俺、ツインテールになります。2 's ~二人で結ぶツインテール~   作:中川カイザー

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案の定、今回で終わりませんでした。


第88話 絶望降臨

 各地で激戦が繰り広げられている中、ここは市街地の中央にある広場。

 そこでは緑のツインテールが特徴の戦士テイルブルームが戦っているのだが、テイルブルームは今まさにその命とも言える大事なツインテールを散らそうとしていた。

 

「ど、どうやらここまでのようね……」

 

 おおよそ約数万体と思しき武装戦闘員(アーマードアルティロイド)の群れを無双し続けたテイルブルーム。

 がしかし、いくら彼女といえどこの数を一人で相手取り続けるのには些か無茶が過ぎたかもしれない。

 倒しても倒してもキリなく湧いて出てくる大量の武装戦闘員の群れを倒し続けた彼女は現在、ハァハァと息を切らしながらグランアローを杖代わりにして何とか立っている状態だ。

 敵の数は残り約数百体程度だというのに彼女の体はもう限界だった。

 

(ごめんね……みんな。私がこんなに弱いばっかりに……)

 

 心の中で懺悔するテイルブルーム。

 どんな結果になろうとも誰も彼女の事を責めやしない筈なのに、そう懺悔するのはひとえに彼女がストイック過ぎるからなのもあるが、それ以上に彼女は自分の弱さを嘆いていたからでもある。

 そのテイルブルームが嘆く弱さ、それは心の弱さだ。

 テイルブルームは、実力こそ基本形態での強さならツインテイルズを含めたどのツインテール戦士よりも強いと断言できる程ではあるのだが、メンタル面を含めた心の強さとなると話が変わる。

 ハッキリ言おう、テイルブルームは罵倒が飛びかうこの戦場では100%の力を発揮し続ける事が出来なかった。

 故に彼女は自らの心の弱さを嘆くのだ。

 

「「「モゲゲーー……」」」

 

 ようやく追い詰めたぞと言わんばかりに武装戦闘員はじりじりとテイルブルームに詰め寄って来る。

 その手の上には属性力を奪うあの銀の輪っかが浮かんでおり、確実に属性力を奪うと言った気概を感じることが出来る。

 

(ごめんね……ティル……私、ツインテールを守れなかった……)

 

 テイルブルームは今は亡き嘗ての相棒にそう言葉を残した後に諦めて目をつむろうとする。

 誰もがテイルブルームの敗北を予感したその時だった。

 

「まだだ!! まだ諦めるな!! ツインテールの戦士よ!!」

 

 テイルブルームの耳に聞こえてくるのは勇ましき女の声。

 一体何!? そう思い目を開いたテイルブルームの目の前にはある人物たちの姿があった。

 

「あなたたちは……!?」

 

 

 

 

 ようやくたどり着いたコロシアムのメインとなる巨大ホール。

 そこは、さっきまで俺がメフィストギルディと戦闘をしていた場所以上の激しい戦闘があったのだろうとわかるほどに荒れ散らかっており、今にもコロシアム全体が崩れてもおかしくなさそうなくらいだ。

 そんなホールの中、中央でボロボロになったテイルギアを晒しながら倒れているテイルレッドたち。

 俺たちはその光景に思わず言葉を失ってしまっていた。

 嘗て全平行世界を救ったとされるツインテイルズ。その一員であるテイルレッド、テイルブルー、テイルイエローの三人がここまでボロボロにされているだなんて思ってもみなかったからだ。

 

「おい総二さん!! しっかりしろ!!」

 

「愛香さん……!! 慧理那さん……!! しっかりして!!」

 

 ボロボロに横たわる三人に急いで駆け寄る俺とティアナ。

 よく見るとテイルレッドの姿は通常の物とは少し異なっており、これが所謂テイルレッドの最強形態、アルティメットチェインなのだなと理解する。

 だがそれ以上に近くで見れば見る程、今受けているダメージが深刻だとわかる。

 一体全体、どんなに激しい戦闘すりゃこうなんだよ。

 

「うぅ……!! バ、バイオレットか?」

 

「よかった……!! 無事みてぇだな」

 

 テイルレッドが目を覚ました事にホッと安堵する。

 だがテイルレッドはそんな俺とは対照的に焦っているようだった。

 

「そ、それよりもサタンギルディはどうなった……!?」

 

「サタンギルディ……!? そ、そうだ……!! 一体何があったんだよ!!」

 

「ッ!! 説明は後だ!!」

 

 立ち上がったテイルレッドは俺の言葉に耳を貸さずにホール奥に駆け出した。

 その向かった先に目をやるとそこには黒く蠢く巨大な繭のような物体が存在していた。

 もしかしてあれがサタンギルディなのか?

 何というか途轍もなく異質でおぞましい何かだ。

 少なくともいい物では絶対にない。

 

「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 裂帛の気合いと共にテイルレッドはブレイザーブレイドに代わる大剣、究極双房剣テイルカリバーをその繭に向かって振り下ろす。

 その威力は恐らく、昨日の俺が味わった物以上の威力だろう。

 だがしかし、繭はバリアのような障壁を展開しテイルレッドを受け止め、まるでびくともしない。

 そして反撃とばかりに逆に凄まじい爆発波を周囲に放出した。

 

「くッ……!!」

 

「きゃあああっ!!」

 

 少しでも気を抜けば吹き飛ばされかねないその威力。

 遠く離れている俺やティアナにも影響が及ぶ程の衝撃を至近距離で喰らえばどうなるかなんて容易く理解できる。

 斬りかかっていたテイルレッドは案の定、爆発波の衝撃をもろに受け、体勢を大きく崩しながらこちら側へ吹っ飛んできた。

 

「クソ……だ、駄目か……!!」

 

「総二さん!! あれは一体!!」

 

「あれはサタンギルディが変化した姿だ……!!」

 

 やはりか……何となくそんな気がしていたがどうやら正解か。

 となると大方、サタンギルディの野郎は俺たちを本気で潰す為にさらなる変身を遂げようとしているって事でいいだろう。

 何というか嫌な予感はやはり的中するもんだな。

 そう悪態をつきながら俺はその繭を凝視する。

 

「総二さん、一体、何が起きたんですか?」

 

 手も足も出ない状況下でティアナが総二さんに事の経緯を尋ねる。

 するとテイルレッドはこう返してくれた。

 

「激闘の末、俺たちはサタンギルディを一度は倒したんだ。だけど、サタンギルディの属性玉(エレメーラオーブ)を回収しようとしたらその属性玉が突然ああなって……」

 

 そしてその出来てしまった繭に向かって皆で最大の攻撃を仕掛けるものの、まるでびくともせず、逆にそこから放たれる爆発波によって返り討ちにあっていたというのが事の真相らしい。

 一度はサタンギルディを倒したって所にはまず驚きだが、それ以上に回収しようとした属性玉があんなになっちまうだなんて一体どういう事なんだよとは思う。

 倒しても属性玉の状態から復活するんじゃ勝ち目がない。

 

「どうするレッド? このままじゃどうしようもないわよ」

 

「でもこのまま黙って見ている訳にはいきませんわ」

 

 いつの間にか起き上がったいたテイルブルーとテイルイエロー。

 彼女たちもまた、テイルレッド同様に通常の姿とは異なる姿になっているが、激戦の影響なのか、その青と黄色のギアは痛々しく悲鳴を上げており、とても最強の形態とは思えない程の有様だ。

 

「なぁ総二さん、ここは一発、俺含めたみんなの力を一つに合わせてみるってのも手じゃねぇか?」

 

 総二さんたち三人の力でやって駄目なら、俺とティアナ含めた5人の力を合わせればいい。

 俺たちを入れた所で何が変わるかわからねぇがやらないよりかはマシだぜ。

 

「そうだな、時間もない、アレをやるぞ!!」

 

 テイルレッドは力強くテイルカリバーを掲げると絆装填(ネクサスモード)と叫ぶ。

 するとテイルイエローの纏うギアがはじけ飛び一つの巨大な砲台、合身巨大砲(ユナイトウェポン)を形成する。そして、その合身巨大砲(ユナイトウェポン)にテイルレッドが掲げていたテイルカリバーとテイルブルーの持つウェイブランスエクシードを合体させて一つの巨大な武器、フュージョニックバスターを完成させた。

 

「すげぇ、合体武器まで作れんのかよ……」

 

 これも一種の属性玉変換機構(エレメリューション)なのかと思うと凄すぎて言葉にならない。

 ますます、こういった機能が俺のギアにはない事が悔やまれる程には魅力的だぜ。

 

「ほら、バイオレット、ここにウインドセイバーを」

 

「え? 俺も?」

 

 感心しているのも束の間、俺はウインドセイバーを取り付けるようにとほぼ真っ裸のテイルイエローに催促されてしまった。

 困惑しつつも俺はそのまま指示通りウインドセイバーを強引にフュージョニックバスターに合体させるのだが、何というか本来想定していない合体をさせている感じがしてどうも蛇足感が否めない。

 てか手動でつけていいのかよ……

 

「ねぇ、そこってブラックの場所じゃ……」

 

「大丈夫ですわ、今回だけならきっと許してくれますわ」

 

 テイルブルーによるとどうやら俺の合体箇所は本来別のメンバーが担当する場所らしい。

 テイルイエローは 許してくれるとは言っているが、何となくそのテイルブラックとやらは許してくれなさそうな気がする。

 何か寒気するし……

 

「兎に角、みんな!! いくぞ!!」 

 

 気合を入れ直すかのようにテイルレッドがそう発言。

 俺もテイルイエローに指示された箇所に向かいフュージョニックバスターを支える。するとどうだ。テイルレッド、テイルブルー、テイルイエローの三人分の属性力のエネルギーが俺にも伝わって来る。

 これが皆の力を合わせるという事なのか。

 俺は皆に負けじとティアナから送られてくる属性力のエネルギーをフュージョニックバスタ―に流し込む。

 

「ファイヤ―――――――ッ!!!」

 

 テイルレッドが引き金を引いたその瞬間、赤青黄紫の四色四重の螺旋の光線がサタンギルディの繭目掛けて放たれる。

 その余りの威力の反動に俺は耐えるので精一杯の状況。

 他のメンバーは誰一人として微動だにしていないのは流石だ。

 

「「「「「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」」」」」

 

 叫びと轟音と共に放たれた光線は繭に激突。

 繭側もバリアのような壁を展開して迎え撃っている。

 拮抗し合う両者の力。

 より一層、強い衝撃でこのコロシアム全体が大きく揺れ動き続ける。

 

「くッ……!! まだ駄目なのかよ……!!」

 

 拮抗しあう事数秒、徐々に徐々にではあるが光線の方が押し返され始めた。

 思わず弱音が出そうになってしまう中、テイルレッドの諦めるなの檄が飛ぶ。

 がしかし、当のテイルレッドもまた苦しい顔だ。

 このままじゃ押し返されるだろう。

 そう思った矢先だった。

 光線の勢いに後押しするかの如く、巨大な緑の光の矢が何処からともなく放たれた。

 

「こ、これは……!! まさか……!!」

 

 そうだ、俺たちにはまだ仲間がいるじゃねぇか。

 俺は矢が飛んできた方向に目を向ける。

 するとそこには緑のツインテールを翻し、悠然と弓を構える戦士の姿があった。

 

「お待たせみんな!! テイルブルームの参上よ!!」

 

「「先生!!」」

 

「「「ブルーム!!」」」

 

「私だけじゃないわ!! みんなお願い!!」

 

 そうテイルブルームが言った瞬間、ぞろぞろとツインテールをした武装している人たちがコロシアム内の客席ゾーンに姿を現すと皆一斉に繭に向かって銃を乱射する。

 これはもしかしてツインテール解放戦線!?

 驚くそんな中、勿論だがその中にはあの人物の姿もあった。

 

「リ、リーヴ!?」

 

「みんな、昨日はすまない真似をした。これで許されるとは思ってはいないが、私たちにも守りたい物がある!! 共に戦わせてくれ!!」

 

 リーヴの言葉からは嘘や偽りといった物は感じ取れず、その言葉の通り、共に戦いたいと願う強い意志が感じ取れる。

 この際、昨日のことなんざどうでもいい。

 俺はお前たちを信じるてやるぜ!!

 

「みんな!! ツインテイルズを援護するんだ!! 撃って撃って撃ち続けろ!!」

 

 リーヴには悪いが正直言って、属性力の用いてないただの銃では援護になっているとは言えない。けど俺たちを援護してくれているという事実は俺たちの心に力を与えてくれる。

 これは間違いなく、みんなのツインテールを想う気持ちに他ならない。

 俺たちはテイルブルームとツインテール解放戦線の援護を受けながらより一層力を籠める。

 

「「「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!」」」」」

 

 先程まで押し返されそうだった光線は最初の勢いを取り戻し始める。

 そして瞬く間にサタンギルディの繭を飲み込み大爆発を巻き起こす。

 今までにない手ごたえ。

 これは間違いないぜ。

 

「やった……」

 

「やったのね……」

 

 遂にやったぜ、俺たちはサタンギルディを倒したんだ……!!

 勝利を確信し、喜び合う俺たち。観客席で援護に徹してくれたツインテール解放戦線の奴らは皆が互いを涙ながらに抱きしめ合いながら喜んでいる。

 さて、これで残りは逃げ出したメフィストギルディをブッ飛ばすだけ。

 そう思った矢先だった。

 

「またしても我に傷をつけるとは……」

 

 煙立ち込める爆心地から地の底から聞こえてくるかのようなおどろおどろしい声。

 まさかこれだけやってもまだ生きていやがるのかと驚愕する俺たちは先程までの喜ぶ気持ちを捨て去り、再び警戒心を露わにしながら繭があった場所を見つめる。

 するとそこにあったのはボロボロになり、今にも崩れ落ちそうな繭。声はその中から響いている。

 それを見るにどうやら俺たちの攻撃は繭自体を破壊することはできたが、悔しい事に中身には今一歩届かなかったようだ。

 

「だが、もう熟した……今度こそこの世界をツインテールごと滅び去ってくれる……!!」

 

 その言葉が響いた直後、ゴゴゴと凄まじい地響きと共にコロシアム全体が派手に揺れ動き始める。

 これは不味い。

 ただでさえいつ崩れてもおかしくない程にボロボロだったっていうのに、この嘗てない大きな揺れじゃいつこのコロシアムが倒壊するかなんて時間の問題だ。

 

「みんな!! 早くここから避難を!!」

 

「お前ら急げ!!」

 

 総二さんを中心に俺たちはツインテール解放戦線の奴らを外へ誘導し始める。

 俺を始めとした総二さん、愛香さん、慧理那さんといったツインテール戦士は変身しているが為、コロシアムが崩れようが別にどうってことはないが、ティアナやツインテール解放戦線の奴らは生身なので危険すぎるが故だ。

 幸いなことにサタンギルディはまだ変体に時間がかかるのか手を出しては来ない。

 

「よし、後はティアナ!! お前も行くぞ!!」

 

「うん!!」

 

 非常用出口を使う事でスムーズに皆を逃がすことに成功した俺たち。

 最後に俺は、ティアナを抱えて大急ぎで倒壊しかかっているコロシアムから脱出を行う。

 テイルギアの力をフルで活かして脱出用通路を疾走する俺たち。

 何とか外に出られた直後、コロシアムは凄まじい音を立てながら崩れ去った。

 

「危っねぇ……間一髪って所だったぜ」

 

「そうね……って、あれを見て!!」

 

 ティアナがコロシアムがあった方向に指をさしたので振り返るとそこには思いもよらぬ光景が広がっていた。

 

「マジかよ……!?」

 

 そこに広がっていた光景というのはコロシアムの残骸を下敷きに佇む竜のような翼を生やした超巨大エレメリアンの図。

 それはまるで天へと届かんとする程に巨大な怪物だ。

 子供の頃、おやっさん家で見た怪獣映画に出てくる怪獣かのような圧倒的な迫力は先程までコロシアム内で感じていた物以上であり、それでいて且つ威圧感や禍々しさは先程の繭状態の比ではない。

 

「これが我の最終闘体、髪束一房たりとも逃がしはせんぞ……!!」

 

 

 

 

「な、なんてデカさだよ……」

 

 最早、あの禍々しい姿は悪魔などと形容しきることは出来ない。

 あれこそ例えるなら全てを葬る邪神や魔神。

 そう、奴は神の領域へとたどり着いていやがるんだ。

 推定約100メートル前後の圧巻の迫力に俺たちは言葉を失っていた。

 

「こんなの……どう戦えばいいのよ……!!」

 

 規格外過ぎるスケールに思わず歯噛みするティアナ。

 俺も同じ気持ちだ。

 こんな化け物、一体全体どう戦えばいいんだよ。

 あんなサイズじゃ例えブレイブチェインやエモーショナルチェインを用いようが傷一つ付けれるかどうか怪しいレベルだぜ。

 俺は嘗て戦った巨大エレメリアンの一体であるプルソンギルディ戦を思い出すが、あの時は華先生が覚醒したお陰で勝てた事とそもそものサイズが違い過ぎる事もあり、全くもって戦えるビジョンが浮かんでこない。

 

「流石にこれは……!!」

 

「大き過ぎますわ……!!」

 

 頼みの綱であるツインテイルズたちの一員であるテイルブルーとテイルイエローも流石にどう対処すればいいかわからない様子。 

 だけど、彼女……いや、彼は違った。

 

「ブルー、イエロー、思い出せ!! 俺たちはあんなのよりも大きな敵とも戦ってきたじゃないか!!」

 

 そう語るのはご存知、我らが希望の星テイルレッド。

 自信満々とは言い難く、咄嗟に出た苦し紛れの一言ではある様子だが、俺たちを奮い立たせるにはその言葉は絶大だ。

 

「そうね。ユグドラシルギルディやアトラスギルディに比べれば……」

 

「そうですわ……!! たかだか100メートル程度の相手に怯えてなんていられませんわ!!」

 

 経験豊富なツインテイルズからすればサタンギルディを超える巨大エレメリアンなど他にもいたとの事。

 その言葉を聞いて俺やティアナ、華先生は勇気を貰う。

 

「とりあえず、皆は安全な所に避難を!!」

 

 このサイズ相手じゃ援護もクソもないし、どれ程の戦闘規模になるかまるでわからない。

 その為、テイルレッドはツインテール解放戦線の皆に避難指示を飛ばす。

 しかし、リーヴは首を横に振った。

 

「いや、まだだ。我々にはこの町の人々を安全な場所に避難させる使命がある。私たちの避難はそれからだ」

 

 そう力強く宣言するリーヴ。

 これからの戦闘はさっきまでのコロシアム内でのとは違い、町の中が舞台となる。

 故に避難すべきなのは戦線のメンバーだけでなく、町に住む大勢の人々もだ。

 いくら町の人々が俺たちツインテールを嫌っていようがそれは見捨てる理由にならない。

 

「わかった、じゃあ町の人たちは任せたぞ!!」

 

「了解した!! 皆、行くぞ!!」

 

 力強い「おう!!」の掛け声と共に各地に散っていくツインテール解放戦線の奴ら。戦闘面では頼りにはなるとは言い難いがこの時ばかりはすげぇ頼りに感じるぜ。

 

「じゃあ和輝、生きて帰ってね……」

 

「当たり前だ、お前残して絶対に死ぬもんか」

 

 同様にティアナもまた、ツインテール解放戦線の奴らと一緒に町の人たちを避難させる為に駆け出していく。

 さて、後はどうこのデカブツを処理するかだ。

 テイルバイオレット、テイルブルーム、テイルレッド、テイルブルー、テイルイエロー、俺たち5人はそびえ立つサタンギルディと向かい合った。

 

「いくぞ!!!」

 

 

 

 

「ウォォォォォォォ!!」

 

 大きな爆音と共にビルが崩れ町が壊されていく。

 つい数時間前までのあの発達していた近未来な風景は何処へ行ったのかと思わざるえない程の有様が私の前に広がっている。

 私は和輝と総二さんたちが勝つことを信じて住民の避難指示に動いているけど、聞こえてくる激しい戦闘音が心に不安を残していく。

 

「「「きゃあああああああッ!!」」」

 

「ッ!! みんな押さないで!! 指示通りに進んで!!」

 

 先頭の余波で近くのビルが崩れ、悲鳴を上げる人々を何とか安全な区域まで誘導する。

 最初こそ言う通りには動いてくれなかったけど、サタンギルディの暴れ方から事が事だと理解したのか今はちゃんと指示通りに避難してくれている。

 

『ぐああああああッ!!』

 

 テイルブレスから和輝の叫び声が聞こえてくる。

 何があったのと思い、ふと振り返るとテイルバイオレットが高層ビルに叩きつけられている様子が見えた。

 

「和輝!!」

 

 今まさにテイルバイオレットを潰さんとサタンギルディが大きな口を開き、そこから破壊光線を見舞おうとしている。

 私は思わず悲鳴をあげそうになるけど、寸での所でテイルブルーとテイルイエローの二人がカバーに入ってくれたおかげで何とか回避することが出来たみたい。

 私はホッと胸を撫で下ろしつつも劣勢である事に変わりないその戦いに不安を覚える。

 

「お姉ちゃん~!!」

 

「お~い!!」

 

「リーン!! それにリール!!」

 

 丁度、私が避難区域にまでたどり着きリーヴさんと合流した時、遠くから声が聞こえて来た。それはリーンとリールだった。

 二人とも確か私たちがコロシアム脱出するよりも一足先に脱出していたのよね。見た所、彼女たちも避難誘導を手伝っていたみたい。

 

「全員の避難、完了したよ」

 

「ありがとうリーン」

 

「無事だったか!! リール!!」

 

「それよりも和輝たちはどうなったんだ!?」

 

 余程和輝たちの事が気になるのかリールはリーヴをスルーして食い気味に尋ねてくる。

 だけど私からすればどう答えてあげればわからない。

 私は黙って後ろを振り向き、リールたちも私に続く。

 そこではサタンギルディによって吹き飛ばされながらも、何度も立ち上がり向かっていくテイルバイオレットたちの戦う姿があった。

 

「大丈夫、きっと勝つ……きっと……」

 

 リールはまだ幼いけど馬鹿じゃない。

 私が言っている言葉がそうなって欲しいという願望である事なんてわかっているはず。

 実際、戦況は見ての通り、最悪。どれだけ束になってかかろうとも最終闘体へと進化を遂げたサタンギルディには傷一つつけれちゃいない。これがメフィストギルディが言っていた世界を滅ぼす程の力なのだと嫌でも理解されられる。

 

『ティアナ!! ありったけの属性力を頼む!!』

 

 テイルギアを通じて和輝がそう私に求めてくる。

 どうやら和輝たちはコロシアム内で繭を破壊した時と同じように全員の力を同時にサタンギルディに浴びせる様子。

 状況が状況なのでフュージョニックバスターは使えないけど、それぞれがそれぞれの最強技を同時に叩きこめさえすれば確かに勝機はあるかもしれない。

 私はツインテールへの想いを和輝に届かせるべく力一杯念じ、和輝に力を送る。

 

「「完全開放(ブレイクレリーズ)!!」」

 

 テイルバイオレットとテイルブルームは自身の刀や弓矢に光りを纏わせ、

 

絶対脱衣形態(アブソリュートブラストモード)!!」

 

 テイルイエローは空間にツインテールを打ち込みロックすると全砲門展開し、

 

属性玉完全開放(ブレイクエメリーズ)!!」

 

 テイルブルーは属性玉を七つ同時に発動させ、

 

「テイルカリバー! 超越究極装填(ハイパーアルティメットモード)!!」

 

 テイルレッドは黄金に染まった刀身に虹色の光を纏わせる。

 そして皆、一斉にその力をサタンギルディに向かって解き放つ。

 

「「「「「届けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」」」

 

 赤と紫の斬撃、青の刺突、黄の砲撃、緑の矢。 

 それぞれが今出せる最大限の技が極大の光の奔流となりサタンギルディを襲う。

 私たちはそれを固唾を呑んで見守る。

 お願い勝って……!!

 だけど……

 

 

 

 

「ウオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

 耳劈く咆哮と共にかき消される光。

 全身全霊の私たちの最強の一撃はいともたやすくサタンギルディは潰してしまった。

 これなら勝てる、その淡い夢はこうもあっけなく消えてしまった。

 

「我には勝てぬ!! 我こそツインテールを滅ぼす者なり!!」

 

 間髪入れずに破壊光線を放つサタンギルディ。

 余りに一瞬の出来事過ぎて遠くで見ている私たちでは一体、何が起きたのか最初はわからなかったけど、吹き飛ばされ地に墜ちていくテイルバイオレットたちの姿を見てそれが完全なる敗北だと言う事に気づかされる。

 

「そ、そんな……」

 

「嘘だろ……」

 

「無理なのか……」

 

 絶望暮れる私たち。

 テイルブレスを通じて呼びかけても何の返事も来ない。

 その絶望のオーラは避難場所にいる戦線メンバー含めた全員に伝染していく。

 

「もう終わりだ……」

「このまま俺たち死ぬんだ」

「ツインテールさえなければこんな事……」

 

 大丈夫、まだ希望はある。

 そう言って少しでもこの絶望的な空気を何とかしたい私だけど、そんな言葉は口が裂けても言えそうにない。

 このまま世界は滅びてしまうのか……

 そう諦めてしまいそうになる中、一人の少女が立ち上がった。

 

「皆さん!! 諦めちゃ……諦めちゃ駄目です!! 私たちが諦めてどうするんですか!!」

 

 それはリーンだった。

 リーンは涙目になりながらも必死に皆に訴えかける。

 

「あの人たちは今まさにこの世界を救わんと戦っているんですよ!! なのにこの世界に住む私たちが諦めてどうするんですか!! そうやっていてはいつまでも私たちは何も変われません!! 今こそ、私たちが立ち上がらなくちゃいけない!! そうでしょ!?」

 

 そうだ……!! 和輝たちは頑張っているのに私たちが諦めてどうするの……!!

 リーンの訴えを聞き、立ち上がる私を筆頭としたツインテール解放戦線のメンバーたち。

 だけど、戦線のメンバーではない町の住民たちはまだ絶望したままだ。

 

「無理だよ……どうせこの世界は滅びるんだ。それに俺たちはもうとっくの昔に負けているんだ……」

 

 ツインテール解放戦線のメンバーを除いた町の人たちらはメフィストギルディの策略に溺れ自分たちからツインテールを愛する心を無くしてしまった人たち。

 故に自分たちには何も出来ないと諦めている。

 

「大丈夫!! 私たち、ツインテール解放戦線も一度は誘惑に負けましたけど、こうやって今は立ち上がっています!! だからお願い!! 共に立ち上がって……!!」

 

 なおも続くリーンの訴え。

 だけど町の人たちは動かない。

 属性力を失った事以上にこの町の人たちは一度負けを認めてしまったのが心に残っている。

 私にはそう思えた。

 

「お願い……!! 思い出して……、みんな大好きだったツインテールを……!!」

 

 嘗てこの世界では誰もがツインテールを愛していたらしい。

 その気持ちに訴えかけるリーンからそれは痛い程伝わって来る。

 だけど、一度ツインテール属性を捨ててしまった人はもう……

 再度、諦めかけるそんな時だった。

 

「がんばれーー!! ツインテール!!」

 

 町の人たちの中から一人の幼き少女の声が聞こえた。




原作ではアルティメットチェインの状態でフュージョニックバスターは使ってなかった筈ですけど、二次創作ということもあり、使わせてみました。
イメージとしてはもし最強形態の武器で三つ編み属性を使ったら? ていう感じです。
いよいよ次回はクライマックス。
ヒーロー物と言えばやっぱり最後の勝利のカギはアレです。
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