三点着地系に目覚めたゼルダ無双 厄災の黙示録 作:放仮ごdz
今回は二人の王様との会合。そしてマーク3初陣。楽しんでいただけたら幸いです。
テストを終えて取り外したアーマー「アイアンメイデン」を専用の鞄に入れて帰路についた私たち。厄災ガノンを封印するには退魔の剣とハイラルの姫…即ち私が宿すという封印の力、そして各地で掘り出された四神獣の力が必要不可欠。だがしかし退魔の剣が眠るコログの森は魔物の手に落ち、封印の力は目覚める兆しすらない。アイアンメイデンを作ったとはいえ、現実逃避に過ぎないのだ。
それでもまずは四神獣の繰り手を揃えるべく、私とインパ、そして先の活躍で私付きの騎士に抜擢されたリンクを使者として、各部族から選び出された四人の候補者の元に向かうことになったのだが、その矢先に父に呼び出されてしまった。何を言われるか、理由がありすぎる。どうしましょう……。
リンクとインパが後ろに控え、小型ガーディアンが私の周りを歩き回る中で、黙っていた父が口を開いた。
「…得体の知れぬ遺物を連れ歩くつもりか」
「はい。プルアとロベリーとも話して、その方が良いと…」
「…………これはお前を護衛していた兵士からの報告だが、先の戦場に現れた鉄の騎士……あれはお前だとは、まことか?」
「っ!」
小型ガーディアンについての事を聞かれて油断していたら本題が放り込まれて息を呑む。私なんかの口止めでは効果はなかったか。それもそうだ。…役立たずの姫なんかの命令よりも王を優先するのは道理だ。
「図星の様だな。何を考えている。姫であるお前が前線に出る必要はない。そんなことをする暇があれば、封印の力を…」
「いえ、いいえ!お父様!これは無駄なことではありません!一般兵士用の量産も始めています!私の作ったアーマー「アイアンマン」は暴走したガーディアンとも渡り合える性能を持っています!兵士一人一人に普及できれば、封印することなくガノンを倒すことだって可能かもしれません!私の、目覚めない力を当てにするよりは確実に……」
「そんな絵空事を頼りにすることはできぬ!確実なのは封印の力なのだ!お前はそれを引き出すことだけに集中すればよい!」
「いいえ!私が私を信用できないのです!代わりとなるアイアンマン軍団は必要です!なにより、私はもう、自分で身を守れます!それも不要だとおっしゃるのですか!」
「むう…」
アイアンマンの利点を必死に説得する。これまで否定されたら、私はもう、耐えられない。それを察したのか、それとも諦めたのか、お父様は溜め息を吐き。
「今一度言うておく。努々、己が使命を忘れるでないぞ。よいな」
「自分の役割は判っています。…まだ、封印の力を諦めた訳ではありません。そちらも、頑張ります」
「…必ず果たします、ぐらいは言ってほしかったものだな。よい。お前の言う「アイアンマン」とやらもプルアたちと相談して軍に伝えよう。行け、ゼルダ。今はやるべきことをやるのだ」
「はい、お父様。行ってきます」
そうして私たちは旅立った。自分の使命から逃げる様に、いえ逃げ出したことは否定しない。役立たずの姫でありたくない。今の私は、アイアンメイデンに頼るしかないのだ。
ゾーラ族。ラネール地方にあるゾーラの里に暮らす、他の種族に比べて非常に長命な水の民。その王女であり他者の傷を癒す力を持つミファーと言う少女が水の神獣ヴァ・ルッタの繰り手に選ばれた。その許しを請うべく私達はゾーラの里に赴き、ゾーラ族の王ドレファンに謁見することになったのだが……
「我が娘ミファーを神獣の繰り手に…」
「はい。ミファーならばきっと、大事を為してくれるだろうと王も申しておりました」
他のゾーラ族に比べても大柄なドレファン王の迫力に少々臆しながらも用件を伝えるも、ドレファン王の反応はあまりよくないものだった。
「ふむ…だが神獣を操り厄災を封ずるという大役には相応の危険が伴う。退魔の騎士も現れず、そなたの力も覚醒せず、厄災への備えはまだ整っておらんと聞いたゾヨ」
「それについてなんですが、ご覧に入れたいものがあります」
そう言って側に控えていたインパに目線を送り、頷いた彼女が手にしていた鞄を開けてアイアンメイデンをドレファン王に見せる。ちなみにリンクは幼馴染だと言うミファーの元にいる。小型ガーディアンも一緒だ。
「それは…なにゾヨ?」
「ガーディアンを利用して作成した特殊なアーマー、名を「アイアンマン」といいます。非力な私でも、これを身に纏えば魔物と戦うことも可能となります。現在はこれを量産する準備をしていまして、兵士一人一人に支給される予定です。また、許可さえいただければゾーラ族専用のアーマーを作る計画も立てております」
「ほう?聞かせてみるゾヨ」
「ゾーラ族が苦手とする電気を完全に遮断することが主な特徴です。水中でも邪魔にならず、さらに電気も通さない…あなた方の理想とする鎧になると自負しております」
「なるほど。厄災への備えは別アプローチで揃えていると、そう言いたい訳ゾナ。だが、それとこれとは話が別ゾヨ。娘を危険な戦いに赴かせるわけには…」
「ですが…」
「ドレファン様!ご報告が!」
そこにやってきたのはゾーラの一般兵。焦っていることから急いでここまで来たことが目に見える。何事だろうか?
「雷獣山より現れた魔物の群れが里に迫っています!あまりにも多く、止めきれません!」
「よし、わし自ら指揮をとる!着いて参れ!…ゼルダ姫よ、ご助力を願う。そなたの言うアーマーの力、見せてくれゾヨ」
「はい…!インパ、準備を!」
「無茶だけはしないでくださいね、姫様!」
インパに手伝ってもらい、アイアンメイデンマーク3を装着。足裏からビームを放って宙に浮かび、炎を噴き出して推進力としひとっ飛びで戦場に向かう。途中で同じく戦場に向かうミファーとリンクと合流した。
「リンク!ミファー!」
「姫様!弟のシドが行方知れずで…私は里の皆を治癒して回りながらシドを探す。リンクと姫様たちは援護をお願い!」
「判りました。ミファーを援護しながら敵の流れを食い止めて行きましょう」
そのまま飛んでいき、エレキウィズローブに襲われているゾーラ族の兵士を見つけて急降下。空から後頭部を殴りつけ、エレキウィズローブを地面に叩きつける。すると兜の内部モニターにプルアの顔が映る。そういえばサポートしてくれるって言ってましたっけ。
≪「チェッキー!姫様!さっそく戦闘みたいだけど、そのアーマーは帯電仕様じゃないから気を付けて!普通に痺れるわよ!」≫
「了解です!遠距離に徹します!」
体勢を立て直したエレキウィズローブの振るったロッドから飛ばしてきた電気の球を、足裏からビームを出して跳躍することで回避。空中に留まり、掌のモノアイからビームを放つがひらりと避けられる。ビタロックで動きを止めるか……そう考えている間に放たれていた電気の球が目の前まで迫る。まずい…!?
「姫!」
その瞬間、クルクル回って飛んできたナベの蓋が電気の球を防ぎ、跳躍してきたリンクが手にした訓練兵の木剣を一閃してエレキウィズローブを斬り飛ばしてしまった。え、木製の剣で魔物を斬り飛ばしました、今?
「リンク、それは…?」
「…ラネール地方には電気を使う魔物が多いと聞いたので、金属製の武器では姫様を守れないと思い用意しました。切れ味は金属製にも劣りません」
「助かりました。リンク、インパ。手分けしてゾーラ族の兵士を助けます。私の安全よりもそちらを優先してください。電気以外なら何とかなりますので」
「承知」
「今は確かにそちらを優先すべきですね…わかりました。無茶はしないで下さいよ、姫様!」
「いいえ、いいえ!切り立った崖が目立つここでは私の独壇場です!」
中距離とはいえ空を飛べるようになったのがデカい。空を飛んで上空から兜のモニター表示機能を利用して索敵、危なそうなところに飛び込み、ビームを放って蹴散らしていく。エレキウィズローブ、雷のモリブリンなど電気属性を持つ魔物が多いが、距離を取ればあまり怖くはない。そうして救援を続けていたら、伝令が聞こえた。シド王子が雷獣山にてライネルに襲われていると。一番早く駆けつけられるのは私だった。
「させません!」
雷獣山に近づくと、槍を手に必死に威嚇しているものの今にも襲われそうになっている子供のゾーラ族が。あれがシド王子だと辺りを付けて、間に割り込み剣の一撃を両腕の装甲で受け止める。衝撃が伝わってくるがこちらのダメージは少ない。
≪「一番弱い赤髪ライネルだし両腕は特別頑丈に作ってるから耐えれたけど、まともに喰らったら耐えられないよ姫様!無茶しないで逃げた方が…」≫
「いいえ、プルア。シド王子を連れて逃げれば撃ち落とされます。でもこのマーク3ならば…!」
誰かを守れるように作ったアーマーだ。例えハイラル最強と謳われる種族であるライネルが相手だろうとも守って見せる、必ず!
J.A.R.V.I.S.みたいな高性能AIは100年後のシーカーレンジのチェリーちゃんぐらいしかいないのでプルアが担当。シーカーストーンが融通聞いたらいいんですけどね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ウォーマシン枠は誰?
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インパ
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プルア
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ロベリー
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シーク(無人機)
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カッシーワの師匠
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オリキャラ(ブレワイ世界のヒルダとか)