俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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第33話 ツインテール・トレーニング

 河川敷にて、弾かれたウインドセイバーが宙を舞い、地面に突き刺さる。

 

「勝負あったな、テイルバイオレット」

 

 黒い馬の首から上が、ファンタジーでお馴染みな中世ヨーロッパの騎士に置き換わったケンタウロスの騎士といったエレメリアン、キマリスギルディが仰向けに倒れ込む俺の首元に突撃槍(ランス)を突き付ける。

 野郎の目が甲冑越しで、赤く光っていやがる。勝ちを確信しているのがよくわかるぜ。

 

「最後だ。勝利した吾輩のために「くッ、殺せ」の一言でも言ってはくれぬか?」

 

 騎士属性(ナイト)を持つキマリスギルディが所望する言葉などわかりきっていた。

 エロゲーやエロ漫画で敵に敗北し、捕まった女騎士が辱めを受ける直前で言い放つお約束のテンプレだ。余りに有名すぎて近頃は完全にネタ扱いになっている気もするが、エレメリアン(こいつら)たちにとってはそれが好きで好きでたまらなねぇんだろうな。

 

「誰が言うかっつーの……!!」

 

「負けを認めぬその精神は褒めてやるが、お主もツインテールを守る騎士の一人ならば負けを素直に認めよ。それもまた騎士道なのだぞ」

 

 要求を呑んでくれなくてため息をつくキマリスギルディ。

 しまいにゃ俺に騎士道は何たるかを説いてきやがった。女性があられもない様にあっているシーンでハァハァ興奮してやがるだろう変態が、何いっちょ前に騎士道精神を語ってやがんだよ。反吐が出る。

 

「女の俺に手ぇ出してる癖によくもまぁ騎士道なんざほざけるもんだぜ」

 

「吾輩はか弱い女性には手を出さぬが、お主のような戦う者には別なのだ。戦士として騎士として正々堂々戦い属性力(エレメーラ)を貰い受けるのが礼儀であり我が騎士道」

 

 やっぱしこれくらいで引き下がる野郎じゃねぇか。まぁ、普段は男の癖にこんな時だけ女面して罵っている俺もどうかとは思うけどよ。

 キマリスギルディは首元に突き付けていた突撃槍を引っ込めると、属性力を奪う金属の輪っかを召喚し俺に狙いを定める。

 1週間前くらいの俺ならこんな絶体絶命の大ピンチ、とっくに諦めていただろうぜ。だが、今は違う。

 

「そこまでよ!!」

 

「この声はまさか!?」

 

 キマリスギルディは金属の輪を引っ込め、声のした方角である河川敷の上、堤防を目を向ける。その方向では緑のツインテールをたなびかせた戦士が夕日をバックに堂々と立っていた。

 

「愛と正義のツインテール戦士、テイルブルーム。なびく髪に誓ってあなたを倒します」

 

「やはりお主か!! テイルブルーム!!」

 

 過去にこの世界でアルティメギルと戦っていた魔法少女シャイニーブルームが新生し復活した戦士、テイルブルーム。今の俺たちの頼もしすぎる味方だ。いくらでも授業はサボれるし、四六時中ティアナといるからすぐにエレメリアン撃破に動ける俺とは違って、教師としての仕事が多い上、ティアナの連絡を受けないとエレメリアンを探知できない為に出撃が遅れてしまうのが玉に瑕だ。

 テイルブルームは河川敷に続く階段をゆっくりと一段一段降りていく。そして、キマリスギルディと相まみえる。

 

「ここからは私が相手をするわ」

 

「よかろう、ならば正々堂々勝負だ!!」

 

 キマリスギルディは突撃槍と円形の盾を構える。その行動に応えるようにテイルブルームはフォースリヴォンに手を当て、グランアローを召喚。

 一呼吸置いた後、互いに距離を一気に詰めて武器を振るう。グランアローの弧についている刃がキマリスギルディの突撃槍と激しい音と共にぶつかり合い火花を飛ばした。

 

 

 

 

『タイタニッククラッシャー!!』

 

 テレビ画面ではグランアローを完全開放(ブレイクレリーズ)し、力一杯敵を叩き斬るテイルブルームのもう一つの必殺技、タイタニッククラッシャーがキマリスギルディの武器と鎧もろとも粉々に粉砕し爆発させていた。

 俺は現在、朝のワイドショーにて昨日の戦いのVTRを見て振り返りながら朝ごはんの箸を進めている。

 

「にしても、めっきり減っちまったな。こういうVTRも」

 

 今までエレメリアンと戦う場所がテレビ局などのマスコミ側やそれ以外の民間人に知られた場合は皆こぞってカメラを持ち込みその様子を撮影していやがったが、プルソンギルディ戦の後はかなり数を減らしており、今じゃわざわざ現場まで熱心に俺たちの戦いを追っているのは今見ている番組など数はかなり限られる。やはりというか、プルソンギルディが街中で巨大化し大暴れしたことの衝撃はかなりデカかったのだろうな。

 先生の話によるとアルティメギルのエレメリアンは街中でここまで派手に暴れはしなかったとのことだ。まぁ、アルティメギルはツインテール属性の拡散を目的としていたらしいから、あまり派手に暴れて恐怖を与えすぎることは避けたかったのかもしれねぇけどよ。

 

『テイルブルームはテイルバイオレットとどういった関係なのでしょうか? 巷では姉妹との意見が最も有力とされているようですが』

 

 司会のおっさんがスタジオの画面に表示されたアンケートグラフを見てコメンテーターたちに個々の見解を求めていた。ちなみに表示されたアンケート結果は姉妹が69パーセント、親子が22パーセント、歳の離れた友達が8パーセント、実は敵およびその他が1パーセントだ。

 

『私も姉妹関係だと睨んでいます。そもそもテイルブルーム自体が12年前に戦っていたとされるシャイニーブルームと同一人物ではないかと思いますので、そう考えると姉妹というのが妥当かと』

 

 筋は通っているし半分は当たりではあるが、答えはそうじゃない。まぁ、ぜってーわかりっこないけどな。教え子と教師の関係だなんてよ。

 

『いやいや、やっぱり親子でしょ。僕はそっちのほうがいい』

 

「そっちの方がいいってなんだよ、おい」

 

 このおっさんは人妻属性でも持ってやがるのか? と勘ぐってしまう。てか、絶対にそうだろ。そうに違いねぇ。

 そう考えながらトーストを食べ終えた時、朝のリビングではまず聞くことが出来ない声が聞こえてくる。

 

「ほんっと、このクソ生意気な感じがあんたそっくりだよ」

 

「珍しいこともあるもんだぜ。ばあちゃんがこんな早く起きてくっとはよ」

 

 年寄りは早起きするのが常識だが、うちのばあちゃんは違う。寝るのが深夜3時を過ぎで起きるのは昼過ぎの3時は当たり前だ。

 全く、いい歳こいてどんな不健康な生き方してんだよ。こんななのに病気一つかからないくらいピンピンしているのが不思議でたまらねぇぜ。

 

「今日、雪でも降んじゃねぇの」

 

「馬鹿言うんじゃないよ。こんな天気で雪が降るかい」

 

「そういう意味じゃねぇっつーの」

 

 どうやらばあちゃんは皮肉の一つもわからねぇようだ。

 寝起きということもあって、ばあちゃんはいつものキッチリとした正座ではなく、極道映画に出てくるガラの悪いヤクザたちの親分のようにソファにドサッと座った。後はスーツを着てタバコでも咥えれば完璧だなこりゃあ。

 

『それしても最近、テイルバイオレットはあまり活躍できていないですね。何というか苦戦しているのが目立っているというか……』

 

 司会のおっさんの声を耳がキャッチ。ばあちゃんではなくテレビの方に意識が向いてしまう。

 

『さっきの映像でもテイルブルームが駆け付けないのと危なかったですしね~』

 

 テイルブルームが参戦してから約1週間、昨日のキマリスギルディ合わせてすでに4体のエレメリアンと戦ったが、正直いってどのエレメリアンとも満足に戦い勝つことが出来なかった。どの戦闘でも、昨日の戦い同様、俺は敗北一歩手前の窮地に陥り、テイルブルームにピンチを救われた。

 

『大人なブルームの方が好きな私からすれば、これからもバイオレットはブルームに頼ってほしいですけどね~』

 

 いや、このまま先生(テイルブルーム)に頼り過ぎてはダメだ。俺も負けないくらいもっと強くならないといけないんだ。じゃなきゃ共に戦うティアナに申し訳がたたねぇ。

 

「随分と辛気臭く悩んでいるとこ悪いけど、急がなくていいのかい? もうすぐあんたの彼女が来る時間だろ? 好きな娘を待たせるとか男として失格だよ」

 

 何!? と驚きながら時計を見ると確かにもうすぐでティアナがやって来る時間だ。ヤベェ、このままじゃ遅刻しちまう。

 てか、どうしていつもこの時間寝ているばあちゃんがティアナが来る時間を知ってんだよ。後それにな……!!

 

「てかな……ティアナと俺はそんな関係じゃねぇんだよ!!」

 

 朝ごはんの後片付けを手早く済ませると制服を片手に急いで洗面所に向かった。

 

 

 

「全く……相変わらず素直じゃないねぇ。顔を真っ赤にして何言ってんのさ」

 

 和輝の知らぬ所で文子は呆れながらも意地悪そうな笑みを浮かべるのだった。

 

 

 

 

 ここは次元と次元の狭間、人間では観測することなど出来ぬ神秘の空間に存在するアルティデビルの秘密基地。今日も基地内の大ホールでは二週間前から参戦したテイルブルームの話題で持ちきりであった。

 スクリーンにはテイルブルームの画像が画面一杯に所狭しと表示されており、大半がそれに釘付けだ。

 

「テイルバイオレットにはないこの大人の魅力……!! やはり素晴らしい……!!」

 

「胸が大きいというのはやはり正義か……」

 

 ブルームはバイオレットと比べて、胸がかなり大きい。巨乳派のエレメリアンたちがブルームの方に流れていくのは自然の通りであった。

 アルティデビル基地内、一部のエレメリアンたちの間ではバイオレット派とブルーム派で派閥が生まれようとしていた。男勝りで乱暴だが、それがまたいいとバイオレット派は主張し、ブルーム派は大人の魅力、母性に溢れているのがいいとブルーム派は主張している。

 

「無駄な争いも何も起きなければいいのだがな……」

 

 その様子を見て、バアルギルディはため息をつく。

 まだ発足して日も浅いアルティデビル、明確なボスが存在せず、皆が同格として手を組んでいる集団のために一度内乱が起きれば組織として機能がしなくなる。これではアルティメギルの後釜としてエレメリアンたちの間で君臨するなど土台無理な話だ。

 実の所、先日敗れたプルソンギルディを始めとする大半が心の奥底に成りあがる為の野心を抱え隠しながらこのアルティデビルという組織に参加しており、本当の意味での仲間意識はかなり低い。

 それを知らぬバアルギルディは再び大きくため息をついた。

 

「新しい戦士の登場がこうも波乱を呼ぶとはな……」

 

 ブルームが現れる前は登場を察知し、その強さやツンデレ具合を楽しみにしていたのだが、今はそんな気分にはなれなかった。一応、これにはブルームからはツンデレの波動が全く感知できなかったことで興味を早々に失ったことも大きい。

 そんなバアルギルディの下に一体のエレメリアンが声をかける。

 

「バアルギルディの坊や」

 

「君か……グレモリーギルディ。何の用だ」

 

 グレモリーギルディは今まで和輝たちが戦ってきたエレメリアンとは全く異なる体が特徴だ。体のラインは筋肉溢れるゴツゴツとしたものではなく、しなやかで滑らか。大胸筋などでは決してありえない、魅惑の双子山。そう、グレモリーギルディは女性のエレメリアンだ。

 紫のボンテージを身に纏ったピンク肌の女エレメリアン、グレモリーギルディ。ウェーブのかかった蒼髪が目元を隠しているため、口元でしか表情はわからない。背中から生える小さな蝙蝠の羽とスイカのように大きな尻のやや上から生えている尻尾が悪魔らしさを強調している。

 いつになく低く、不快感を露わにしながらバアルギルディは声をかけてきたグレモリーギルディを睨んだ。

 

「あらあら、随分手厳しい態度を取ってくれるじゃないバアルギルディの坊や」

 

 細くしなやかな指でバアルギルディの顎を撫でるグレモリーギルディ。バアルギルディの嫌悪感を全く隠さずにそれを振り払う。傍から見てもバアルギルディがグレモリーギルディを嫌っているのなんて一発でわかる。

 

「さわらないでくれたまえ……!!」

 

「フフッ 可愛いわね」

 

 バアルギルディの言葉や態度をどこ吹く風とばかりにからかうグレモリーギルディ。普段は声を荒げず冷静なバアルギルディも段々と冷静さを失っていく。

 

「だから何の用だ……!! 私が君の属性を嫌っているのなど知っている筈だ。ようがないなら構うのはよしてもらおう」

 

「フフッ 用なんてないわよ。ただ、今回の出撃は私に決まったから、リーダーぶってるあなたに伝えに来たまでよ。どうせ聞いてなかったのでしょう?」

 

 この場にいながら今回出撃する同胞の名を聞き逃すとは、バアルギルディも余程深く考え込んでいた証拠であった。

 からかい終え、大ホールを後にしようとするグレモリーギルディにバアルギルディは低く険しい声で忠告を入れる。

 

「くれぐれもフェネクスギルディのような真似はせず、我々の使命を忘れぬように行動をしてくれたまえよ」

 

「口を酸っぱくしなくてもわかってるわよ。究極のツインテールに匹敵するツインテールの奪取でしょ?  やり方は好きにさせてもらうけどね」

 

 フフッと妖しい笑みを浮かべながらグレモリーギルディは大ホールを後にした。

 元の位置に戻るバアルギルディに事を目撃していたアガレスギルディが声をかける。

 

「バアルギルディ殿……どうしてそこまでグレモリーギルディを嫌悪するんじゃ? そこまで嫌う彼女の属性とは一体何なのですかな?」

 

 バアルギルディは忌々しい物を口にするかのように答える。

 

「彼女の属性は恋愛属性(ラブ)の対極に位置する失恋属性(ロストラブ)、失恋し悲しむ女の子たちの姿が好きな最低最悪の属性だ。私としては何とも度し難くて嫌いなのだよ」

 

 

 

 

 授業も全て終えた放課後、俺は一人、何時ぞやのバアルギルディ戦での舞台となった中央自然公園に訪れてた。

 広大な敷地内で最も滅茶苦茶に荒らされた噴水広場はもう完全に元通りになっており、痕跡など欠片もない。工事を行う人たちの凄さが伝わって来る。プルソンギルディ戦で破壊された女子高も既に建て直しに入ったらしいし、これみたいに直に完全に元通りになるのだろうな。

 

 噴水広場と大広場を抜け、一般的な散歩道から外れた道をバイクを押しながら突き進む。途中、この自然公園内で一番大きな滑り台などの遊具や巨大なアスレチックが置かれた遊び場で元気に遊ぶガキどもを尻目に歩を進める。

 汗だくになりながら遊び回るガキどもを見てふと思った。こんなにも暑くて暑くてたまらないのよくあんなに元気になれるぜ。

 

「やっとついたぜ……」

 

 ようやく目的地に到着した。

 ここはさっきの遊具置き場からさらに奥に進んだ場所にある小さな遊び場。ここにある遊具は鉄棒が二つと滑り台が一つで、その滑り台もさっきの滑り台と比べると余りにみすぼらしい代物だ。

 一般的な散歩道から外れている上、ここに来る手前にもっと遊びがいのある遊具なら山ほどあるこんな場所に足を運ぶ奴なんていない。これはつまり、裏を返せば、ここはこっそりと何かをやるのにピッタリの場所ってわけだ。

 

 今更だが、何故俺がこんな場所に一人で来たのかというと、それは余り人の目につかないような場所でこっそりトレーニングを行うためだ。

 朝からずっとどうすればいいのかと考えた結果、とりあえず自分の体を鍛えてみようとなった。テイルギアを扱う上では肉体的な強さよりも精神的な強さが大事だとは思うが、それでも何もやらないよりかはいいはずだ。

 ティアナ含めて誰にもこのことを伝えていないのは単純に恥ずかしったのが理由だ。こういう熱血展開を否定する立場な俺が強くなるためにトレーニングなんてカッコ悪い気がするし、何よりもこれ以上、ティアナに心配はかけられない。

 

「つけてはないよな……」

 

 後ろを振り向くが誰もいない。

 ティアナの奴、以前、夢宮ヒカリにこっそり会いに行った時、タクシーを活用してまで隣町までつけてきたことがあったから公園の入り口である噴水広場に到着するまでつけてきていないかを警戒するのが大変だった。まぁ、あの時の俺は今日以上に挙動不審だったから怪しんで当然なんだけどな。

 それにしても隣にティアナがいない放課後がなんか新鮮だ。エレメリアンがいつ出現してもいいように基本的にいつも近くにいるのが当たり前。いつも通りの放課後なら一緒にアラームクロックに行き、ティアナがおやっさんの手伝いなんかして、俺はカウンターで漫画読むなりスマホ見るなりだしよ。

 

「っといっけねぇ。何のためにここに来たのか忘れちまうとこだったぜ」

 

 トレーニングのために背中に担いで持ってきた竹刀を袋から取り出す。

 この竹刀は去年の年末の大掃除にてガレージで埃をかぶっていた物だ。何故、ガレージにあったのかなんてこの際どうでもいい。これのお陰でウインドセイバーを振るう練習には困らない。

 

 ブンッブンッと竹刀を縦に横にと無茶苦茶に振り回し、空を切る。

 初めてフォースリヴォンに触れて武器を生成する時、特に深く考えず男なら刀と刀型のウインドセイバーに決めたこともあり、俺に剣術なんて全くない。いつもいつもウインドセイバーの振り方は我流で、時には鈍器のように叩きつける戦い方になってしまう。今更、ちゃんとした剣道を習う気にはならねぇし、こうなったらとことんこの我流の剣術を極めるしかねぇ。

 そう決意を固めて何度も何度も竹刀を振るう。

 

 何だかんだもう軽く100回くらいは振っただろうか。いや、200回は振ったかもしれねぇ。夏服のシャツが汗でびしょびしょになって下のTシャツに張り付いてきやがって気持ち悪い。

 スマホで時刻を確認すると現在、午後5時半手前。真夏までもう僅かなこの時期、日の落ちる速度が遅くて全然気づかなかった。まだ、夕日が沈むまで時間はありそうだ。

 

「ちょっくら休憩でもすっか……」

 

 竹刀を地面に置き、鞄から財布を取り出してここから少し離れた自動販売機に向かい、120円でビタミンたっぷりの炭酸栄養ドリンクを購入して一気に飲み干す。

 シュワシュワと弾ける炭酸が喉を潤して元気をくれる。謳い文句通り、元気ハツラツって気分にしてくれるのはやっぱ流石だ。

 

 飲み終えた俺は空き瓶を自動販売機隣に置かれたゴミ箱に放り込むとベンチにもたれ掛かりふと考える。

 どうしてティアナはツインテールが好きになったのだろうか? 俺ならガキの頃に先生(シャイニーブルーム)に助けられたから、先生は確か……母親から結んでくれた髪型の中でツインテールが最も愛着が湧いたからだったはず。

 恐らくだがティアナはツインテイルズがいる世界の出身だ。そう考えると俺と同じでツインテイルズに助けられたからなのか? いや、ティアナのツインテールへの愛はそんな憧れから生まれたものじゃない気がする。

 

「もっとこう……生まれる前から好きだったみたいな……感じがすんだよなぁ」

 

 自分でも何言ってっかわからねぇけど。こう表現するしかないくらいあいつのツインテールへの愛は凄い。いつどんな時見ても寸分狂わず綺麗なティアナのツインテール、あいつがツインテールじゃない時なんて俺はまだ見たことがない。以前、おやっさんの家に泊まった時ですら、洗面所から戻ってきたティアナの髪は完璧に乾ききってツインテールに結ばれていたしな。

 ティアナの奴、失っていた記憶を徐々に取り戻してくると同時にドンドンツインテール属性は強くなっている気がする。最近ではツインテールにしてる人が近くにいると感知できるようになっているらしくてなんか意味がわからねぇ。

 

「俺にも出来っかな……」

 

 丁度、自転車がこっちに向かっている音が聞こえてきた。ティアナならその人がツインテールかどうかなんて一瞬でわかるだろう。なら俺にもと思って目を閉じ頭に思い浮かべる。

 こいつは多分、ツインテールだ。と思い目を開くと丁度目の前を自転車が通り過ぎていった。

 

「クッソ、なんだ男かよ……」

 

 ツインテールどころではなく、女ですらなかったのを見てやっぱり俺じゃダメなのかと少し落ち込んでしまう。やっぱり俺じゃダメなのかよ……

 このままじゃ駄目だと、暗い気持ちを振り払うべく俺はランニングを始めた。




実際に知り合いでグレモリーギルディと同じ属性を持つ奴がいるから困る。
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