜まりに溜まった疲労のせいで脚が絡まりこけてしまう。転んだ拍子で膝を擦りむいたのか少女の脚には血が流れており、色白の綺麗な脚を赤い線が伝う。

 後ろからは怪物が気持ち悪い声を出しながら迫っていた。

 

「デュフフ、やっと捕ま~えた。この日の為に神頼みした甲斐があったよ」

 

「ひぃ……!!」

 

 生理的に気持ち悪いさを持った声を出しながら怪物はゆっくりと迫ってくる。

 フードのせいで表情こそわからないが、少女の声や仕草などから目の前の怪物に対しての恐怖が感じられた。

 

(これはきっと神様が下した罰。みんなの前から逃げたわたしに対する…………)

 

 何かを察した少女は怯える声を止め、目を閉じる。

 

「いたぞ!! テイルオン!!」

 

 少女の耳に届いたのはさっきまでの怪物の声とは違う、勇ましい男性の声だった。

 

「おらぁぁ!!」

 

「ぶはぁっ!?」

 

 今度はガラの悪そうな女性の声と重々しい打撃音。怪物のうめき声も同時に聞こえてきた。少女は目を開けて今起きている状況を確認した。

 

「テイル……バイオレット…………」

 

 テレビのニュースでもお馴染み、青紫のツインテールが特徴のスーパーヒロイン、テイルバイオレットが目の前の立っていた。

 

 

 

 

「和輝、この近くよ」

 

 ティアナのレーダーを頼りに俺はアリーナの駐車場にたどり着いた。本来ならライブが始まっている時間だということもあって駐車場内に人の気配はほとんどない。いるのはエレメリアンと襲われている人だけだろう。

 

「いたぞ!!」

 

 奥の方で翼の生えたエレメリアンが少女を襲おうとしている様子が目に入った。

 不味い、すぐに変身しなくてはあの子が危ない。幸い俺とあの子以外はティアナしかいない。ここで変身してもバレやしない。

 ティアナの方を向きながら目で合図を送る。合図に気づいたティアナは頷き、テイルブレスを俺にかざす。かざされたテイルブレスから光が溢れ俺の腰回りに集まっていく。そして光はテイルドライバーを作り出す。

 

「テイルオン!!」

 

 テイルドライバー右側面のスイッチを押し込み走り出す。叫んだ変身コードが駐車場内に木霊した。

 変身したことにより得た脚力を存分に発揮し、遠く離れたエレメリアンとの距離を一気に詰める。声に気づいた様子のエレメリアンは俺の方を振り向いたが、もう遅い。俺は先制攻撃を行うために跳びあがった。

 

「おらぁぁ!!」

 

「ぶはぁっ!?」

 

 右足で放ったボレーキックがエレメリアンの頬にクリーンヒット。重々しい打撃音と攻撃を受けたことで出たエレメリアンのうめき声が駐車場内に響き渡る。エレメリアンは口から汚らしい唾液を吐きながらボールのように吹っ飛んだ。

 

「あんた、大丈夫か?」

 

「あ、ありがとうございます」

 

 さっきまでエレメリアンに襲われていたであろう少女。着ているパーカーのフードを深く被っているため、顔はわからないが声は何処かで聞いたことがある綺麗な声だった。少女の膝からは血が出ている以外は特に別状はなく、属性力が奪われた風にも見えない。膝の出血も恐らく逃げる時に転んだためだろう。

 

「折角のチャンス、邪魔するんじゃないよぉ!!」

 

 エレメリアンは立ち上がると俺に向かって怒りの咆哮、そして力に身を任せた型もクソもない無茶苦茶な突進を敢行する。

 俺は体格差に怖じ気ずにエレメリアンの突進を受け止めた。

  

「お前こそ邪魔だ! それにな、キモイ声出しながら俺の体に触れてんじゃねぇ!!」

 

 受け止めた俺は巴投げの要領でエレメリアンを引きはがした。

 このエレメリアン、パワーは一丁前のようだが、戦い慣れしていない感じがぶつかってみたことでひしひしと伝わって来た。

 素早く起き上がると同時にウインドセイバーを出現させ、よろよろと起き上がったばかりのエレメリアン斬りかかる。

 

「うらぁ!!」

 

「ぬぅ……!!」

 

 エレメリアンは回避することも防御することも叶わず一斬、また一斬と俺に斬りつけられていった。反撃とばかりに力任せに突き出してきた拳は容易く受け流してまた一斬。ペースは確実にこちら側が握っていた。

 

「くッ……!! 流石はテイルバイオレット。といったところか……この俺が手も足も出ないとは」

 

 エレメリアンは背中の羽を使い、跳躍。俺との距離を放した。

 

「いや、お前のパワー以外が口ほどにもなさすぎるだけだろ」

 

「褒めるな、褒めるな。照れてしまうじゃないか」

 

「褒めてねぇよ!!」

 

 渾身のツッコミが駐車場内に響き渡った。

 なんだろうか……このペースを乱されている感じ……

 

「テイルバイオレット、君には悪いがこの世界で最初に奪う属性力はもう決めているんだ。今日のところは見逃してやる」

 

 見逃してやるだぁ? この野郎、今の状況をわかってないだろ。明らかに勝っているのは俺の方だ。

 心の中でツッコミを入れている中、エレメリアンは股間に生い茂る毛に手を触れた。

 

「なっ!!」

 

 生い茂る毛がかき分けられたことで男の大事な部分が見えてしまう。そう思ったせいで反応が遅れてしまったのが不味かった。

 

「ではさらばだ!!」

 

 毛がかきわけられ、現れたのは男のアレではなく、薄暗く光る目のような突起物だった。その突起物は突如、眩く発光し、俺の視界を光で染め上げた。

 視界が開けたときにはさっきまで交戦していたエレメリアンの姿は何処にもなかった。

 

「くっそ……あの野郎、逃げやがったな」

 

 あんなふざけた方法で逃げるとは……つくづく癇に障る野郎だ。

 

「こんどは絶対逃がさねぇ!!」

 

 頭に血が上っていた影響か俺は完全に忘れていた。そのまま周囲の状況を確認せずに変身を解いたのが不味かった。

 

「テイルバイオレットが…………お、男」

 

 声のした方向を振り向くと襲われていた子が気を失っていた。

 ヤベッ!! そういやまだ近くにいるんだった……やらかした……

 

「和輝!! 何やってるのよ!!」

 

 走ってきたティアナから説教が飛んできた。

 

「すまん、つい忘れてた。どうするよ……」

 

「気絶したショックで忘れてくれていればいいけど……もし覚えていたら頼み込んでこの事を秘密にしてもらうしかないわね……」

 

 悠香さんの時のように上手くいけばいいんだけどな……

 とりあえずこの子をこのまま気絶したままでは確認のしようがないし、戦闘音を聞いて誰か来るかもしれない。場所を変えなければ。

 その時だった。少女は目を覚ました。

 

「………あれ? わたしは……そうだ! テイルバイオレットが!!」

 

 あ、覚えてるなこれは……

 ため息を吐きたくなるが自業自得なのでここは我慢。

 少女はふらふらとよろめきながら立ち上がる。俺とティアナは咄嗟に支えに入った。その時だ、フードが降りて今まで見えなかった顔が明らかになった。

 

「この顔って……!?」

 

「もしかして…………」

 

 昨日、散々匠に見させられたビデオの映像が頭に浮かんだ。肩にかかる長いブロンドの髪、キラキラした瞳とクリッとした二重が特徴の眼、そして完璧なバランスで調和している眉、鼻、口。身体つきもとても女の子らしく華奢で可愛らしい。

 それにこのビデオで聴き慣れた声、間違いない。

 

「「夢宮ヒカリ!?」」

 

 

 

 

「怪物に襲われたんじゃしょうがない。今日のライブは中止にするように僕から言っておくから」

 

「マネージャーさん、ありがとうございます」

 

「それにしても怪我も軽くてほんっと良かった。多分、今日の分は来週になるかもだからその時は頑張ってね」

 

「わかりました。ありがとうございます」

 

 ガチャっとドアが開いてマネージャーが外に出て行く音が聞こえてきた。

 

「テイルバイオレットさん、もう大丈夫ですよ」

 

 夢宮ヒカリの合図を聞き、俺とティアナは物影から姿を現すと用意されていた椅子に座った。

 ここはアリーナ内の控え室。今は俺とティアナ、ヒカリの三人だけだ。あの後、俺とティアナはヒカリに事情を話すため、控え室内にこっそり侵入させてもらっていたのだ。匠に知らせると面倒なことになるのはわかっているので内緒である。

 

「そのテイルバイオレットって呼び方やめてくれねぇか? 俺は和輝、涼原和輝だ」

 

「私はティアナよ」

 

 ティアナとともに軽い自己紹介。いつまでもテイルバイオレット呼びはちょっとアレなので呼び方を変えてもらうのが理由だ。

 

「和輝さんとティアナさん……」

 

 ヒカリは言われた名前を忘れまいと頭に叩き込んでいるように見えた。その様子とさっきのマネージャーとのやり取りから彼女が真面目な性格なのがわかった。

 

「ま、別に私は覚えてもらう必要はないんだけね」

 

 ティアナはそんなこと言っているが正直、俺以上に覚えやすい名前だと思う。名前の由来は色々とアレであるが覚えやすいって点についてはおやっさんに感謝すべき……なのか?

 

「とりあえず単刀直入に言うわ。今日のことは秘密にしてほしいの。テイルバイオレットの正体が和輝って所をね」

 

 俺はゴクリと唾を飲み込む。悠香さんみたいに何か交換条件でも提示されるかもしれない。彼女が真面目そうなのはわかったがそれでも不安なことには変わりない。

 

「わかりました」

 

 ヒカリは何の迷いもなく首を縦に振った。その鮮やかさを見たことでさっきまで疑っていた自分自身が間違えていたことがわかった。

 多分、匠がいたら「てめぇ何ヒカリちゃんを疑ってんだぁ?」とか言われるんだろうなぁ……

 

「あれ? そういや何であんなところにいたんだよ。それにあのパーカー。まるでライブから逃げたみてぇじゃねぇか」

 

「確かにそうね……」

 

 ふと思い出した。あの夢宮ヒカリが目の前にいるってことで完全に忘れていた。それ聞くとヒカリは暗い表情になり観念したかのように口を開いた。

 

「わたし……逃げたんです。ライブから…………」

 

「マジかよ……」

 正直、言うとだいぶ想像込みの質問ではあったが的中していたようだ。

 ヒカリは暗い表情のまま、理由を語りだす。

 

「わたし、昔から歌うことと踊ることが好きなんです。だから去年の末に今の事務所のオーディションに応募して合格し、アイドルを始めたんです。最初、レッスンは辛かったですけど、歌うのも踊るのも楽しいかったから頑張れた。……でも最近、迷っているんです」

 

「迷ってる?」

 

「最近のパフォーマンスに自信が持てなくなってしまって……このままアイドルを続けていいのか? このままじゃ応援してくれているファンの方たちにも失礼じゃないのか? 上手くいかないのもわたし自身、心の奥底ではアイドルなんかやりたくなかったと思っているんじゃないか?……って」 

 

 詰まる所、ヒカリは、今の自分に自信が持てないが為にアイドルをすることが本当に自分がしたかったことなのかで悩んでいるんだ。

 好きだから頑張れる。だが、好きであるが故に今の現状に妥協することが出来ない。

 真面目過ぎるが故の悩みだろうか……

 

「だから逃げたのね……今の自分のパフォーマンスはファンに見せれないから……」

 

「今日の行いが自分勝手でアイドルとして失格なのはわかっています。でも……どうしてもこの気持ちに踏ん切りがつかなくて……」

 

 そうだ。アイドルとしてやっている以上、どんな理由であれライブ当日にファンの前から逃げる行為は絶対にしてはいけない。

 そう思うも俺は反省している様子のヒカリに強く言い出せなかった。




主人公の行く先々で何が起こる。これお約束。

キャラクター紹介8

 夢宮ヒカリ
 性別:女
 年齢:16歳
 誕生日:6月12日
 身長:152cm
 体重:41㎏
B78・W55・H75

 今年初めにデビューしたばかりの新人アイドル。
 新人なのに匠をはじめ、多くのファンを獲得するなど今、最も勢いのあるアイドル。
 ファンからの愛称はヒカリちゃん。
 真面目な性格であるが故に今のままでいいのかと迷っている。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。