封印悪霊物語(笑)   作:喪家の狗

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おじょうさまの カナリア

 

 

カントー地方、ヤマブキシティ。

 

 

シルフカンパニー本社を中心に高層ビルが立ち並ぶこの街はカントーの中でも1,2を争うほどの都会。

 

実に都会指数76を叩き出してしまうほどの都会だ。

 

 

そんな都会オブ都会と言っても過言ではないこのトカイシティ、基、ヤマブキシティ。

 

 

そこには立ち並ぶビル又はマンションのワンフロアを牛耳っているセレブがいた。

 

 

一家の大黒柱、お父様はカントー内トップの売り上げを出し続けている一流企業、シルフカンパニーに勤める課長様だ。

 

このパパ課長、様々な商品のアイディアを出し続けるだけでなく、効率的な生産方法を会社に広め、次期社長と言われてたり言われてなかったりするほどの逸話を持っている。

 

 

 

閑話休題

 

 

 

残念ながら今はエリートパパの密着ではなく、エリートパパ自慢の愛娘、カナリアちゃん。この子の視点だ。

 

 

今現在彼女はパパご自慢のワンフロアハウス、その大きめな一室にお友達を呼んで遊んでいた。

 

スクールに通う彼女がそんな大人数で遊ぶなんて、さてはパリピか。なんてパパは思ったが、こちとら遊んでるんじゃねえ。

 

『作戦会議だよ』

 

そう言った途端、パパは何時までも小さなままの子供を相手するように愛おしそうに娘の頭を撫でていたが。

 

 

とは言え、パパからの許可も下りた。皆を呼んでそれじゃあ始めるか。

 

 

 

 

 

「それじゃ、始めよっか。

 

何で私たち、ポケモンの世界に来たと思う?」

 

 

何で私たち、前世の記憶を持ったまま、この世界に居るのだろうか。

 

 

金糸雀(カナリア)は各地方から集められた11人に向かってそう切り出した。

 

 

 

 

「ああー! 白いロコンが可愛い! 白いロコンが可愛い! リアルの白いロコンが可愛いい!!」

 

「うわ、お前そのチョンチー色違いじゃん。どこで会ったんだ?」

 

「え? カロスで釣りだよ! やっぱり私、最初の子は色違いが良くて」

 

「いーなー、色違い。わたしんとこ、殿堂入りしないとポケトレ貰えないからさー」

 

「ならさ、この集会終わったら地元のダイベンやりに行こうぜ! 色も出るし、伝説も出る!」

 

「おお、いいじゃん! 俺行きたい!」

 

「わたしもー!」

 

 

彼女の目の前にいる彼らは、SNSツールや現地に直接赴いて集められたテンションが高いことの他に共通点を持った各地方出身の若人たち。

 

皆一様に、

 

「俺は転生者だ! 前世の記憶だってあるぞ!」

 

と騒ぎ立ててしまう、少々(かなり)痛い子集団だ。

 

 

無論、言葉の壁は無い。創造新(アルセウス)は1つだけで良いだろ、と妥協したのである。

 

 

それ故、人間たちが使う言語はただ一つ、『ポケモン語』と呼ばれる、

 

「何でもポケモンって付けとけば良いって思ってんじゃねえよ!」

 

「俺に言わないでください」

 

と最早定型文と化してきている会話の成り立つ切っ掛けとなった、言語名。

 

定型文はともかく、この言語のお陰で各地方の仲間たちとも初見で簡単にコミュニケーションを取ることに成功した。

 

 

この部屋の主であるパパンご自慢の娘であるカナリアがこの会のリーダーを名乗っているが、リーダーだからと言って、統計が取れているわけでは無い。

 

 

あくまで自称リーダーなだけだ。

 

 

ところで、どういう理由かは知らないが彼らは皆前世、地球にいたころと同じ顔をしていた。

 

分かり易くて助かると言っていたが、原因は恐らくキャラメイクをしていないからであろう。

 

 

 

 

 

 

私たちがこの世界に来て、いえ、この世界にいる私たちと顔のそっくりな住人に憑依して3週間が経った。

 

 

ここに来てしまった目的も、(あまりする気はないが)帰還方法の目戸だって立っていない。

 

 

それに...

 

 

「だから! 私たちが来たってことは、同じクラスの子たちも来てるかもしれないでしょ! その子たちとの合流の方が先よ!」

 

 

彼女たちが通っていた高校、その2-Bには20人の生徒が在籍していたのだが、今現在この部屋には11しかいない。

 

 

転生から情報を整理するまでで3日、その生活に慣れるまでに4日掛かっていて、そこから2週間で10人しか集めることが出来なかった。

 

 

「いーじゃん! 少しくらい遊んでもさー! 折角こんな世界に来れたんだよー!?」

 

「そ、それは...」

 

 

良くない、だろう。

 

 

知ってる世界とはいえ知らない土地だ。

 

そんな場所での仲間のと生き別れ、先ずはその仲間たちの安否の確認、保護が先なのだろうが、

 

 

「それもそうね!」

 

 

今の彼女にその考えはなかった。

 

 

彼女も年頃、遊びたい盛りなのだろう。

 

 

「だよねー! それじゃあさ、まずどこ行く!?」

 

「そーだなー、まずはやっぱ...」

 

「ちょっと待ちなさい!? リーダーは私なのよ!?」

 

 

ところで彼女、カナリアは、決してクラス委員長などではなかった。

 

 





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