まともな千聖さんを返して(マジで)   作:黒ハム

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そう言えば作者(私)って皆から、理系文系その他どう思われているんだろうと気になり始めた今日この頃。皆様、いかがお過ごしでしょうか?

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恋人(仮)になった二人……さて、どうなるんでしょうね?


急に余所余所しくなると大体何かが起きている

「慧人~入るわよ」

 

 ガチャ

 

 とある休日。付き合い始めて(ただし、正式ではなく仮だが)一週間ぐらいした今日この頃。私はノックをせずに彼の部屋に押し入る。私と彼の間にはそういう礼儀とかは不要……というのは半分冗談ね。いきなり押し掛ければ、彼がやましいことをしている現場を目撃できるかもというのが本当の狙いね。

 まぁ、彼は気配察知能力が異常に高すぎるため、半径100m以内の人間の位置を察知できるとかなんとか。そのせいで、私が襲来することくらい知っているから、絶対にそういう現場をおさえられないのだけど。……そう思うと凄い便利な能力ね。誰かを見つけたいと思った時に、血眼になって探す必要がないもの。ただ、情報量が多すぎてパンクしないか心配になるけど。……私も欲しいわね。慧人限定でいいから、半径数km以内にいたら場所と行動まで分かる能力が。

 

「…………」

「あら?」

 

 慧人はベッドの上で横になっていた。呼吸のペースはゆっくりだけどほぼ変わらない。喉元を見るけど、唾液を飲み込む動作がほぼない。軽く頬を叩いてみて、目元も確認するけど反応は一切ない。

 確実に寝ているわね。まぁ、部屋に入った瞬間から、狸寝入りの可能性は低いと思ったけど念の為ね。確か慧人って、一度寝るとしばらく起きないって言っていなかったかしら?

 

「慧人ーあなたのことが大好きな千聖さんが来たわよー」

「…………」

「…………」

 

 慧人のおなかの上に乗って声をかけるけど無反応。当然と言えば当然だけど、言っていてむなしくなるわね。

 

「……慧人って寝ていると案外可愛いわね」

 

 目つきが怖いところとか気にしているみたいだけど、別にそうでもないわね。気にしすぎだと思うのだけど……まぁ、いいわ。私はそんな、少しセンシティブなところも可愛くて好きだと思っているから。

 

「……好きよ、慧人……大好き」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……今、何時だ……」

「14時30分です」

「……ああ」

 

 最近の目覚まし時計は聞くと答えてくれるんだな……いや、そんなわけねぇか。うちにそんな高性能な目覚まし時計くんは置いてない。

 

「はよ……千聖」

「おはよう慧人。いえ、こんにちはかしら?」

「ああ……ん?」

 

 と、何か違和感を感じる。具体的には、千聖との距離が遠い気がするのだ。

 

「お前……何か遠くね?」

「いえ、そんなことないわ」

「いや、お前のことだから寝込みを襲うぐらいしそうだけど……」

「そんなことしないわ。私を誰だと思っているの?」

「ド変態・ドM・ペット志願者」

「否定しないわ。後、恋人(仮)を忘れているわよ(^_^)」

 

 ……貼り付けたような笑顔。いつものアイツなら『え?襲って良かったの?言ってくれれば襲ったのに……あ!じゃあ、今から襲うわね!だから寝たふりをしてちょうだい!』ぐらい言いそうなのに……まさか……!

 

「千聖、ちょっと来い」

「いえ、私には部屋の隅っこがお似合いよ」

「いいから来い。雌ブタ」

「そこまで言われたら仕方ないわね」

 

 そう言ってゆっくりと歩いてくる彼女。ところで、雌ブタって言うと従うとかヤバくねぇか?

 そして、近づいてきたところで、彼女の髪を軽くあげて……

 

「なっ!?いきなり何をしているの!?」

「……アニメや漫画だとこうやって計るけど普通にわかんねぇや」

 

 彼女の額に自身の額を合わせるが……うん。わかんねぇや。ただ心なしか彼女の顔が紅い気がするし……やっぱり風邪でもひいているのか?いや、待てよ?もしかしたら、風邪よりヤバいものにかかっているかもしれない。

 

「……ついに頭がイカれたのか……?」

 

 まさか、新種の病気にかかって、頭がイカれてしまったのか?いや待てよ?新種の病気にかかってド変態から普通に戻ったのか?……どんな病気だ?あの千聖のド変態を治してしまう病気なんて……あれ?それ病気じゃなくね?どっちかというと治療とかそっちじゃね?

 

「…………(⌒_⌒)ニコ」

 

 すると、静かにだが怒りというか黒いものを感じる。なんだろう?千聖が凄い笑顔でこちらを見てきている。

 

「どうした?何か怒っているのか?」

「いいえ、何でもないわ」

「……やっぱり今日のお前、変じゃないか?」

「そうかしら?仮とは言え、付き合うことになったし、お淑やかにしているだけよ?」

「いいや、やっぱり変だな。それにしては余所余所し過ぎる。何より俺は今日、お前の変態発言を聞いていない」

「……あなたの変だと思う根拠が悲しすぎるわ」

 

 頭を抱えている千聖。……やっぱりだ。普段なら『え?そんなに言って欲しいの?もう、それだったら、言うだけじゃなくて実践しましょうよ!ねぇそうしましょうよ!』ぐらい言いそうなのに。

 

「千聖。お前、イヌを飼っているだろう?」

「レオンね。確かに飼っているわ」

「例えば、レオンが息をしていなかったらどうする?」

「待ってちょうだい?ご飯を食べないとか、そういうレベルじゃなくて?」

「ああ。今のお前はそれぐらいおかしいんだ」

 

 そこそこの付き合いになってきた俺には分かる。普段の千聖と、目の前の千聖はそれぐらい差があるんだ。……まぁ、こっちの方が変態発言がなくて助かっているのだが……それにしても変だな。一体何が……

 

「……もしかして、お前……」

 

 俺はある一つの仮説に辿り着く。そうか、それなら変態発言をしないのも、原因を言いにくいのも、こうして距離を取っているのも納得だ。

 

「……性病か」

「は?」

「いや、これ以上は言わなくていいんだ。確かに、それは言いにくいだろう。それに、変態発言をしないのも、万が一……いや、億が一、俺をその気にさせないため。距離を取っているのも分かる」

「は?」

「そうか……そうだったんだな……すまない。気付いてやれなくて」

「……慧人」

「ん?なんだ?」

「正座しなさい」

「はぁ?なんで?」

「正座」

「いや、だから……」

「正座」

「いや……」

「これ以上言わせる気かしら?(^ω^♯ビキビキ」

「……へいへい」

 

 ということで正座をする。決して、彼女の黒い何かに恐れをなしたわけではない。やれやれ、正座までさせて、一体何だというんだろうか……?

 

「ねぇ慧人?流石に心優しいことで有名な千聖さんでもね?触れてはいけないラインがあるの」

「心優しい人は正座している人の太股の上に足をおかないけど?」

「あなた、私のことを誰とでもヤれればいいと思っているド変態とでも思っているのかしら?」

「一定以上の信頼度があれば、誰とでもヤっていると思います」

「ふふっ、冗談が好きなようね。私はあなたのペットなのよ?私はあなたの所有物なのよ?そんなことも分からないあなたには、太ももを踏み踏みしてあげるわ」

 

 そう言うと、俺の足を何度も踏みつけたり、彼女自身の足裏を太股に押さえつけたりしている。

 

「許しを乞うなら今のうちよ?いつまで耐えられるかしらね?」

「いや、正直どうでもいいけどさ。お前、恋人(仮)は何処へ消えた?」

「もちろん、それもあるわ。でも、それ以前にあなたと私は主従関係を結んでいる」

「結んでいねぇよ」

「だから、あなた以外とヤるつもりは更々ないわ。そもそも、想像すらしたくないわ。反吐が出そうよ。いい?私はあなたのことしか見ていないの。そこをしっかりと覚えておきなさい」

「へーい……で?お前の反応から、さっきの推測が大ハズレなのは認めるけど、今日の違和感の原因はなんだよ」

「あら?私はいつも通りの千聖さんよ?」

「目を見て言え。今、僅かに視線が上を向いたぞ?」

「……なんで、こういう時ばかり鋭いのよ……」

 

 すると、少し距離を取って縮こまる千聖。やっぱり何かが変だな。

 

「……なんだよ。何かあったのか?」

「……言っても怒らない?」

「いや、内容によるけど……」

「じゃあ、言わない……」

「……言わないと解決しないんだけど?」

「嫌よ!せめて、全裸にされて、手錠で両手を拘束されて、猿轡をさせられて、鞭打ちがない限り言わないわ!」

「それ、お前の欲望だよな?」

「……そんなことないわ。そこに三角木馬もあればなおいいなんて思っていないわ」

「というか、猿轡をしていたら喋れないだろ?」

「…………」

 

 何だろう。抑えていたものが少しずつ漏れ出ている気がする。このまま行けば平常運転に戻れそうな気がする。ということは、ド変態が治療を受けて普通になったわけではないな。

 

「千聖……分かったよ。そこまでの覚悟なら怒らないからさ」

「……いえ、あなたが拷問、調教をしない限り言わないわ」

「おい。今のは怒らないなら言う流れだっただろ」

「知らないわ。流れはぶった切るものよ」

 

 どうしようか。かといって拷問する気もねぇし、というか、手錠も猿轡も鞭も三角木馬もウチにはねぇよ。後、何故か調教も増えたし。

 

「分かった……そこまでの覚悟なら……」

「え?もしかして、拷問されて調教してくれるの?((o(´∀`)o))ワクワク」

 

 どうしてこの人は、服に手をかけて脱ぐ準備が万端なんだろか?まぁいい。

 

「……今からお前のことを白鷺さんって呼ぶことにするわ」

「ごめんなさい。言うからそれだけはやめてください」

 

 謝ってくる千聖。呼び方って大事なんだな。うん。

 

「で?何があった?」

「何があったというか……何かしたというか……えっと……その……ね」

 

 凄い言いにくそうにしている彼女。変態発言が平然と飛び出る彼女のことだ。そんな彼女が言いにくいことなんて、本当に何があったんだろうか?

 

「…………寝ている慧人に……したのよ」

「ん?何したって?」

「だから!寝ている慧人に……キス……したのよ」

 

 顔を真っ赤にして、話す彼女。あまりの内容に俺は……

 

「……はぁ……」

 

 ため息をついていた。

 

「ちょ、ちょっと!私としては流石にやり過ぎたかなーって思っているんだから……」

「…………」

 

 やっぱりコイツの感覚おかしいわ。いつもの変態発言の度合いを考えると、寝込みを襲っていても不思議じゃないのに……まさか、キスをしただけで、ここまで変わるのか。

 

「……怒っていないの……?」

「何で怒ると思われているんだよ……」

「だ、だって!私たちの初めてのキスが……その……奪う形で……寝ている間だったし……」

 

 何というか…………まぁ、普段の言動、行動をしている人間ととてもじゃないが同一人物とは思えないな。うん。

 そう思いながら、俺は立ち上がって千聖のもとに行く。

 

「け、慧人……?や、やっぱり怒っているわよね……?」

 

 片膝をついてしゃがみ込み、彼女の顎を軽く持ち上げる。不安げな瞳が目に映るが、俺は自身の目を閉じ……

 

「…………」

 

 そっと口づけをした。

 

「そんなことで怒るわけねぇだろ。バカかお前は」

「…………っ!!!」

「っと、いきなり飛び込んでくるなよ。バランス崩すかもだろ?」

「……好き……大好き……!」

 

 この後、1時間くらい千聖は俺のことを放さなかったことを記す。

 ちなみにその後はいつもの千聖に戻ったことも記す。




……あれ?今回ピー音入ってない?もしかして、ピー音くん有給休暇取った?……おかしい。この作品は一話につき最低一回は訂正音を入れようとしているのに……まぁいっか。たまには。
次回、ポテト登場……の予定でしたが、多分ハロウィン回。
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