俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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先週は体調を崩していました。


第80話 ツインテイルズ

 俺は今、夢を見ているのか?

 いや、そんな筈はない。

 この俺の目の前に立つ少女の炎の如き赤いツインテールの輝きは、どんなにリアリティがある夢であったとしても決して再現しきる事など出来やしない。

 このツインテールは、俺が今まで見て来たどんなツインテールよりも可愛くカッコよく、そして力強い。

 

「テイルレッド……」

 

 目の前に立つテイルレッドの雄姿及びツインテールに俺は心が奪われる。

 これが最強のツインテール属性を持つ戦士のツインテールだっていうのか……

 俺の今まで培っていたツインテール観が一変した気分だ。

 

「後は俺に任せろ!! ここからは俺が相手だ戦闘員(アルティロイド)!!」

 

 テイルレッドは俺たち二人に振り返るとそう力強く言い放つ。

 そしてテイルレッドは黒い戦闘員の群れに向かって悠然と向かっていく。

 

「たぁぁッ!!」

 

「モケッ」

 

「モケ~!?」

 

「モケモケ―!?」

 

 テイルレッドが剣を振るう度に四方八方へと吹き飛ばされ宙を舞う戦闘員たち。

 それは最早、戦いと言っていいものかわからない無双状態。

 狭い路地内を埋め尽くしていた戦闘員たちはテイルレッドに切り捨てられ、その数を一つ、また一つと凄まじい速度で減らしていく。

 圧倒的な実力差を前に勝てないと判断し逃げ惑う残った戦闘員たちが、路地の隅に固まりだす。

 それを見逃すテイルレッドではなかった。

 

完全開放(ブレイクレリーズ)!!」

 

 テイルバイオレットが必殺技を放つ時と同じようにテイルレッドもまた、その言葉と共に持ち前の大剣の形を変化させる。

 柄が展開し、刀身が割れ、そこから赤い炎の刃が噴き上げた。

 

「オーラピラーッ!!」

 

 テイルレッドが剣を振るう。

 すると剣から赤い火球が飛び出した。赤い火球は固まっていた戦闘員の群れの前で弾けると、円柱のような見た目に変形し、戦闘員の群れを拘束するように包み込む。

 成程、あれは必殺技を打つ際に敵を逃がさず捕縛する技か。

 テイルバイオレットには出来ない芸当を見せられた俺はその技の仕組みに関心を持つ。

 

「「「モケモケモケ!?」」」

 

 慌てだす戦闘員だったがテイルレッドはもう必殺技を放つべく空高く飛び上がっている。

 そしてテイルレッドは拘束している戦闘員の群れに向かってその燃える赤き刃を一文字に振り下ろす。

 

「グランドブレイザーーーッ!!」

 

「「「モケモケーーーーーー……!!」」」

 

 弾ける熱き熱波と共に焼き尽くされていく戦闘員。

 薄暗い路地内を赤い炎が照らした。

 

「すげぇ……これがテイルレッド……」

 

「す、すごい……」

 

 爆炎をバックに立ち尽くすテイルレッドの姿を見て俺とリールは言葉を失った。

 あんなにも見た目は幼いのに、余りにも強く、それでいて美しい。

 まさにツインテールとはなんたるかを象徴するかのような戦い様。

 実際に目の前で見るテイルレッドの戦いっぷりは言葉で表せれるような物じゃなかった。

 普段、感動と言った感情とは程遠い筈の俺がここまで感動してしまうとは……

 

「二人とも大丈夫だったか?」

 

 弾ける笑顔と共に近寄って来るテイルレッド。

 なんて可愛い笑顔とツインテールなんだと心から思う。

 これは虜になっても仕方ないぜ。

 

「あ、ああ。俺は何とも……」

 

「私も……」

 

「そうか、間に合って良かった」

 

 俺たちの安否を確認し終えたテイルレッドは赤い光に包まれ元の姿へと変身を解除する。

 俺は一体、どんな女の子が出てくるんだろうと思ったが、そのシルエットは女の子とは思えないくらいにぐんぐんと伸びていき、見覚えのある人物の姿へと変化する。

 

「あ、あんた……!?」

 

 赤い光の中から現れたのは優し気な雰囲気を持った赤髪の青年。

 それはさっき、公園にて共にツインテールを語り合った相手――

 

「またあったな、和輝」

 

「み、観束総二ぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 

 俺の叫びが路地内に木霊する。

 これは夢かと思ってしまう程に衝撃的なテイルレッドの正体。

 あんなに可愛いテイルレッドの正体が男だってマジで言ってるのか?

 バアルギルディがテイルバイオレットの正体を知った時もこんな風に驚いていたなとふと思ってしまうくらいには俺は衝撃を受けた。

 

「ははは……やっぱり、驚くよな」

 

「そりゃあ……な?」

 

「うん……」

 

 俺につられて頷くリールとそれを見て苦笑いを浮かべる総二。

 俺としてはどこからどうツッコんでやればいいかがわからない。

 

「てか、ん? 待てよ……。もしかして、リーンと繋がった最強のツインテール属性を持つ男って……」

 

 総二は俺なんかよりも強いツインテール属性を持ちテイルレッドに変身することが出来る。

 そして、総二はこの町に仲間と一緒にやって来たと言っていた。

 それってつまり、もしかして……

 

「和輝!! リーンを知っているのか!?」

 

 リーンの名を聞いて驚く総二を見て俺は確信する。

 リーンが最初に助けを呼んだのは、かつて俺を助けてくれた唯乃さんも所属しているツインテイルズだ。

 まさかまさかの大先輩を前にしたことで俺は今までの無礼な態度がフラッシュバックする。

 

「色々と生意気言ってすいませんでしたぁッ!!」

 

「今度は急にどうしたんだ!?」

 

 全力で頭を下げる俺を見て慌てだす総二さん。

 別に謝らなくていいぞと総二さんは言ってくれたが、これは俺のプライドに関わる問題だ。

 俺は頭を下げ続ける。

 そして、ひとしきり頭を下げた俺は改めて総二さんに提案する。

 

「総二さん……色々と積もる話もありますけど、とりあえず場所を変えませんか? こんな場所じゃ色々と何だしよ」

 

 色々と驚きの連続すぎて、今だ興奮冷めやらぬ状況ではあるが、とりあえずこの場所からはさっさと離れるべきだと俺の勘が言っている。

 何というか、さっきの戦闘員の群れと狙われたリールの様子、そしてやけに平和そうだった町の人々からして、この世界には何か裏があるように思えるんだ。

 

「そ、そうだな。でも、どうする? 町の様子からしてこのままじゃ騒ぎになるだけだぞ?」

 

 総二さんの言う通りだ。

 俺や総二さんは大丈夫だとしても、ツインテールであるリールと一緒に町に繰り出したとしたらどんな騒ぎになるかわからない。それほどまで町の連中はツインテールに恐怖を覚えているんだ。

 

「いっその事、町にいる間だけでもツインテールを解いてもらうってのはどうですか?」

 

「絶対にダメだろ!!」

 

 苦渋の決断ではあるがそれしかあるまい。

 俺はそう思ってその提案をしたのだが、総二さんが断固反対してきた。

 わかってはいたが、総二さんの持つツインテールに対する情熱は凄まじいな。

 さて、それはそうと、どうしたものか……

 

「「うーん……」」

 

 時間が刻一刻と過ぎていく。

 このまま路地にいてはいつまた敵がやって来るかわからないので出来る限り、この場から早く離れたいのだが、中々いい案が思い浮かばない。

 襲われてもいざという時は総二さんがテイルレッドに変身して蹴散らしくれるだろうとは思うが、俺としてはずっと頼りっぱなしになるのは足を引っ張っているみたいで嫌なんだ。

 

「な、なぁお前たち?」

 

「ん? どうしたリール?」

 

 見兼ねたリールが悩む俺たちに声をかけてきやがった。

 何かいい案でもあるのだろうか?

 

「そ、その……助けてくれたお礼だ。お前らを特別にアジトに招待してやる」

 

「「アジト?」」

 

「いいからついてこい!!」

 

 そうリールに言われた俺たちは入り組んだ路地を進む。

 そして、俺たちは路地の奥にある行き止まりに辿り着いた。

 

「ここだ」

 

「ここだ……って、ただの行き止まりじゃねぇか」

 

 俺のツッコミを軽く無視しやがったリールは、おもむろにマンホール蓋に手をかける。

 ま、まさかと思ったのも束の間。

 全開になった下水道の入口に向かってリールは指を指した。

 

「アジトはこの先だ。ついて来い……」

 

「ええぇ……マジかよ」

 

 俺はこの時、確信した。

 どうしてリールの服がこんなにボロボロで汚らしくて、そして臭いのかを。

 

 

 

 

 新聞部部室にてテイルブレスの未知なる力で異世界へ渡るゲートを作り、それに吸い込まれた私たち。私が次に気が付いた時にいた場所は陽の光も届かないくらいの深い深い森の中だった。

 起き上がった私は深呼吸をした後、周囲を見渡した。

 

「どうやらついたようね」

 

 踏みしめる草の感触、頬を撫でる緩やかな風。

 それら全てが元居た世界と何ら変わらないものだけど、私には何となくわかる。

 ここは元居た世界とは違う異世界。リーンの待つ侵略を受けている世界。

 

「さて、行くわよ和輝!!」

 

 ちゃんと異世界に転移することが出来たわかった以上、こんな森の中でジッとしている訳にはいかない。私たちにはこの世界で奪われつつあるツインテールを救うというリーンと交わした大事な約束があるんだもん。

 そうやって意気込む私。

 だけど一向に和輝からの返事が来ない。

 それどころか周囲にツインテールの気配が全く感じない。華先生も一緒にゲートに吸い込まれた筈なのに……

 何だか嫌な予感がする。

 

「……和輝? 華先生?」

 

 そう言えば周囲を見渡した時、私以外に誰もいなかったような……

 その事実に気づき、顔を真っ青にした私が改めて周囲を見渡して見るけど、案の定ここら一帯には私以外には生い茂る植物の大群しか存在せず、私だけ一人ぼっちだと気づかされた。

 

「嘘でしょ……はぐれたの私たち……」

 

 転移した場所が皆違ったのか、それとも私一人だけが転移に成功しただけなのか。後者は余りにも絶望的すぎるので、その考えは一先ず除外するにしても、私一人だけがこの深い森の中にいるという事実は何ら変わらない。

 数分前までは少しでも早く、リーンを助けて見せると思っていたのに、これじゃどうやって助けに行けばいいのかわからない。それどころか、敵が迫っているかもしれないこんな危険な場所で変身も出来ない私が一人でいるっていう事自体が、相当にヤバい状況じゃないの。

 いくら私の腕っぷしが強くても属性力を用いない攻撃じゃエレメリアンには歯が立たない。

 

「どうするのよこれ……」

 

 助けに来たはずなのに助けを求めないといけないだなんて笑えない。

 私は藁にも縋る気持ちでスマホを開いてみたけど、出てくるのは圏外の二文字だけ。

 呆然とした後、私は右腕で紫の輝きを放つテイルブレスを見つめた。

 

(どうして私は変身する事が出来ないのよ)

 

 とうに忘れた筈の悔しさが今になってこみ上がって来る。

 こんな時、変身さえできれば何とかなるかもしれない。

 変身さえできれば……

 

「って、くよくよしてる暇なんてないわね」

 

 いけないいけない。そんな事を考えていても何も変わらないって事は私が一番わかっている筈じゃない。

 私はツインテールを結び直して気合を入れ直した。

 

「よしッ!! とりあえずは他二人との合流が先決!! 行くわよ私!!」

 

 中でも真っ先に合流しなくちゃいけないのは和輝のほうだ。

 和輝は私たちと違ってツインテールにはしてないしツインテール属性も大したことはないけど、バアルギルディが起こした和輝誘拐事件の時のように万が一って事があるもの。それに華先生の方は私や和輝と違って立派な大人だし変身だって一人で出来るしね。

 決意を新たにした私はこの深い森の中を歩き始めた。

 

 

 

 

「和輝ー!! 華先生ー!! いるなら返事してー!!」

 

 それからというもの私は体感約1時間近く森の中を歩き続けていた。

 けれど、和輝や華先生はおろか他の人の気配すらまるでしない。

 途中、宇宙船か何かに搭載されていそうな脱出ポッドのような大きいカプセルを見つけたけど、中には誰かいた痕跡こそあれど誰もいなかった。

 そして、それ以外には特に何の変哲もない森が広がり続けている。

 

「誰かいないの……?」

 

 いい加減この森を抜けたい。

 というか誰でもいいから早く人と会いたい。

 このままじゃ私、どうにかなってしまいそう。

 そう思った矢先、私は前方にツインテールの気配を捉えた。

 余りの嬉しさに足を急かそうとする私だったけど、この感覚の違和感に気づき我に帰った。

 

「この感じ、華先生じゃない。でも、何この不思議な感じ。どことなく懐かしく温かい……」

 

 ツインテールの気配を捉えればその人がおおよその年齢かがわかる。

 このツインテールの持ち主は間違いなく私よりも年上、しかもこの気配は私がよく知っている人物のツインテールに瓜二つ。

 でもそれは華先生ではない。

 だけど、驚くことに私はこのツインテールの気配から母の温もりに近いものを感じ取った。

 

「何者なの?」

 

 バレないようにそーっと木の裏に隠れるようにして森の中を彷徨うそのツインテールの持ち主を後ろ姿を覗き見る。

 案の定、その人物は華先生ではなく、藍色の髪をツインテールに結んだ私よりも三つ年上の女性。服装は青を基調とした動きやすい物にまとまっており、とてもじゃないけど、この森の中で住んでいるとは思えない。

 恐らく、理由はどうあれあの人も私と同じように森の中で迷子のようね。

 

「そーじー!! 何処なのー!!」

 

 どうやらあの人はそーじって人を探しているみたい。

 随分と親し気な呼び方からして私で言う所の和輝にあたる彼氏ような人物かしら?

 でも、どうしてだろう。やっぱり不思議と懐かしさを感じる。

 そう思った矢先、ツインテール女性の足が止まった。

 

「どうしたのかしら?」

 

 相も変わらず木の裏に隠れて様子を伺う私。

 何故止まったのだろうと思った次の瞬間、その人物が一瞬の内に消えた。

 

「消えた!? いや、違う!!」

 

 私は瞬時に理解する。あの人は消えたんじゃない。あの人はただ目にも止まらぬ超スピードで移動しただけだと言う事に。

 だとするならどこへ行ったの? もしかして私の尾行がバレた? 気配を完全に殺していた筈なのに?

 その答えは直ぐにわかる事になる。

 

「後ろ!!」

 

 背後から襲い掛かる強烈な殺気。

 私は振り返り、飛んでくる正拳突きを流れるような動作で受けながす。

 受け流したことで対象を失った拳は、さっきまで私が隠れるのに使っていた木に命中、メキメキと大きな音を立てながら木は倒れてしまった。

 

「双愛!? いや、違う!! それにあたしの拳を躱した!?」

 

 驚きが大渋滞している様子のツインテールの女性。

 正直言って私もどうしてこんなにスムーズに躱すことが出来たのかがわからない。何というかまるで体が覚えているみたいな感じだった。

 まぁとりあえず、今はそれどころじゃない。

 

「あなた何者!? いきなり危ないじゃない!!」

 

「さっきからこそこそあたしの後を追ったりして、あんたこそ何者よ!! 双愛にそっくりな顔しちゃって……!!」

 

 確かにこっそりつけていたのは悪いかもしれないけれど、だからと言っていきなり殴りかかることはないじゃない。一体、どんな教育を受けて来たらそんな風になるのよ。

 あと双愛って一体誰なのよ!! 

 険悪な雰囲気漂う私たち二人。

 互いに様子を伺うその中でツインテールの女性は何かに気が付いたようだった。

 

「ちょっと待って、あんたからそーじを感じる……あんたまさか、そーじに何かしたんじゃないでしょうね」

 

「そーじ? 誰よそれ、知らないわよ」

 

 やっぱりどこかで聞き覚えのある名前だけど、それ以上は余りピンと来ないので知らないと突っぱねるが、それを聞いてなおも怪獣の如き闘争心を剥き出しにするツインテールの女性。

 こうなったらやるしかない。

 幸い、この人はさっき木をなぎ倒した程の腕前を持っているから多少、本気でやっても怪我はしない筈。

 そう思った私は臨戦態勢に入った。

 

「何? やる気?」

 

「そっちがその気ならね」

 

「上等じゃない」

 

 次の瞬間、深い森の中で轟音が鳴り響き、まるで天が裂けたかのような衝撃が駆け巡る。

 私たちがしたのはただ拳をぶつけ合っただけ。

 それなのにこの衝撃。

 やっぱりこの人、只者じゃない。相当の達人ね。

 

「「はああっ!!」」

 

 傍から見ればその様はとてもじゃないけど、十代の女同士の戦いではないのかもしれない程に私たちは激しく、拳や脚を交互にぶつけあった。

 余波で倒れる周囲の木々、逃げ出す動物たち。

 それら全てが戦闘の凄まじさを物語る。

 

「この動き……!? 水影流の動き……!?」

 

「何をごちゃごちゃと!!」

 

 何かに気づき驚く相手に対して私はより一層苛烈に攻め立てる。

 だけど、悔しいことに総合的な実力は相手の方がやや上をいっている為、どの攻撃も決して有効打にはならない。

 防御に関してだけは不思議な事に私は相手がどう攻めるのかがハッキリわかるので何とかなるけど、攻撃はそうはいかないって事がわかる。

 

「やるわね、あんた」

 

「あなたもね」

 

 それから続いた何度目かの激突の果て、私たちは互いに笑顔になっていた。

 理屈や理由なんてない。

 ただこの人と拳をぶつけ合わせ全力で戦うという事が堪らなく楽しく、それでいて気持ちがいい。

 その気持ちは相手であるこの人も同じなようであり、汗を受けて輝く藍色のツインテールがそれを物語っている。

 

「あんた名前は?」

 

「ティアナよ。あなたは?」

 

「愛香、津辺愛香(つべ あいか)よ」

 

 愛香……その名前を聞いて私は何だかとっても懐かしさを感じた。

 まるでその名を昔から知っているかのような感じ。

 そもそもこの愛香って人を私は知っているような気がする。

 

「じゃあ決着つけるわよ……!!」

 

「わかったわ、愛香さん……!!」

 

 まぁでも、今はそんな些細な事はどうだっていい。

 今、私が求めるのは愛香さんとの決着。 

 私の体に流れる血がそれを求めている。

 

「「はああああああっ!!!」」

 

 次の一撃に全てを籠めるべく互いにその拳を握りしめ集中する。

 そして、同時に駆け出し、それぞれ頬に向かって渾身の正拳突きをクロスカウンターの如く見舞おうとする。

 その時だった。

 

「ストップ!! ストッーーーーーーーープ!!」

 

「「!?」」

 

 声が聞こえた事で一瞬であるけど、私たちの意識が逸れる。

 そしてその影響でできた隙に私たち二人の間に割って入る一人のツインテール少女。

 それを見た事で私たちは慌てて攻撃を中断。

 間一髪、私たちの攻撃が割って入ったツインテール少女に命中せずには済んだ。

 

「ま、間に合ったぁ~~」

 

 へなへなと力なく地面に座り込むツインテールの少女。

 そんな彼女に愛香さんが危ないじゃないと抗議しようとする。

 そんな中、私はそのツインテール少女に見覚えがあった。

 

「リーン!? リーンじゃない!!」

 

「お、お姉ちゃん……!!」

 

 この顔、この服装、このツインテール。

 それら全てが昨日の夜、私が夢で見た彼女その物。

 間違いない。この子は夢の中で私に助けを求めに来た少女リーンだ。

 リーンは私と会えた喜びからか目に涙を滲ませる。

 

「リーン!? この子が!?」

 

 驚く愛香さんを見た私はリーンが言っていた言葉を不意に思い出す。

 確か、リーンは私たちに助けを求めるよりも前に別の人に助けを求めていたはずよね。

 確かその人は男らしいけど、さっき愛香さんはそーじって人を探してたし、もしかしてこの人って……

 そう思った矢先、私の目には愛香さんの腕で光輝くある物が映った。

 

「あーーーー!! それテイルブレス!!」

 

 そのある物というのは青いテイルブレス事だった。

 以前、出会ったテイルフェニックスこと結翼唯乃さんから話を聞いていた事のある私には愛香さんが何者かが直ぐにピンときた。

 

「愛香さん!! あなたもしかして、あの世界を救ったとされるツインテイルズの一員!! テイルブルーですか!?」

 

 ツインテイルズと言えば、以前、唯乃さんから聞いた情報によると、かつて全平行世界のツインテールを我が物とせんと侵略の限りを尽くしたアルティメギルとかいう集団を打ち倒した最強のツインテール戦士たち。

 言ってしまえば私たちテイルバイオレットや華先生が変身するテイルブルームの大先輩にあたる方々で、私は以前から是非お会いしてみたいと思っていた所だった。

 まさか、リーンが最初に助けを求めたのがあのツインテイルズだったとはね。

 これにはある種の運命を感じせずにはいられないわ。

 

「ええ……ま、まぁね……」

 

「通りで素敵なツインテールをしているなと思いました!! お願いです!! 少しだけでも触らせてください!!」

 

「い、いいけど……」

 

 許可が下りた事もあってか、私は即座に愛香さんのツインテールに飛びついた。

 よく手入れされた髪。

 長年誰かの為に結んできたんであろうツインテール。

 そのすべすべと手触りのよく柔らかいツインテールの温もりは、私の心を落ち着かせ安らぎを与えてくれる。

 それはまるで母に抱きしめられているかのような……

 

「あんた、そーじみたいね」

 

「そーじ?」

 

 ツインテールを触られている際中に愛香さんがポツリと言ったそーじという人物。

 そう言えば、唯乃さんにも同じような言葉を言われていたわよねと思い出す。

 私とそーじが似ている。それがどういう意味かはわからないけど、恐らくそのそーじって人がリーンと最初に繋がった強力なツインテール属性を有する男の人なんだなと私は理解した。

 

「あの~? お取込み中悪いんですけど……」

 

 時間も忘れてツインテールを触り続けている中、さっきからずっと蚊帳の外だたリーンが私たちに声をかけてきた。

 私は愛香さんのツインテールを触りながら耳を傾ける。

 

「場所、変えませんか? こんな場所じゃいつ敵が来るかわからないですし」

 

 敵。その言葉を聞いて私も愛香さんもハッと我に帰る。

 そうだ。私たちはそれぞれ別の世界からリーンとこの世界のツインテールを救う為にやって来たんだった。

 となればここは既に敵地と言ってもいい。

 いくらテイルブルーに変身できる愛香さんが傍にいるからと言って危ない橋を渡る必要なんてない。

 今は安全な場所に避難して和輝と合流する事が先決なのだから。

 

「ではわたしたちのアジト、ツインテール解放戦線に案内します」

 

「わかったわリーン。愛香さん、行きましょう」

 

「そうね、そーじもそこにいるかもしれないしね」

 

 私たちはリーンの案内の下、ツインテール解放戦線のアジトに向かう事になった。

 先頭に立って森を歩くリーン。

 そんな中で私はリーンにある事を尋ねた。

 

「ねぇ、そう言えばどうして私たちの場所がわかったの?」

 

 見た所、リーンは特にこれと言った何かを持っている訳ではない。

 なのにどうして私と愛香さんの場所を正確にわかったのだろう。

 その方法さえわかれば和輝や華先生を見つける事が出来るかもしれないと思った。

 

「いや……そりゃあまぁ……凄い音でしたし……」

 

 それを聞いた私たち二人は直ぐに頭を下げたのだった。

 

 

 

 

 和輝とティアナがそれぞれ別の場所で、総二、愛香と出会っていた頃。

 和輝がいた町やティアナがいた森とも違う、さらに遠く離れた山の奥地にある戦士を弔う墓地にて、一人の女性がおどおどと彷徨っていた。

 薄暗く、まるでお化けや幽霊でも出そうな場所でハイヒールのカツカツした音が響き渡る。

 

「涼原く~ん、橘さ~ん、いたら返事してくださ~い」

 

 スーツ姿にツインテール。

 どうみてもお墓参りにくるような恰好ではない彼女こそが、この世界にやってきた緑のツインテール戦士、テイルブルームこと山村華。

 

「早く帰りましょうよ~二人とも~」

 

 本来、華は和輝たちと違ってこの世界に来る気はなかった。

 言ってしまえばそれはちょっとした巻き込まれ事故のような物だ。

 さらに言えば、華は大のオカルト嫌いで知られている。

 故にこんな墓地で一人でなんて耐えれる筈が無かった。

 

「ひぃ!!」

 

 木々が揺れ、烏がざわつき飛び去っていく。

 それを見て華は酷く怯えだした。

 

「誰か助けてください~!!」

 

 涙を流しながら助けを懇願する20代前半の数学教師。

 とてもじゃないが、怪物と戦う戦士の普段の姿とは思えない。

 そんな彼女の下に声が聞こえてくる。

 

「あの~大丈夫ですか?」

 

「ひぃ!! お化けぇぇぇ!!」

 

 華がお化けだと勘違いしたのは金髪のツインテールが特徴の少女だった。




本当は前回と合わせて1話にする予定でしたけど、掛け合いを考えていくにつれ話がどんどん長くなったので2話にわけました。
次回はこの世界がどういう世界でどういう侵略を受けているのかを説明する予定です。


キャラクター紹介18

 観束総二(みつか そうじ)
 性別:男
 年齢:19歳
 誕生日:2月2日
 身長:174cm
 体重:65g

 誰よりもツインテールを愛する男。
 テイルレッドの変身者であり、究極のツインテールと呼ばれる属性力の持ち主。
 テイルレッドの名はかつて全平行世界のツインテールを奪うべく侵略を開始したアルティメギルを打ち倒した伝説の戦士として、和輝たちの世界などを除いた多くの世界で名が知れ渡っているが、正体が男である事を知るのは元の世界の者達を除けば多くない。



 津辺愛香(つべ あいか)
 性別:女
 年齢:20歳
 誕生日:8月8日
 身長:158cm
 体重:46g
B72・W58・H80

 観束総二と幼馴染であるテイルブルーの変身者。
 ティアナを超えるレベルの貧乳コンプレックスが特徴で、胸をいじるエレメリアンは誰であろうと容赦せず葬り去って来た。
 総二の事が好きな人物の一人。
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