俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~ 作:中川カイザー
和輝たちがハーゲンティギルディと戦った日の夕方、双神高等学校、新聞部部室。
「青ちゃん、ただいまー!!」
「……おかえり。悠香……」
ハイテンション過ぎる悠香のただいまが室内に響き渡る。それに対していつも通りのローテンションの青葉が返す。色々と正反対の二人だとわかる瞬間である。
「いやー、今日もいいネタを手に入れることができたわ。はい、これよろしく~」
「……またぁ?」
上機嫌な悠香は本日の取材結果を青葉のデスクにどさりと置いた。それを見て青葉の顔が歪む。
「ごめんって、青ちゃん。これもあげるから~」
悠香は両手を合わせて平謝り、青葉はそれをやれやれといった感じで見つめる。そして悠香は鞄の中から苺ミルクを二つ取り出すと内一つを青葉に渡した。
「ほんっと仕方ないんだから……」
「さっすが、青ちゃん!!」
悠香はそう言うと鞄をそこらに投げる。ポーンと見事な弧を描きながら鞄がゴミのたまり場と化している二人の私物で溢れかえっている床に落ちていった。
そんなことには気にも留めず、悠香はソファに寝転びもう一つの苺ミルクを飲む。ごくごくと苺ミルクを飲み、一瞬で飲み干した悠香は青葉に話しかける。
「ねぇ……あの件で何かわかった? シャイニーブルームのこと」
「その件なら面白いことがわかったよ……」
「本当!?」
ガバっとソファから起き上がった悠香は一目散に青葉の下に飛んでいく。時間にしてそれは僅かコンマ数秒の一瞬の出来事。
青葉も悠香の反応速度に負けず、即座にパソコンの画面を切り替えた。
「これってグラフ? 青ちゃん、これは何のグラフなの?」
悠香が見たパソコンの画面には一つのデータがグラフとなって表示されていた。当然、悠香は何のグラフかを尋ねる。青葉は口を開いた。
「これはあるサイトの閲覧記録、シャイニーブルーム大好きwikiのね……」
「シャイニーブルーム大好きwiki? それって確か最初にできたシャイニーブルームについてまとめたサイトよね」
青葉は頷く。
グラフには丁度今から12年前、2004年のシャイニーブルームについてまとめたウェブサイトの閲覧記録が事細かにまとめられていた。
「最初に現れた2月2日から始まり、そこからじわじわと閲覧数が伸びてるわね……」
シャイニーブルーム及びアルティメギルが初めて現れ人々に認知されたのは2004年、2月2日。その日から作られたのはこの『シャイニーブルーム大好きwiki』のみ。勿論だが最初の数ヶ月はほとんど閲覧されておらず一部のファンのたまり場であった。それからシャイニーブルームの活躍が世間に知られ、人気が上がっていく度に閲覧数は伸びていきグラフは右肩上がりになっていた。
「凄いわね……8月4日を境に爆発的伸びてる……」
おおよそこの時期にシャイニーブルームの人気が爆発したことを悠香は知った。
「でもまって……12月25日クリスマス……」
悠香は目を疑った。表示されているグラフは丁度クリスマスの12月25日を境にピタリと何も映さなくなっている。それは閲覧数が0の証拠だ。
「おかしいでしょ……その前日まで閲覧数は一千万を優に超えているのに急に0だなんて……」
「どういうことなの……? これ」
「そしてもう一つ」
困惑する悠香を置いて青葉は画面を切り替える。そこにはまた一つのデータがグラフとなって表示されていた。しかしそのグラフは先程の物とは比べ物にならないほど小さな物であった。
「何これ? これは何のグラフなの青ちゃん」
「これはね、さっきと同じ『シャイニーブルーム大好きwiki』の今年の閲覧数だよ」
1月、2月は先程の12月25日以降と同じで0。しかし3月29日、ほんの僅かであるが閲覧数が表示されており、それ以降一桁の割合ではあるが確かに閲覧する者がいるということがわかった。
「どういうことよ。まるで2004年の12月25日から今年の3月29日まで皆、存在を忘れていたみたいじゃない」
「悠香……当たりだよ……他のサイトの閲覧数もこうだったし」
悠香は再度どういうことなの? といった様子で青葉を見つめる。青葉は続けた。
「僕の仮説だけど……2004年の12月25日にシャイニーブルームの身に何かが起きたか、シャイニーブルーム及びアルティメギルが何かをしたせいでみんなシャイニーブルームを忘れてしまった。だけど今年の3月に何かが起きたことで徐々にその呪縛が解けて思い出していった」
悠香はその仮説を聞いてハッとした。何故、今までほとんどの人がシャイニーブルームの存在を知っていたのに当時の詳しいことを覚えておらずついこの間まで話題にならなかったのか。悠香は12年も前のことだし忘れていてもおかしくないと思ってしまったが、こんな大ブームを巻き起こした存在を急に忘れるなんておかしすぎる。
「そもそも、悠香や僕がシャイニーブルームやアルティメギルなんて超常的な存在をテレビで特集されるまで知らないなんておかしい話だよ……」
シャイニーブルーム及びアルティメギルのエレメリアンが綺麗に写った写真や動画はとても少なく、特集で出されるのも同じものばかり。以前、和輝がテレビの特集で見ていたアルティメギル宣戦布告の動画はかなり希少な物だったのだ。
もしかしたら忘れている頃に作り物の変な写真だと思って捨ててしまったからかもしれない。青葉はそう結論づけた。
「……でも待って。もしさっきの仮説が正しいのならシャイニーブルームのことを皆、思い出しかけていて完全に思い出した人もいるかもしれないのよね?」
「……かもね。この忘れている現象も個人差がかなりあるみたいだし……それに少しでも思い出してないとテレビやネットで懐かしいなんて言わないしね……」
「それもそうね……」
悠香はこの異様な事態を理解した。そしてこの後、悠香が取る行動はとっくに決まっていた。
「よしっ!! ならもっと取材してするっきゃないわね。青ちゃん、当分の間はこっちに力入れましょう。気になるわ」
「了解……」
悠香は外に飛び出し、青葉は苺ミルクを飲み干し終えると再びキーボードを叩きだした。
◇
遂に6月を迎えた。
6月からは待ちまった夏服が解禁される為、俺の心は今日の天気同様、曇り一つない晴れやかな物だ。昨日までの暑苦しいブレザーは押し入れの奥にしまい込み、夏服を取り出して着用する。軽くて爽やかな解放感が俺の体を駆け巡る。
「よしっ! 行きますか」
制服を着た状態で鏡を前にし、拳を合わせ気合十分準備万端。鞄を担ぐと外でティアナが待っているはずなので急いで玄関に向かう。
おっと、ばあちゃんへの行ってきますの挨拶を忘れるとこだったぜ。いけねぇいけねぇっと。
ばあちゃんの部屋を覗くとばあちゃんがスヤスヤと穏やかな顔で眠りについていた。死んでしまったのかと思えるくらいの安らかな表情だが、ちゃんと寝息も聞こえてくるので問題ない。
「んじゃ、ばあちゃん。行ってくるぜ」
勿論のことだが、ばあちゃんからの返事は来ない。しかし、俺の心は満足感でいっぱいだ。さてと、今度こそ行きますか。
靴を履き、外に出るとガレージににてティアナがバイクにもたれかけて待っていた。今日もいつも通りの一日が始まるのを予感させる。いつもと違うのはティアナの服も夏服になっているくらいか。
「おっす、おはよっティアナ!」
「和輝、おはよう……」
気持ちのいい朝の挨拶をする俺とは対照的にティアナの挨拶はどこか元気がないものだった。これは昨日までとはまるで真反対の状況。朝が苦手な俺とティアナのテンションが逆転している。
「おい、どうしたよ。元気ねぇじゃん」
「私、嫌いなのよ。夏が」
「へーそうなのか。でもよ、まだそこまで暑くないぜ」
夏が嫌いということ自体には何ら不思議なことじゃない。寒いより暑いほうが耐えれないって奴はごまんといるからな。でもティアナの夏嫌いは何処か変だ。何故なら今はまだ6月、季節にして初夏といった具合だ。暑苦しいとは程遠い。
「暑い、暑くないとかじゃないのよ……」
ティアナはそう言うと空を見つめた。空に何かあるのかと勘ぐったが、俺の瞳がティアナの服装を捉えたことによってある仮説が導き出された。
「お前……もしかして夏服が嫌なのか? その……ブレザーが無いから胸が――」
「それ以上言わないで」
「お、おう」
ぴしゃりと冷たく一言。どうやら俺の仮説は当たっていたようだ。俺もこれ以上、この話題に触れることはしなくない。何か他の話題を探そう。
バイクの発進準備を整えている片手間にふと考える。俺はあることを思い出した。
「そういや……また見たんだよな。夢」
先日、ヒーローオタクのエレメリアン、ハーゲンティギルディと戦った最初の夜。ティアナは夢を見たらしい。夢の内容は幼き自分自身の記憶。
「うん……お母さん……ともう一人、金髪のお姉さん。多分、お母さんの友達? か何かだとは思う……」
振り向きティアナの顔を見る。心なしかティアナの表情に笑顔が見えた。少しずつ蘇っていく記憶に嬉しさがにじみ出ているのがわかる。
「それにしても銀髪の女性の次は今度は金髪か……」
まぁ、金髪は銀髪と比べれば遥かにメジャーな髪色なのは間違いないがな。金髪は現実でも見ることがあるし。
「わけわかんないわよね」
正直、ティアナの髪色が一番、不思議だと思う。何故ならティアナの髪色は少しばかり青味がかった赤髪。わかりやすく言うと赤紫色だ。正直かなりレアな色な気がする。
そんなことを考えながらバイクのエンジンを入れる。その時だった。俺の脳裏にあることが過った。心の底ではあまり触れたくなかったと拒絶していた物が。
「なぁ、ティアナ……ハーゲンティギルディと出会う前に言ってた夢ってさ……」
口が勝手に動いていた。俺自身、止めることが出来なかった。
俺の言う夢というのは先日、夢宮ヒカリのライブの後に見たというほうだ。ティアナが男の人とライブに行っていたという内容だったはずだ。
あの時の俺は無性にイライラしてしまったが、ハーゲンティギルディ出現のごたごたもあって有耶無耶になり、その気持ちを心の奥にしまいこんでいた。今はイライラしていないが正直、あまり気分のいいものではない。別これはティアナが好きだからとかいう理由ではない。断じてない……筈だ……
「うん? 私が小さい頃にお父さんとライブに行っていたっていう夢がどうしたの?」
「そうそうお父さんと……ってお父さん!?」
ノリツッコミのような形でティアナに問いかける。
「夢の中でお母さんを見たときに思い出したのよ。あの時の男の人はお父さんだってね」
完全に盲点だった。俺には物心ついた時から実の親がいなかったのが原因か。いや、冷静に考えればわかることじゃねぇか……だってよ、そもそも夢で見たのは幼きティアナの記憶。親しかねぇじゃん。
「それがどうしたの……って」
「ふ……ハハハ!!」
今度は笑いが止まらない。でも、何故だが心の奥に突っかかっていた物が消えてスッキリした気分だ。まるで今日の青空のように。
「何よ、気持ち悪い。あなた変よ」
急に笑い出す俺にドン引きのティアナ。当然だ。
でも何故か俺は笑うのが止められなかった。そのままのテンションでバイクに跨るとティアナにヘルメットを投げ渡す。
「いや、なんでもねぇよ。ま、そんなことより良かったな、お父さんにお母さんを少しでも思い出すことが出来てよ」
「いや、そうだけど……って……やっぱり和輝、あなた変よ!?」
ティアナが後ろに乗り、背中に掴まったのを確認した俺は勢いよくガレージからバイクを発進させた。
てか、俺の親はどんな人だったのだろうか? 今度、ばあちゃんに聞いてみようか……
◇
ティアナとともに教室に入った。今日もなんとか遅刻せずに済んでホッと一安心だ。
「おはよう、涼原」
「おう」
「おっはよう! 橘さん!!」
「おはよ、委員長さん」
クラスで一番礼儀正しい眼鏡の男子生徒が俺に、クラスで一番元気な女子生徒がティアナに挨拶をしてくる。俺たちはそれぞれしっかりと返事を行う。ちなみに両方とも名前は覚えていない。ティアナに挨拶したのは委員長らしいけど何の委員長なのかはわからないしな。
ティアナが学校に来て数日の間は男女問わず多くのクラスメイトに問い詰めらた。が、もう慣れたのか誰にもそのことについては何も言われない。面倒くさくなって結構結構。
「涼原に先を越されるなんて……」
「泣くな。俺たちにはテイルバイオレットちゃんがついているさ」
「おい、バカ。テイルバイオレットの姉貴だろ。ちゃんづけで読んだらきっと怒るぜ」
教室の隅っこでオタク集団が何やら泣いていた。理由はわからねぇが朝から何やってんだか……高2にもなって恥ずかしくないのかよ。
「そういやよ。結局、あの
ハーゲンティギルディを倒した日、おやっさんの部屋で見つけた幼馴染属性の属性玉。おやっさんが言うにはティアナがここに来た時に握りしめていた物らしい。あの属性玉には何が秘めれているんだ……
「私のテイルブレスがちゃんと起動してくれれば
「
残念ながら俺が変身しているテイルバイオレットのギアには存在していない装備だ。てか待てよ……唯乃さん変身するテイルフェニックスにも装備されていなかった気がする。まぁ、あの人の性格的にポニーテール属性以外は使わないとか何とか言ってそうだけど……
「でもよ、幼馴染で何が起きんだよ」
幼馴染ってだけで一体何が起きるというんだ。言葉だけ聞いても大層なことが起きる予感が何も感じない。
「大した能力じゃなくて、特に意味なかったりして……」
「それは無いと思う」
席に座り、頬杖をついた俺にティアナの言葉が突き刺さる。
「属性力っていうのは何が起きるかわからない神秘の力。例えば、
ふーん……って、はぁ!?
属性玉が与える力に驚いた拍子で頬杖をしていた体勢が崩れ、机の上に顎をぶつけてしまう。少しばかりだが顎が痛い。
「他にも沢山あったはずだけど、今はほとんど覚えていないわ」
「マジ……? そんなにすげぇの……属性玉って……」
「そうよ」
ティアナはあっけらかんと言い放っているが、俺は逆に驚くことがいっぱいだ。
まさか……属性玉にそこまでの力があるなんてな。さっき例に挙げた飛行能力に重力操作能力もどれも戦うのに有利になるものばかりだ。しかもこれ以上の物まであるかもしれないなんて……てかそもそもツインテールが好きって気持ちがあそこまでの力になるんだ。他の属性も馬鹿にはできねぇか……
「
「ほんっと、つくづくそう思うわ」
ティアナは自身の記憶の謎の解明のためだろうけど俺としては戦力上昇として欲しい。
ここ最近、おおよそフェニックスギルディ戦以降か……そこからあまり強い奴と戦っていないが、いつ何時強い奴が来るかわからねぇ。少しでも強くなるために何かが欲しい。
そんな事を考えていた最中だった。
「ギリギリセーフ!!」
窓の外、丁度校門付近から匠の大声が聞こえてきた。外を見てみると匠が校門でゼーハーゼーハーと息を切らしながら滑り込んでいた所だった。
「まったく……あの馬鹿は……」
ティアナが来るまでは俺もああやって匠と遅刻ギリギリに登校していたことを思い出す。いい思い出とはいえないが、なんだか懐かしくて仕方ない。
「川本~!! 何故、お前は未だにギリギリに登校するんだ!! 相方の涼原を見習え~!!」
「ゲッ!! 堀井!!」
校門を越えた辺りで座り込む匠を捕捉した堀井が走り出す。それを見た匠は立ち上がると弁明しながら校舎の入口目指して全速力。
「しゃーないでしょうが!! 昨日のシフト、一人だったんだからよ!!」
「問答無用!! あと呼び捨てにするな!! 堀井先生と呼べ!!」
外では匠と堀井の鬼ごっこか開始されていた。俺とティアナ、そして学校の生徒全員は笑いながらそれを見ていた。
◇
アルティデビル基地内、バアルギルディの部屋。
この部屋の主、バアルギルディは自らのパソコンの画面を真剣な表情で見つめていた。
「これがかの有名な……」
その表情はバアルギルディの好きなジャンルのエロゲーを楽しんでいる物ではない。もっと真剣な物だ。
「バアルギルディ殿、失礼しますぞ」
老人特有のしわがれ声が聞こえると同時に部屋の入口が開き、外から一体のエレメリアンが入って来る。声の主人はバアルギルディの理解者の一人、アガレスギルディだった。
「誰かと思ったら君か、アガレスギルディ」
バアルギルディはその存在に気づき、パソコンの画面から目を離してアガレスギルディに向き直る。
「皆が言っていましたぞ。なんでもここ最近、バアルギルディ殿がずっと扉を全開にしてエロゲーをプレイしていたと」
「あれは血の気の多い馬鹿のおかげで壊されたからであってだね……」
バアルギルディはこんなことを言っているが、そもそも扉が無くなり音が周囲に聞こえるのならヘッドホンやイヤホンをつけて周りに聞こえぬようにプレイすればいいだけである。
アガレスギルディはその事をそっと胸の奥にしまいこんだ。
「で、今は何を見ていたのじゃ?」
「あーこれか」
バアルギルディはパソコンの向きを変えてアガレスギルディにも見えるようにした。
「これは……テイルバイオレット、いや、テイルレッド……」
アガレスギルディの目に飛び込んできたのは、テイルレッドが
「先程、ハーゲンティギルディの部屋の片づけをしていたら見つけた物だ。これはアルティメギルが撮影したテイルレッド及びツインテイルズの戦闘映像らしい」
『ぐおああああああああ!!』
画面にはテイルレッドが必殺技、グランドブレイザーをトカゲ型のエレメリアンに放つ映像が映っていた。
それを見たアガレスギルディはテイルレッドの持つツインテールの輝きに目を奪われる。
「これは凄い……よく手にに入れましたな」
「私もこうやって実際の映像を見る機会は少ないのでね。これは中々いいものだよ。ま、肝心のハーゲンティギルディはこの映像を加工してオリジナルビデオを作製していたようだけどね」
ちらりと部屋隅のゴミ箱を見るバアルギルディ。その視線の先、ゴミ箱の中にはハーゲンティギルディ製作の『空想戦姫テイルレッド』が乱雑に突っ込まれていた。
「そんなことよりもアガレスギルディ、これを見てくれないか」
バアルギルディはマウスを操作し、画面を切り替える。そして、次に映ったのはテイルレッドではなく、その仲間であるテイルブルーだった。
「これはかの有名なテイルブルー……!! 噂で、貧乳王国の姫で恐るべき獣の心を持った蛮族だとか言われているあの……!!」
アガレスギルディは思わず身震いした。それほどまでにテイルブルーには迫力があったのだ。
そんなアガレスギルディとは違い、バアルギルディは嬉々と語りだす。
「どうだいアガレスギルディ。素晴らしいとは思わないか、このテイルブルーから発せられるツンデレの波動が……!! テイルバイオレットほどては無いものの中々だよ。これは」
画面上ではテイルブルーがエレメリアンを血祭りあげていた。
どこがツンデレなんだ……。アガレスギルディはツッコまずにいられなかったが、嬉しそうなバアルギルディに悪いと思い、グッとこらえる。これが年長者としての務めなのだど言い聞かせながら。
「あーそうそう。そう言えば何故、ここに来たんだい。何か別に用があったのだろう?」
嬉しそうに画面に食いついていたバアルギルディはアガレスギルディに向き直る。
「いや、特にこれといった物ではないのじゃ。先程、プルソンギルディが出撃の権利を得たということを報告にきただけじゃ」
「プルソンギルディ……確か彼は
その時だった。バアルギルディは何か得体の知れない感覚を感じ取った。その感覚はテイルバイオレットが誕生し、アンドラスギルディがやられたのを感じとった物と同じであった。
「アガレスギルディ。これは私の勘なのだが、もしかすると何か新たな力が目覚めるかもしれない……いや、復活するといった方が正しいのか……?」
「それはどういう意味なのじゃ?」
「わからん。だが私の勘は必ず当たる。皆には警戒するようにと伝えた方がいいかもしれないな。正直、私は楽しみで仕方ないがね」
バアルギルディはまだ見ぬ新たな力の予感を楽しむのであった。
伏線張り過ぎて回収しきれるか少し不安になってきました。
一応、この作品は見切り発車ではなく最終回までの大まかなプロットはできてはいるのでご安心ください。