俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~ 作:中川カイザー
ゲートを吸い込まれ異空間を突き進み続ける俺たち。
果たして俺たちは無事帰れるのかなんて心配してしまいそうになるそんな中、出口と思われるゲートを発見、俺はその出口に引っ張られるように吸い込まれる。
そしてそのゲートを抜けた先、そこはまさかの空中。
驚く間もなく俺は重力に引っ張られ勢いよく落下した。
「うおぁぁぁぁぁ……!! ごふぅ!!」
随分と間抜けな声を上げながら墜落した俺であったが、幸いにも着地の際、山のように積み上げられたゴミ袋がクッションになってくれたようで、衝撃で全身バラバラになるだなんて展開は辛うじて避けることが出来た。
まぁ、痛い物は痛いんだけどな。
「痛ってぇ……ってここは?」
頭を押さえながら起き上がり辺りを見渡す。
どうやらここはビルとビルの狭間の路地裏にあるゴミ捨て場のようだな。
太陽の光も殆ど入ってこないせいか、薄暗く湿っぽい嫌~な空間だぜ全く。
本当に異世界に着いたって言うのか?
「おいティアナ!! 大丈夫か!!」
ゴミ山に向かって声をかけるが、返事が一向に返ってこない。
「ティアナ? もしもーし?」
まさか、墜落のショックで気でも失ったかと思い、ゴミ山を見渡すが、ティアナはおろか、間違って連れてきてしまった筈の華先生の姿さえも見えなかった。
「おいおい、まさかとは思うが俺たちもしかしてはぐれちまったか?」
冷静になって思い返してみれば落下の際、俺の声しか聞こえなかった。
という事はここに落ちて来たのは俺しかいないって事だ。
それって詰まる所、俺は他二人とはぐれちまった事になる。
「ってこれ、結構不味くねぇか」
ここがもし、本当に目的地であるリーンとかいう奴らが待つ異世界だとするならよぉ、エレメリアンがいつ俺たちに襲い掛かってきてもおかしくないって訳だ。
単独で変身可能な華先生は大丈夫だとは思うが、二人揃わないと変身できない俺やティアナの場合はハッキリいってかなりヤバい。いくら喧嘩の腕に自信がある俺や、野生の熊をブッ飛ばせるティアナであっても、属性力を用いた攻撃しか喰らわないエレメリアン相手には打つ手がないからだ。
正直、もし全員が離れ離れになっているとしたら、どう見ても襲ってくださいと言っているようなもんだぜ。
「まぁとりあえず、今はここが本当に目的地である異世界かってどうかを確認するのが先か……」
現状わかっている事は今いるここがビルとビルに挟まれた路地裏にあるゴミ捨て場ってことぐらい。正直言って、これだけじゃ俺の住む世界となんら変わらないので、もしかしたら転移失敗で俺だけ元の世界のままって可能性もある。
それはそれでヤバい気もするが、とりあえず今は、ティアナたちを探すよりもここが本当に目的地なのかを確認するとしよう。
ゴミ山から脱出した俺が路地の出口に向かって足を進める事、数十秒。
薄暗くどんよりした路地では味わえない煌びやかな太陽の光が俺を歓迎してくれた。
「何だ、ここ……」
先ず始めに目に入ったのは、道路スレスレを低空飛行しながら進む、車と思しき謎の物体。まず俺の住む世界では見られないであろう圧倒的な技術力の結晶に度肝抜かされる。
そしてそれ以外にも、まるで近未来を舞台にした漫画の中にありがちな描写が幾つも飛び込んでくる。
目の前にホログラムのようなスクリーンを展開しながら歩く人々。
空を飛び交う大小さまざまなサイズのドローン。
空中に投影される立体映像。
面白い事に使われている言語は馴染み深い日本語だ。
「すげぇ……」
使われている言葉は同じでも俺はハッキリと理解した。ここは俺の住む世界ではない。俺は今、異世界に来ているんだと言う事に。
世界が変わるだけでこうも技術力に差があるのかと感心しながら俺は歩道を歩き続ける。
「それにしては平和だな」
確か、ティアナが言うにはそのリーンって奴、ツインテール解放戦線ってのに参加してエレメリアンたちと毎日戦っているんだよな。
だけど見渡す限り、そこには戦いのたの字はおろか、侵略のしの字すらも見えない平和な世界しかない。
どう見ても人類とエレメリアンが戦っているようには見えないぜ。
それにリーンって奴の服装に関してもティアナ曰く、スラム街でよくありそうなボロボロの物だったとからしいけど、どう見てもそんな服を着ている奴はいない。
寧ろ制服姿の俺が浮いてそうなくらいだぜ。
「強いて言うなら……」
違和感と呼べるかはいささか不安ではあるが、俺の感想としては何となくこの世界に生きている人全員に覇気が足りないような気がするって事くらいだ。
まぁだけど、見たとこ属性力を完璧に奪われた後のようには見えないくらい元気だし、ただの気にし過ぎだとは思う。
「さて、ここが異世界だっていうのはわかったし、ティアナを探すとすっか」
次にやるべき事はティアナとの合流だ。
一見、平和そうに見えるが、ここが異世界である以上は油断し過ぎるのも良くないしな。
俺はとりあえずズボンのポケットからスマホを取り出しティアナに電話をかけてみる。
『現在、電波の届かない場所にいます』
「……やっぱ無理か」
わかってはいたが、ここが異世界である以上、通信は繋がらず、圏外の文字が出るばかり。やっぱし、直接探すっきゃねぇんだなと思い知らされる。
まぁ、だからといってそのままあてもなく探すのもどうかと思うので、俺は通行人にティアナの写真を見せて尋ねて見ることにした。
「なぁあんた?」
「はい? どうしました?」
声をかけた相手はサラリーマン風のスーツを着た男。
物腰柔らかそうで話しかけやすい。
「こいつどっかで見かけなかったか? 俺の彼女なんだがはぐれちまってさ」
色々とこっぱずかしいが、状況が状況だ。
俺はスマホの中にあったティアナとのツーショット写真を男に見せた。満面の笑顔で写るティアナと違って俺はそっぽを向いている。
何々と写真を見つめる男だったが、ティアナの姿を見た途端、態度が急変した。
「ツ、ツインテール!?」
「はぁ? それがどうしただよ、おっさん」
何か怖い物でも見たのかと思うくらいに動揺する男。
何がどうしたんだと俺は問うが、男は何も言わずに一目散で去ってしまった。
「変な野郎だなおい……」
確かにツインテールはあまり見かけない髪型だとは思うが、何もそこまで怖がることはねぇじゃねぇかよ。
ツインテールは可愛い。世界で一番女の子に似合う髪型と言ってもいいと叫びたいくらいだぜ。
その後、俺は気を取り直して聞き込みを再開。
がしかし、どいつもこいつも最初の男と似たような反応をする者が殆ど。
中にはツインテールに無反応だった者もいたがそいつはそいつで話にならないといった所だ。
「どうなってんだよ……おい」
まるで意味がわからない。
もしかしてこの世界ではツインテールが怖い物として扱われているって言うのか?
まぁ確かに、ツインテールでいる事でエレメリアンに狙われると思えば怖いかもしれねぇが、いくら何でも反応が露骨過ぎて何かおかしいぜコイツは。
聞き込みを終え一段落した俺は青空を仰ぎ歩きながらそう呟いた。
「これからどうすんだよおい――」
「なぁ君?」
それは突然の出来事だった。
何処の誰かは知らねぇが、何者かが俺の背後から肩を叩き声をかけてきやがった。
もしや、警察とかの類かと思い警戒して振り向くがそこには、何処かで見た事あるような気がする、赤毛が特徴の優し気な兄ちゃんが立っていた。
なんだビックリさせやがって……
まぁ、どうせ大した用じゃねぇと思うし適当にあしらうとするか。
「ああん? てめぇ俺に何か用か?」
恐らく年上であろう人物相手に我ながらなんてガラの悪い言葉を使ってんだか……
本来ならば失礼しましたと逃げ帰ってしまう程の態度を見せた俺。
だが、驚いた事にこの赤毛の兄ちゃんは殆ど臆する事なく喋りかけてくる。
「人探しをしているんだが、少し協力してくれないか?」
「人探し? お前もか……!?」
「お前もって事は……君も?」
こくりと頷く俺。
まさかこの兄ちゃんも俺が人探しをしている最中だとは思ってもみなかったのか驚いている様子だった。
「もしかしてだけど……君はこの町に住んでいるんじゃないのか?」
「悪ぃが違うな、俺はさっき彼女と一緒にこの町に来たつもりがはぐれちまったんだ」
「そ、そうか……」
当てが外れたと知りガッカリした様子を見せる兄ちゃん。
どうやらこの様子じゃこの兄ちゃんもこの町に出身って訳じゃないみたいだ。
まぁ、どおりで服装やら雰囲気やらがさっきの町の奴らとは違う訳だぜ。
「まぁ、そのなんだ。とりあえずどんな奴を探しているのか教えてくれねぇか? 少しなら手がかりを知っているかもしれねぇしよ」
「そ、そうだな」
俺の言葉を聞いた赤毛の兄ちゃんはスマホを取り出し操作すると、俺に写真を見せてくる。
「この二人なんだけど……ここに来るときにはぐれちゃってさ」
どれどれ? どんな面してやがるんだ?
そう思いながら見ると、そこに写っていたのは胸がえらく貧相な女とお嬢様のような気品さを感じさせる少女。特徴的なのは二人とも結ぶ位置や髪色こそ違えど髪型は同じツインテールにしているって事だ。
俺はその見事すぎるツインテールに目が釘付けになる。
「ツインテール? あんたツインテールを探しているのか?」
「そういう君こそもしかして……」
再び、こくりと頷く俺。
こいつはたまげたぜ。まさかこの兄ちゃんのツレもツインテールにしているとはな。
「ってそれよりもあんた……!? ツインテール好き……なのか?」
「もちろんだ!! 君は?」
「お、おう。まぁ……な」
コンマ一秒もかからない速度の即答に少しビビり返事が遅れる俺だったが、内心はこの世界にてようやく出会えたツインテールを怖がらない人物に対する嬉しさで一杯であった。
もしかしてこの町出身の奴らだけがツインテールを怖がっているのかなんて言う些細な点は正直、この際はどうでもいい。
こんな千載一遇のチャンスを逃してならねぇ!! 今はとりあえずコイツと話すんだ!!
そう判断した俺はすぐさま行動に移る。
「なぁ、あんた? 名前は?」
「俺は
観束総二か……
何かどっかで聞いた事のある名前だが、いまいち思い出せない。
なんかすげぇ大事な名前だったような気がするんだけどなぁ。
てかそもそも俺は総二を見て初めて会ったような気がしなかったし、これは何かあるかもしれない。
「どうしたんだ?」
「おっとすまねぇ総二、俺は涼原和輝、和輝でいい。いきなりで悪ぃんだけどよ、そこで少し色々話さねぇか?」
俺は道路沿いの公園を指指しそう提案した。
◇
時刻にして多分、午後3時とかそのあたりであろう昼下がりの公園。
本来ならば学校を終えた子供たちで埋め尽くされるであろう筈だが、不思議な事にここにはその子供たちの姿が見えず、ベンチにて二人の男が語り合っていた。
「やっぱりいいよな、ツインテールって」
「全くだ。ツインテールは最高だぜ」
「だよな!!」
思春期真っ只中の中高生がよくやるクラスのあの子可愛いよなと同じようなノリでツインテールに対する愛を告白しあい盛り上がる男二人。
一人はこの俺、涼原和輝。
もう一人はさっきそこで知り合った観束総二とかいう赤毛の兄ちゃん。
何でもこの町出身ではなく別の所から仲間たちと共にはるばるやって来たらしいけど、今は俺と一緒で仲間とはぐれちまっているらしい。
「俺さ、世界が美しいのは、この世にツインテールがあるからだと物心ついた時からずっと思っていたんだけどさ、和輝はどう思う?」
「あんた大袈裟過ぎんだろ。まぁ、一理あるがな」
弾む会話の中で俺は、この観束総二とかいう兄ちゃんが余程のツインテール好きなんだと理解した。しかもそれは俺みたいな生半可なレベルではなく、ティアナくらいの凄まじいレベル。
あと、常日頃からティアナのわけわかんねぇツインテール自論を聞いている筈の俺が、思わず引いてしまいそうになっちまう程の熱量から察するに恐らく、この総二って人は今まで近い年代の奴らとこうやってツインテールについて語り合うと言った事をしてこなかったのだろう。
ティアナと出会うまでは俺も匠相手にこうなっていたんだなと思うと何だかほっこりしてしまうぜ全く。
「なぁ、そう言えば和輝の探している彼女って一体どんなツインテールをしているんだ? 良ければ俺にも見せてくれないか?」
「ああ、良いぜ。ほれ」
ポケットからスマホを取り出しては総二に渡して見せる。
スマホに映っているのはさっきまで聞き込みに使っていたティアナとのツーショット写真だ。
「どうだ? 可愛いだろ? ティアナって言うんだぜ」
絶対にティアナの前ではしないであろう態度で総二に自慢する俺。
だが、総二の反応は何処かおかしな物だった。
「そ、
「そうら? 誰だソイツ?」
聞き覚えの無い名前を出されて混乱する俺に対し、今度は総二の方が自分のスマホを開いてその
するとそこには確かにティアナそっくりの女の子が写っていた。
「マジかよ……、確かにそっくりだなおい」
違う点は髪の毛の色と胸のサイズ、後は
余りにもそっくりな両者に俺は驚きを隠せない。
「なぁ、この
もしかしたらこの
そう思った俺はこの
すると予想の斜め上をいく答えが返って来た。
「
「む、娘!? あんたいくつだよ!!」
「19だけど」
「じゅ、19!? 嘘つけ!! コイツ、どう見ても14とかそのあたりじゃねぇか!!」
すると総二は
俺はそれを聞いてハッキリした。
コイツ、重度の中二病だ……間違いない。
◇
そして現在、俺は再びティアナと華先生を捜索すべく町を歩いていた。
「にしても変な奴だったな……」
さっき出会った赤毛の兄ちゃん、名を観束総二。
変というには語弊があるかもしれないが兎に角、不思議な奴だった。
何というかまるで男版のティアナを相手に話しているみたいなそんな気分。
まさか俺以上にツインテールを愛する男がいるとは思ってもみなかったぜ。
「もしかして、アイツがティアナが言っていた最強のツインテール属性を持つ男だったりして……」
もしそれが本当なら総二は、俺では起動させる事が出来なかったティアナのテイルブレスを一人で起動できるって事になる。
それってつまり、男でありながらツインテール戦士になれるって事じゃねぇか。
「総二がツインテール戦士か……」
総二が変身し戦う姿を妄想してみる。
だが一向にそのイメージが湧いてこない。
「……やっぱないか」
そう思ったその瞬間――
「きゃあああああ!!」
「……って、ん? なんだ?」
聴こえてくる
俺はもしかしてエレメリアンでも現れたのかと思い現場に向かったが、実際はボロボロのフードを被った子共が
俺は呆然としながら地面にへたり込む被害者の
「おい!! 大丈夫か!!」
「ツ、ツインテールよ!! あれはツインテールに間違いないわ!!」
「ツインテール? 何言ってんだあんた?」
どうやらこのババアが言うにはひったくり犯の正体はツインテールの子共らしいけど、俺にはそれが何を意味し、何故怖がるのかがさっぱりだ。
まぁでも、とりあえずはひったくり犯を捕まえればいい話か。
丁度、ひったくり犯が路地裏に逃げ込んだのを見逃さなかった俺は全速力で追いかけ路地裏に飛び込んだ。
「おい!! 待てコラガキ!!」
路地に突入した俺は全速力でひったくり犯を追いかける。
狭苦しい路地裏内をすばしっこく逃げ回るひったくり犯は追いかけられているとわかっているのか、近くにあったゴミ箱を倒すやら何やらして俺の行く手を妨害してきやがるが、俺はその程度じゃ怯まないし泊りやしない。
ひったくり犯は恐らく小学生低学年くらいの子供である事もあってか、その差は徐々に徐々にではあるが埋まってきている。
「しまった……!? 行き止まり!?」
「やっと追いついたぜ……」
ひったくり犯を追いかけ続ける事、約十数分。
路地内の奥にある少し開けた行き止まりにて俺はようやく追いつくことが出来た。
俺は息を整えながら、この絶好のチャンスを逃すまいとじりじりとひったくり犯の子共を奥の行き止まりに追い詰めていく。
「おい、そのバッグを返しな。そいつはお前んのじゃねぇだろうが」
いつどんな方法で反撃してくるかがわからないので、ある程度の警戒をしつつ、俺はひったくり犯にバッグを返せと要求する。
まぁ、それにしても汚らしい恰好だなおい。
近くで見れば見る程、このフードを被ったガキの出で立ちが明らかにさっきまで見ていた町の奴らとは違っているのがわかる。
「見ない奴……!? 何者だお前……!? もしかしてお前も奴らの手下なのか?」
「何言ってんだてめぇ? 俺はただの通りすがりだ」
俺の姿を見て動揺するひったくり犯は、俺の事を誰かの手下だ何だと言ってわめいてきやがった。
確かに俺はそこらじゃ見かけないような服装をしているかもしれねぇがそれはお互い様だし、何故そこで俺が誰かの手下にならねぇといけないんだよ。
「通りすがり? じゃあ何故追っかけてくるんだよ!!」
「んなの決まってんだろ。てめぇがババアのバッグをひったくるからだボケ」
なんだこのガキ? まるで話が通じないぜ。
窃盗やら万引きやらしたら捕まるって事を親に教わらなかった口か?
理由がどうとか聞くのがじれったくなった俺は、ひったくり犯のガキに近づくとその腕を引っ掴まえて締め上げ、ついでにその汚らしいフードをとってやった。
「痛い!! 痛い!! 放せ!!」
「放すわけねぇだろうが!! てかお前、女かよ!?」
フードのとった事で見えた素顔はガキながらも美少女と言って差支えの無い顔立ち。さらに髪型は王道のツインテールときた。
これにはロリコンとは程遠い俺でも思わず可愛いと思ってしまう程だった。
「そうだ!! それがどうした!! 放せ!! 放せってば!!」
一瞬でも可愛いと思ったのが馬鹿らしくなってしまうくらいにはぎゃあぎゃあわめき暴れ狂うこのツインテール少女を見て俺は苛立ちを募らせる。
これだからガキは苦手だぜ。
黙らせる為に殴れないのがもどかしい。
「あのなぁ……って、そういやお前はツインテール怖くないのか?」
この少女の髪型であるツインテールをみてふと思った。
さっきの町の連中はあの総二とかいう兄ちゃんを除いて皆が、ツインテールを写真で見るだけで怖がったり怯えたりするやつらが殆どで髪型をツインテールにした奴なんか一人として見なかったのにコイツは特に何もなくツインテールにしているんだな。
これは一体全体どういう事だ?
それにこのボロボロな服装。
ティアナが言っていたリーンって奴の特徴と色々と合致する。
「怖いものか!! 見てろ!! 今に私だって、いつかは立派なツインテール戦士になってお姉ちゃんを助けるんだ!! お前なんか……!!」
「……!?」
ツインテール戦士。お姉ちゃん。それにこいつのボロボロな服装。
暴れながら発したその言葉を聞いた事と、こいつのボロボロな服装を見た事から俺はある事を思い出し推測し始める。
これはもしかしてもしかするのか?
そう思った俺はその事をこの少女に向かって尋ねてみる。
「なぁ? もしかしてとは思うけどよ、お前の姉ちゃんの名前ってリーンって名前だったりするか?」
「どどどど、どうしてそれを!?」
「成程な、やっぱりか……」
わかりやすく動揺し驚く少女。
色々と状況がわかり始めて来た俺はそんな少女を掴んでいた腕を解放する。
「ど、どうして放すんだ!?」
「なぁに色々と聞きたいことが出来たからな。それとも何か? お前は掴まれて喜ぶドMか何かか?」
そんな訳ないだろと首をぶんぶん横に振る少女。
俺はその瞬間、周囲一帯に広がる今まで何度も体験した異様な空気感を感じ取った。
「お前、名前は?」
「リ、リール……」
「リールか。オーケー、下がってろ」
「下がってろって……ッ!?」
周囲を取り囲む異様な空気。
ピリピリと感じるそれは俺が普段臆せず対面する異形の怪物の雰囲気を弱くした物。
「「「モケモケ―」」」
建物の陰から出てきたのはエレメリアンが使役する事でお馴染みの戦闘員。
色がいつもの輝かしい白ではなく、闇に溶け込む黒ではあるが、そんなの事はここが俺たちの世界とは違う異世界だからなんだと直ぐに納得する。
「か、囲まれたぞ……」
いつの間にか奴らは瞬く間に狭い路地内を黒い影で埋め尽くしてきやがった。
恐らくだが、こいつらは俺じゃなくてリールを狙っていやがる。
俺はリールの前に立ち、構えた。
「お前、勝てるのか……!?」
「さぁな? でも、何もしねぇでいるよかましだろ?」
さっきまでの俺への警戒心は何処へやら。リールの奴、俺の事を心配してきやがった。
俺は軽い口調でそう返したものの正直言って無茶だとわかっていた。
確かに本来なら戦闘員なんぞ雑魚中の雑魚、負ける方が有り得ないレベル。
だが、今はティアナがいない。
何度も言うがそれはつまり変身が出来ないって事だ。
変身出来ない俺で勝てるかどうかは無理に等しい。
「来るなら来やがれ!! この雑魚野郎どもが!!」
拳を握りしめ勇気を振り絞った俺は叫ぶ。
普段、モケ―の一言しか喋らないこいつらの事を怖いとは一ミリも思ったことがなかったが、この時ばかりは少しというかかなりの恐怖を感じていた。
「「「「モケモケモケーー!!」」」」
戦闘員たちが一斉に飛び掛かって来る。
俺はその黒い波に悠然と立ち向かっていく。
――その瞬間だった。
「そこまでだ!!
闇を切り裂くかの如く聞こえてくる幼き少女の声。
誰なんだよと言うまでもなくその声の主は俺たち二人の目の前に姿を現す。
それは炎のように赤いツインテールにメカニカルな装甲に身を包んだ幼き体、そして身の丈以上の大剣。それら全てが調和した完璧なバランスはこの無数にある平行世界を探してもただ一人。
可愛いさとカッコよさを兼ね備えしツインテールの戦士。
その名は――
「テイルレッド……!?」
◇
和輝たちがいる町で最も大きなビルの最上階、窓の外に広がる町中を一望できるその特等席にて一人の男がワイン片手に町を見下ろしていた。
「モケー!!」
黒い戦闘員が一体、何かを報告すべく部屋にやってきた。
だが男は慌てる戦闘員とは違い、ひどく落ち着いている。
「騒がずともわかっています。まさか、テイルレッドがやって来るとは……」
エレガントさ溢れる黒スーツに身を包む姿はまさに紳士。絶えず浮かべるその優し気な笑みは人の良さを感じさせる。
だが、騙されてはいけない。彼こそがこの世界を侵略しているエレメリアンの人間態なのである。
「まぁいいでしょう。それもまた面白いですしね」
ニヤリと笑みを浮かべる黒スーツの男、名をメフィストギルディ。
メフィストギルディは町に背を向けると悠然と部屋から去っていくのだった。
上手く書けているでしょうか?
正直、不安です。