俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~ 作:中川カイザー
「あの子、一人でメフィストギルディの下に向かったんです!!」
俺たちを探し回り、ようやく見つけたであろうリーン。
そんな彼女の叫びが辺り一面に木霊する。
それを聞いて驚く俺たち。
リールの奴、何が原因かはわからねぇが何故そんな事をしやがったんだ。もしかしてあれかお前一人でメフィストギルディを倒すとかそういう事か?
「それは本当なの!?」
「はい、あの子ったら私がメフィストギルディを倒すんだって言って私の制止も聞かずに……」
やっぱりか……あのバカ野郎……!!
変身どころかまだ戦士として戦った事もないガキの分際で何してやがんだよ。
あまりの無謀さに怒りを覚えるそんな俺とは違い、至って冷静な総二さんはリーンに何故そうなったのかを問いかける。
「でも何でそんな事を? 何か理由がある筈だろう?」
「それは……昨日の事が原因で……」
昨日の事と言われて思い当たるのはツインテール解放戦線の奴らの裏切り行為しかない。華先生と慧理那さんが来てくれなかったら今頃どうなっていたか考えたくもない苦い思い出だ。
そう言いながらバツの悪い表情を浮かべるリーン。
どうやらリーン自体は俺たちへの裏切り行為をした事について申し訳なく思っているのだろう。
元はといえばリーンの助けを受けて俺たちはやって来たんだしな
「昨日、わたしの仲間達がお兄ちゃんたちを裏切って罠に嵌めた事、そしてそれが失敗に終わった事、それら全て何が起きたのかは帰ってきたリーヴ姉さんから全て聞きました」
「ああ」
「リールはその事を聞いてリーヴ姉さんに怒ったんです。何でそんな事をしたんだ、何で和輝たちを裏切るような真似するんだ、そんな事をして本当にツインテールを守れるって言うのかって……」
「アイツ……」
リーヴがどういう心境で俺たちを裏切ったのかは完全にはわからないが、確か俺たちを裏切る直前のリーヴは涙を流していた。つまりリーヴは本心では裏切るような真似はしたくなかったと推測できるけど、リーヴには裏切る道しか残されていない程に追い詰められていた故に俺たちを裏切った。
そんなリーヴの葛藤をわからない程にまだ幼いが故のリールの怒り。
別にそれが悪いとは思わない、そう思ってくれてありがとうって気持ちでいっぱいだ。
「成程、つまりリールはこうなった全ての原因がメフィストギルディだと悟り、メフィストギルディを倒す為に単身向かったって事か」
「はい」
詰まる所、リールは裏切らせる原因を作ったメフィストギルディを倒してみんなの目を覚まさせてやろうって魂胆で飛び出していったって事か。
でもだからと言って誰の助けも借りずに一人で敵の本拠地に向かう馬鹿がいるかよ。それは勇気ではなくただの無謀だぜ。
リーンが何故助けを求めに来たのかを知った俺たち。
さてそれを聞いてどうするべきか……
そんな俺たちにリーンは頭を下げる。
「姉さんが……いやわたしたちが……お兄ちゃんたちに何をしたのか……それは謝ってすむような事ではないし、ましてやこうやって助けを求めに来るなんて都合がよすぎるとは思います。でも、お願いです。リールを……わたしの妹を……助けてください。このままじゃあの子のツインテールが……」
断られる前提で頼み込むリーン。
それほどに昨日、リーヴたちが俺たちにした行為を悔やんでいるようだ。
そんなリーンに俺は声をかける。
「任せとけ、あの馬鹿は絶対に俺たちが助けてやる。だよな総二さん?」
「ああ、和輝の言う通りだ」
YESかNO、答えは勿論YES。
総二さんに続いてティアナ、華先生、愛香さん、慧理那さんがそれぞれ頷き合い、それを見て涙を流すリーン。
当たり前だが、俺たちはそんな姿を見て断るほど冷たい奴らじゃない。
そりゃあ昨日の事を完全に許せるかと言われればそれは難しいと答えざるえないが、それとこれとは話が別。
リールのツインテールがピンチな以上、俺たちツインテール戦士が行かない理由にはならねぇってわけだ。
「本当に……本当にいいんですか!?」
「いいもなにも、俺たちツインテイルズは元々この世界のツインテールを助ける為に来たんだ」
「お兄ちゃん……!!」
何時ぞやと同じく総二さんの言葉に感激して飛びつくリーン。
それを見て愛香さんや慧理那さんが怒るかと思いきや、ここは空気を読んで怒っていない。
「そーじの言う通りよ、それにそもそも、あたしたちが元の世界に帰る為にもメフィストギルディを倒してこの世界を覆うバリアを解かないといけないしね」
「それもそうですけど、やはりヒーローたるもの困っている人は見捨てられませんわ」
不満無しやる気十分の愛香さんと慧理那さん。
寧ろ二人とも早く戦いたがっているようにも見える。
俺はそんなツインテイルズ組とは違うティアナと華先生に声をかける。
「一応、念のため聞くがティアナたちはどうする?」
「そりゃあ勿論、私は和輝についていくわ。というかそうしないと和輝何もできないじゃない」
それは言うなよ……
何かカッコつけた手前、すげぇダサく見えるじゃん。
「私は先生として皆を守るためにも一緒に行くわ」
「先生は先生で泣かないでくださいよ」
口ではそうチクリと釘を刺しているが内心、華先生が来てくれるという事に心強さ感じている。
まぁ、何にせよこれで全員が助けにいくと決まった訳だ。
後はどう助けにいくかについてだが……
「リーン、お願いがあるんだ。俺たちを町へ連れて行ってくれ。そうしたら後は俺たちに任せてくれ」
俺の考えを見越してか総二さんがリーンにそう頼み込んでいた。
即座に了承の返事をするリーン。
「よし、みんな行くぞ!!」
総二さんたちはテイルブレスを、俺はテイルドライバーを、華先生はテイルペンダントを、それぞれがそれぞれの変身アイテムを構え、お決まりのあの言葉を叫ぶ。
「「「「「テイルオン!!」」」」」
爆裂する赤、青、黄、青紫、緑。
五色のツインテール戦士が一斉に姿を現した。
さぁ、決戦の時だ。
◇
テイルギアによって強化された脚力を存分に発揮した俺たち一行は目にも止まらぬ速さで荒野を駆け抜ける。
目指すはメフィストギルディが支配しているこの世界で唯一発展している大都市。
単身飛び込んでいったリールを救い、そしてこの世界のツインテール及び属性力を奴らの手から解放するのが俺たちの目的だ。
「ねぇ、和輝。作戦とかはどうするの?」
俺にお姫様抱っこの形で運ばれているティアナがそう問いかけて来た。
ちなみに何故、ティアナを抱っこしているのかというと、ティアナやリーンといった変身出来ない組をそのまま森に留守番させるわけにもいかないので、それなら俺や総二さんが抱っこして一緒に連れて行くしかないからだ。
まぁ、何故お姫様抱っこなのかは知らん。一応言っておくが、俺や愛香さん、慧理那さんは反対した。
「作戦か……どうするよ総二さん?」
「うーんそうだな……」
リーンをお姫様抱っこして運ぶテイルレッドが頭を捻る。
何もいい案が浮かんでこないのは俺も総二さんもどうやら一緒みてぇだな。
だがだけど、このまま何の策も無しに敵の本拠地に突っ込んでいってもどうなるかわからねぇ。
それにメフィストギルディは狡猾な野郎だ。
俺たちをどんな罠に嵌めようと企んでいるかわかりゃしねぇ。
「なーに、作戦も何も真正面からブッ倒せばそれで終わりでしょ」
並走するテイルブルーがビックリするくらいの脳筋発言をブチかましてくる。
まぁ、確かに極論はそうっちゃそうなんだけどそれで本当にいい物かははなはだ疑問だぜ。
「ブルーの言う通りですわ。大事な時こそ正面から当たって砕けろといいますもの」
「砕けちゃ駄目だろおい」
「でも、変に考えこんでしまうよりかはいいかもな」
テイルレッドが肯定したのを皮切りに皆の意見がそれに纏まり始める。
そう決まったのならじゃあさっさとリールの奴を助けに行こうぜと俺たち一行はさらにスピードをアップ。
あっという間に荒野を駆け抜け終え町に辿り着いた。
「凄い……これがこの世界の町なのね……」
「ハイテクですわ……」
俺と総二さん、あとリーン以外のメンバーは初めて見るであろう発展した町の風貌に度肝を抜かされている。
未知なる科学の結晶の数々。俺も最初見たときは驚かされたもんだぜ。
だけど、これら全てがメフィストギルディがこの世界を支配する為に仕掛けたものだとするのなら自然と怒りが沸いてくる。
そんな中、俺たちの存在に気づき始めた町の人々が声を上げはじめる
「おい、あれ……!?」
「間違いない、ツインテールだ!!」
「ツインテールが攻めて来たぞ!!」
逃げ惑い狼狽える人々。
俺たちはただこの世界を元のツインテールが愛される世界に戻したいってだけなのに、助けられる側である人々のこの反応には流石にくるものがある。
昨日は俺にあれだけの事を言っていたテイルレッドも怒りからか手を力強く握りしめている。
「総二さん……!!」
『まさか来てしまいましたかツインテイルズの皆さん』
「「「ッ!?」」」
突然声が聞こえたかと思うと空にホログラムのようなスクリーンが映し出される。
そこにはあの憎きメフィストギルディの人間態が映っていた。
「メフィストギルディ!!」
『お久しぶりですね皆さま。まさかまたお会いすることになるとは思ってもいませんでしたよ。驚きです』
わざとらしいオーバーリアクションで驚く素振りを見せるメフィストギルディ。
それを見て俺はより一層怒りに燃え上がりつつもその怒りを何とか抑え込んで奴に問いかける。
「んな事よりもてめぇ!! リールは無事なんだろうな!!」
『リール? ああ、昨晩やって来たあの小娘ですか』
「わたしの妹に何をしたの!?」
不安の声を上げるリーン。
対するメフィストギルディはニタリと邪悪な笑みを浮かべ言い放つ。
『まだ何もしていませんよ。まだね』
その言葉が何を意味しているのかなんて馬鹿でもわかる。
早くリールを助けにいかねぇとアイツのツインテールどころか命すらも危ないようなそんな気がしてくる。
「てめぇ、今どこに居やがる!!」
『乱暴な方ですね。ま、私はコロシアムで逃げも隠れもしませんよ』
コロシアム。
そう言われて辺りを見渡すと町の奥に巨大なドーム状のコロシアムを発見。
メフィストギルディはあんなところに居やがるのかと俺は駆けだそうとする。
『尤も、そうやすやすと通す訳にはいきませんけどね』
その言葉と共に俺たちを囲むかのように大量の
成程、こいつらを倒さねぇと先には進めねぇってか上等だ。
一瞬の内に片付けてやる。
そう意気込み前に出ようとする俺であったが、テイルブルームがそれを制止する。
「ここは私に任せて頂戴。あなたたちは先に行って」
「「華先生!!」」
いくらテイルブルームといえどこの数を一人で相手するだなんて無茶だ。
そう思い俺とティアナは声を出す。
がしかし、テイルブルームは俺たちに満面の笑みを返す。
「大丈夫よ、先生は負けないわ」
理由や理屈なんてない。
だがそこからでる自信は明らかに他の追随を許さない。
先生なら大丈夫だと安心できる。
「よしわかった。頼むぜブルーム!!」
「ええ、レッドこそうちの生徒を頼むわ」
「ご武運を」
テイルレッドとテイルイエローがそう声をかけた後、俺たちはティアナとリーンを抱えて武装戦闘員の群れを飛び越えて先に進む。
目指すはメフィストギルディの待つコロシアムだ。
◇
武装戦闘員の群れを抜けた俺たちはコロシアムへ向かって町を駆ける。
走り抜ける度に聞こえてくる町の人々の悲鳴が俺たちの胸を痛くさせ、こんな世界にするように仕向けたメフィストギルディへの怒りが燃え上がる。
「見えたぞ!! あそこだ!!」
先頭を走るテイルレッドがコロシアムの入口を指をさす。
だが、そこには何体かの武装戦闘員が入口を守るかのように立ちふさがっていやがる。
武装戦闘員たちは俺たちに向かって銃を乱射。
メフィストギルディの超科学で作られたであろうハイテク銃はテイルギアをも傷をつける威力だ。
ティアナとリーンを抱っこしている俺やテイルレッドでは避けるので精いっぱいだぜ。
「クッソ……!! 近寄れねぇ……!!」
強引に突っ込めば突破は出来るかもしれねぇが、それじゃティアナたちが危険だ。
どうしようもない状況に苦戦する俺の前にテイルブルーとテイルイエローが出る。
「いくわよイエロー!!」
「了解ですわ!!」
互いに左腕を突き出し、そこに装着されている手甲型のパーツに
それはまるで起伏一つない最硬の壁。そんじょそこらの攻撃では微動だにしない。
飛び交う弾丸は全てその壁に受け止められる。
凄いなんてバリアだ……!!
なんて感心していると今度はそのバリアが弾力のあるゴムのように大きくしなり始める。
これはまさか……!!
「「リフレクション・バースト!!」」
その技名と共に弾き反射される攻撃。
降り注いでいた弾丸の嵐が逆に撃っていた方へと返っていく。
「「「モゲモゲーーーー!!」」」
予想外の反撃に対応出来ずに武装戦闘員たちは吹き飛ばされる。
俺たちを近づけさすまいとしていた弾幕が止んだ事もあり、今なら突破は簡単だ。
「突破するぞ!!」
レッドを先頭にコロシアム内部に突っ込む俺たち。
武装戦闘員たちは必死に肩を組んで壁となり妨害をしようとするが、俺たちはそれを見越して一斉に宙へ舞い、飛び蹴りの構えを取る。
押し出されるブースターの勢いに乗った俺たちは肉壁となった武装戦闘員たちを容易く貫き無事コロシアム内部への侵入を成功させた。
「よし、何とかなったな」
リーンを下ろし安堵するテイルレッド。
俺としてもまさかこんな所で苦戦するとは思ってもみなかったぜ。
テイルブルーにテイルイエロー、彼女たちがいなきゃ突破は困難だったといってもいい。
俺もテイルレッド同様にティアナを下ろす。
「にしても
「あれは二つの属性玉を組み合わせた物だけどね」
属性玉に眠る強力な力を解放し使用する特殊機構、それが属性玉変換機構。
以前、ティアナから聞かされていたこの機構については一度どんな物か見てみてぇとは思っていたが、まさか組み合わせ次第ではあんな強力なバリアを展開できるとはな。
つくづく
「なぁあんたら、一体どんな属性玉を使ったんだ?」
少し気になったので尋ねる俺。
するとテイルブルーは不機嫌そうな表情を露わにする。
「わたくしのは
ブルーとは打って変わって元気よく答えるイエロー。
成程、巨乳か。道理で弾力のあるバリアだったぜ。
うん? となるとまさか……
「……」
俺はつい、顔を背けているテイルブルーの胸元を見てしまう。
そこにあるのはティアナに匹敵する絶壁。それはまるでさっき見たバリアの最初の部分と一致する。
俺は言葉を失ってしまう。
「和輝……!!」
申し訳なくなっている際中、何故だか知らんがティアナに睨まれた。
別にお前の事、いった訳じゃねぇじゃん。
「何をしているんだ!! みんな、急ぐぞ!!」
そんな俺たちのやり取りに気づかないテイルレッドが先に進もうと走り出す。
ハッとした俺たちはそれに遅れまいと駆け出す。
テイルレッドの後を追う形でコロシアム内部を進み続ける事数分後、俺たちは大きなホールに出た。
「ここは……」
メインとなるステージがある場所ではないコロシアム内の巨大ホール。
随分と殺風景であり、入口と出口の扉以外何もない。
俺たちがそのままそのホールを抜けて先に進もうとするその時だった。
憎きあの声が聞こえて来た。
「お待ちしておりました。ツインテイルズの皆さま」
黒いもやと共に姿を現したのは黒スーツを着込み柔和な笑みを浮かべているが特徴のあの男。
そうメフィストギルディだ。
「てめぇ、やっと出てきやがったか……!!」
臨戦態勢に入る俺たちと両腕を腰に回して余裕といった雰囲気を醸し出すメフィストギルディ。
相変わらずの只者ではないその雰囲気には圧倒されそうになるが、俺たち全員全くもって怯まない。
「先に聞くがリールはどうした?」
そう言えばリールの姿が見えない。
そう思った俺はメフィストギルディにそう問いかけた。
するとメフィストギルディはわざとらしく顎に手を当て考える素振りを見せる。
「はて……? 今頃、どうなっているのやら」
「何だと!?」
「わたしの妹に何したんですか!!」
意地悪そうな含み笑いを浮かべながら言い放ったメフィストギルディの言葉に反応する俺とリーン。
もしかしてリールの身に何か起きたのかと思うと心配でたまらない。
「どういう事だ!! メフィストギルディ!!」
今度はテイルレッドが問い詰める。
するとメフィストギルディは手を広げ答え始める。
「私は何もしていませんよ。ですが、我が主、サタンギルディ様が何をするかは知りません」
「何!?」
コロシアムって事で何となく予想はついていたがやはりここにはメフィストギルディの親分であるサタンギルディの野郎も居やがったのか。
サタンギルディは大のツインテール嫌いで何をするかわからないと答え始めるメフィストギルディ。
じゃあ早く助けにいかねぇと駄目じゃねぇかと俺たち一行は焦り始める。
「尤も、私がいる以上、先には進ませませんがね」
成程、ここでメフィストギルディが直々に出てきたのはサタンギルディを守る為って訳か。
これ程の自信を見せるメフィストギルディはきっと強い。
このままみんなで相手をしていてはリールへの助けが間に合わない。
そう判断した俺はみんなの前に出る。
「総二さん、あんたたちは先に進んでくれ。コイツは俺が食い止める」
「バイオレット……!!」
正直、リールを助けたい気持ちは一杯だ。
でも、それ以上に俺はこんな世界を作ったメフィストギルディが許せねぇ。
コイツだけは絶対に俺が倒す。
「わかった!! 行くぞみんな!!」
俺の意志を汲んだテイルレッドたちはリーンを連れてホールを抜けて先に進んでいった。
ここにいるのは俺とティアナ、そしてメフィストギルディだけだ。
「ほう、この私を一人で抑えると、舐められたものですね」
「一人じゃねぇさ、な?」
「そうよ、私も一緒にいるんだから」
そう、俺は一人じゃない。
この俺、テイルバイオレットはティアナと二人で成り立っているんだからな。それに俺には頼りになる仲間が沢山いる。一緒にいなくても心は通じ合っているってやつだぜ。
ティアナを安全圏に下がらせた俺はメフィストギルディと対峙する。
「いいでしょう。ならば少しだけ見せてあげましょう」
変化するメフィストギルディの身体。
その怪人態は今まで見た事もないような悪魔の姿。
幾何学的というか神秘的というか、それでいて幻想的なその黒と金の二色で彩られたボディは不思議なカッコよさを醸し出す。
何か他の動植物をモチーフとしていないことだけは直ぐにわかる。
「さて始めますか。戦いはあまり好きではないんですけどね」
「そう余裕ぶってられんのも今のうちだぜこのクソ野郎……!!」
青紫と黒、二つの拳がぶつかり合った。
◇
コロシアム内部の狭い通路をテイルレッド、テイルブルー、テイルイエロー、そしてリーンの4人が駆け抜ける。
途中、先には進ませまいとばかりに大量の戦闘員たちが足止めにかかるが、戦闘員如きでは数秒たりとも止められる筈もなく、あっけなく吹き飛ばされその道を明け渡していく。
そしてテイルレッドたちはコロシアムの通路を抜け、サタンギルディがいるであろうメインホールに辿り着いた。
「ここにサタンギルディが……?」
「暗くて何も見えませんわ」
辿り着いたメインホールの中は照明一つ点いていない真っ暗闇であった。
テイルギアで強化された視力をもってしても殆ど見えないその異質な雰囲気に何かあると警戒を露わにするテイルレッドたち。
そんな中、テイルブルーが何かに気が付いた。
「見てあそこ!!」
指さした方向では誰かはわからないが幼いツインテールの少女が倒れていた。
もしかしてと気づいたテイルレッドは我先にとその少女の下へ駆け寄る。
「リール!? おいしっかりしろ!!」
倒れていたのは予想通り、リールであった。
抱きかかえるテイルレッド。
妹だとわかりリーンが駆け寄って来る。
「リール!! 大丈夫リール!?」
「大丈夫。気を失っているだけみたいだ」
呼吸をしていることから生きてはいるし、ツインテールも結ばれたままなのでツインテール属性を奪われた訳でもない。
ただ気を失っているだけなので一安心だ。
テイルレッドは抱きかかえているリールをリーンに渡す。
「さぁ、早く逃げるんだ。いつ何が来るかわからない」
テイルレッドの優れた直感が警報を鳴らす。
ここに居続けるのは危険だ。
何かとんでもない事が起きるかもしれない。
そうリールに言い切った矢先、
「貴様ら、何者だ。この我の前に現れるとは只者ではないな」
まるで地の底から聞こえてくるかのようなおどろおどろしい不気味な声。
真っ暗な闇の中からそれは聞こえて来た。
テイルレッドたちはすぐさま臨戦態勢に入る。
すると同時にメインホールの照明が光輝き、その声の主が姿を現した。
「我こそは全てのツインテールを滅ぼす者――」
鬼のような角を幾つも生やし、背中には竜の翼。
赤黒く筋肉質な肉体には一筋の傷すらなし。
体長約20メートルの巨躯は神話に伝わる異形その物。
まさに悪魔、神に抗ったとされる悪魔たちの頂点に君臨する魔神。
その名は――
「我こそがサタンギルディなり!!!」
轟く叫びと共に立ち上がったサタンギルディ。
今まで倒してきたエレメリアンとは別格のその風貌に圧倒されるテイルレッドたち。
だが、怯んでいてはいけない。
このエレメリアンを倒さなくてはこの世界に明日はないのだから。
「アブソリュートリング!!」
「エターナルパッド!!」
テイルイエローは黄金に輝く首輪を、テイルブルーは青く輝く胸パッドを、それぞれ手に取ったそれらのアイテムをイエローは首に、ブルーは胸にそれぞれ装着。自らのテイルギアの形を変化させていく。
そしてテイルレッドは左腕にもう一つのテイルブレス、ツインテイルブレスを出現させて叫ぶ。
「ツインテイルオン!!」
爆裂し、現れるテイルレッドたちのその姿を一言で表すならそれはそれぞれ究極、永遠、絶対。
アルティメットチェイン、エターナルチェイン、アブソリュートチェイン。
テイルレッドたちの最強形態の登場だ。
「いくぞサタンギルディ!!」
武器を持ち飛び出すテイルレッドたち。
この世界の命運をかけた決戦が遂に幕を開けた。
「へぇ~」
ツインテール戦士がそれぞれの地で戦いを始めた頃、戦いの舞台となったこの町で最も大きいビルの屋上にて町を見渡す一つの影があった。
「ちょいと戻ってきてみれば、随分と面白い事になってんじゃねぇか」
鮮血を連想させる赤い装甲に赤いツインテール。
その姿はテイルレッドに酷似していた。
ようやく最終決戦に突入することが出来ました。
長かった本エピソードはあと2話ぐらいで完結する事を目指していますが、さてどうなる事やら……