俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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今回は初めてティアナの視点中心で書いてみました。


第34話 変身不能

 最近、和輝の様子が変だ。

 4日前までなら放課後、授業が終わると私を一緒にバイクに乗せてアラームクロックへ行ってずっとダラダラと過ごし、時々、私の事をからかっていたのに。最近は放課後になると同時にいの一番で学校を飛び出して何処かに行ってしまう。

 そのことを和輝に聞いても、「何ともねぇよ。それよりもエレメリアンがでたら連絡頼むぜ」の一点張りで詳しくは何も言ってくれない。前みたいに追いかけようともしたが、振り切られてしまった。

 何というか避けられているような気がする。先生がテイルブルームに変身し、活躍するようになってからは何処かしら元気がないように見えたこともあって凄く心配もしているんだけど……

 

 どうしてだろう。和輝のことを思う度に何だかチクチクする。和輝が近くにいないと何だかソワソワしてたまらない。前に夢宮ヒカリが和輝と楽しそうに喋っていた時なんかは凄くムカムカもした。ツインテールを思い浮かべる時とは、また違ったぬくもりが和輝といると感じるし、和輝が辛そうにしていると私もまるでツインテールを解く時みたいに辛くなる。

 何となくだけど、多分、この気持ちは記憶を失う前は一度も感じたことがなかったはず。

 私はこの気持ちの正体が何なのかがわからないの。

 

「ねぇ、和輝」

 

 今日こそはと思い、ホームルームが終わった直後の和輝に声をかけてみる。最近、ずっと感じている謎のソワソワが私を焦らせ駆り立てた。

 

「悪ぃティアナ、俺は今日も急いでっからよ。また明日な!!」

 

 そう言うと和輝は颯爽と去ってしまった。

 心なしか走るスピードが速かった気がする。きっと余程、大事な事情があるのだろうと心の中で納得しようとしても、謎のソワソワは納得などしてはくれない。寧ろ余計、加速してくる。一体、何なんだろう。

 

「大丈夫? 橘さん?」

 

「どしたの?」

 

 また駄目だったと意気消沈する私の事をクラスメイトの委員長さんや水嶋さんが心配して声をかけてくれた。

 私は全然大丈夫と返しておく。

 

「それならいいけど……。たまにはガツンと言わなきゃ駄目よ。もしかしたら隠れて浮気してるかもしれないしね」

 

「そうよそうよ」

 

「う、浮気って……!! 別に和輝とはそんな関係でもないから……!!」

 

 別に私は和輝と付き合ってる訳じゃない。エレメリアンと戦うために共に力を合わせる関係だ。

 私が和輝に属性力を送り、和輝が戦う。前に和輝が言った、二人で一つのツインテールな関係だ。

 でも、どうしてだろう。心臓のドクドクした鼓動と謎のソワソワが止まってくれないし、なんだか全身が熱い。

 

「ふーん、そうなんだ。いつも一緒にいるからてっきり付き合っているのかと思ったんだけどな~」

 

「ねぇ詩織。今日デートじゃなかったっけ? 時間大丈夫?」

 

「あ、そうだった!! ありがと委員長!!」

 

 そう言い残し、水嶋さんは急いで教室から出て行き、ほどなくして委員長さんも教室を後にした。

 残された私は、ホームルームの終了と同時に担任の先生に呼び出しを喰らいようやく解放された様子の匠を発見。匠なら和輝が何をしているかを知っているかもしれないので聞いてみることにする。

 

「ねぇ匠、最近和輝が何してるか知ってる?」

 

「いんや知んねぇな。ちゅーかティアナちゃんが知らないのに俺が知ってる訳ねぇじゃん」

 

「いやだって、匠は和輝と幼馴染なんでしょ? 仲いいしなんか知ってるのかなって思うじゃない」

 

「幼馴染って言っても、男女の関係じゃないんだし。男同士だから腐れ縁って言った方が近い気もするけどな」

 

 もし、和輝がテイルバイオレットに変身している時の女の状態がデフォルトだったのなら腐れ縁じゃなくて幼馴染だから付き合っていたかもなと断言する匠。

 幼馴染ってだけでそこまで関係が変わるものなのだろうか? 今はかなわないがもし、お母さんに尋ねることが出来るのなら聞いてみたい。

 あれ? どうしてお母さんが出てきたのだろう? もしかしたら私のお母さんとお父さんって幼馴染だったのかな……? この謎もいつか記憶が完全に戻った時にわかるのかもしれない。

 

「やっべ……!? そういや今日、ヘルプだったわ……!!」

 

 時計を見た匠は血相を変えて慌てて走り去ってしまった。担任の先生に足止めを喰らった影響もあって遅刻するかもしれないようね。

 匠と別れた後、流石にもう教室にはほとんどクラスメイトは残っておらず、私以外には教室の隅の方でテイルバイオレットやテイルブルーム関係で盛り上がっているオタクな集団しかいない。

 このままアラームクロックに帰って正樹さんの手伝いをしようにも全く落ち着ちつかないから、もしかしたらそれが原因でミスして正樹さんに余計な迷惑をかけるかもしれないし、たまには手伝うのも休んでみるのもいいかもしれない。うん、それがいいかも。

 スマホを操作して正樹さんに今日は遊んでくるから遅くなると連絡を入れた。

 

『(^^ゞ。いつも通り、大量に飯を作って待ってるから、気をつけてな』

 

 正樹さんからは直ぐにメッセージが返ってきた。返信の速さから考えてもしかしたら今日は暇なのかもしれないわね。

 さて、気分転換に新聞部にでも覗いてみようかな。情報通な悠香さんたちのことだし、もしかしたら和輝が何してるのかわかるかもしれない。

 私は新聞部のある旧校舎一階の最奥に足を運んだ。

 

 

 

 

 大勢の人達で溢れている中央自然公園。放課後に男女関係なく友達とアスレチック広場で遊ぶ子供たちに、噴水広場でデートの待ち合わせをするカップル、散歩道を歩く年配の夫婦など、それぞれ様々な目的でこの中央自然公園の施設を利用している。

 100ha(ヘクタール)にも及ぶそんな広大な中央自然公園の全体を一望できる高層ビルの屋上。たわわに実った胸と尻を持つ女エレメリアン、グレモリーギルディは忌々しそうに眺めていた。

 

「せっかく、この世界でもいい感じの失恋物を手に入れたのに何よ、この恋愛(ラブ)の波動は」

 

 彼女の傍らには大量のDVDや同人誌が詰め込まれた紙袋があった。どれも直接買った物であるとわかる代物だ。

 グレモリーギルディはバアルギルディに言われていたことなど微塵も守る気がなく、今の今まで人間の文化を謳歌していたのだ。

 

「ほんっと、反吐が出るわ」

 

 地上に向かって唾を吐き飛ばすグレモリーギルディ。

 グレモリーギルディの属性は失恋属性(ロストラブ)。そんな彼女が中央自然公園の多種多様の恋愛の様子に嫌悪感を表すのは当然のことであった。

 どうにかしてあのカップルたちの仲を引き裂いて、中央自然公園を失恋の感情で染め上げてしまいたい。そんな事を考えるグレモリーギルディは何かを閃き、口元を歪ませる。

 

「そ~だ。ちょっと遊んじゃおっ~と」

 

 グレモリーギルディは背中に折りたたまれていた蝙蝠の羽を広げ、飛び立つ。

 

「フフッ、さぁ見せて頂戴。この私に失恋の悲しみと怒りを!!」

 

 

 

 

 旧校舎一階の最奥、新聞部の目の前にやってきた。

 いつも通りの汚い部室だなと思ってみれば、外観はどことなく片付いているようにも見える。埃被っていた看板もピカピカに磨かれていて、光が反射して眩しい。

 

「……!!」

 

 ドアに手を触れた時、私はある気配を察知した。この気配は間違いない、この部屋の中にツインテールをした人がいる。それもかなりの腕前のツインテール。

 

「お邪魔しまーす」

 

 意を決してドアを開けるとそこには、はたきと箒を手にし、スーツの上にエプロンを着たという姿の山村先生が悠香さんと青葉さんと一緒に掃除をしていた。

 なんだ、このツインテールの気配は山村先生の物だったのね。通りで凄いツインテールの気配がするわけよ。それにしても山村先生のツインテールの気配も覚えられないなんて私もまだまだってわけね。

 

「あら、ティアちゃんじゃん。どしたの? 今日は一人?」

 

 棚の整理をしていた悠香さんが私に気づき、作業を止めてこっちにやって来る。

 

「まぁ……はい。というかどうして山村先生がいるんですか?」

 

 指さした方向では、エプロン姿の山村先生が青葉さんに説教を入れていた。内容はどうやら学校にこんなゲームを持ってきてはいけませんと言っているようね。

 

「あ~あれね。実は新聞部(うち)、顧問の先生がいなくてね……」

 

 どうやらこの新聞部は、顧問なしで今まで活動していたらしい。何故、今まで顧問なしでも活動が許されていたのかは、悠香さんの話によると新聞部のだしている記事はこの学校の宣伝にもつながると校長や理事長などの上の人達が判断しているらしく、特例で顧問がいなかったり、活動のために授業の出席日数の免除してもらっていたり、時には部室に泊まることも許可されているらしい。

 それでいいのかな……苦笑いが止まらない。

 

「前の事件で、先生があたしらに恩が出来たからって顧問に名乗り出てくれたってわけなのよ」

 

「それでまず、掃除からってことなんですね」

 

「そういうこと。青ちゃんもあたしも二人揃って掃除が苦手だしね~」

 

「なら私も手伝います」

 

 先輩二人のだらしなさに呆れながらも掃除の手伝いを始める。正直言うとここに初めて来たときから掃除したかったくらいだし丁度いい。

 床に散らばっている資料を悠香さんに聞きながら仕分けし、棚に収めていく。床に物がなくなったら今度は掃除機をかけたり、雑巾で拭いたりとテキパキと作業を進めていく。

 悠香さんは特に何もしていないような気がするけど、ま、いっか。

 

 一通りの掃除は終わった。後は青葉さんのエリアだけだけど、あそこは先生が掃除をしているみたいだし、私が何かやることはないかもね。

 ひと段落したこともあり悠香さんにちょっと相談してみることにする。掃除中も謎のソワソワは感じていたし。

 

「ねぇ、和輝が最近何してるか知りませんか。最近、何か私避けられてる気がして」

 

 悠香さんの目が光り、口元がニヤついた気がした。

 悠香さんは私にソファに座るように促してくれたので、言葉に甘えることにする。悠香さんはテーブルを挟んで真正面の椅子に座る。まるでインタビューを受ける時みたいじゃない。

 

「もっと詳しく聞かせて頂戴」

 

「あの、実は……」

 

 最近の和輝の様子や、私自身が感じているこの変なソワソワの事について洗いざらい全部言ってみた。ちょっとだけだけど心もツインテールも軽くなった気がする。

 

「ふーん、なるほどね~」

 

 今度ははっきりとわかるくらい悠香さんの顔がニヤニヤと笑っていた。正直、何がそんなに面白いのかが全くわからない。こっちは真剣に悩んでいるのに。

 

「それはね――」

 

「涼原君なら昨日、自然公園の第三遊具場で見たって堀井先生が仰っていたわよ」

 

 悠香さんが何かを言おうとした直後だった。青葉さんのエリアを掃除をしながら内容を聞いていたのか、山村先生が和輝が何処にいるかを言ってくれた。

 それを聞いて私はいてもたってもいられなくなった。

 和輝は何をしているのだろう。それが知りたい一心で私は悠香さんの制止を聞かずに新聞部を飛び出し走った。

 

 

 

 

 ティアナがいなくなった新聞部部室内。悠香と青葉の視線が華に突き刺さる。

 

「あれ? もしかして私、何かやっちゃった?」

 

 無言で頷く二人。華は何が駄目だったのかがまるでわからなかった。

 

「……先生、余計なことしなくていいのに……」

 

「青ちゃんの言う通りですよ。先生はもっと乙女心を学んでください」

 

 二人とも厳しい言葉を華にぴしゃりと言い放った。

 

「私、これでもまだ22の乙女なんだけど!?」

 

 華は必至に弁明をするもそう言うことじゃないと、またしても二人の視線は突き刺さるのであった。

 

 

 

 

 息を切らしながらも体を動かし、全速力で走り抜ける。

 私は同年代の一般的な女の子よりも比較的、運動神経は高い部類だと自負してはいるものの流石にここまで全力で走るのはキツイ。

 だけどなぜだろう。そんな疲れなんかどうでもよくなるくらい今は早く目的地に着きたいと思ってしまった。

 

「ついた……ここに和輝が……」

 

 中央自然公園、噴水広場に到着。

 ここは以前、バアルギルディに荒らされた場所だったはず。あの時は滅茶苦茶に荒らされていたが今はその面影が微塵もないくらい綺麗になっている。

 だけど何故だろう。私の目の前に広がっている光景での人の様子はあの時とほとんど変わらない。多く女の人が涙を流していて、男の人が怒っていたりと何処か様子がおかしい。

 寧ろ、何一つ荒らされておらず綺麗なのと誰も怪我をしている様子がないのがより奇妙だ。

 

「蓮くんの馬鹿ーー!!」

 

「水嶋さん!?」

 

 私の横を水嶋さんが通り抜け走り去っていった。

 一瞬だけどその眼には涙が溢れていたのが見えた。

 

「何なのよ、これ」

 

 私もただ困惑するしかない。ここは確か、色んな人が様々な目的で使用し、笑顔が溢れる場所だったはずだ。こんなにも涙と怒りに溢れているのは何かあったとしか言いようがない。もしかしたらエレメリアンが関わっているのかも。

 緊急事態ということもあり、スマホで和輝を呼びかけるも全く返事がこない。

 もしかして、何か危険な目にでもあっているんじゃないかと思うと余計に気が気ではいられなくなってくる。早く、和輝がいるかもしれない第三遊具置き場とかいう場所に向かわないと。

 一応、先生にも連絡を入れておき、再度走り出す。

 

 

 

 

 ようやく、その第三遊具場が見えてきた。和輝のバイクも見えるし、ここにいるのは間違いないようね。

 ここに来るまでのアスレチック広場でも子供たちが喧嘩していており、女の子は泣き叫んでいる地獄絵図だった。やっぱり何かある。

 

「いた……!!」

 

 遊具から少し離れたベンチに和輝を発見。

 急いで駆け寄ろうとしたが、足が動かなくなり、ピタリとその場に止まってしまう。その理由は和輝の座っている隣にあった。

 和輝の隣には私が知らない女の子が座っていた。年齢は恐らく私と同年代の癖に胸は私の数倍以上もある。髪型はツインテールなのに全くツインテールの気配がしないことが少し変な感じだけどそんなことは今は些細な問題でしかない。

 

「こんな時に何をやってんの……」

 

 このまま棒立ちしていても埒が明かないので、ガツンと言ってやろうと和輝に近づこうとした私はまたしても足が止まった。

 ベンチに座る和輝と見知らぬ女が向き直り顔が近づく。そして……

 

「……!!」

 

 二人はいとも簡単にあっさりと唇を重ねていた。まるで人の目を気にしていないかのように濃厚に触れ合うそれをみた私の体は石になったかのように硬直して動かなくなる。

 何なのよ、この感覚は……。

 胸が締め付けられるみたいなこの感覚は……

 苦しくて悲しいこの気持ち。

 

 ほどなくして謎の女は去り、ベンチには和輝が一人だけになった。それと同時に今度は怒りが沸き上がって来る。

 

「和輝!!」

 

 私は溢れ出る激情に身を任せ飛び出した。

 

 

 

 

 俺は今日もこの場所、中央自然公園で最も人が寄り付かない小さな遊び場でトレーニングをしていた。

 トレーニングの内容はこの近くを走り込むランニングや腕立など筋トレなどを行い、その後は竹刀を使って素振りを行うなどだ。

 

「あー、疲れた……」

 

 やっぱし、定期的にでも体を動かさねぇと駄目だな。いくら日頃、エレメリアンと戦っているとはいえ、それ以外では特に運動していなかったせいで疲労がたまって仕方ねぇ。まぁ、4日前よりかはまだまだ余裕だけどよ。

 すっかり愛飲している炭酸栄養ドリンクを飲み終えた後はベンチで一休み。この後は日が落ちるまで素振りでもするのが決めたメニューだ。

 

「にしても……何か騒がしいな、おい」

 

 ランニングしている時は何も聞こえてこなかったっていうのに、今じゃ遠くから女の泣く声が沢山聞こえてきやがる。

 初めは好きだった男にでも振られでもしたのかよと思い、特に興味もなかったが、流石に騒がしく感じてくる。何かおかしくねぇかこの状況。

 

「和輝!!」

 

 そんな事を考えていた時だった。今一番聞きたくない声が聞こえてきた。

 その方向に向くとティアナが怒り心頭といった感じでこっちにやってきていた。

 

「お前、なんで俺がここにいるってわかったんだよ……!?」

 

 こんな所で秘密のトレーニングなんてカッコ悪いし、恥ずかしいから誰にも見られたくなかった。ましてやティアナにだけは意地でも見られたくなかったっていうのにまさか見つかっちまうとは……

 これは絶対ぇ誰かがトレーニングの様子を見て、ティアナにチクったに違いねぇ……!!

 そんなことを考えている俺を無視し、ティアナは強い口調で問い詰めてくる。

 

「こんな時に……!! こんな時に何やってるのよ!! あんな女とイチャイチャしちゃって……!!」

 

「はぁ……? 何言ってんだお前」

 

 何やらティアナの様子がおかしい。

 あんな女? イチャイチャ? 何が何だか理解できなくて訳がわからねぇ。考えてみればどうして俺のトレーニングがバレて怒っているんだって話じゃねぇか。

 

「おい、落ち着け。何言ってんのかわかんねぇ――」

 

「落ち着けるわけないでしょ!! 私だってわかんないのに!!」

 

 初めて出会った時を思い出すティアナのこの感じ。人の話を聞かずに自分の言い分だけを通そうとするあの嫌な感じだ。

 俺も何だかムカついてきた。

 

「お前がわからないんだったら俺がわかるわけねぇだろ!! 落ち着けつってんだろ!!」

 

「だから落ち着けるわけないっていってるでしょ!!」

 

「どうしてだよ!!」

 

「そんなの和輝が一番わかってる癖に!!」

 

「だから意味がわかんねぇつってんだろうが!!」

 

 俺もティアナも完全に興奮しきっており、どちらが正しいのか何がなんだかわからないくらい平行線を辿っていた。唯一わかることと言えば、この口喧嘩は時々していたものとはわけが違うガチな物だってくらいだ。

 そんな中だった。無駄に色っぽい女の笑い声が空から聞こえてきやがった。

 

「たまらないわ~その感じ、この空気。痴話喧嘩でもない本気の喧嘩こそ最高に私を楽しませてくれるわ~」

 

 女悪魔といった風貌がピッタリのエレメリアンが空から俺たちの前に舞い降りた。その姿を見て、俺は冷静さを取り戻し、ティアナではなく女エレメリアンに集中する。

 女エレメリアンは胸も尻もとても大きく、とても魅力的な体をしてやがるのが特徴だった。

 

「エレメリアン……!!」

 

 流石に喧嘩どころではないと感じたのか、ティアナも遅れる形ではあったが、エレメリアンに目を向けた。

 喧嘩していた直後もあって正直、喋るのが気まずいがそれでも事が事だ。

 

「あら? やめちゃうの? がっかりだわ」

 

 何がガッカリだ、この性悪女のエレメリアン。

 女エレメリアンを強く睨むが、当たり前だが全く効果はない。

 

「それにしてもそこのお嬢ちゃんは効いているのに、坊やには私の能力が効いていないようね」

 

 能力だぁ? もしかしてさっきから聞こえてきた騒ぎも全部、コイツのせいってわけかよ。なら丁度いいぜ。俺の目の前にのこのことやってきやがったことを後悔してやる。

 

「行くぜ、ティアナ」

 

「……う、うん」

 

 いつもよりかはワンテンポ遅れる形でティアナのテイルブレスから光が溢れだし、俺の腰でテイルドライバーとして形になる。

 準備完了。俺はいつも通りの変身の掛け声を発する。

 

「テイルオン!!」

 

 青紫の光が繭となって俺を包み込み、テイルバイオレットに変身させる……

 

 

 

 

 

 

 はずだった。

 

「変身できねぇ……だと!?」

 

 テイルドライバーからは何も起きず、ただ静寂だけが訪れた。




こういうタイプの話って、2人の主人公が普段仲が良いタイプの作品には絶対に必要な気がするんですけど、どうでしょうか?
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