遊戯王・ミソロジーテイル〈一章終了・一時更新停止〉 作:黒霧春也
3組の1番手である羽山はオレンジ髪で整った顔立ちをしているイケメンでクラスの人気者。だが、デュエルの腕前は噂になってないのでそこまで強くないと思われる。対する1組の1番手は青髪ロングの女性・水上だ。彼女は水属性のデッキで大会入賞する程の腕前を持つ実力者だ。
「貴方をさっさと倒して次に繋げるわ」
「大会入賞者と戦えるのは光栄だね」
水上の棘のある発言に羽山は面白そうに笑って言葉を返す。そして、2人がデュエルディスクを構え開始宣言を口にする。
「「デュエル!」」
『ARビジョン、リンク完了』
羽山LP4000VS水上LP4000
〈1ターン目〉
先行は羽山みたいで手札のカードをデュエルディスクのプレートに置く。
「オレはモンスターをセットしてターンエンド」
羽山LP4000、手札4枚
フィールド
裏守備モンスター×1
魔法・罠
なし
羽山は裏守備モンスターをセットしただけで終わり、相手の水上は無表情でデッキからカードを引いた。
〈ターン2〉
「わたしのターン! わたしは手札から永続魔法〈ウォーターハザード〉を発動! このカードの効果で手札の〈海皇の竜騎隊〉を特殊召喚する!」
水上が呼んだのは銀色と金色の水竜に乗った騎士で、手に持った槍を羽山に向けていた。
ウォーターハザード〈永続魔法〉
海皇の竜騎隊(効果モンスター)
レベル4、海竜族、水属性(攻撃表示)
ATK1800、DFF0
攻撃力は下級アタッカーでは高めのステータス。ただ、コイツの怖さは攻撃力ではない。
「そのモンスターでオレの裏守備モンスターを攻撃するのかな?」
「……そんな短絡的なデュエルはわたしはしないわ」
「ならどうするんだい?」
ここで煽りを入れた羽山だが、それを冷静に返答する水上に周りの生徒達は驚いていた。
「おれも〈海皇の竜騎隊〉で攻撃すると思っていたぜ」
「いや、魔法カードで強化するんじゃないのか?」
「あー〈アクアジェット〉とか相性がいいのよね」
水属性デッキなら〈アクアジェット〉も採用できるが、多分それだけじゃない。
「ここまでプレイングの予想が浅いとは笑えるな」
「バカなんだろ」
「それじゃあウチらに一生勝てないわね」
少し離れた場所で座っている1組の生徒達がコチラをバカにする発言をする。それを聞いた3組の生徒達は声を荒げた。
「ならお前らはこの後の展開がわかるかよ!」
「あぁ、もちろんだ」
クラスメイトの言葉に向こうは頷いた後、見下すような視線でコチラを見ながら口を開く。
「先に答えを言うと、このターンであのオレンジ髪は負けるぞ」
「は? なんだと!」
「まぁ、見てろよ」
もはや手に転がされているクラスメイトに相手の生徒はため息を吐きデュエルリンクを指さす。
「すまない、クラスメイトが失礼した」
「確かに無知は罪ね」
「……」
羽山は水上に向かって頭を下げるが、対する彼女は不服そうにコチラを見ていた。
「さてと、デュエルを続けてくれないか?」
「別に貴方に言われなくても進める」
水上は手札のカード引き抜きディスクに置いた。そのカードはこのデュエルに大きな影響が出るカードだった。
「わたしは〈海皇の狙撃兵〉を通常召喚! そして魔法カード〈アクアジェット〉を発動する」
「やっぱり〈アクアジェット〉か!」
「えぇ、でもこのカードの対象は〈海皇の狙撃兵〉よ」
「!?」
アクアジェット〈通常魔法〉
海皇の狙撃兵(効果モンスター)
レベル3、海竜族、水属性(攻撃表示)
ATK1400→2400、DFF0(アクアジェット使用)
〈アクアジェット〉の対象が〈海皇の狙撃兵〉になったので、羽山や3組の生徒達は驚いていた。ただ、俺はその動きを見ながら心の中で考える。
(なるほどな。そうなるとコチラの負けだな)
これから起こる動きにため息が出そうになるが我慢して動きを見る。
「なぜ〈アクアジェット〉の効果を〈海皇の竜騎隊〉じゃなくて〈海皇の狙撃兵〉にしたんだい?」
「そんなのは決まっている。バトルフェイズ! わたしは〈海皇の竜騎隊〉の効果発動! レベル3以下の海竜族モンスターである〈海皇の狙撃兵〉は相手にダイレクトアタックができる」
「なっ!」
「いきなさい〈海皇の狙撃兵〉! 相手プレイヤーにダイレクトアタックよ」
〈アクア・ジェット〉の効果で攻撃力が1000ポイントアップした〈海皇の狙撃兵〉が手に持った弓に矢を使えて羽山に一斉放射した。
「ぐっ!」
羽山は攻撃力の上がった〈海皇の狙撃兵〉の攻撃をまともに受けた。
羽山LP4000−2400=1600
ダメージを受けて膝をついた羽山だが、なんとか立ち上がってディスクを構えた。
「ただ、コレでダイレクトアタックはできない! レベル4の〈海皇の竜騎隊〉は自身の効果は使えないはずだ!」
「あぁ、そうだね。でもわたしは〈海皇の狙撃兵〉の効果を発動してない」
「そ、ソイツにも効果があるのか」
「もちろん」
水上が羽山に向かって何を言っているんだ?の表情になりながらディスクの画面をスクロールしていた。そして、水上は〈海皇の狙撃兵〉の効果を発動した。
「〈海皇の狙撃兵〉が相手に戦闘ダメージを与えた時、デッキから自身以外の〈海皇〉と名のついた海竜族モンスター1体を特殊召喚できる。この効果でわたしは〈海皇の突撃兵〉を特殊召喚!」
「ぐっ、コイツはレベル3か」
水上のフィールドに現れたのは赤い鎧を着てサーベルと盾を持った魚人の戦士である〈海皇の突撃兵〉だ。
海皇の突撃兵(効果モンスター)
レベル3、海竜族、水属性(攻撃表示)
ATK1400→2200、DFF0(自身の効果を発動)
「なっ! なんで〈海皇の突撃兵〉の攻撃力が上がっているんだ?」
「それは〈海皇の突撃兵〉はこのカード以外の魚族・海竜族・水族のモンスターが存在する場合、攻撃力が800ポイントアップするからよ」
「そ、それじゃあ……」
「貴方のライフは残り1600で攻撃力2200の〈海皇の突撃兵〉の攻撃で終わりね」
「まさか、オレがワンキルされるのか」
「そうね。まぁ、コレでドドメ! わたしは〈海皇の竜騎隊〉の効果を使い〈海皇の突撃兵〉でダイレクトアタック!」
「ぐっ、あぁ!!」
羽山LP1600−2200=0(−800)
勝者、水上
『ARビジョン、解消完了』
〈海皇の突撃兵〉のダイレクトアタックを食らった羽山は綺麗に吹っ飛び地面に転がった。それを見ていた1組の生徒達は笑って3組の生徒達は顔を真っ青にしていた。
「まさか羽山が後攻ワンキルをされるなんて……」
松永先生の唖然とする発言に隣で聞いていた大岩先生が上機嫌に口を開く。
「水上はウチの自慢の生徒だからな。この程度のデュエリストなら余裕だ」
「ま、まだ残り2人もいますよ」
「あぁ、そうだな。でもコチラが全勝して終わりだな」
自信満々の大岩先生の言葉に浮かない表情をする松永先生。そして、デュエルリンクには2番手の生徒達に入れ替わった。
「1組の2番手は黒川、そちらの生徒は誰だ?」
「3組の2番手は香坂です」
1組の黒川と呼ばれた生徒は黒髪黒目で背の高い男子生徒。対する香坂は背の低い緑髪のショートカットの女子生徒。ただ、この身長差を見ると笑えてしまうがなんとか我慢する。
「では、デュエルを開始してくれ」
「「はい!」」
互いに頭を軽く下げた後、2人はディスクを構えた。
「こんな小さい奴の相手をするなんてな」
「小さいと言っても油断しない方がいいですよ」
「だろうな」
黒川は相手の姿を見てため息を吐いているが、対する香坂は真剣に相手を見ていた。そのズレがデュエルにどこまで出るか楽しみだ。