俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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あけましておめでとうございます。
新年いきなり回想中心の話ですが、よろしくお願いします。


第28話 12年前の軌跡 

「え……」

 

 驚愕に染まった表情のまま、氷のように固まる先生。心なしか周囲の空気まで凍りついた気がする。

 

「もう一度、言います。先生は12年前に属性力(エレメーラ)を守るためにエレメリアンたちと戦っていましたね?」

 

 黙り込む先生に対し、ダメ押しとばかりにまくしたてる悠香さん。1分前までのおちゃらけてふざけている姿が嘘のようだ。

 

「確かな証拠はありません。ですが、先生はシャイニーブルームやエレメリアンに関することを他よりもよくご存知であると我々の調査結果で出ています」

 

「な、なに言っているの……? 先生の世代はシャイニーブルームのことを応援していた子が多いかったから、私も他よりもよく知っているだけで……」

 

 そりゃあ、そういうわな。先生の言い分も筋は通っている。でも、このよそよそしい感じは何かを隠していやがる証拠だ。悠香さん、あんたはどうやってそれをゲロさせるんだ……?

 

「シャイニーブルームやエレメリアンのことを少しばかり知っていたからと言って、私がシャイニーブルーム本人だなんて……」

 

 その時、悠香さんの口が二ヤリと歪んだ。まるでしてやったりといった風に。

 

「あら? 先生は属性力やエレメリアンって単語に特に疑問は抱かないのですか? それはおかしいですね。だってこの言葉は一般に全く通じていないのだから」

 

 俺とティアナ、そして先生と悠香さん以外の誰もが息を呑み、ハッとする。

 

「怪物、もしくはアルティメギルと呼ばれるのが普通ですよね? 過去の資料をかなり漁りましたが、エレメリアンって単語は出てきませんでしたよ。なのに先生は全く疑問を持った様子がない。それっておかしくないですか?」

 

 確かに悠香さんの言う通りだ。世間的にエレメリアンは怪物かアルティメギルのどちらかとしか言われていない。俺含めてエレメリアンって単語に違和感が沸かない奴はエレメリアンに対して何か関係のある証拠だ。

 

「それに属性力なんかもってのほかですよ、先生」

 

 笑顔を浮かべながら言葉を紡ぐ悠香さんに先生は圧倒されていた。この状況、将棋で例えると王手といった所か。

 それにしてもすげぇよ悠香さん、あんたは。先生にカマかけるとはな……!!

 小細工抜きの真っ向勝負とか何とか言ってたのによ。

 

 数秒の沈黙ののち、先生の口が動きだす。

 

「……やっぱり、気づいちゃったのね。そう、私は12年前、アルティメギルと戦った魔法少女シャイニーブルーム、その人よ」

 

「マジかよ……」

 

 何となくわかってはいたが、この事実には驚いてしまう。まさか、こんな近くにいたなんてな……

 チラッと隣を見るとティアナがドヤ顔をかましていやがった。お前、俺が否定したこと根に持っていたのかよ。

 すげぇムカつくのにちょっと可愛いと思ってしまう自分を殴りたい。

 

「皆の記憶が戻っていくにつれ、いつかこうなるんじゃないかと思ってはいたけど、まさかあなたたちとはね」

 

「あたしたちだからですよ。テイルバイオレットとその協力者であるあたしのね」

 

「というと……もしかして橘さん、あなたがテイルバイオレット!?」

 

 先生の回答はほぼ正解だけど、ちょっと違うんだなぁこれが。

 

「私じゃなくて、テイルバイオレットはこっちです」

 

 ティアナが俺を指さして先生に伝える。だが、先生は未だに理解できていないようで、ポカンとしている。

 こいつは見せないといけない空気かぁ? まぁ覚悟はできてっけどよ。

 そう思った瞬間、俺の腰にテイルドライバーが現れた。よく見るとティアナのテイルブレスが光を放っている。戦う訳でもなくただ見せる為に変身するのはこれで二度目だが、まぁ今回は仕方ない。

 

「テイルオン」

 

 いつもよりも少し気怠い言い方で変身コードを口にし、テイルドライバーの起動スイッチを押す。俺の体はたちまちに青紫の光に包まれる。

 

「ほらよ、俺がテイルバイオレットだ」

 

 青紫の光の繭からテイルバイオレットと変身した俺が現れ、高く変化した声で喋りそれを証明する。

 テイルバイオレットとなった俺の姿を見て先生の顔はみるみるうちに変化し、驚愕する。

 

「えぇーー!? 涼原君が!? テイルバイオレッ――」

 

「ストップストップ!! 声が大きいって!!」

 

「誰かに聞かれちゃ不味いでしょ!!」

 

 ティアナと共に咄嗟に飛びついて先生の口を手で塞ぐ。いくらこの場に俺ら以外誰もいないからと言って流石に大声で叫ばれるのは不味い。昨日の騒ぎもあるから余計にな。

 悠香さんに周囲に誰もいないかを改めて確認してもらった後に先生を解放する。

 

「けほっ……けほっ……ご、ごめんね。うっかりしていたわ」

 

 先生は一呼吸置いて落ち着きを取り戻す。

 俺も変身を解除した。うっかり誰かに見られるとヤバいし。

 

「まさか、涼原君がテイルバイオレットだなんてね……」

 

 今度はさっきまでの大声とは違う落ち着いた物だった。

 先生が落ち着いたことを確認したティアナが本題に入り始める。

 

「先生は昨日、和輝を助けてくれた……ですよね。助ける力があるのならどうして自分で戦わないのですか? どうしてツインテールにしないのですか?」

 

「それは……」

 

「先生、俺たち知りてぇんだ。12年前に起きた戦いと出来事。あんたの身に何があったのかを……さ」

 

 先生の顔は今の天気(そら)のように曇っていた。12年前に何か辛かった出来事があったことがすぐにわかった。

 先生は話したくはないのだろう。だが、それでも俺たちは聞かなければならない。心のモヤモヤはなくさねばならねぇからな。

 

「「先生!!」」

 

「いきなり人の思い出を土足で踏み荒らすのは悪いことだし、辛かった事を掘り返して聞きだすのはジャーナリストとして恥ずべき行為なのは重々承知しています。それでもあたしは聞きたいんです。だからあたしからもお願いします」

 

 数秒の沈黙の果て、重々しい空気の中で先生の口がゆっくりと開く。

 

「……わかったわ。12年前、10歳の私がアルティメギルと戦っていた日の事を――」

 

 

 

 

 2004年、2月2日。

 その日は清々しいまでの快晴であった。2月ということあって気温は10度を下回り、晴れているというのにかなり寒い。昼過ぎの通学路、学生たちは皆思い思いの防寒具を着込むことで、学校から自宅までの辛い時間を乗り切っていた。

 中高生が寒さに震えるそんな中、小学生たちは皆寒さに負けず走り回り遊びながら自宅を目指している。まさに子供は風の子元気の子という言葉がしっくり合う。

 

「はなちゃん待って~」

 

「いやだよ~こっちまでおいで~」

 

 当時小学4年生、数ヶ月後には5年生となる山村華もまた、他の小学生たちに負けずに元気よく、友達である大西真衣と追いかけっこしながら帰り道を走っていた。

 

「はなちゃん、速すぎるよ~」

 

「しかたないな~もう」

 

 何とも微笑ましい光景ではないか。年端もいかない少女二人が互いに背負ったランドセルを揺らしながら笑い合う。この場にロリコンがいるのならきっと尊すぎてぶっ倒れているであろう。

 寒くならぬように身を寄せ合いながら帰り道を歩く。二人は分かれ道にさしかかった。

 

「じゃあ、まいはあっちだから」

 

「うん、じゃあまた明日ね。バイバイ~まいちゃん」

 

「はなちゃんもバイバイ~」

 

 真衣と別れたことでまた元気よく帰り道を走る華。そんな時、脇道でラーメン屋台を押している男性を見て、一瞬で足を止めて方向転換し、近寄り声をかける。

 

「ラーメンのおじちゃん。こんにちは!!」

 

「おう、誰かと思ったら華ちゃんかい。こんにちは」

 

 それは若き日の梅太郎であった。まだ、梅太郎の髪の毛は薄っすらではあるが残っており、若々しさが感じられる。

 

「華ちゃん、今日も可愛らしい髪形してるじゃねぇか。親御さんにやってもらってんのかい? ツインテール(それ)

 

「ううん、華は大人だから一人でやってるんだよ」

 

「へぇー大人なのにツインテールかい。変な話だな」

 

 梅太郎の言うことは一理どころか、二理ある。ツインテールという髪型はマイナーもいい所であり、ましてや子供の髪型ということもあって成人した大人がプライベートでする髪型ではない。

 

「別にいいの!! 華はいつまでもツインテールにするんだから!!」

 

 華はツインテールが好きだった。初めはお母さんに結んでもらった一髪型に過ぎなかったのだが、結んでもらう度にどんどん気に入り、今じゃこの髪型以外の髪型をしているのはお風呂上りか寝る前くらいだろう。それくらい華はツインテールを気に入っていた。

 

「ごめん、ごめん。そんなに怒らないでくれよ」

 

「じゃあ、今からラーメンごちそうしてよ。そうしたら華、許してあげる」

 

「おっとその手には乗らねぇぜ」

 

 小学生の機嫌を直すためとはいえ、ラーメンを無料で食べさせてあげるほど甘い梅太郎ではない。12年後の片鱗が見え隠れする。

 

「ちぇーケチ」

 

 口を尖らせてブー垂れてみるも梅太郎には効果はまるでない。流石の華もこれには諦めシュンとする。

 

「まぁ、また今度、親御さんと一緒に食べに来な。飛び切り美味いラーメンを食わせてやるよ」

 

「ほんと!?」

 

「ほんともほんと。おじさんは嘘はつかねぇよ」

 

「絶対、絶対!! 絶~~~対!! だからね!!」

 

「おう!! 任せておけ」

 

 話は纏まったこともあり、華は梅太郎にバイバイと別れの言葉を告げながら別れる。別れた後の華はとても上機嫌であり、揺れるツインテールがいつも以上に輝いていた。

 華は近道とばかりに神社を通り抜けようとした。本堂の脇を通過したその時、華の頭に声が聞こえてきた。

 

『お願い……誰か……』

 

「だ、だれ!?」

 

 小さな男の子の声がノイズに混じりながら機械を通しているかのように聞こえてくる。それはまるで誰かに助けを求めているかのようだった。華は周囲を見渡すが、誰もいない。見えるのは、神社の本堂と雑木林。

 華は直感した。この雑木林の先に自分を呼ぶ声の主がいるということを。

 

『誰か……気づいて……』

 

「待ってて、今行くからね」

 

 あまり管理が行届いていない草木を掻き分けながら聞こえてくる何かを探す。だがいくら探しても声の元は見つからない。

 華は腹の底から声を出し、見えない何かに問いかける。

 

「どこ? どこなの? あなたはどこにいるの?」

 

 すると、

 

『やった!! ついに気づいてくれた!! 僕はここだよ!! 時間がないから早く早く!!』

 

 今度は頭ではなく草むらの影から声が聞こえてきた。

 時間がない。そう言われたこともあり華は急いで声のした場所を探す。そして、華の目は緑に光る何かを捉えた。

 

「もしかして……これが華を呼んだの?」

 

 華の手に握らていたのはキラキラと緑に光るクリスタルがぶら下がるペンダントだった。クリスタルには何かのマークが刻まれていた。

 華の頭に?が浮かんだ瞬間、クリスタル部分が眩く発光する。

 

「わぁっ!? 何!?」

 

 光が止み、眼を開けると小さなドラゴンがちょこんと目の前に座っていた。ドラゴンと言っても西洋ファンタジーに出てくる獰猛な姿とは違い、どちらかと言うと魔法少女アニメなどのマスコットにありそうな可愛らしくデフォルメされた姿だ。眼は宝石のようにキラキラしていて、頭に生えている角がツインテールを表しているようにも見えるし、皮膚に黄緑の毛が覆っていて手触りは良さそうだ。ぬいぐるみのような可愛いさがそこにはあった。

 

『そうだよ!! 僕が君を呼んだんだ!! この世界で最も強いツインテール属性を持つ君を!!』

 

「しゃ……しゃべった!?」

 

 華は驚いた拍子でこてんと尻もちをつく。そのこともあり、後半の部分は頭に入っていなかった。

 

『僕の名前はティル。君は?』

 

 お構いなしに名を尋ねてくるティル。華は驚きながらも答える。

 

「華、山村華……」

 

『華……か。いい名前だね!!』

 

 あまりの急展開に華は自分の頬をつねって見せるが、感じるのは痛みだけ。つまりこれは紛れもない現実なのだ。

 

「す……すごい。夢じゃないんだ……」

 

『そうだよ。これは夢じゃない。現実さ』

 

 初めは混乱していたが、段々とこの状況に慣れつつあった。これはまだ、華が10歳も満たない小学生の子供だったということが大きい。日頃、憧れながら見ているアニメのような展開が目の前で起きている。それは子供にとって夢のような展開だ。

 女子の憧れを形にした神秘のアイテムに助けを呼ぶマスコット、ここまでテンプレがそろえば次に来るのは当然あれだ。華は理解した。

 

『突然だけど、華にお願いがあるんだ!! 僕と一緒に戦ってくれないかい? ツインテールを守るために!!』

 

「わかった!! ……ってツインテール……?」

 

 マスコットの妖精と出会ったことで魔法少女として覚醒し、困っている人たちを助けていく。そんな魔法少女アニメでよくあるお約束のテンプレ展開。華は迷うことなく返事をしたが、あれ? と言った後で首を傾げた。 

 ツインテールを守るため……? 魔法少女として何かと戦うにしても普通、悪から人々を守るためと言うんじゃないの? 華は意味がわからなかった。

 

『すまないけど説明は後。今は一刻を争う事態なんだ。とにもかくにも行こう!! シャインペンダントを手に取って!!』

 

 シャインペンダント? 華は何となくではあるが、ティルがさっきのペンダントのような物を指していることは察した。

 驚いた拍子で落としていたシャインペンダントを拾い手に取った。すると緑の光が華を包み込んだ。

 光の中、華の纏っていた服や背負っていたランドセルが霧散していく。そして緑の光が華の幼い体に集めり、華やかでファンシー、それでいて動きやすいように過度な装飾はない魔法少女らしいドレスを形成していく。首から下の変身が終わると次に華の黒い髪の毛が鮮やかな緑に変わっていく。普段、華のツインテールを結んでいるヘアゴムは花びらを模した装飾が特徴のバレッタに形を変わる。仕上げにシャインペンダントを首にかける。

 光の中から解き放たれた時、華の変身は完了していた。

 

「すごい……華、本当に変身しちゃった……」

 

 華は興奮を抑えようとするが、いざ変身してみると歓喜と困惑、そして驚愕で声が出なくなる。

 テレビの画面越しに見ていた非現実が現実となって目の前に起きているのだ。無理もなかった。

 

『おめでとう! 魔法少女シャイニーブルームの誕生だ!! これでエレメリアンからツインテールを……属性力(エレメーラ)を守ることができる!!』

 

「名前はもう決まっているんだね……」

 

『シャインペンダントからシャイニー、華だからブルームさ。いい名前だろ?』

 

「いい名前だとは思うけど……ってそれよりもエレメリアンって言うのが敵なの? 後、属性力(エレメーラ)って何……?」

 

『そういうの含めて説明したいのは山々なんだけど、今はとにかく急がないといけないんだ!! さぁ!! 行こう!!』

 

「行こうってどこに? 華、わからないよ?」

 

 ティルの興奮は華のそれを上回っており、テンションの差が激しい。冷静にツッコミを入れる魔法少女とその相棒のマスコット。

 華は内心、これでいいのかなと心配になる。

 

『大丈夫!! そのために僕がいるんだ!!』

 

 ティルは現れた時と同じように眩く発光する。余りの眩しさに華は目を閉じる。そして目を開けたときにはティルの姿はどこにもなかった。

 華はキョロキョロと辺りを見渡した。

 

「あれ? ティル? どこにいっちゃったの?」

 

『ここだよ。ここ』

 

 首にかけているシャインペンダントのクリスタル部分が緑に光る度にティルの声が聞こえてきた。

 

『僕は普段、この中に入って華のアシストをするんだ。よろしくね!!』

 

「よろしく……って結局、エレメリアンってのはどこにいるの……?」

 

『おっとそうだった。今から頭に座標を送るから』

 

 それとともに華の頭にビジョンが流れ込んでくる。ショッピングモール内で暴れる黒いタイツを着たかのような変な怪人の集団と、リーダーのように指示を出す柴犬のような怪物。何処かも知らないはずのショッピングモールだというのに位置が手に取るようにわかる。

 

『さぁ!! 行こう!!』

 

 力が湧きあがってくるのが感じる。華は跳びあがった。すると雑木林内で最も大きい樹木をも飛び越えて空に舞い上がる。

 

「す……すごい……!!」

 

 華……いや、シャイニーブルームはエレメリアンと戦うために空を駆ける。これがこの世界でツインテールの戦士が誕生した瞬間だった。

 この後、エレメリアンと対峙した華はその生態と変態性を知って色んな意味で困惑するのであった。

 

 

 

  

 現在、2016年6月2日木曜日。

 少子高齢化の影響もあって近々廃校になることが決まり、もう誰もいない中学校。

 まだ、取り壊しの工事も行われていないそんな中学校の保健室。本来なら体調の悪い生徒が寝る為のベットにはライオンの頭を持ったエレメリアン、プルソンギルディがゴロゴロと寝転がっていた。

 プルソンギルディは昨日のテイルバイオレットととの戦いの最中、謎の緑の光に胸を貫かれた。現在はその時に負った傷を癒すためにこの場に潜伏しているのだ。

 

「はぁ~やはり保健室というのは落ち着くな。校則という厳しい縛りの中で唯一生徒が羽目を外し、くつろげる楽園とはまさにこの場所こそ相応しい」

 

 威圧感漂うバリトンボイスで何を言っているんだ。第三者がいれば困惑すること間違いなしの光景が広がっていた。

 

「これで美人でおっぱいがデカくてエロい養護教諭の先生もいれば完璧なのだがな……」

 

 保健室には必ずセットで養護教諭の先生がいるものだが、廃校になってしまったこの場にはそんなものあるわけがない。ましてや、こんな下心丸出しの異形の怪物など誰も相手にはしたくないだろう。

 そんな中、保健室のドアがガラガラと開けられる。プルソンギルディはまさか本当に……と期待に胸を躍らせながら傷ついた体を起こし、保健室の入口を見つめる。しかし、そこにいたのは……

 

「ここにいたのか……探したぞ。プルソンギルディ」

 

「なんだよ……お前かよ……期待させやがってバアルギルディ」

 

 落胆するプルソンギルディを見てバアルギルディは頭に?を浮かべる。何か悪いことでもしたかと胸に手を置き考えるが答えはでない。

 

「で、何しに来やがった。まだ、俺の時間のはずだぜ」

 

 アルティデビルのルールの一つ、現在出撃しているエレメリアンが倒されるまでは他のエレメリアンたちは出撃することは禁ずる。

 発案者でもあり、全体のリーダーでもあるバアルギルディは過度に手を出さなければ、特別に出てくることが皆からも許されているはいるものの、プルソンギルディからすればあまりいい気にはならなかった。

 

「現状の確認とちょっとした警告をしにきたってだけだよ。君の癇に障るようなことはしないと約束しよう」

 

「警告だと……? 何かあったのか?」

 

「テイルバイオレットか何かはわからないが、どうやら新しい力が目覚めようとしているのだよ」

 

 プルソンギルディの脳裏に昨日の出来事が浮かび上がる。ツインテールをしているわけでもないのに高いツインテール属性を持つ謎の教師、胸を貫いた緑の光。

 

「一応聞くが、それも貴様のよく当たるという自慢の勘か……?」

 

「流石だな、ご名答。私の勘だ」

 

 昨日のことがある為にプルソンギルディはバアルギルディの発言を否定しようとはしない。寧ろバアルギルディの予知にも近い勘に震えてしまう。

 

「それにしてもその傷は……」

 

 バアルギルディはプルソンギルディの胸の傷を見て言った。

 

「なぁに大した傷ではない。かすり傷といった所だ」

 

 プルソンギルディは昨日の出来事を教えたくはなかった。今は及ばないがいつかバアルギルディを蹴落とし、アルティデビルを率いる為にも、バアルギルディに少しでも情報をあまり与えたくはなかったのだ。

 

「とりあえず貴様は基地に帰って俺の凱旋を待つのだな。貴様が愛するテイルバイオレットはもう倒したも同然なのだからな」

 

 そう言い残すとプルソンギルディは保健室から出て行った。

 

「さてと、どうする? 我が愛しのテイルバイオレット。そしてこの世界のどこかにいるはずの魔法少女シャイニーブルーム……いや、元シャイニーブルーム」

 

 一人残されたバアルギルディはそう呟いた。




冷静に考えてみると原作のあの作戦ってかなりキツイ作戦な気がする。
次回はかなり暗くなりそうな予感……
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