遊戯王・ミソロジーテイル〈一章終了・一時更新停止〉   作:黒霧春也

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第3話・キッカケ

『ARビジョン、解消完了』

 

 デュエルの決着がつき。賭けは俺の勝ちなので松永先生にある事を聞いてもらう。

 

「この賭けは俺の勝ちなので言う事を聞いてもらいますよ」

「あぁ」

 

 あの場所では目立つので生徒指導室に戻ってきた。だが、松永先生は放心状態で話を聞いているのかよくわからない。

 

「それでは……って、ハッキリ言えば特にないので貸しにしときますね」

「それでいいのか?」

「ええ、大丈夫ですよ」

 

 ここで〇〇とか命令したら俺の人生が終わると思いマシな選択を選ぶ。

 

「ハァァ、私は何をやっているんだろうか」

「いきなり何ですか?」

「いやな、問題児の更生すらできない私はダメだなと思っただけだ」

「その問題児の性格が捻くれているから無理なんですよ」

「それを自分で言うか?」

 

 コチラのボケに松永先生は苦笑いで突っ込み。ため息を吐いた彼女はソファに深く座りお茶を飲んだ。

 

「まぁ、ある意味計算外の事は起きたが面白い事になりそうだ」

「それは嫌ですね」

 

 このまま目立たず静かに生活したいのに面倒事はごめん被る。

 

「嫌だとは思うが、さっきのデュエルでお前は目立ったぞ」

「……でしょうね」

 

 あの状況から後攻ワンキルをした俺は生徒達からいろんな感情が混ざっている目で見られた。

 

「さてと、私は仕事があるから離れるな」

「はい。俺も失礼します」

 

 問題になった作文の事を言われるのは嫌なのでさっさと生徒指導室から出る。

 

 ーー

 

 教室に戻って鞄を回収した後、大月学園の校門を潜り街の中を歩く。

 

「やっぱり早付市は都会だよな」

 

 俺の目に入るのは空に浮いている車にビルに取り付けられている大きなモニター。他にはオボットと呼ばれる卵型のロボットが街のゴミを集めている。

 

「確か街の人口は100万人くらいだったな」

 

 そうなると街に捨てられるゴミも多いと思いつつ、街を歩いていると大安売りのスーパーの広告を目にする。

 

「今日は豚バラや鶏モモが安いのか」

 

 豚バラなら生姜焼き、鶏モモなら唐揚げが頭に浮かんだ。この選択になり俺は前者の生姜焼きを選ぶ。

 

「醤油や生姜はあるし、豚バラをメインで買っていくか」

 

 少し離れた場所に広告のスーパーがあるのでビル街を歩きながら目的地を目指す。

 

「ここだな」

 

 到着したスーパーの自動ドアが開いたので中に入りカゴを手にする。

 

「うーん、野菜はキャベツだよな」

 

 キャベツの千切りは生姜焼きに必要だと思い半玉のをカゴに入れる。次に生肉コーナーに行き豚バラを回収。そしてアイスコーナーにいく。

 

「普通にチョコモナカでいいか」

 

 俺が選んだのはモナカの中にアイスと板チョコが入っている品物。コレもカゴの中に入れると後ろから声をかけられた。

 

「やあ颯汰」

「この声は詩音か」

「そうだよ」

 

 声がした方に振り向くと青髪ショートの少年に見える少女、宮国詩音がスーパーのカゴを持って立っていた。

 

「まさか、タイミングがぱっちりとはね」

「……何か企んでいるな」

「えー、ボクがそんな顔をしているかな?」

「しているぞ」

 

 嫌な予感がする。そう思ってモナカアイスをカゴに入れて離れようとしたが、詩音が右手で俺の肩をガッチリ掴んだ。

 

「お、おい」

「困っている少女を無視するのかい?」

「……困っているよりも企んでいるの間違いじゃないのか」

 

 コイツの面倒さはよく知っているのでため息を吐く。

 

「あー! なんでため息を吐くのさ」

「自分の心に聞いてみろ」

「うーん、何も聞こえないけど」

「……」

「ここで無言はやめてよ」

 

 コイツの心は自分勝手にできているのか?と感じながら俺は言葉を発する。

 

「とりあえず食料を買いたいから手を離してくれ」

「なら、買い終わった後はボクの話に付き合ってよ」

「長くなりそうだから嫌だ」

「そう……ならこの手は離さないよ」

「ちょ、おま!」

 

 このままだと周りの人達がコチラを見て勘違いしそうなので少し考えて内容を口にする。

 

「わかった。話くらいは聞いてやる」

「おぉ! よかったよ」

 

 俺の肩から手を離した詩音はとびっきりの笑顔になってコチラを見てきた。ただ、この表情を見た俺はイラッときたが感情を抑える。

 

「ただ、ここで話すのはマナー的に問題だと思うし場所を変えよう」

「あぁそうだな、って! 何故お前は俺のカゴに高級アイスを入れているんだ?」

 

 一個300円以上するアイスを元の棚に戻し会計をする。でもこの行動に納得してない詩音は口を尖らしていた。

 

「君はケチだね」

「ケチで結構だ」

 

 会計が終わったのでスーパーから出て近くにあるカフェに入る。そこで俺は店員さんにアイスコーヒーを頼み、目の前に座っている詩音に質問する。

 

「さてと、俺をここに連れてきた理由はなんだ?」

「そんなのは決まっているよね」

「……ゴールデンウィークに開催されるデュエルの大会の事か?」

 

 この街にはデュエルモンスターを管理している会社の建物があり。街に住んでいる人達限定でデュエル大会が開かれ、参加条件はプロの資格を持たないアマチュア達が参加できる。

 

「そう! その大きな大会、ディスティニーカップ(DK)に僕も参加するんだよ」

「なるほど、それなら優勝を目指して頑張ってくれ」

 

 正直俺には関係ないので適当に話を聞こうと思ったが、詩音はどんでもない言葉を口にする。

 

「あー、その大会の件で君にお願い事があるんだよね」

「先に言うが俺は参加しないぞ」

 

 静かに暮らしたい俺は参加する事を拒否する。しかし、それに納得しない奴が1人。

 

「言うと思ったよ。でも、君には参加して欲しいんだ」

「……ハァ、お前な」

「君が言いたい事はわかるけど過去を変えられるのは自分しか出来ないよ」

 

 俺の過去を知っているコイツの言葉に頭が痛くなる。

 

「それにデュエルが強かっただけで、周りからハブられたトラウマがある君には辛い事かもしれないけどね」

「それなら!」

「確かに君の気持ちはボクにはわからないよ。でも、このまま引きずっても苦しいのは君の方だよ」

 

 詩音の言葉に胸が痛いがそれでも参加する理由にはならない。そう思って少し揺さぶりをかけてみる。

 

「さっきから綺麗事を言っているがお前の本当の狙いはなんだ?」

「僕の狙いはこの大会の優勝賞品である賞金と金色のトロフィーに決まっているよね!」

「……そうか」

 

 楽しむだけで出る人もいると思うのでそこは否定しておく。そして、店員さんが俺のアイスコーヒーと詩音のココアをテーブルに置いた。

 

 ーー

 

 アイスコーヒーを飲んだ後、俺と詩音はスマホを使って大会登録をした。

 

「うん! コレで大会出場できるね」

「だな」

 

 あんまり気乗りしないが、お冷を飲みながら大会のルール説明を見る。

 

「予選はレッドコアを12個集めて大会受付に持っていくのか」

「うん、そうみたいだね」

 

 ただ、最初に配布されるレッドコアは2個。なので単純に考えると連敗したら失格になる。

 

「ルールは難しくないけど受付で出待ちされると厄介だね」

「いや、12個集まった時点でレッドコアを賭けるデュエルは行えないみたいだぞ」

 

 予選突破できるのにデュエルする人は少ないと思いながら最後まで読む。

 

「最後に予選の期間は3日間か」

「そうみたいだね」

 

 予選と本戦を含めて1週間、ゴールデンウィークが全部潰れる計算だ。

 

「さてとルールは見たしデッキ調整とか必要だね」

「だな」

 

 お冷を飲み終わり会計をしてカフェから出で、俺は詩音と別れて自分の家に帰る。

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