遊戯王・ミソロジーテイル〈一章終了・一時更新停止〉 作:黒霧春也
次の日、自分のクラスである1年3組に入り自分の席に座る。すると近くで喋っているクラスメイト達の声が聞こえる。
「なぁ! 今回のDKの優勝賞品とか見たか?」
「あぁ、見たぞ! 賞金500万円に金色の優勝トロフィーだったな」
「もしオレ達の誰かが優勝したら山分けしようぜ」
離している人達の言葉を聞いていい友情だと思い心の中で嘲笑う。その理由は実際に山分けする気がないのが丸わかりに見えるからだ。でも、俺の勝手な予想なので本当に山分けをする気の可能性もあるので黙っておく。
(友情なんて簡単に崩れる)
この言葉が頭の中から離れない俺は首を横に振る。そしてチャイムが鳴り担任の松永先生が教室の中に入ってくる。
「日直、号令を頼む」
「はい! 起立、礼!」
「「「おはようございます」」」
「あぁ、おはよう」
松永先生の声でクラスメイトは自分の席に座り朝のHRが始まった。
ーー
授業は4限目が終わり昼休み。俺は購買でパンの詰め合わせセットとお茶を購入してある場所に向かう。
「ここなら大丈夫か」
俺が来た場所はデュエルコートの観客席。ここでデュエルをしている人達の動きを見ながらパンを食べる。
「おれは〈ブラッド・ヴォルス〉に〈デーモンの斧〉を装備! コレで攻撃力が1000ポイントアップするぜ!」
「攻撃力2900。それならアタシのモンスターを破壊できるわね」
フィールドを見ると〈ブラッド・ヴォルス〉側は金髪でガラの悪い男子生徒たちで対戦相手は赤髪ツインテールの目つきが鋭い女子生徒。有利なのは男子生徒に見えるが、女子生徒のフィールドには赤い鎧を着た女戦士のモンスターと伏せカードが1枚セットされていた。
(あの伏せカードが何かだよな)
攻撃反応系の可能性もある。そう思って観察していると男子生徒がドヤ顔で言葉を発した。
「バトル! おれは〈ブラッド・ヴォルス〉で〈スカーレットレディ・ソルジャー〉を攻撃!」
「貴方今、攻撃と言ったわね」
「あ? それがなんだ?」
〈ブラッド・ヴォルス〉が斧を振り上げて攻撃を仕掛ける。しかし、女子生徒は冷静に伏せカードを発動した。
「リバースカードオープン〈炸裂装甲〉」
「ま、まさか」
「えぇ。この罠カードを使って攻撃してきたモンスター〈ブラッド・ヴォルス〉を破壊するわ」
「そ、そんな……」
〈炸裂装甲〉の効果で〈ブラッド・ヴォルス〉が破壊された。そして、次のターンで〈スカーレットレディ・ソルジャー〉の攻撃で男子生徒のライフが0になり決着がついた。
「貴方のプレイングは攻撃に偏りすぎているわね」
「チッ! うるせーな」
地面から立ち上がった男子生徒は捨て台詞を吐きデュエルランクから離れていった。それを見ていた女子生徒はため息を吐いた。
「この程度のデュエリストしかいないなんて満足できないわね……」
「恋歌様! 素晴らしいデュエルでしたよ」
赤髪の女子生徒の取り巻きに見える女子生徒達が集まりワイワイと言葉を発していた。
「この調子ならDKも恋歌様の優勝ですよ」
「それはわからないわ。多分だけどこの街にはまだ強いデュエリストがゴロゴロいると思うわよ」
「そうですか? この学園で腕利きと呼ばれるデュエリスト達を叩き伏せた恋歌様なら普通に勝つと思いますよ」
取り巻き達の言葉に恋歌と呼ばれた赤髪の女子生徒は不服そうな顔で頷いていた。それを見た俺は食べ終わったパンの袋をポケットにしまって立ち上がる。
(次はどうなるかだな)
あの赤髪の女子生徒と対戦する事になったら厄介だと思いながらデュエルコートから出る。
ーー
昼休みは適当な場所で過ごして時間潰しをした後、予鈴が鳴ったので教室に戻る。
「おい、聞いたか? 午後の授業はデュエルなったぞ」
「マジか! 先生も太っ腹だよな」
「DKに向けてデッキ調整ができるわね」
クラスメイトは盛り上がっているが俺は無視して自分の席に座る。
(いきなりだな)
午後の授業は現国と数学IIだったはず。それをやらずにデュエルをやっていいのかと思うが気にしても仕方ないので考えるのをやめる。
「そろそろチャイムが鳴るしすわるか」
「だな! 変な事をしてデュエルができなくなるのは嫌だからな」
いつもは騒がしい奴らも今は静かに席に座り。本鈴が鳴り松永先生が教室に入って来る。
「さてと、知っている奴らもいると思うが午後の授業は急遽デュエル会になったぞ」
この言葉で生徒達は嬉しそうな表情変わった。だが、松永先生は渋い表情で続きの言葉を口にする。
「ただ、最初に1組の代表とデュエルする事にもなった」
「!? 1組って、あの赤城がいるクラスですか?」
(なるほど)
赤城は中等部時代に何回か名前を聞いた記憶を思い出す。その時は凄腕のデュエリストや烈火の姫とかの噂を聞いた。
(まぁ、俺は見ているだけだし大丈夫か)
こう思って余裕がある考えをしていたが実際は違う未来になった。
〈大月学園・デュエルコート〉
昼休みも来たデュエルコートに到着した俺達1年3組の生徒は観客席に座る。すると違う入り口から1年1組の生徒達が入ってきたがその表情は気持ち悪かった。
「おいおい、なんだあの気持ち悪さは?」
「わからないわ」
クラスメイト達は引いているが、相手の生徒達は気持ち悪い笑みをやめない。
「ま、まぁ。普通にデュエルをするだけだし大丈夫だよな」
「そうよね」
思いっきりビビっているクラスメイト達をよそに、松永先生は1年1組の担任である大岩先生に声をかける。
「大岩先生、さっきぶりですね」
「そうだな」
大岩先生の見た目は筋骨隆々で茶髪短髪の30代前半くらいの大男なので、言い方は悪いが威圧感が凄い。
「逃げずに来るとはな? まさか、生徒達に説明してないのか?」
「そ、それは……」
(うん? なんか雲行きが怪しくなってきたぞ)
なんか先生同士の話し合いがあるみたいなので、俺は自分の席に座りながら目を向ける。
「このデュエル対戦はどちらの生徒が優秀なのか決める戦いなのを忘れたのか?」
「えぇ、覚えてますよ」
(あーなるほど)
1年3組はデュエルで腕利きと呼ばれる生徒はいない。でも1年1組は優秀なデュエリストが揃っている。そうなるとあちらさんはコチラを叩き潰せて見下せる。つまりは優越感に浸れる。
(また厄介な事になったな)
俺はその話を横目に聞きながら色々考え始める。すると松永先生が大岩先生に向かって言葉を発する。
「それと今回のルールは3対3のシングルデュエル。先に2人勝てば決着がつく戦いですよね」
「いきなり話が飛んだが、ルールはあっているぞ」
高岩先生がいやらしい目つきで松永先生を見た為、その視線を受けた松永先生は眉を顰めていた。
「ここで無駄話をしていても時間が過ぎるだけなので始めましょう」
「お前が仕切るのは気に食わないがその通りだな」
不服そうな高岩先生は自分の生徒達の元に戻っていった。その後、クラスメイトの1人が松永先生に質問する。
「先生! 今回参加する生徒達は誰ですか?」
「あぁ、もう決まっているぞ」
この言葉を聞いたクラスメイト達は全員松永先生の方を見る。そして参加するメンバーを決められた。
「1番手は羽川、2番手は香坂、ラストは風見だ」
(なるほど……って! ラストは俺かよ!?)
思わず席から立ち上がった俺を見た松永先生は笑顔になって言葉を口にした。
「昨日私を後攻ワンキルしたお前を頼りにしているぞ」
「嫌です。お断りします!」
流石にこの状況でヤバいと思いなりふり構わずやめたい言葉を発するが、クラスメイトの1人が口を開く。
「松永先生を後攻ワンキルできるなら任せられるな」
「そうね! アイツらを倒してよ」
「なんならボコボコにしても良くないか?」
(コイツら……)
自分達が参加しないから好き勝手言っている。なので俺はその生徒達に向かって一言。
「そう思うなら変わってくれるか?」
「う、いや、お前が選ばれたから遠慮するよ」
「いやいや、そんだけ大きな口を叩けるなら大丈夫だろ」
「チッ、空気を読めよ」
(あーあ、この言葉か)
こうなったら俺は空気を読めない奴としてクラスで虐められる事になる。でもそうなったら訴えたらいいと思いため息を吐く。
「待て待て、ここで喧嘩するな」
ヒートアップしてきたので松永先生が止めに入って相手の生徒は渋々席に座った。俺はその生徒を並んだ後、自分の席に座る。
(どいつも口だけのクズめ)
正直ここまできたら目立たないのは不可能なので、何も言わずに1番手のデュエルを観戦する。