「トレーナーさん! 次はどんなトレーニングにしましょうか!?」
「とにかく走るぞ!! バクシンオー!!!」
「スピードトレーニングですね!! うおおおおー!! バクシンバクシーン!!」
トレセン学園のグラウンドには元気あふれる叫び声が満ちる。その正体は一組のトレーナーとウマ娘であった。
サクラバクシンオー。短距離では無敵。ただし1400メートルを超えると途端に失速するというのが特徴の完全なスプリンター。トレーナーのほうも、朝5時から正午まではどんなに過酷な仕事をしようともスタミナを切らさないことで有名な男だ。
このコンビは学園ではちょっとした名物で、朝早くからけたたましくトレーニングしたかと思えば昼食の時間になるころにはすっかりと声を聴かなくなる。血の代わりにガソリンが入ってるんじゃないかなんて茶化すものもいるが、当の本人たちはそれでも自慢げに笑う。
さて、現在の時刻は午前9時。早朝からトレーニングを繰り返しているサクラバクシンオーだが、まだ疲れを微塵も見せてはいない。トレーナーのほうも大げさな身振り手振りで、喉が張り裂けそうなほどの大声でメガホンに叫び続けているというのにエネルギー切れには遠いようだ。
最終的な目標はともかくとして、まずは目下の目標である「メイクデビュー」に出走し、当然一着にならなくてはならない。それはサクラバクシンオーもトレーナーもわかりきっていることだ。
「バクシンオー!! 走れ!!」
「走ります!! トレーナー!! 私は走りますよー!!!」
グラウンドの芝生が焼けるんじゃないかと思うくらいの熱気でサクラバクシンオーは翔ける。そしてきっちり1400メートルを走り切ったサクラバクシンオーは、玉のような汗を流しながら大きく息を吸った。
「すごいぞバクシンオー!! またタイムが縮んだぞ!!」
「当然です! 私は優秀ですから!!」
「あぁ! お前は優秀だ! 本当に優秀だ!!」
走り終えたサクラバクシンオーに飲み物とタオルを差し出し、満面の笑みでトレーナーはストップウォッチを指し示す。
「学級委員長として皆の規範になるためにはすべての距離で一着でなくてはいけませんからね! この短距離はそのための第一歩です!!」
バクシンオーはこの夢を話すとき、少しだけ悲しそうな顔をする。彼女のこの夢を聞いた者は、皆「できっこない」といい、短距離専門になれと促すのだ。
でもトレーナーだけは彼女の夢を否定しない。「俺が必ず夢をかなえてやる。それが俺の仕事だ」と胸を張るのだ。
「あぁ! まずは短距離を攻めて徐々に距離を延ばす!! 基礎的なスタミナと根性を鍛え続け、その先に長距離への道がある!! 俺を信じろ!!」
空気が燃え上がりそうに暑苦しい空間がグラウンドに確かに存在していた。
方向性どうしましょうか?
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シリアス
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ほのぼの