魔法な先生ネギま!-火星軍諜報部報告書ー   作:白白明け

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第終章-大団円の先で編ーその8

-1-知らなきゃ幸せ地雷原

 

 

じゅー。じゅるる。

 

「私と師匠の出会いですか?」

 

4月22日。

修学旅行先である京都に向かう新幹線の中で魔法生徒綾瀬夕映は目の前に座る黒髪サイドテールのサムライ少女、桜咲(さくらざき)刹那(せつな)からそんな質問を投げかけられていた。

正直、めんどうなのですと綾瀬夕映は紙パックジュース『抹茶コーラ』を飲みながら思い、あまり長くなってはトイレですと言って抜けてきた親友たちに疑われると思いながらも、どうやら興味があるのは桜咲刹那だけではないようで同席する他の友人からも向けられる視線に観念をしてストローから口を離した。

 

「別に特別な何かがあったわけではないのです。一年前、私は愚かにも藪を突いて蛇ならぬ邪を出してしまいました。その時、私を助けてくれたのが師匠だったですよ。その経緯で私は師匠の弟子になったのです」

 

別に特別なことはないと言う綾瀬夕映に桜咲刹那はいやと首を振り反論する。

 

「そんな、なあなあの理由で弟子を取る狂気さんじゃない。綾瀬には何か彼を引き付けるものがあったはずだ。誰でも良いというわけじゃない。現に私は弟子入り志願を断られている」

 

「なんと、刹那さんは師匠に弟子入りしようとしたのですか?酔狂ですね~。あんな修行と言う名の拷問を笑いながら行う人の弟子になりたいとは。若い身空で人生を捨てる気なのですか?止めておいた方がいいです」

 

「それはおまえがあの人の弟子だから言える台詞だ。実際、麻帆良にはあの人の指導を受けたいという魔法生徒が大勢いることくらいおまえだって知っているだろう」

 

「まあ、知ってはいますが、麻帆良七不思議クラスの謎ではあります。師匠の何がそんなに人を引き付けるのでしょうか」

 

「理由なんて簡単だ。あの人は強い」

 

―――強い。

首を傾げる綾瀬夕映に返された答えはそんな単純明快なものだった。

確かにその点に関して彼女に出来る反論は無い。

彼女の師、羅漢狂気は強い。かなり強く。ただ強く。圧倒的なほど強く。理由なく強い。

 

なるほどと彼女は思った。

強者の教えを受けたいという思い。強い人への憧れは彼女もある程度理解はできる。

確かに桜咲刹那や麻帆良の魔法生徒たちなどの戦うことをある種義務付けられている人々にとって、羅漢狂気と言う兵(つわもの)の存在は求めずにはいられないものなのかもしれない。

しかし―――

 

「まあ、確かに師匠は強いですけれど」

 

綾瀬夕映は知っている―――

 

「その強さを師匠は嫌っていますから、強さ(それ)を求める刹那さんを弟子に取ることは無いと思うのです」

 

強さの意味とその言葉の虚しさを―――

黄昏の時、他ならぬ彼から語られた一人の少年の英雄譚を―――

 

「狂気さんが強さを嫌っている?それはどういう意味だ?」

 

「『強いってことは強いってことだ。それは凄いって訳でも正しいって訳でもない』。師匠の言葉です。意味はわかりますか?」

 

「なるほど、ああ、言わんとしていることはわかる。しかし、強くなければ凄くも正しくもなれないって言うのも真実だろう?………強さは必要だ。守る為に。守り抜く為に。守り続ける為に」

 

―――守りたい人がいるんだ。

 

剣道の竹刀入れに入った自身の武器を握りしめながらそう言う桜咲刹那を見て、綾瀬夕映はやっぱりこの人は愚かなくらいに真っ直ぐな人だと思った。

彼女はその実直さを好ましく思い。嫌いにはなれないとそう思った。

 

「そこまで言うのなら、私としては刹那さんと師匠の仲介をしてもいいのですが………正直、弟子入りは難しいと思いますよ?」

 

「それでもいい。頼む。私はあの人の教えを受けたい。弟子にしてくれなくてもいいから、私を強くして欲しいんだ」

 

「教えを受けたいですか………それも、難しいかもです」

 

「そうだろうな。だからこそ私はあの人に気に入られる必要があるだろう。なあ、綾瀬。本当におまえが弟子になった時、なにもなかったのか?なにかあるんじゃないのか?おまえにはあって私にないものがあるんじゃないのか?」

 

そういわれましてもですね、と綾瀬夕映は首を傾げる。

 

急に言われても直ぐには出てこないし、考え尽くしたところでどう考えても足りないものは自分の方が多いように思える。

 

目の前に座る彼女、桜咲刹那は優秀だ。

幼少の頃より京都神鳴流という大昔から日本の魔を祓ってきた剣術を修め、その実力は中学生にして関西を治める関西呪術協会の長の娘の護衛として麻帆良へ送られるほど。

天才と称して何の問題もない桜咲刹那の実力は魔術を修めて未だ一年に満たない自分とは比べ物になるわけもなく、そんな彼女には無くて自分には有るものなど考えつかない。

 

困り果てた綾瀬夕映はそんな自分たちの様子を愉快そうに見ていたもう一人の友人。

龍宮(たつみや)真名(まな)に助けを求めた。

 

「ん、ああ、綾瀬には有って桜咲にはないもの。そんなの簡単じゃないか」

 

「本当かっ!真名!」

 

「なんでしょうか?龍宮さん」

 

しかし、そんな救援は――

 

「この場合、綾瀬には無くて桜坂には有るものと言った方が良いと思うが。要するに―――

 

地雷でしかなかった。

 

―――身長だよ。狂気さんは小さな女の子が好きな、ロリコンなのさ。ほら、その証拠に闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)とも仲が良いだろう?」 

 

「………」

 

「………」

 

空気とかそう言う呼ばれ方をするなにかが爆発した。

そしてもとにはもどらなかった。

 

こんな地雷を皮切りに、綾瀬夕映の修学旅行は始まった。

 

 

 

 

 

 

「カエルぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ」

 

京都観光の代名詞と言っても過言ではない清水寺のお守り売り場にて、綾瀬夕映は唐突にそう呟いた。彼女自身、ふと思いつき言ってしまった事なので自分は何を言っているのだ、変な人間だと思われてしまうと慌てて振り返り周りを見たが、お守り売り場へと一緒に来ていた二人の友人の内、一人は恋愛祈願のお守りを持ち赤面してモジモジとしていて、もう一人はそんな愛らしい友人を見てニヤニヤとしていたので、どうやら聞かれてはいないようだった。

 

綾瀬夕映はふぅと安堵のため息を付き、唐突に早口言葉を言ってしまった原因を思いだし、何とも言えない呆れた笑みを浮かべた。

 

―――関西呪術連合の本家に親書を届けるというネギ先生に与えられた任務とそれに伴う本家の反乱分子の妨害の可能性については師匠からそれとなく聞いていましたが、妨害方法がくだらなすぎるのです―――

 

カエルぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ。

京都に向かう新幹線の中で大量発生した式神ガエル。

その混乱に乗じて親書の奪取を関西呪術協会の反乱分子は狙っていたようだが、目論見は見回りをしていた桜咲刹那の手によって阻まれた。

 

ならばと次に行われた妨害は先ほどここ清水の地にて行われた落とし穴と音羽の滝の飲み水に酒を混ぜるという悪戯染みたもの。

正直、綾瀬夕映には関西呪術協会の反乱分子たちがなにを考えているのかがわからない。

 

――――あるいは何も考えてなどいないのでしょうか?相手に本気で親書を奪取する気などなく、妨害はあくまで自分たちが関西呪術協会の長に反発していることを表すポーズ。もしくは師匠から聞いた学園長の読み通りに長の影響力が強いこの地では本格的な妨害工作を起こすことができないのでしょうか。いえ、まさか、このくだらなく見える妨害にはすべて意味があり大きな謀(はかりごと)を起こすための布石なのでは!………最後のは考え過ぎですね。できれば二番目の予想が当たってくれていれば、穏便に修学旅行を終えられそうでいいのですが―――

 

綾瀬夕映の目に酔い潰れた生徒たちをあたふたと介抱する担任教師、ネギ・スプリングフィールドの姿が映る。その傍には神楽坂明日菜がいて、一応は関西呪術協会の反乱分子からの襲撃に備えているようではあるが、如何せん未熟さが隠せていない。

しかし、それは仕方のないことだと彼女は理解している。

 

ネギ・スプリングフィールドは確かに天才だ。

齢十にして魔法学園を首席で卒業した頭脳と何より魔術を少しでも修めた者なら一目見てわかるほど強大な魔力。将来を嘱望される魔法使いと言われても何の違和感もない。

 

―――しかし、それは魔法使いとして優秀なだけなのです―――

 

魔法使いとしていくら天才的であったとしてもネギ・スプリングフィールドは未だ十歳の少年。

教師として特別優秀な訳でも親書を運ぶ間者として優秀な訳でもない。

あたふたして当たり前。

むしろ良くその重責に潰されず頑張っていると綾瀬夕映は褒めてあげたい。

 

―――私が手伝ってあげてもいいのですが、これはネギ先生に極秘任務として依頼されたもの。協力を頼まれたならまだしも、自分からしゃしゃり出るのはよくありません。どうやら危険も少なそうですし、暫くは刹那さんや龍宮さんと同じように見守っているしかないようです―――

 

あたふたするネギ・スプリングフィールドと手伝って欲しそうにちらちらと此方を窺う神楽坂明日菜を見て、熟考の末、そう結論付けた綾瀬夕映はプイと二人から目を逸らしお守り売り場へと目線を戻した。

そんな綾瀬夕映の対応を見て後ろでは神楽坂明日菜がガーンと大きく口を開けていた。

 

申し訳ありませんです。と申し訳程度の謝罪を心の中で綾瀬夕映が述べていると横から一緒にお見上げ売り場に来ていた親友の一人、早乙女ハルナが声をかけてきた。

 

「もう!早く買っちゃいなよ、のどか。ほら、夕映も買うみたいだから一緒に買っちゃいなさい。夕映、これもお願い」

 

そう言って渡されたのは恋愛成就のお守り。

綾瀬夕映はため息をつきながら赤面するもう一人の親友、宮崎のどかの方を向く。

 

「のどか、まだ買ってなかったのですか。買ってしまいますよ、良いですね?」

 

「あ、う、うん。お願い。えっと、ゆえゆえは何のお守り買うの?」

 

「私はししょ、いえ、お世話になっている先輩に健康祈願のお守りを頼まれていましたのでそれを買おうかと」

 

自分の修学旅行先も京都だというのにお守りを買って来いと言う要望に首を傾げもした彼女だったが、弟子たるもの師匠の頼みを断るわけにもいかず健康祈願のお守りを手に取ると恋愛成就のお守りと共に店員さんの巫女さんに渡し代金を支払う。

 

そして、商品を渡したその時、綾瀬夕映は何故だか唐突に健康祈願お守りを上げる相手、羅漢狂気のことを思いだした。

それは本当に唐突なものであり、『カエルぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、あわせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ』のようにふと浮かんだものであったので、綾瀬夕映、彼女は思い出す瞬間の一瞬だけ視界を過った白髪の少年の存在を気にすることはなかった。

 

 

 

そして、回想が始まる。

 

 

 

―――今から一年前の新月の夜。私は師匠と出会いました。邪に襲われる私を助けてくれたのが師匠。その出会いは新幹線で刹那さんに話した通り、特別なものではありませんでした。助けられて救われた。ただ、それだけのことなのです―――

 

―――………いえ、いえいえ、あるいはそれは特別なことだったのかもしれません。前言を撤回しましょう。特別ではあったのかもしれません。ただあの頃の私はそれを特別だとは思えなかったのです。それはきっと師匠があまりに自然に私のことを救ってくれたからでしょう。私が死を覚悟した相手である邪を一撃で消し飛ばし、手を差し伸べてくれたその時の師匠の顔はあまりにも普通でした。さながら道を歩くようにルーチンワークの如く師匠は私を助けたのです―――

 

―――簡単に。あるいはぞんざいにと言い換えても良いのかもしれません―――

 

―――あの時の師匠は私を救うことに特別な感情など抱いてはいませんでした。だから私も特別だなんて、思えなかったのです―――

 

―――特別なことと言うのなら、きっとそれはその後のお話なのでしょう。私が羅漢狂気という男の人に弟子入りをしてから過ごした時間は紛れもなく、少なくとも私にとっては特別なものでした―――

 

―――私と師匠の出会いは特別なものではなかったけれど、特別なことは出会った後に有ったのです―――

 

「お前は弱いな。どうしてお前は、それほどまでに弱いのだ」

 

―――そう言って師匠は笑いました。それが、私が初めて見た師匠の笑顔でした。おかしな人だと思ったのです。だってふつう、師というものは弟子が強くなることを喜ぶものなのに私の師匠ときたら私に戦闘の才能がないと分かる度に笑いながら頭を撫でてきたのですから、意味が解りません。意味が解らなくて、もしかしてこの人が私を弟子にしたのは魔法を露見させたことへの贖罪でやる気なんかないのではとも思いましたが、そうではありませんでした―――

 

―――師匠にやる気はありました。やる気がやり過ぎでした―――

 

―――師匠が懇意にしているエヴァンジェリンさんの『別荘』で毎日のように扱かれまくりました。魔法使いになるという夢の為に私は血反吐を吐く努力はするつもりでしたが、流石に血尿が出るほどの努力を強いられる覚悟はしていませんでした。血尿。痛いとかいう以前に自分の身体に引きました。生理以外で股から血が出るというのは想像以上に凄まじいもので―――

 

―――………話がそれましたが、ともかくそれほどの修業を行う師匠にやる気がないなんてわけがなく、師匠の意味不明な言動については言われてから半年ほどの間、謎でしかなかったのです―――

 

―――そして、そんな疑問も忘れかけていた半年後、師匠はまた変なことを言いました―――

 

「強いってことは強いってことだ。それは凄いって訳でも正しいって訳でもない」

 

―――修行の最中に言った。師匠は強いですねという何でもない言葉の返答がそれでした。私の師匠がまた訳の分からないことを言い出したのですと思いましたが、続く言葉に私は絶句しました―――

 

「俺の強さは武力の強さだ。戈(ほこ)で争いを止める。そう言う強さだ。そんなものに価値は無い。殴って勝つことが凄いのか?暴力で解決することが正しいのか?ガキの喧嘩ならまだしも大人がやることじゃあないよな」

 

「そして、残念ながら俺はそういうことでしか物事を解決できない身体だ」

 

―――そういう風に出来ている。師匠は悲しそうにそう言いました。そして、笑いながら私の頭を撫でたのです―――

 

「お前は弱い。俺は強い。魔法使いとしてどちらが優れているのかといえば俺だろう。けど、人間として優れているのはどちらの方か、比べるまでもない。夕映、お前は弱い。だからこそお前は俺の弟子であるべきだ。俺を見て強さがどういうものであるのかを学べ。そして、お前は俺のようにならない様にしろ。優れた魔法使いになんてならなくていい。お前は、凄い魔法使いになれ。その才能がお前には有る」

 

―――誰も何も傷つけることなく争いを止める凄い魔法使い。魔を邪を害を縛り止める束縛者。それを目指せと師匠は私に言ったのです―――

 

―――言うまでもなくそれは不可能といってもいいほど困難な事でした。きっと血尿を出す程度の努力では叶わないことだとあの頃の私でも理解できました。けれど、その言葉を聞かないわけにはいかなかったのです。なぜなら私は師匠の弟子なのですから―――

 

―――師匠の叶えられなかった夢を叶えることも弟子の大切な役割なのです―――

 

―――私はそれ以降、才能がないと言われても挑み続けていた攻撃魔法をすっぱりと諦め束縛魔法の研究を始めました。そして落胆するのです。現存する束縛魔法の種類の少なさに。攻撃魔法のバリエーションに比べ、それは悲しくなるほどのものでした。『紫炎の捕え手』『流氷の縛り手』。魔法界に知れ渡っている束縛魔法はたった二つしかなかったのです―――

 

―――私は奮起しました。無いなら作っちゃおうぜと変なテンションになったのです。新しい束縛魔法の開発。素人の私がそれに成功したのは、悪戦苦闘する私を面白可笑しく思ったらしいエヴァンジェリンさんが皮肉と言いながらも手伝ってくれたおかげでした―――

 

―――そして、完成した二つの魔法―――

 

悪知恵で縛り付けるもの(レーディング)

 

阻止するもの(ドローマ)

 

―――この二つの魔法が私の力となりました。そして、もう一つ。今の私がもつ力のもう一つ。それは二つの束縛魔法を完成させた私に師匠が教えてくれた最後の束縛魔法。師匠が作った束縛魔法。それは完璧なまでに完成していて、完全なほど完了している魔法―――

 

「だが、これは俺でも扱うことの出来ない魔法だ。もしお前がいつの日かこの魔法を扱うことが出来たのなら、伝説の魔法使いとして名を残すだろう。そして、その時にこそ夕映、お前は師匠(おれ)を超える。………この魔法をお前に教えるのは、お前ならそれができると思っているからだ」

 

―――そんなの無理なのですと言う私を、師匠は笑いました―――

―――そして、何時ものように私の頭を撫でながら言うのです―――

 

「出来るさ、お前なら。なにせ俺の弟子だからな。夕映、俺を越えろ。師匠(おれ)を越えろ。英雄(おれ)を越えて、お前は正義の味方(ヒーロー)になれ。戈で止める武を持つ英雄ではなく、子供たちが憧れるような戈を止める武を持つ、誰も傷つけることのない優しい正義の味方にお前はなれ」

 

 

「究極魔法――貪り食うもの(レーディング)の発動。それが正義の味方(ヒーロー)の条件だ」

 

 

―――師匠はそう言いました。そして、今も私はその言いつけを守る為に日夜修行に励んでいるのです―――

 

 

 

「なるほどきゅうきょくまほうかおもしろい」

 

 

 

どこからか風に乗って聞こえてきた言葉にも聞こえる音を聞いて、綾瀬夕映は自分がしばらくの間、ボーっとしていたことに気が付き回想を終えた。

時間にすれば商品を店員が袋詰めする短い間だったが、なぜだか随分と長い間、回想をしていたように感じた綾瀬夕映はその変な感じを妙だと思いましたが―――

 

「よしよし、買い物終了ーって、なにあれっ!なんでみんな酔い潰れてるの!?」

 

「ふぇ!?た、大変だよー!?」

 

買い物に夢中だった早乙女ハルナと宮崎のどかの二人がようやくクラスメイトが酔い潰れているという異常事態に気が付いたらしく綾瀬夕映の手を引いてネギ・スプリングフィールドたちの方へと駆け出したのでその場で感じた変な感じについて深く考えることはなかった。

 

 

そして、彼女達が去った後、綾瀬夕映のすぐ隣にいた白髪少年は人形のような動きで小さく首を傾げた。

 

「どうしようか。彼についてはノーマークだった。そうなると今夜の襲撃も練り直した方が良い。近衛の娘を攫い宿儺を復活させたとしても、宿儺一体じゃ力不足かもしれない。千草さんに相談して………何か手を打たないと」

 

そんな軽い気持ちでこの人形の少年は人間なら絶対にやらないことを思いついた。

 

物語はこうして一人の青年の存在によって狂い狂って狂る狂る回る。

 

 

 

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