封印悪霊物語(笑)   作:喪家の狗

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やせいの ミカルゲは にげだした!

ど、どうすんだよお! 攻撃技ないじゃん!

 

 

いやね、あるにはあるけど、

 

『タイプ相性をご存じないwww』

 

なんだけどお!

 

 

どうすんだよお!

 

 

眼前の強者(ビッパ)はこちらの出方を伺いつつ、攻撃のフォールを崩さない。

 

い、今にも攻撃されそうですぜ...?

 

 

逃げるか? 今なら逃げれるか!?

 

 

い、いや、よく考えろ! 俺が逃げたら恐らく後ろの少女に攻撃が行くし、少女に攻撃が行かなくてもどうせ俺の逃げる背中に集中砲火されるんだ。

 

 

もっとよく考えろよ。

 

そ、そうだ、例えば『さいみんじゅつ』なら、相手を眠らせるだけじゃなく、もっとできることがあるかもしれないだろ!

 

あー、ほら、例えば、催眠オ〇ニーとか!

 

 

......。

 

 

......言ってて自分が嫌いになりそう。

 

何でこんなことしか思いつかないんだろ...。

 

 

いいや、もう。とりあえず普通の『さいみんじゅつ』撃っちゃおっか。

 

えーい。

 

 

▽ミカルゲは 『さいみんじゅつ』を 繰り出した!

 

 

「ビッ......パ...」

 

 

ガクッ。

 

 

▽野生の ビッパは 眠ってしまった!

 

 

おみょ!? 当たった! 見て! すげー!

 

絶対外れると思ったのに!

 

 

嬉しさの余りピョンピョン跳ねる。

 

 

やったーーー!

 

勝ったーー!(勝ってない)

 

 

 

 

...ちょっと虚しくなってきた。

 

運ゲで勝っても、嬉しくないわ。(勝ってない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

......なんて言うと思ったか! 勝ちは勝ちだろ! はい、俺の勝ち!(勝ってない)

 

 

▽野生の ビッパは スヤスヤ眠っている。

 

 

いえーい、おやすみなさーい。

 

 

さてと、少女の危険も去ったことだし、俺も家に戻るか。

 

 

え、これからの事?

 

明日からのことは明日考えればいいんだよ!

 

 

初戦闘を勝利で収め(勝ってない)、気分の良い俺は、ルンルン足取りで帰宅し

 

 

「も、もしかして...まもりがみさま、ですか?」

 

 

ようとしたところで、少女に声を掛けられてしまった。

 

 

ち、バレたか...。

 

 

 

 

 

......てかなんて言った、今?

 

 

ま、護り神?

 

 

「まもりがみさま、ですよね?」

 

 

違う違う、俺はむしろそれの反対だよ。

 

 

クルリと身体を回し、少女の方を向く。

 

 

ほらほらー、俺ってばユラーでおんみょ~んな悪霊さんだぞー?

 

呪っちゃうぞー?

 

 

本体の魂部分をウネウネビョンビョンさせて悪霊アピールをする。

 

 

「まもりがみさまだ! ほんもののまもりがみさまだ! すごい! はじめてみた!」

 

 

偽物なら見たことあるのだろうか。いや、俺も偽物だが。

 

 

と言うか、今の仕草のどこに護り神要素があったんでしょうね。

 

 

「まもりがみさまー」

 

 

こらこらー。

 

あんまりそういうこと言うとー、シンオウとかアローラのガチ神様に怒られるんだよー?

 

俺が。

 

 

特にアローラ四神とか『フェアリー』って聞いただけで最近は寒気がするから勘弁してよー。

 

 

あとさ、あんまりおっきい声で騒がないで?

 

もうすぐ4ターン経つからそこのビッパが起きちゃうの。

 

 

しー、だよ。

 

 

▽野生の ビッパは 性懲りもなく 寝息を立てて グッスリ 眠っている!

 

 

▽まるで 起きる気が無い!

 

 

大丈夫そうだな、はよ帰ろ。

 

 

 

 

 

「ねえ、まもりがみさま。まもりがみさまはどこにすんでるの?」

 

 

護り神様はね? アローラ地方の、メレメレ島、アーカラ島、ウラウラ島、ポニ島にある祠にそれぞれ

 

 

「ああ! ちっちゃいあのいど?」

 

 

ちっちゃいって言うな!

 

あれでも立派な我が家なんだぞ!

 

 

俺が居ないとダメダメで、直ぐ崩れそうになるんだから。

 

全く、ホント俺が居なきゃダメなんだか...

 

 

...いや、井戸じゃねえし。言い直せ? あれ、塔ぞ?

 

 

確かに近くにはもっと立派な『ゴ-ストタイプ』達が楽しそうにいつもパーリーしてる、『ロストタワー』なる塔があるけど、ウチだって由緒ある良いもんなのだぞ!

 

 

でも良いなー、あいつ等。いつも楽しそうで。

 

俺もいつかお呼ばれしないかなー?

 

 

 

 

...何で俺、あの家にこんな愛着沸いてんだ?

 

 

そんなことを話しながら井戸、基、『みたまのとう』に向かって歩く、俺と少女。

 

 

...と言うかさ、なんなんだよコイツ、めっちゃ勝手に着いてくるじゃん...。

 

 

とりあえず、直ぐに家に帰らず、何処か寄り道も挟んで敢えて遠回りしまくろうか。

 

ストーカーに会ったらそうすれば良いらしいよ。

 

 

皆も実践してみてね。

 

 

俺の場合もうバレてるみたいだけど...。

 

 

少女を引き連れ209番道路辺りをウロチョロ。

 

 

少し時間の経ったその後も、着いてこようとする少女、どうしよ...。

 

 

「あ、わたしもう、かえらないと...」

 

 

いい加減夕方とも言えなくなってきたこの時間帯。

 

 

さっきまで辺りを包み込んでいた闇を照らすように点灯し始めた街灯を眺め、少女はそう呟いた。

 

 

勝機...!

 

 

そうだそうだ! ご家族が心配してらっしゃるよ、きっと。

 

 

ほらほらー、急いで帰りましょうよー。

 

 

直ぐそこまでならお見送りしてあげますよ?

 

 

「え!? まもりがみさま、いえまでおくってってくれるの!?」

 

 

少女が嬉しそうに跳ねる。

 

 

いや、言ってねえよ? 一言も言ってねえからね?

 

 

お見送りって言っただけだからね? 若干似てる感はあるけど、違うからね?

 

 

「それじゃ、いっしょにいこ? わたしのいえはね、こっちだよ!」

 

 

おい、聞けって! ちゃんと人の(魂の集合体の)話を聞きなさい!

 

 

「よいしょっ、と...」

 

 

...おい、お前。もうこの際、俺が何処に連れていかれようとどうでも良いのだが、これだけは無視できん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前さん。

 

 

 

 

なんで俺の事持ち上げれてんの...?

 

 

 

俺、108kgあるんだよ...?

 

 

 

 

 

 

街灯の照らす道を、少女は重みを感じさせない軽やかな足取りで静かに歩いていた。

 

 

...少女の体重+俺の体重(108kg)なのに、だよ?

 

ホント、何者なんだよ、この子...。

 

 

ところで、この道だけでもゲームで見ていた景色とは所々違うところが見つかって、ホントに異世界転生したのかと今更ながらに実感させられる。

 

 

各番道路は暗い夜でも辺りを見れるよう一定の間隔で街灯が設置されて、どこか懐かしさを感じる。

 

うーむ、何とも生活感の出た景色だ。

 

 

こうなると、各街、地方はどうなっているのだろうか。

 

改めて考えると中々ワクワクするな。

 

 

 

 

「わたしのおうちはね、みんな『きとうし』なの」

 

 

少女によって抱きかかえられてた俺は、帰路に就かれながらそんな話を聞いていた。

 

 

へー、『きとうし』。

 

『きとうし』ねー。

 

 

 

 

 

...おみょ、祈祷師!?

 

 

背筋が凍った気がした。

 

...背筋って何処だ。

 

 

ちょ、それ大丈夫なんすか?

 

俺ってば悪霊だから、レッツゴー!陰陽師の巻き添え食らっちゃわない?

 

寧ろその渦中じゃない?

 

 

え、それじゃあ俺、もしかしなくてもこれから成仏させられるために運び出されてるんです?

 

 

 

 

その後も少女は俺の危機なんて気にすることなく、重要そうな事を惜しげもなくベラベラ語ってくれるのでせめて情報を聞き出してやろうと、その話に耳を傾けた。

 

...耳?

 

 

 

 

先ほどの話にも合った通り、この子の家族は祈祷師の一族その本家で、この子はまだ見習いの祈祷師らしい。

 

一人前の祈祷師になるべく、代々続く教訓に従い、祈祷師に必要な英才教育と祈祷師に必要な肉体訓練を受けてきたそうだ。

 

ねえ、肉体訓練って、祈祷師に必要?

 

リリカル・トカレフかよ。

 

 

 

 

そんな時に、都合良く209番道路に妖しいポケモンが出たから、正式な『きとうし』になるための試験としてここにきたらしいけど...

 

 

いや、情報回るの早すぎない?

 

俺まだ『みたまのとう』から生まれ出て(?)、1日も経ってないよ。

 

 

そーそー、それと。

 

こんな幼女を薄暗くなる中に放り出すんじゃないよ。

 

 

きっとエ〇ゲだったらその悪霊になんかされちゃうイベント発生しちゃってたよ。

 

いや俺そんなことしないけどさ?

 

 

「それでね、このふく。『きとうし』のせいそうっていってね? だいじなときにきるものなんだって!

かわいいでしょ」

 

 

少女は巫女服のような振袖が融合合体した所々に小さなリボンなどの装飾が施された、純白の袴を着こなしていた。

 

おーう、確かに可愛いけど増々〇ロゲキャラじゃねえか。

 

 

その討伐対象の悪霊についても詳しく話してくれた。

 

 

少女によると、このズイタウンを抜ける1本道、209番道路は古来より事故が多かったそうだ。

 

それは今でも続いており、最近では特に自転車事故が多発しているらしい。

 

近所の住民は悪霊でも住み着いているのではと思いこんだ。

 

 

みょん、全くその通りじゃん。てか俺が悪霊だし。

 

御近所様方、良い勘してるっすね。

 

 

そこでその悪霊を鎮めるために、祠を立てることにした。

 

何処に建てるのが良いか探していると、丁度良さそうな場所になんかそれっぽくて、良い雰囲気の出た建造物があったので、思い付きでこの『みたまのとう』を祀ろうと...

 

 

おい、そこだよ。おかしいだろ。

 

こちとらそこで悪霊やらせてもらってるミカルゲさんだぞ。

 

 

それは祀りじゃなくて鎮魂だよ。

 

皆でレクイエムの合唱でもしてろよ。

 

 

それと何でもかんでも悪霊()のせいにするんじゃないよ。

 

 

その自転車事故だって俺のせいじゃないかもしれないでしょ?

 

確証は持てないけどさ。

 

 

 

 

...あ、ほら、多分あれだよ。

 

厳選厨がいっぱい居過ぎただけだよ。

 

きっと。

 

 

だから俺のせいじゃないよ。

 

ホントホント、ホントだよ。

 

 

「わるいあくりょうなんだって~。

まもりがみさま、なにかしらない?」

 

 

......全然知んない。

 

 

▽ミカルゲは そっぽを向いた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
ムキムキ少女。
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