俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~ 作:中川カイザー
武装した男たちと共に俺、ティアナ、総二さん、愛香さんは、町に繋がっていると説明されたマンホールを開けて中に突入。
下水道はメフィストギルディが来る前からこの辺り一帯に広がっていたらしくツインテール解放戦線にとっては最早庭のような物であり、どのマンホールが何処に通じているのかについては誰もが知っているとの事だ。
俺たちはリーヴと戦線に所属している男たちを先頭に下水道内を歩く。
「にしては酷い臭いね……」
「通りで和輝が臭かった訳だわ」
愛香さんとティアナ、女子二人は下水道内の臭いについて感想を漏らす。
俺と総二さんは既に経験済みなので気にはしているが別に口には出さない。
それよりも俺としてはこの後の決戦の方が心配だぜ。
ツインテール解放戦線のみんなは皆、俺と同じように緊張しているのか、誰一人として何も喋らず黙々と下水道内を歩き先導を続けている。
それが何となく俺を不安にさせた。
「なぁ、そういや、華先生は結局、どうなっちまったんだろうな?」
これからの決戦、こんな時、華先生がいればどれだけ心強いか。
そうふと思った結果、今の今まで忘れていた華先生の存在を思い出した俺は、張り詰めた空気の中、ティアナにそう話しかけた。
「そうね……私としては元の世界をアルティデビルから守ってもらう為にもこの世界には来ていない事を願うけど……」
俺もティアナも華先生には、転移に失敗して一人だけ元の世界に取り残されている事を祈っている。
がしかし、それは正直言ってそれはないと俺は思っている。
何となくだが、華先生はこの世界のどこかにいる気がするんだ。
「なぁ、もし来てたら?」
「その時はやっぱり……」
「助っ人に来て欲しい……だろ?」
「うん」
頷くティアナ。
俺も気持ちは同じなのでその気持ちはよくわかる。
なぜなら華先生が変身するテイルブルームは俺が変身するテイルバイオレットよりも圧倒的に強いからだ。
やや精神面にこそ難あれどあそこまでの実力を持った戦士、助っ人として欲しいと思わない方がどうかしているレベルだ。
「そういや、総二さんの方は大丈夫なのかよ。確か慧理那さん……だっけか、はぐれたままなんですよね」
確か総二さんはこの世界に他二人の仲間と一緒にやって来たと言っていた。
一人は今一緒にいる愛香さん。そしてそのもう一人が確か
写真で見た限りじゃとても戦うようには見えない程に小さくて可憐な少女ではあったが、話によると彼女はヒーローに憧れを抱いているが故にとても勇ましいみたいであり、テイルイエローに変身すると身長も伸びて非常に頼もしいとの事。
「そりゃあ心配さ。でも、慧理那ならきっと大丈夫、俺はそう信じている」
近くにいなくてもこうも信じられるなんて、やっぱりツインテイルズの絆は俺たちの想像以上に固いようだ。
自信満々と言い切った総二さんを見て俺はそう言った感想を浮かべる。
「それにこの戦いが終わったら、トゥアールが見つけてくれるさ」
「その時はうちの華先生も頼みます。あの人、お化けとかのオカルトの類が苦手なのでもしかしたらどっか暗い場所で泣いているかもしれないですし」
「ああわかった。その時はトゥアールにお願いしてみるとするよ」
懸念していた事の一つが解決しそうなので俺としてはホッとする限りだぜ。
にしてもそのトゥアールって人は頼りになる人だなおい。
さぞ聡明な科学者さんなんだろうな。
「案外、あたしたちみたいに二人一緒にいるかもね」
「そうか……確かにそれもそうですね」
愛香さんの言葉にティアナが頷く。
まぁ、確かに俺が総二さん、ティアナが愛香さんと出会ったように、華先生が慧理那さんと出会っていても何もおかしくない。
何というか運命のようなものを感じてしまう。
「華先生と慧理那さんか……」
テイルブルームとテイルイエロー。
色にして緑と黄色か……悪くないな。
まぁ、真面目な話、色の相性は兎も角、聞いたところによると性格面の相性としては決して悪くはないだろう。
それにもし、一緒にいてくれたのなら後で探すのも楽でいい。
「よし、二人を迎えに行くためにも今はこの世界のツインテールの為、目の前の戦いを終わらせよう」
「そうですね総二さん」
改めて気合を入れ直す俺と総二さん。
だが、女子組は何か思い出したようで不安気な様子を見せるのであった。
◇
それからというもの俺たちはそれ以上何かを喋るわけでもなく、ただ黙って戦線のメンバーについていく形で下水道内を歩いていく。
皆、やはりというかこれからの戦いに緊張しているのかもしれねぇ。
かく言う俺も正直言って滅茶苦茶緊張している。
もし俺が総二さんや愛香さんの足を引っ張りでもしたらどうすればいいのか不安で一杯だぜ。
「よし、みんな止まれ。ここからは部隊を分ける」
先頭を歩くリーヴが振り返り、みんなに声をかけた。
どうやらここからはメフィストギルディの気を引く部隊とサタンギルディを叩く部隊で分かれるとの事だ。
「では後は頼む。私はこのまま彼らを目的の場所まで案内する」
「了解です、リーヴさん。作戦の成功を祈ります」
「わかった……」
敬礼と共に男たちは別の道に入っていき、その姿を消していく。
いつの間にか戦線のメンバーでいるのはリーヴと最後尾にいたもう一人の男だけになってしまっていた。
「さぁ、みんな行くぞ。目的の場所はすぐそこだ」
それからというもの俺たちは先頭を行くリーヴの案内の下、入り組んだ下水道内を歩いた。
そして数分後、俺たちは一つのマンホールの下に辿り着いた。
「先ずは私が先行して安全かどうかを確かめる。君たちは私が合図をしたら登ってきてくれ」
頷く俺たちに見送られる形でリーヴが外に出て行った。
果たして作戦は無事成功するのか。
俺の心臓はバクバクと音を立てて鳴り始める。
「大丈夫だ。みんな上がってきてくれ」
数分後、リーヴの声が返って来た。
俺たちは総二さんを先頭に下水道内から外に出る。
「あれ? コロシアムは?」
確か目的地はサタンギルディがいる町一番のコロシアムだったはず。
だが、外に広がっていたのは周囲を高い崖で覆われている夕日で照らされた採石場のような荒野であり、何というか特撮ヒーローの撮影で使われるようなところだった。
何処をどう見てもコロシアムのような建物はない。
それどころか町の中ですらない。
「なぁ、リーヴ。ここは一体?」
何かがおかしい。
そう不審に思った俺。
総二さんを先頭に俺たちは採石場の中央で立つリーヴに駆け寄り声をかける。
「みんな、すまない……」
「すまないって一体……」
総二さんに向かって謝りながら涙を流すリーヴ。
一体、何がすまないって言うんだ。
そう思ったその瞬間、崖の上から聞き覚えのある変な鳴き声が聞こえてくる。
「「「モケー!!」」」
「「「モゲ―!!」」」
崖の上から俺たちを取り囲むかのように現れたのはおよそ一万はいるであろうおびただしい数の
まるで俺たちを待ってましたかのような登場に俺たちは困惑を隠しきれない。
もしやと思い、振り返ってみるとさっき通ってきたマンホールの蓋が中から閉められてしまい、ピクリとも動かなくなる。
逃げ道を塞がれたのだと俺は理解する。
「おいおい、これってもしかしなくても……!!」
「リーヴ!! これは一体!?」
焦り問いかける総二さん。
対してリーヴは涙ながらジャキンと銃口を俺たちに向け冷たく告げる。
「あなたたちの属性力を頂くわ」
「「なッ……!?」」
な、何を言っているんだ……?
リーヴの言っている言葉の意味がまるでわからない。というより、頭では理解していても体がそれを理解するのを拒んでいるかのように現実を受け入れられないと言った方が正しい。
「じょ、冗談だろ……? なぁ? リーヴ?」
「和輝くん……冗談じゃないわ。私たちは本気よ」
「私たち? それじゃまさか……!?」
「正解よ総二くん。そう、そのまさかよ……」
私たちという言葉に総二さんが反応したその瞬間、奥の岩陰からぞろぞろとさっきまで一緒にいたツインテール解放戦線の男たちが現れる。
彼らは手に持っているマシンガンやらライフルだと言った銃の銃口を俺たちに向けながら俺たちを取り囲み包囲したのだった。
「お、お前らまで……」
「悪いな、これも全てこの世界のツインテールの為なんだ」
動揺する俺に男の一人がそう告げる。
俺はそれを聞いて何が何だかわからなくなってしまう。
「ど、どういう意味だよ……意味わかんねぇよ!! 俺たちは……俺たちはこの世界のツインテールを救う為に!! 共に戦うんじゃなかったのかよ!! 答えろよ!!」
俺の叫び声が辺り一面に虚しく木霊する。
そんな現実を受け入れられない俺に対し、涙を拭い去ったリーヴは冷たく告げる。
「まだわからないの? あなたたちは私たちによって罠に嵌められたのよ」
「罠だと……!!」
「そう、あなたたちをここに連れてきて属性力を奪う。それがメフィストギルディが私たちに与えた使命なの」
「「メフィストギルディ……!?」」
戦闘員が顔を出した時点でわかっていたが、やはりリーヴたちの裏切りにはメフィストギルディが裏で糸を引いていたようだ。
だが、何故メフィストギルディの言う事を聞いちまったっていうんだ?
先日のメフィストギルディを見たときの反応や襲撃された時などを振り返ってみても、俺たちと出会う最初からグルだったとはとてもじゃないが思えない。
こうなっちまったのには何か、理由があるはずだ。
そう思った俺はリーヴに問いただす。
「どうしてメフィストギルディの言う事なんか聞いちまったんだよ!! お前ら言ってじゃねぇか!! アイツのせいでこの世界は変わっちまった!! この世界のツインテールは……いや、属性力は!! 奴らによって奪われつつあるって……言ってたじゃねぇか!!」
響き渡る魂の叫び。
するとリーヴは視線を逸らし小さな声でボソボソと喋りだす。
「仕方なかったんだ……これ以上、戦っても辛いだけ……私たちはもう限界なんだ……」
その後、リーヴは語る。
食糧問題で尽きぬ空腹と劣悪な生活環境、いつ襲撃が来るか怯える苦痛の毎日。どれだけ頑張っても大好きなツインテールはテロリストの象徴として忌み嫌われ続ける。それならばいっそ楽になりたい。私たちも町に住む人々のような恵まれた生活を手に入れたい。
そんな事を心の奥底で思う中、メフィストギルディが俺たちを罠に嵌める作戦が成功すればツインテール属性を持ったまま優雅な生活を送れるように手配しようと提案してきたらしい。
「だからって……メフィストギルディに魂を売ることはねぇだろうが!!」
話しを聞き終えた俺はリーヴに訴えかける。
だが、リーヴの心は揺るがない。
「お前たちに何がわかる!! 恵まれた環境で過ごし!! 恵まれた力を持ったお前たちに!!」
「だけど!! こんな事をしていい訳がねぇだろ!! リールやリーンはこんな事望んでない筈だろうが!!」
その名を聞いて動揺を見せたリーヴだったが、リーヴは頑なに銃を下ろそうとはしない。
「悪いがもう止まれないんだ。私たちはこの世界のツインテールの為にも生きなければならないのだから」
クッソ、何を言っても無駄。俺たちはまんまとしてやられたって言うのか……
強い決意と共に放たれたその言葉に呆然となる俺と、動揺しているのかさっきからずっと黙り続けている総二さん。
逆にティアナと愛香さんの二人は薄々勘づいていたのか俺たち程の動揺は見せていない。
「通りでさっきから何か様子がおかしいと思ったらそういう事だったのね」
「私も何か嫌な予感がしてたけど、まさかここまでとはね……」
振り返ってみれば、妙にそわそわしてたしと確かにどことなく様子がおかしかった。
騙されやすそうな総二さんは兎も角、普段なら勘がいい俺が騙されたのに関して言えば、これからの総攻撃というワードに緊張し過ぎてそこまで考えが回らなかったからだろう。
クソ……騙された悔しさと怒りがマグマのようにこみ上げてくる。
「だからお願いだ。大人しく投降してくれ」
最後の頼みだと言わんばかりのリーヴ。
だがしかし、俺たちからすればここではいわかりましたと言う通りは微塵もない。
「するもんかよ……!! ティアナ行くぞ!! 変身だ!!」
「え、ええ!!」
ティアナのテイルブレスが光輝き、俺の腰回りにテイルドライバーが出現、同時に愛香さんがテイルブレスを構え、ハッと我に帰った様子の総二さんがそれに続く。
だが次の瞬間、銃声が辺り一面に響いた。
「悪いけど、あなたたちには変身なんかさせないわ」
銃弾はティアナの足元に放たれていたらしく、地面には黒々とした穴がぽっかりと空いていた。これはつまり、もし俺たちが強引に変身でもしようものならば、必ず一人無防備になるティアナは無事じゃないと警告しているような物だ。
いくら人間離れした身体能力を持つティアナと言えど、本物の銃を四方八方から乱射されればひとたまりもないだろう。
ここにきて唯一、変身が出来ないという部分が大きな足かせになってしまった。
「クッソ……お前らどこまで卑怯になれるんだよ」
「全てはこの世界のツインテールと私たちの為よ」
「その為なら私たちはどうでもいいって訳ね……」
「最低よ……あんたたち……」
ティアナと愛香さんにそう罵られるリーヴだったが、当の本人はどこ吹く風といった様子。他の戦線のメンバーも同様だ。全くもって意に介していない。
俺はそれほどに今の彼女たちには迷いがないのだと思い知らされた。
「どうしよう和輝」
「どうするもこうするもねぇよ……!!」
このままジッとしていても埒が明かない。でもだからといって、このまま強引に変身しようものなら一人変身できないティアナの身が危ない。
それをわかっているが故に俺たちは手出しが出来ない。
どうすればいいんだよ……クソ……!!
時間だけが刻一刻と流れていく。
「終わりね。じゃあ先ずはティアナちゃんの属性力を頂くわ」
そう告げるリーヴ。
そして背後から現れた武装戦闘員が属性力を奪うあの銀の輪っかを作り出し近寄って来る。
このまま一人一人何も出来ずに属性力を奪われ終わってしまうのか……
そう絶望に暮れるそんな時だった。
「グランアロー!!」
「ヴォルティックブラスター!!」
突如として天から放たれた緑の閃光が属性力を奪うあの銀の輪を射抜き爆散。
さらに今度は黄色の閃光が俺たちを狙っていた銃に命中し、一斉に爆発、辺り一面が土煙で包まれる。。
余りにも突然の出来事過ぎて俺たちは一瞬何が起きたのかわからなかったが、直ぐに何が起きたのか理解する。
まさか、来てくれたっていうのか……!!
「な、何が起きた!?」
打って変わってうろたえるリーヴと戦線のメンバー。
そんな状況の中、土煙漂う俺たちの目の前に緑と黄色のツインテールをなびかせる二人の戦士が降り立った。
「何だかわからないけど、間一髪って所のようね」
「皆さん、遅くなりましたわ」
絶望という暗闇を切り裂く二人の声。
それは正しく俺たちにとっての希望。
土煙が晴れたそこに立っていたのは……
「「ブルーム!!」」
「「イエロー!!」」
片方は俺とティアナがよく知る緑のツインテール戦士、テイルブルーム。魔法少女を思わせるドレスのような装甲が特徴だ。
そしてもう片方はツインテイルズのメンバーである黄色のツインテール戦士、テイルイエロー。テイルブルームとは打って変わって全身を甲冑のような重装甲で包んでおり、背中にはツインテール想起させる大きな巨砲が印象的。
両者共に力強くツインテールをなびかせるその佇まいは正に歴戦の勇士と言ってもいい。
「まさかまだ仲間がいたとは……」
よろめきながら立ち上がったリーヴは、手にした銃の銃口をティアナに向けるものの、その銃はテイルイエローの正確な射撃によって破壊されており、もう使い物になっていない。
これは他の戦線のメンバーも同様だ。
今なら変身できる……!!
「行くぜティアナ!!」
「ええ!!」
ティアナと心を一つにした俺はテイルドライバーを構え、右側面のスイッチを力強く押し込む。
それに続くかのように総二さんと愛香さんもテイルブレスを構え、お決まりの
「「「テイルオン!!」」」
青紫と赤と青の光が俺たちをそれぞれ繭のように包み込む。
そして次の瞬間、テイルバイオレット、テイルレッド、テイルブルー、の三人の戦士が新たに現れた。
「5人のツインテール戦士……」
この世界に来た戦士5人がそろった事に呆気にとられるティアナ。
テレビの戦隊モノならここでカッコよく名乗りを上げるようなシチュエーションだが、今はそんな状況じゃない。
打つ手なしと判断して逃げ始めるリーヴたちツインテール解放戦線のメンバーと入れ替わるように、崖の上から戦闘員たちが滝のようになだれこんでくるからだ。
さて、敵さんの数は見たとこおおよそ一万。対して俺たちは5人且つ戦えないティアナを守りながら戦う必要がある。これは少しばかり骨が折れるぜ。さてどうする?
そう思った直後、テイルイエローが前に出る。
「ここはわたくしにお任せくださいまし」
力強くそう言いきったテイルイエローの装甲が音を立てて次々と展開。敵を一掃せんとテイルギアに搭載された火器を一斉にスタンバイする。
いや、それだけじゃねぇ。
テイルイエローはその黄色にはためくツインテールを鋼のアンカーのように地面に打ち込み自らを固定していやがる。
「みんな伏せろ!!」
テイルレッドがそうみんなに指示を飛ばしたので俺たちは一斉に地面に伏せた。
「いまだ!! 行けイエロー!!」
「かしこまりましたわ、ご主人様!!」
ご主人様?
その言葉に?マークを浮かべる俺とティアナと華先生だったが、直後に発射されたテイルイエローの怒涛の弾幕にかき消される。
「「「モゲゲゲゲーー!!」」」
テイルイエローの全身のいたる所から放たれる雷の如き弾幕が夕闇に染まりつつある採石場を明るく照らす。
そして、その弾幕は全て俺たちを取り囲む戦闘員の群れに命中し、その黒い四肢を爆発四散させていく。
砲撃が止む頃には戦闘員の数は半分も満たない量へと変わっていた。
「よし、みんな行くぞ!!」
数も十分に減った今なら戦闘員如きに負けはしねぇ。
テイルレッドの号令の下、俺たちは戦闘員の群れに向かっていったのだった。
◇
すっかり暗くなった夜の採石場。
無残にも切り捨てられた戦闘員たちが一体残らず消滅していく。
和輝を筆頭に皆、変身を解き一息つき始めた。
「何とかなったみてぇだな……」
「そうね……」
さっきはリーヴ率いるツインテール解放戦線の裏切りにあい、大ピンチに陥った私たちだったけど、間一髪テイルブルームとテイルイエローが助けに来てくれたおかげで何とか切り抜けることが出来た。
助けに来てくれてよかったと思う反面、もし私が変身出来ていればあんなピンチ招かなくて済んだのにと少し悔しさが残る。
まぁ、何にせよ、今は助かった事を喜ぶとしましょうか。
「助けてくれてありがとうございます。華先生、慧理那さん」
「いいのよ橘さん」
「そうですわ、ヒーロー同士、ピンチの時は助け合いですわ」
テイルイエローから変身を解除した慧理那さんは、写真で見せてもらった通り、それそれは高貴で麗しいツインテールをしており、私はそのツインテールに目を奪われる。
先端にカールがかかりふわり纏まっているのが育ちの良さを感じさせる。
口調といい、ツインテールといい、正しくお嬢様と言える人物だと即座に理解した。
「それにしても慧理那、今までよく無事だったな」
「華さんがいてくれたおかげで何とかなりましたわ」
慧理那さんの話によると私たちが丁度この世界にやって来た日、慧理那さんは墓場で怯える華先生を発見。その後、二人は互いの事情を話した事もあってか直ぐに意気投合して共に山を抜けるべくそこら一帯を一緒に歩き回っていたらしい。
「華さんのサバイバル知識が無ければ今頃どうなっていたか考えたくもないですわ」
華先生は以前、修行と称して山の奥で一人でサバイバルをするなんていう無茶な事していたけど、それのおかげで慧理那さんが助かったと思うと何が何の役に立つかは意外とわからないわねと思い知らされる。
「神堂さんこそ、あなたがいてくれなかったら私、今も墓場で泣いていたわ」
謙遜し合う二人の姿は実に微笑ましい物だった。
まぁ、ちょっと付け加えるとするなら、二人の年齢はそこまで大きく変わらない筈なのに変身前の体格がまるで違うのが少し面白いって事かな。
墓場での件も、傍から見たら小学生に泣きつく高校教師って感じで色々とおかしくて面白い。
「慧理那を……いや、俺たちを助けて頂いてありがとうございます。華先生」
「私こそあなたには一杯感謝しないといけないわ。アルティメギルを倒してくれて本当にありがとう。テイルレッド……いや、観束総二くん」
総二さんと華先生、頭を下げ合い握手する二人。
華先生からすればアルティメギルは確か過去にかなり深い因縁があったみたいだし、アルティメギルを倒した総二さんには感謝してもしきれないみたいね。
「はいはい、感謝はそれくらいにして、それよりもそーじ、この後どうするのよ」
「確かにそれもそうだな……」
楽しい会話はここまで。
これからは今後この世界でどうやって暮らしていくかを考える時間。
愛香さんの言葉を聞いてみんな今後どうするかを考え続ける。
「アジトに戻るのは危険だしな……」
「そうね……」
私たちを嵌める作戦が失敗に終わった以上、恐らくだけどメフィストギルディとツインテール解放戦線の関係性は途切れた筈。でもだからと言って裏切られた事実には変わりない。という事はのこのことアジトに帰るだなんて自殺行為のような物。
でもだからと言って、町に行けばツインテールをしているだけで騒ぎになり、いつまたメフィストギルディからの刺客がやって来るかわかったもんじゃない。
となると答えは一つしかないわね。
「だったら皆さん一緒にそこらで野宿でもしませんか? 華さんの知識があればきっと大丈夫ですわ」
「そうするしかないみたいだな。お願いします華先生」
「わかったわ、任せておいて」
総二さんのお願いに力強く答える華先生。
本来、よく知りもしない世界で野宿というかサバイバルだなんて、途轍もなく危険な行為でしかないんだけど、今日までこの世界でサバイバルしてきた経験者がいるおかげか何とかなる自信しか湧かない。
話もまとまった事だし、私たちはとりあえず今いるここから移動しようと歩き出す。
そんな時、今までずっと黙っていた和輝が口を開いた。
「なぁ総二さん、あんたぁ、ツインテール解放戦線についてはどうするつもりだよ」
皆があえて言ってなかった事を口にした和輝。
その声色からは怒りが感じられる。
そんな和輝に対して総二さんは真っすぐ伝える。
「どうするもこうするもない。今後、彼らのツインテールが奪われそうになった時は助けに行く。俺はそのつもりだ」
一瞬の迷いなく言い切ったその発言に私たちは驚かなかった。
総二さんならきっとそう言うんじゃないかと思っていたからだ。
だけど、和輝はその発言に我慢ならなかった。
「何でだよ……!! どうしてそんな事言えんだよ……!! 俺たち裏切られたんだぞ!! なのに助けに行くだぁ!? お人好しも大概にしやがれってんだ!!」
「お人好しなんかじゃないさ。ツインテールに罪はない。俺はそう思うから助けに行くんだ」
和輝の言い分は尤もだけど総二さんの言う事も私は正しいと思う。
その人たちがどんな過ちを犯そうともツインテールには何の罪もないんだもの。
「ふざけんな!! ふざけんな!! ふざけんな!!」
ヒートアップした和輝は勢いのままに総二さんの胸ぐらを掴む。
私はそれをとめようとしたけど、愛香さんが制止する。
「黙って見てなさい」
愛香さんにそう言われた以上、私は黙って見ることしか出来ない。
そして、和輝は総二さんに向かって言い放つ。
「総二さん……!! 今ここで、俺と戦え……!!」
ヒーロー同士助け合うのもいいですけど、互いの信念をぶつけ合う為に戦いあうのも好きです。
キャラクター紹介20
性別:女
年齢:20歳
誕生日:12月21日
身長:145cm
体重:38g
B70・W53・H72
テイルイエローの変身者。
一見、小学生と見間違えそうになる程の可愛らしい見た目とは裏腹にヒーローをこよなく愛するヒーローオタク。
また、途轍もないドMでもある。
総二の事が好きな人物の一人。