今藤が医務室に運ばれた後、他のクラスメイト達も疎らにゾロゾロやってくる。
そして、パネルに手を乗せ自分の職業を確認していく。
剣士や魔術師などの役職を手に入れた彼らは、一喜一憂していた。
中には渋々、といった表情をしているものもいたが仕方がないだろう。
暫くすると、冷たい印象をもつ長髪のメイドさんがやってきた。
「皆様、お部屋に案内させて頂きます。どうぞ此方へ」
それだけ言うと行ってしまう。
俺達はメイドさんの後を追って行き、各自用意された部屋に案内された。
部屋の内装は、とても豪華で天蓋付きベッド何かもあった。
お昼ご飯はメイドさんさんが運んできてくれた。
腹が膨れ、さっきまでの騒動で疲れていたのか、いつの間にか寝てしまっていた。
目を覚ました俺は窓の外を眺める。
そこから見える景色は今までいた世界とは違い、あまり明るくなく空にはしっかりと星が見える。
自分はいつまで寝ていたのだろう。
そんな疑問も浮かばないくらい綺麗な景色だ。
俺が景色を眺めているとコンコンとノックの音がする。
「どうぞ」
入ってきたのは先程の長髪メイドさんだった。
「イヌカイ様、晩餐会の準備が出来ました。」
「晩餐会?」
「お昼にお声掛けをさせて頂いたのですが、ご就寝中でしたので」
「あぁ、分かりました。案内してください」
「承知しました」
メイドさんと一緒に部屋を出て案内してもらう。
案内されている道中もメイドさんは静かで、やはり冷たい印象をしている。
俺はこの空気に耐えられなくなりメイドさんと話しをする。
「あの、メイドさん」
「なんでしょうか」
「メイドさんのお名前はなんですか?」
「私はローズ・マダラと申します」
それを最後に会話は途切れ、また静かになってしまう。
俺は、この重い雰囲気が耐えられない。
そんな中、廊下を歩いていると向こう側から騒音が聞こえるようになってくる。
「着きました」
晩餐会の会場は大広間でビュッフェスタイルのようだ。
「おっ慎太郎、やっと来たか!」
「すまねぇ、遅れた」
「この城の料理は最高だ。こんなの食べた事ねぇよ」
確かに、辺りを見渡すとテレビでしか見たことがないような豪華な料理が並んでいた。
ひとつひとつの品がキラキラと輝いて見える。
近くにあったターキーの様なものを1口食べると少し固いが濃厚な味わいでどこか野性味のある味だった。
料理を楽しんでいると、何処からかラッパの音がした。
すると、俺がさっき入ってきたドアから、なんだか偉そうな感じのマントを着た厳ついオッサンが入ってきた。
入ってきたら、そのまま真っ直ぐ進み、目の前にある玉座に座る。
「我が名はアザミ・ラ・フロレンシアである。よくぞ参った勇者諸君」
オッサンは見た目通り、相手を威圧するかの様に喋る。
マントを脱いだ姿は豪華な服を着ていても分かるぐらい筋骨隆々で逞しい。
身長も180cmは有るだろう。
腕も脚も丸太の様だ。
王様ってのはもっと太った間抜け面したってのがイメージだったんだがなぁ。
「勇者諸君には多大なる迷惑を掛けているのは分かっている。しかし、我々も必死だったのだ。
帝国は今こうしている間にも我が国を侵略している」
「それを阻止して欲しい。侵略を停めれば勇者諸君を元いた所に返す事が出来る。」
オッサンの演説?は今の混乱している俺たちにとっては唯一の希望だろう。
しかし、俺からしたら何故か胡散臭いところがある。
言っている事は本当の事だし、今はそれ以外の帰るための方法もない。
だけど、裏があるような気がする。
「明日の正午に、国庫にある勇者にまつわる武器をそれぞれ選んで欲しい。
武器を選び次第諸君らには、我が軍の元である程度の鍛錬を積んでもらう。
話しは以上だ、君たちには期待している」
そう言うと、玉座から立ち上がり去っていってしまった。
「なぁ、慎太郎…、あの王様…なんかヤバくないか?」
「確かに、なんだかやべぇ雰囲気がする。」
「でも、武器を選べなんていきなり言われてもなぁ?」
「お前は光の剣士なんだから、聖剣とか似合いそうだよな」
「そうかぁ?お前も殺人鬼なんて職業なんだからナイフとかマチェーテなんてのもありかもな」
「うるせぇよバカヤロー」