封印悪霊物語(笑)   作:喪家の狗

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もりのようかん 2

 

 

皆が寝静まったであろう深夜11:00。

 

 

庭先にいる石ころが動きだした。

 

 

祈祷師の本家、そんなお屋敷。

 

しかし祈祷師と言えど、何もかも全てを見通せるわけでは無い。

 

そんなことができるのはきっと上位のサイキッカーだけだろう。

 

 

つまり夜中にこーっそり出掛ければ良いんじゃね?

 

 

そんな希望的観測と共に手紙を貰ってから既に3日、漸く行動を開始した。

 

 

 

 

そんな俺の前に立ちはだかるのは、反り立つただの壁。

 

敷地を囲む壁だった。

 

 

飛んだりすれば余裕だろうが、生憎飛行能力は無い。

 

非行能力ならあるが。

 

 

ほとんどの者ならここで諦めるか、壁をよじ登るか、門を開けようとするだろう。

 

 

へっへっへっへー、甘いな。

 

そんな面倒で遠回りで面倒な事しなくたって、俺の特性『すりぬけ』を使えば、こんな壁の通過なんて造作もな...

 

 

 

ゴッ!

 

 

 

『かなめいし』君がぶつかりました。

 

 

ちょっと『かなめいし』~! まじめにやってよね~!

 

 

そういえば、俺『プレッシャー』だった。

 

 

壁に石だけ引っ掛かり、反対側からは本体がウネウネしてる気持ち悪い体制でそんなことを思い出していた。

 

 

壁尻って言うな。

 

 

 

 

 

 

 

という事で紆余曲折有りましたがなんとかやってきましたー! 『もりのようかん』ーー!!

 

 

ズイタウンから随分遠いんじゃないの? なんてお思いになった方もいるでしょう。

 

 

 

 

そうなんです。めっちゃ遠いんです。

 

それでも俺は新たなる仲間との出会いを求め、霧のかかった険しい山道や背の高い草っ原、パッケージモンスターが壁画として書かれただけの寂しい集落も抜け、遂に辿り着きましたよハクタイシティ及びハクタイのもり!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

って訳じゃないんだけどね。

 

 

実は俺のすり抜けで壁を(石以外の部分だけ)透過したところ、洋館からの迎えが敷地の壁の外に来ていたのを発見した。

 

 

壁の外にポツンと立ち、まるで俺がココから出てくるのが分かっていたように目の前に立っていた。

 

 

緑色の髪に白い肌。バレリーナを思わせるような立ち居振る舞い。

 

髪を掻き分け生えている2本の赤い角は感情を読み取ると発光すると言う。

 

 

わーお。さては俺が今日決行だってこと知ってたな~?

 

 

かんじょうポケモン、キルリアちゃんがそこに立っていた。

 

 

 

 

「すげーな、やっぱり。俺が今日ここから出てくるのが分かってたのか?」

 

 

サーナイト一家はなんか未来予知ができるとかできないとか。感情が分かるがどうとかって、サーナイトちゃんに前世でリ〇レでセク〇ラしてる時に覚えた気がする!

 

...どうして俺ってばこんなことしか思い出せないんでしょうか。

 

 

「いえ、毎日ずっとここで待っておりました」

 

「へ?」

 

 

その子はキラキラだった目のハイライトをオフにして言った。

 

 

「毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日毎日待ってるのに今日も来ない今日も来ない今日も来ない今日も来ない今日も来ない今日も来ない今日も来てくれなくて嫌われたのかと嫌いになったのかと私の事なんて嫌いになったんじゃないかと嫌だいやいやいやいやいやいやいやいやいや嫌嫌いにならないでお願いしますお願いします嫌いにならないでください

 

......でもね、今日は、来てくれて嬉しかった♡」

 

「ま、マジですんませんでした...」

 

 

五体投地(?)怯えながら反省した。

 

こ、これならもっと早く行動しとけば良かったな...。

 

 

「まあ、冗談ですけどね」

 

「は?」

 

 

スッと目のハイライトが戻り、壁にハマった俺に手を伸ばす。

 

 

「ほら、行きますよ、私に掴まってください」

 

「いやさ、君に『フェアリータイプ』が入ってるからあんまり触りたくないんだけどー...」

 

 

情けない話、効果が抜群なためかこの子に触れたくないって本能さんが言ってる。

 

 

それだと言うのにキルリアは何かを勘違いしたように悪戯な笑みを浮かべた。

 

 

「はは~ん、さてはアナタ、私に触れるのが恥ずかしいんですね~? 

...どう、てい、さん♡」

 

 

は?

 

 

なんだろコイツ、なんかイライラさせられるというか。

 

...なにかを、思い出しそうというか、何処か見覚えがあると言うか...。ああ頭いてぇー。

 

 

「あーあー、そんなイライラしないでくださいよ。

ほら...私の、ここ...♡ もうこんなビンビンになっちゃって......♡」

 

 

そう言って自分のリボンのような角を指さし、軽く触れている。

 

 

それさ、ただの感情を読むと光るだけのパーツだよね?

 

別に性〇帯とかじゃないんでしょ?

 

 

「何変なこと考えてるんですか。『月の力(ムーンフォース)』でぶっ飛ばしますよ?」

 

 

え、何そのルビ。かっこいいな。俺もそっちが良い。

 

 

「はいはい、厨二病患者さん。それは後で良いんでもう行きますよ。

主さん待ってるんですから」

 

 

あ、キルリアちゃんに『主さん』って言われるのちょっと良いな。

 

俺も野生のキルリア捕まえて、主さんって言わせ

 

 

「...見回りの人、きますよ」

 

「さあ、ほら早く、手ぇ伸ばしてよ! 俺が届かないじゃん!」

 

 

キルリアが手を伸ばし、俺が本体を頑張って伸ばす。

 

恐る恐る少し触れてみたが、大した恐怖は無かった。

 

 

「あ、移動中に手を離すと、よく分からないところ(なぞのばしょ)に取り残されるんで、しっかり掴んで離さないでくださいね?」

 

 

反射的にキルリアの手をぎゅっと握り込む。

 

 

「うわ!? せ、セクハラですよ、それ!」

 

「いや、お前さんが手を離すなって言っ」

 

 

▽キルリアは 『テレポート』を 繰り出した!

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の森、「ハクタイのもり」。

 

 

昼間ですらあまり日の光は届くことは無く、薄暗いこの森だが、わずかな月の光も届かず夜になるともっと暗い。

 

 

そんな静かな森の中に怪しげに建っている洋館の前に、

 

 

「おい、喋ってる途中にワープすんなよ。舌噛んだらどうするんだ」

 

「貴方、舌あったんですか? いえ、貴方がセクハラしてくるからですよ!」

 

「セクハラじゃないって言ってんじゃん。あれ意外でどう掴めって言うのさ。

それが嫌だからって振り解こうとしないでよ、危うく創造神様と同じ空間に行くとこだったよ」

 

 

2匹のポケモンが突如現れた。

 

 

 

 

どうしよう、もう帰りたくなってきた。

 

 

例え主さんが良い人だとしても送り迎え係りがこんなじゃあ嫌だよー。

 

でも帰りもこの子と一緒か。ある程度嫌われないようにしなくちゃホントに『なぞのばしょ』に置いて行かれそうな気がする。

 

 

「何してるんですか、ほら行きますよ」

 

 

そんなことを考えていると、渦中の送り迎え係りの子が話しかけてきた。

 

 

「ああ、はいはい」

 

 

...別に暗くて気味の悪い森の中が怖くなってきたわけじゃないけど、従順に従うことにした。

 

 

キルリアの後を追い、『もりのようかん』の前まで行くと、

 

 

「あ...」

 

 

突然立ち止まって、何かに気付いたような声を上げた。

 

 

え、なに。入り口前で怪奇殺人事件でも発生して

 

 

▽このきは なんだか きれそうだ!

 

 

ああ、懐かしい。地味にここ面倒だったな。

 

 

『ほそいき』が道を塞いでいた。

 

 

「...すみません」

 

「ん?」

 

「ワープミスしました」

 

 

ほ?

 

 

 

 

「いや、なんでこの小っちゃい木避けれないんだよ!」

 

 

『もりのようかん』に遊びに来た俺は絶賛『ほそいき』と戯れていた。

 

 

押したり引いたりしてるのにこの木、全然動かねえ!

 

隙間もできないから通り抜けもできねえ!

 

 

全然細くないじゃん!

 

 

楽しいい!

 

 

 

 

...こうなったら!

 

 

「キルリア! 『サイコカッター』だ!」

 

「あ、覚えないです。それに『いあいぎり』じゃないと切れない仕様ですよ」

 

 

仕様って言うな。

 

 

なんかよく分かんないけど言っちゃいけない言葉のように感じる。

 

 

「...それと『トレーナー』の真似事はやめてください。それっぽいのがイライラします」

 

「そうなんだ、なんでだろうね」

 

 

そんな仕様すらも乗り越えてやろうと『ほそいき』と戦っていると、

 

 

「...すみませんでした。

幾ら貴方からの立場を利用したセクハラを受けようとワープミスをしたのは私です...」

 

 

キルリアが申し訳なさそうに呟いた。

 

 

「ねえ、やっぱり俺のこと怒ってる? 遠回しにすげー怒ってるよね」

 

「とりあえずここは私たちでは通れないのでもう一度私に掴まってください」

 

「いや、この脇の方から行けたり...」

 

 

見えない壁に憚れた。

 

 

「は? なにこれ」

 

「仕様です」

 

 

だから仕様って言うな。

 

 

「...今度こそ大丈夫なんで、私を信じてください」

 

「え~、しょうがないな~」

 

 

怖がりながらも彼女に触れた。

 

 

『テレポート』の準備をしているのか、黙り込んでんでしまうキルリア。

 

 

さっきはパッと一瞬だったのに、今度はやけに溜が長いな。めっちゃ集中してるのか?

 

頑張れー。

 

 

暫くすると、さっきも『テレポート』前に感じたあの不思議な感覚が襲って来て___

 

 

 

 

「いらっしゃ~~~い!! 入口に居るのに中々入ってこないから迎えに来ちゃった~~!!」

 

 

▽野生の 芝刈りきは 『いあいぎり(?)』を 繰り出した!

 

 

 

おお。

 

 

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