第六話から新登場のキャラクター、ジャン・ルブランさんの外見的特徴を載せときます。
男性・茶髪(短)・白人・180cm/80㎏
白いワイシャツをはだけて鍛えあげられたデュエルマッ…筋肉を晒している。ネックレス、腕時計、スラックス、ベルト、革靴はいずれも高級品。
あと、継承名モンスターの略記を頭文字からモンスターの特徴に変えました。
《求道奏音 LP7600》手札1枚(【継承名 パワーレス】)、フィールドなし
《ディーピカ手島 LP8000》手札1枚、フィールドなし
ホログラムの衣装越しでも奏音にはわかった。ディーピカは今、茫然としている。何しろ勝利を確信した盤面を一瞬で壊滅させられたのだ。奏音は渾身のどや顔をしていたのだが、魚ギョ戦士の衣装のせいで相手には見えていない。
「あ~、言っとくけどこのミラーフォースはリミット違反じゃないからね~レジェンドは【継承名】カードしか使えないってずっと思われてきたけど、5枚までなら汎用カード入れてもいいことになってるんだ。トーナメントのレジェンド戦でも時々入れてたしね!」
8月に『デステニー・クロスロード』の企画が発表されて以来、多くのマスターデュエリストがショーデュエルシステムの対策や、どこかで鉢合わせるかもしれないレジェンド・カノンの対策をしてきた。奏音はそれを読んで、対策されていないであろう汎用カードの採用を決めたのだ。
「すごいよ、奏音ちゃん!」
マンジュ・ゴッドが数多の手を組み感激していた。先の沈黙は茫然自失ではなかったようだ。堰を切ったようにしゃべりだした。
「私、まんまと裏をかかれちゃった……手が緊張してたのは初めて使うカードだったからなのね……それにしてもミラーフォースを発動した時の手……自信に満ちた力強い手、『世界』を自分の力で切り開くんだ、みたいな熱い思いを感じた……」
奏音は自分の興奮が冷めていくのを感じた。
(こいつ、根はデュエリストじゃないんだな……)
エンドレスシティではデュエルは生活の一部であり、すべての人間がデュエルを学ぶが、デュエルにそこまでハマらない人間は一定数存在する。実を言えば、奏音もそこまでデュエルが好きなわけではない。何しろ常に『世界』の命運を背負っているのだ。レジェンドになって最初の数年は楽しむ余裕などなかった。
「あら、そろそろターンの制限時間みたいね。私はカードを一枚伏せてターンエンド。」
「私のターン、ドロー……ディーピカちゃん、覚悟はできてる?」
「やっぱり、私倒されちゃう……?楽しい時間も終わりね……」
奏音は【パニシュメント・ザ・ハンド】の効果で3ターンの間、通常召喚を封じられているが、【継承名】デッキはその程度では止まらない。
「まずは墓地の【スキン・トゥ・ボーン】の効果発動!」
《墓地へ送られた次の自分のターンに発動できる。墓地のこのカードと他の【継承名】を守備表示で特殊召喚》
「戻ってきな!【スキン・トゥ・ボーン】!【ワン・ステップ・クローサー】!」
《DEF800》《アンデット・✪4》
《DEF800》《戦士・✪4》
白骨化した子供と、メカマスクの二刀流侍。
「続けて【ワン・ステップ・クローサー】の効果!出番だぞ!【バトル・シンフォニー】」
《デッキから✪4以下の【継承名】を特殊召喚》
目を閉じ、銃を構えた天使が舞い降りた。
《ATK1600》《天使・✪4》
「さらに墓地から、【継承秘術 バーン・イット・ダウン】の効果発動!」
《墓地にこのカードと【継承名 バーニング・イン・ザ・スカイズ】が揃っている場合に発動できる。このカードを手札に加え、【継承名 バーニング・イン・ザ・スカイズ】を特殊召喚する。》
奏音の腕のデバイスの墓地から二つの火球が飛び出した。一つは奏音の手札に加わり、もう一つは火球が細かく分裂し、戦闘機のように編隊を組んだ。
《DEF800》《炎族・✪4》
炎銃侍骨
伏
「準備は整った!【バトル・シンフォニー】の効果発動!アイズ・ワイド・アウェイク!」
天使が開眼し、その手の銃がバズーカ砲に変身した。
《ATK1600→6400》
「バトルフェイズ!バトル・シンフォニーでディーピカちゃんを攻撃!ノー・サレンダー・バレット!!!」
奏音の展開を見守るだけだったディーピカはここでようやく口を開いた。
「あっ!そうだ!トラップカード発動!【青魔族のカーテン】!」
【青魔族のカーテン】
《永続トラップ:発動後、ATK600/DEF2000/風/魔法使い/✪5のモンスターとなり守備表示で特殊召喚する。》
魔族の茶色いマントが出現し、骨ばった腕が生えてきた。
「バトル・シンフォニーは貫通能力がある!そのまま攻撃だ!」
バズーカが発射され、カーテンと腕は消し飛んだ。
「きゃあっ!」
《ディーピカ手島LP8000→3600》
「【青魔族のカーテン】は破壊されたとき、効果が発動するよ!」
《墓地の【カーテン】カードの種類の数だけドローする》
ディーピカが二枚引く。奏音の攻撃はバトルフェイズを終了したが、
「まだ続くよ!メインフェイズ2!場の【バーニング・イン・ザ・スカイズ】の効果発動!」
《相手に1600ダメージを与える。その後、このカードを破壊する》
「そしてこの効果にチェーンして、手札から速攻魔法【継承秘術 バーン・イット・ダウン】を発動!」
《【バーニング・イン・ザ・スカイズ】にチェーンして発動する。相手に追加で1600ダメージを与える。》
火球の編隊がディーピカを襲い、燃え盛る炎が継承秘術により膨れ上がった。
「ああああ!!!」
《ディーピカ手島LP3600→400》
「私はこれでターン終了。」
銃侍骨
(くそっ、トラップモンスターが思いのほか堅くてLPが残ったか……手札も回復してるし……)
ディーピカは一息ついていた。
「ふう……激しかったぁ……なんとか凌いだけど、私もう奏音ちゃんに勝つ手段ないかも……」
奏音も、勝利は目前だと思っていた。彼女のデッキは複数テーマのカードを強引に組み合わせており、それを豊富なドローソースで無理やり回転させるデッキだ。直前のディーピカのターンはいわばデッキの上振れ状態で、もうあれほどの展開はできないだろうと奏音は読んでいた。
「これが最後のドローかな……」
ディーピカは引いたカードを見ると、息をのみ急に膝をついた。
「え、どうしたの?大丈夫?」
ディーピカは小刻みに震えていた。奏音が駆け寄ろうか迷っていると、突然、
「やったぁぁぁぁぁ!!!」
ディーピカが歓喜の叫びをあげた。
「ほんとにどうしたの?!」
「ああ、『神様』ってほんとにいるのかな……今日の私、何もかもが上手くいってる気がする……」
(ああなるほど、いいカードを引いただけか……え、それはまずいかも?!)
「奏音ちゃん!私の切り札を見せてあげるね!魔法カード発動!【友情 YU-JYO】!」
【友情 YU-JYO】
《相手プレイヤーに握手を申し込む。応じた場合、お互いのLPを平均化する。》
単なるライフ変動のカードであり、状況を覆せるほどのカードではなかった。しかし、これまでのディーピカの度重なる奇行を見てきた奏音は、これが恐ろしい目的を持ったカードであると気づいた。
「奏音ちゃん……握手しよう……」
ディーピカは極度の興奮で鼻息が荒くなっている。
「嫌だっ!絶対に嫌だっ!!」
「うふふ、奏音ちゃんに拒否権ないよ……」
ディーピカは手札の魔法カード【結束 UNITY】を公開した。
《相手は必ず握手に応じなければならない》
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!」
今度は奏音が叫んだ。ディーピカが奏音に近づく。マンジュ・ゴッドの無数の手を一斉に奏音に差し出している。こんなおぞましい握手があるだろうか。
「【エクスチェンジ】の時は、奏音ちゃんに触れなかったけど、これなら確実に奏音ちゃんの手に……」
「嫌だぁぁぁぁ穢されるぅぅぅぅ!!!!」
「怖がらないでぇ……すぐ気持ちよくなるからぁ……」
「助けてぇぇぇぇ」
奏音は恐怖のあまり目を閉じた。ディーピカの手が、奏音の手を包み込んだ。
ふわっ。
それは爆風というにはあまりに弱く、まるでそよ風だった。しかし、確かに一瞬爆発が起きたのだ。爆炎も破片も粉塵もなかったが、見えない何かが、奏音とディーピカの手の間で弾けた。
(なに、今の……)
奏音は固く閉じていた目を開け……驚愕した。
「え、ここどこ?!」
シェルタープラネット第18ゲートの前で戦っていたはずが、今、彼女たちは宇宙空間にいた。
「私、浮いて……ないや、地面がある……」
見えないが、地面の感触があった。そして目の前に、少女が立っていた。黒い長髪、肌は浅黒く、眼鏡をかけていて奏音よりやせている。奏音の手を包み込んでいたはずの両腕はだらりと垂れ下がり、目には光がない、まるで糸の切れた操り人形だ。
「君は……ディーピカちゃん?」
奏音も衣装が消え、元の姿に戻っていた。奏音は最初、勇者ベルトのホログラム機能が故障したのかと思ったが、変装でつけていたはずのサングラスとマスクとキャップもなぜか消えている。
「探したぜ、レジェンド・カノン。まさか会場の外にいたとはなあ」
男の声だった。しかし喋っているのは目の前の少女だった。
「えっと……誰?ディーピカ?」
少女は何かに気づいたように自分の体を見回した。
「おいおい、肉体はディーピカ手島のままかよ、『上書き』が不完全じゃねえか!リオール、どうなってんだ?」
少女、というより男は、見えない誰かと話しているようだ。
「ああ、そういうことね……焦ったぜ……で?なんで俺らはあの忌々しい宇宙に来てるわけ?」
奏音は黙ってはいられず、男に尋ねた。
「ねえ、誰と喋ってるの?君は誰?」
「うるっせえよ!!!」
ディーピカの腕が、奏音の顔を殴った。一瞬何が起きたかわからず、奏音はよろめきながら後ずさりした。訳が分からなかった。この『世界』には、人を殴るような人間はいないはずなのだ。
(もしかして、この『世界』……じゃないの?)
「おお!すげえな!殴れた!あのレジェンド・カノンを殴れたぜ!このままやっちまうのもアリなんじゃねえの?」
男の声や目からは粗暴で傲慢な雰囲気がした。平和なシティで二十年暮らした奏音でも、この男は危険だと本能でわかった。
「あーはいはいわかってるよ、あの時と同じだろ?」
話が終わったのか、男は奏音を見た。冷たい目だ。
「そういや途中だったよな?やろうぜ、続き。」
2メートルほどだった男と奏音の距離が一瞬のうちに10メートルに広がっていた。さらには、奏音の前には【バトル・シンフォニー】【スキン・トゥ・ボーン】【ワン・ステップ・クローサー】が並んでいた。腕のマルチデバイスや腰の勇者ベルトも戻っている。
「おっと、デバイスで誰かに連絡しようとしても無駄だからな?ここはエンドレスシティとの接続がない空間だ。」
奏音は鼻をぬぐった。手に血がついている。恐怖、というより、ひたすら困惑していた。
「ねえ、今何が起きてるの?君は誰?」
男は少女の顔で怪訝な表情になった。
「お前……この状況が理解できてねえのか……?」
「君は理解できてるってこと?教えてよ。」
男は突然笑い出した。そして、『男になった』。ブラウンの縮れた短髪で肌は白、体型はやせ形で高身長、鼻が高く鋭い顔つきに、残忍さを感じる笑みを浮かべている。
「これが俺の『本来』の姿だ、名前はジャン・ルブラン、だが一番重要な情報は……俺が『特異点』だってことだな。」
「『特異点』?!」
奏音の素直なリアクションをルブランは見逃さなかった。
「ほう、『特異点』は知ってるのか。やっぱレジェンド・カノンと『創造者』の間には何かあるみたいだな。」
(創造者……?チェスのことかな……?)
ルブランはディーピカの姿に戻った。
「それと……ここは精神エネルギーで作られた疑似空間で、出るためには相手をデュエルで倒さなきゃならねえ。負けた方は出口を作るための精神エネルギーに変換されるんだとよ。」
「え?それどういうこと?!」
ルブランは舌打ちした。
「鈍いなあ、デュエルで『殺し合い』しろってことだよ。」
奏音はまだ理解が追い付いていなかった。
(『殺し合い』?そんなもの、この『世界』には存在しないはず……いやでも、ここは『エンドレスシティ』とは接続されてない疑似空間で……この男は『特異点』で……そもそも、『特異点』って人間だったの……?)
イライラしたルブランの声が聞こえる。
「あーもういいや、お前はしゃべらなくていい、普通にデュエルだけして、そのまま消えろ。永続魔法発動!【無限の手札】!」
【無限の手札】
《お互いに手札枚数制限がなくなる》
(どうして今そんなカードを?あいつの手札は【結束UNITY】の1枚きりなのに……)
「【無限の手札】があるときに使える【ムゲンジュ・ゴッド】っていうのがこの女のプレイヤースキルなんだが……今ディーピカ手島はこの俺に『上書き』されてる……当然スキルもだ……発動!【イモータル・ムゲンジュ・ゴッド】!」
《墓地の【手】カード(EXモンスターを含む)を全て手札とし、『プレイヤーと融合する』。》
(プレイヤーと融合?!)
ディーピカの墓地から大量のカードが飛び出し、ルブランの腕に吸収されていった。さらに、彼の姿が変貌を始めた。マンジュ・ゴッドの姿になったかと思うと、銀色の体が錆びながら巨大化し、全身の腕が吸収した腕に置き換わっていった。死者の腕、なぞの手、運命のろうそく……精神操作や天使の施しに描かれていた手も混ざっている。
「ブハハハハハハハ!」
ルブランは人間のものとは思えない、太くて低い声で笑っている。
「さあて……バトルフェイズ、いや……『殺し合い』を始めようか……」
Bパートに続く。
~オリジナルテーマデッキ解説コーナー~
【黒魔族のカーテン】編
黒(闇)、赤(風)、緑(炎)、青(風)、白(水)、紫(光)の六色の魔族カーテンを駆使して戦うぞ!上記の順にアドバンテージを稼ぐ効果が大きくなり、紫魔族のカーテンは最大6000ダメージを叩き出せる恐ろしいカードだ!なお、【黒魔族のカーテン】には『魔法使いの力が上がる』と書いてあるが、このテーマでは一切攻撃力変動の効果がない!全員600のままだ!
サンプルデッキレシピ
メインデッキ:40
【黒魔族のカーテン】×3
【黒のカーテンレール】×3
【赤魔族のカーテン】×3
【赤のカーテンレール】×3
【緑魔族のカーテン】×3
【緑のカーテンレール】×3
【青魔族のカーテン】×3
【青のカーテンレール】×3
【白魔族のカーテン】×3
【白のカーテンレール】×3
【紫魔族のカーテン】×3
【紫のカーテンレール】×3
【黒魔術のヴェール】×1
【予想GUY】×3
エクストラデッキ:なし