公開情報の扱いですが、アニメ・原作にかなり寄せています。いわゆる『相手のカード効果を確認できない』仕様が基本です。ただし、デュエル中にすでに使用・適用した効果やスキルはログ機能から確認でき、永続効果も【光の護封剣】や【スローライフ】のような制限を与えるような効果であれば確認できます。また、手札・デッキ・EXデッキ・墓地・除外状態の枚数の確認は、デュエル前のルール設定や話し合いによってようやく可能となります。エンドレスシティではカード効果や手札枚数などをうまく隠すのも戦術、という価値観が一般的です。(その結果、プロデュエリストなどは相手の手札の残り枚数や墓地の状況を当たり前のように暗記するようになった。)
豪快なラリアットを受けたパワー・インジェクター/バスキュラリティは膝をつき、そのまま消滅した。
《ゲシル LP8000》
「ふむ、ダメージなしか」
マッスル剛力は特に驚くこともなく言った。ゲシルがそれに笑いながら返す。
「いやー、【ネズミ・キャッスル】の効果で平気だと分かってても怖かったっス」
《永続効果》
《自分が戦闘・効果ダメージを受ける際、代わりに自分フィールドの【プリヴェント・ラット】1枚を墓地へ送ることができる。》
「効果ダメージで攻めてくるかも、とは思ってたっスけど、いきなりバトルとはびっくりッスよ~、ネズミ・キャッスルの効果が対応してて良かった~!」
モンスターゾーンにいたプリヴェント・ラットが一体減っており、その硬い毛が綿埃のように散っていた。
ゲシル アナザー
城伏伏
鎧プキキ 鎧鎧プ イ
パ
剛力 奏音
「ちなみに〜、鎧ネズミを身代わりにすると自分のカードを戦闘・効果による破壊から守れるっスけど、まああんなムキムキはいらないんで今回は適用してないっス。次に備えたいでスし?」
ゲシルは奏音の方に視線を向けた。
(スキルで増やしたネズミの種類に偏りがあったのはこの効果のためか……ダメージはあと二回、破壊はあと三回防げる……しかも次にスキルが使われるタイミング次第じゃ墓地から身代わり用のネズミが復活する……厄介な布陣だ)
「だが策はある、違うかね奏音くん?」
剛力の言葉には奏音への揺るぎない信頼が込められており、奏音は口元が緩むのを感じた。
「もちろんあるさ」
レジェンドたるものこの程度で折れはしない。実際、すでに解決策は奏音の手札にあった。しかしそれとは別に、剛力の言葉を聞いていると不思議と自信が呼び起されるような気持ちになった。
「では奏音くん、城崩しは任せよう。私はカードを三枚伏せ、エンドフェイズに移る。ここでパワー・インジェクター/バスキュラリティの効果が切れる」
《パワー・インベーダー/バスキュラリティ ATK10700→5700》
ゲシルが待ってましたとばかりに宣言する。
「ネズミ・キャッスルの誘発効果!ネズミは9枚あるっス!」
再びネズミのホログラムが出現し二人に襲い掛かった。
《剛力 山札29→20》
《奏音 LP7000→5200》
「いだだだっ!髪を噛むな!」
痛みを我慢しながら、奏音は剛力の伏せた三枚を推理した。
(フィールドゾーンに伏せてるから一枚はスキルで加えたガイアパワー、残り二枚のうち一枚は、同じくスキルで加えた魔道師の力かも……剛力はもうスキルを使えないみたいだから、手札枚数制限で捨てるよりはいい……残る一枚はたぶん、私の次のターンの動きを想定した、アレだ……!)
「私のターン!ドロー!」
奏音が引いたカードは、ちょうど欲しかった一枚だった。
「自分の場に【継承名】モンスターがいない場合、こいつを特殊召喚できる!」
鉄仮面を付けた、二刀流の侍が現れた。
《継承名 ワン・ステップ・クローサー》
《闇・戦士族・効果・✪4》《DEF800》
「召喚・特殊召喚時の誘発効果発動!」
《デッキから✪4以下【継承名】一体を特殊召喚》
「来い!【ギルティ・オール・ザ・セイム】!」
《継承名 ギルティ・オール・ザ・セイム》
《闇・幻竜・効果・✪4》《DEF800》
ゲシル・手札1 アナザー
城伏伏
鎧プキキ 鎧鎧プ イ
伏 パ 侍ム
伏 伏
剛力・手札6 奏音・手札5
白いムカデのような竜が這い出てきた。目はなく角がある。それを見たゲシルは不敵に笑った。
「知ってまスよ!ルブランに使ったカードッスね?」
(やはり、ルブラン戦でのカード情報は共有されてる!)
「このタイミングで、スキル【ネズミ算】を発動っス!」
【ネズミ算】
《場のネズミモンスターカードが倍になるように、手札・デッキ・墓地からネズミを出す》
「追加で9枚!墓地の【プリヴェント・ラット】1枚はこっちのモンスターゾーンに、他の8枚はすべてレジェンドさんの場に放ちまスね~!」
「うわっ、いっぱい来た」
奏音の魔法・罠ゾーンに【デスハムスター】、【バーグラー】、【デーモン・ビーバー】、【巨大ネズミ】、【格闘ねずみチュー助】が1枚ずつ置かれ、モンスターゾーンには【骨ネズミ】2枚と【有毒ネズミハナビ】1枚が置かれた。
【骨ネズミ】《闇・アンデット・通常・✪1》《DEF300》(二体)
【有毒ネズミハナビ】《炎属性・炎族・効果・✪1》《DEF200》
城伏伏
鎧プキキ 鎧鎧ププイ
伏 パ 侍ム骨骨毒
伏 伏 公バビ巨格
「これでレジェンドさんはもうモンスターも魔法も罠も使えず、その白ムカデの効果も使えないっスねー!」
ギルティ・オール・ザ・セイムには、自分の場のカードの枚数と同数になるよう、相手に自身のモンスターの墓地送りを強要する効果がある。現在奏音の場のカードは10枚、ゲシルのコントロールするモンスターは9枚である。
「しかもその【有毒ネズミハナビ】はエンドフェイズに爆発しまスんで―」
《ネズミ以外の融合・シンクロ・エクシーズ・リンク召喚の素材にできず、リリース不可》
《誘発効果:エンドフェイズにこのカードを破壊し、コントローラーへ2000ダメージ》
「―このままだとターンの終わりに5400ダメージっスね!」
だが奏音は笑って見せた。
「だいたい予想通りかな。私は二体の骨ネズミをリリース!」
ゲシルの表情が変わったのを奏音は見逃さなかった。
(やはりこれも知ってるな!)
「【破壊竜ガンドラ】をアドバンス召喚!」
黒く刺々しい躰の竜が現れた。体を縁取るように赤い宝玉のような器官がある。
《闇・ドラゴン・効果・✪8》《ATK0》
「アハハ!解決札を引いてるなんて流石レジェンドっスねー、けど甘いっス!トラップ発動!」
【ねずみ取り】
《召喚・反転召喚された攻撃力500以下のモンスター1体を対象に発動。それを破壊》
召喚したばかりのガンドラの足元に、巨大な口が現れた。無数の舌が触手のようにガンドラへ絡みつく。
「そっちこそ甘いんじゃない?手札から誘発即時効果!」
【継承名 ウィズ・ユー】
《自身をリリースし、カード効果の対象を条件無視して変更する》
一時的に、万華鏡の中のような鏡張りの空間が展開された。
「キープ・インサイド・トリック!ねずみ取りの破壊対象を、鎧ネズミへ!」
万華鏡が解かれると、ゲシルの場の鎧ネズミがねずみ取りに食われていた。
「くっ、あんたなんでも持ってまスね!でもこのデッキの天敵は、何が何でも止めさせてもらいまス!ファントム・プリズン・ブレード発動!」
【幻影牢剣(ファントム・プリズン・ブレード)】
《永続罠:対象のカード1枚の効果は無効化される》
刀身が朧げな剣が飛び出しガンドラに刺さると、霧のような牢にガンドラは包まれた。
「ネズミカードじゃない?!」
「ファントム砂川のカードか」
剛力が顔をしかめている。ゲシルがあざ笑う。
「『上書き』した時、使えそうなカード見つけたんで頂いたっス。これはさすがのレジェンドさんも読み切れなかったんじゃないスかー?」
「……確かに、そんなカード使うなんて思わなかったけど―」
奏音の含みのある言い方にゲシルが怪訝な顔をした。
「―目標は達成できたかな」
今度は奏音が、右手を挙げ天を指した。
「そのポーズは?!」
《力比べ!!!》
《誘発即時効果:手札から/バスキュラリティを1体相手の場に出し、強制的にバトルを行う!》
「私のパワー・インベーダー/バスキュラリティの効果だよ」
剛力が付け加えた。
「またゾーンの空きを見つけたのでね」
城牢
鎧プキキ 鎧ププイ
伏 パ 侍ムガ 毒
伏 伏 公バビ巨格
「ちっ……でもさっきの繰り返しじゃあ意味ないと思いまスよ?」
「それはどうかな?私が呼び出すのは……【パワー・ブレイカー/バスキュラリティ】!」
《地・戦士・効果・✪4》《ATK2400》
色黒のまげ頭の戦士が、アームに付けた斧を捨て去りながら、奏音のフィールドに上がってきた。
「なっ?!自分んとこじゃなく、レジェンドさんのフィールドに?!」
ゲシルはここで、奏音の『目標は達成した』という言葉の意味に気づいた。
「狙いは自分のフィールドに空きを作ること……?」
奏音と剛力が声を合わせる。
「「バトル!!!」」
当然、パワー・ブレイカー/バスキュラリティは攻撃力に二倍以上の差があるパワー・インベーダー/バスキュラリティにたやすく破壊され、奏音はダメージを受けた。
「ふんっっっ!!!」
奏音は衝撃に備えたが、ほとんどモンスターが受けてくれた。
《奏音 LP5200→1900》
同士討ちにしか見えない状況にゲシルはひたすら困惑した。
「では答え合わせをしようか」
剛力が冷静そのものといった声で告げる。
「【パワー・ブレイカー/バスキュラリティ】には、破壊された時の効果があるのだよ」
《誘発効果:表側表示の、モンスターあるいは魔法・罠カードをすべて破壊する》
ゲシルの中で、点と点がつながった。
「そういうことっスか……!」
仮に【パワー・ブレイカー/バスキュラリティ】をゲシルのフィールドに特殊召喚した場合、鎧ネズミを身代わりにし戦闘破壊を回避されるおそれがあったのだ。
「私が選択するのは、表側の魔法・罠カードの全破壊!」
パワー・ブレイカーが脱ぎ捨てていた斧が浮き上がり、旋回し始めた。
「自分は鎧ネズミを1体身代わりにし、破壊を防ぎまス!」
「でもキャッスルで守れるのは自分のカードだけでしょ?」
奏音がにやりと笑っていた。旋回した斧が旋風となり、奏音の魔法・罠ゾーンを埋めていたネズミカードを薙ぎ払っていく。
城牢
鎧プキキ ププイ
伏 パ 侍ムガ 毒
伏 伏
「これで目標その2を達成!手札から速攻魔法発動!」
【継承秘術 ヴィクティマイズド】
《選択効果①自分の場から【継承名】を好きな数破壊し、同じ数の相手カードを破壊》
「私は【ワン・ステップ・クローサー】と【ギルティ・オール・ザ・セイム】を破壊し、最後の一匹の【鎧ネズミ】と【幻影牢剣】を破壊する!」
「や、やば……」
ネズミ・キャッスルの永続効果は、複数枚を破壊する効果でも【鎧ネズミ】1枚で防ぐことができるが、破壊効果に【鎧ネズミ】自身が巻き込まれている場合は身代わりとして使えない。奏音が採用している【破壊竜ガンドラ】や【継承秘術ヴィクティマイズド】はこの弱点を突けるカードであるため、ゲシルは入念に対策していたのだ。
城
プキキ ププイ
伏 パ ガ 毒
伏 伏
「目標その3達成……これでガンドラの効果が使える。覚悟はいい?」
「ア、ハハ……」
ゲシルはもう笑うしかなかった。
《起動効果:ライフを半分払い発動。フィールドの他のカードをすべて破壊し除外。さらに破壊したカード1枚につき300ポイントの攻撃力アップ》
《奏音 LP1900→950》
「特殊魔法攻撃、デストロイ・ギガレイズ!!!」
ガンドラの赤い宝玉のような器官が輝き、そのすべてが一斉に赤い閃光を撃ちだす。待っていたように剛力が叫んだ。
「ここで私はガンドラを対象にトラップ発動!【パワー・ボンディング・コネクター】!」
《対象モンスターに装備》
破壊の光が鎮まった。場にはガンドラと、耐性のあったパワー・インベーダー/バスキュラリティだけが残った。
《破壊竜ガンドラ ATK0→3300》(11枚破壊により)
《パワー・インベーダー/バスキュラリティ ATK5700→3700》(チューナー2体減少により)
「うっ、ぐふっ……」
ゲシルは腹を抑えて膝をついた。
「な、なんで……自分にダメージが……」
《ゲシル LP8000→4700》
奏音が説明し始める。
「【パワー・ボンディング・コネクター】は破壊された時、装備していたモンスターの攻撃力分のダメージを自分が受ける……でも相手モンスターに装備した場合は相手へダメージがいくのさ」
剛力が付け加える。
「君がネズミ・キャッスルによるデッキ破壊と効果ダメージを我々に分けて適用したように、私も装備対象を奏音くんのガンドラ、効果ダメージをゲシルくんへ分けて適用したのだよ」
ゲシルは息も絶え絶えになりながら立ち上がった。
「アハハ、あんたら息ぴったりすぎでスって……」
「私はマッスルのファンだし」
「私は奏音くんの護衛なのでね」
ゲシルの想定以上に、奏音と剛力はお互いのデッキを把握していた。奏音は【/バスキュラリティ】の戦術を見るのは初めてだったが、【パワー・インジェクター】が成長前と似た効果を持っていたことから、剛力の手札にある【パワー・ブレイカー/バスキュラリティ】も魔法・罠を破壊する効果を持っていると推測し、自分のモンスターゾーンに空きが生まれるよう立ち回ったのだった。
(それと……『校正機能』さんが最初のターンでやってたあの変なポーズ、かっこつけてるだけだと思ったっスけど、誘発即時効果を使うサインでもあったんスね……レジェンドさんのターンで、最適なタイミングで効果を使うために……二人とも個人技って感じのデッキなくせしてこんなに連携できるなんて完全に想定外っスよ……)
奏音はカードを一枚伏せ、ターン終了を告げた。
「エンドフェイズに、ガンドラは自身の効果で破壊される」
ゲシル・手札1
パ
伏
剛力・手札5 奏音・手札1
ようやく痛みが引いてきたのか、ゲシルは元気を取り戻してきた。
「あーあー、せっかく増やしたネズミが全駆除とか……ま、仕方ないっスね」
奏音はゲシルの切り替え方が気になった。一般的なロック戦術は一度崩されると立て直すのが難しい。いくらゲシルのスキルが強力でも、【破壊竜ガンドラ】の効果が決まった時点でかなり追い込まれているはずなのだ。
(【ネズミ・キャッスル】は墓地にも行けず除外された。もう一度出すならチューナーを二体そろえるところからやり直す必要があるけど、そのチューナーである【キーマウス】も二体除外されている……)
「ドロー……ふーん、まぁこんなもんスかねー」
ゲシルはおもむろに語りだした。
「自分、細かいことにこだわらない性格でしてねー、デッキ組むときも統一感とかそんなに気にしないっていうか。こんなカードも使うのに抵抗ないんスよ」
奏音はゲシルが、ファントム砂川のカードを勝手に使ったことを思い出した。
(また、人から奪ったカードか……?)
しかしゲシルが召喚したのは―
《レスキュー・キャット》
《地・獣・効果・✪4》《ATK300》
―なんと猫のモンスターだった。
TURN13Bへ続く。
~オリカ紹介~
ゲシル編
【ネズミ・キャッスル】《地属性・獣族・シンクロ・✪9》《ATK0/DEF3000》
①はシンクロ召喚時に自身を永続魔法化し、素材のネズミたちを呼び戻す誘発効果だ!
②はエンドフェイズにフィールドのネズミモンスターカードの数だけ、デッキ破壊と200倍ダメージを行えるぞ!
③は永続効果で、自分のカードの戦闘・効果破壊を【鎧ネズミ】で肩代わり、自分への戦闘・効果ダメージを【プリヴェント・ラット】で肩代わりできるぞ!無敵のネズミ王国を築こう!
【幻影牢剣(ファントム・プリズン・ブレード)】《永続罠》
①は発動時に選んだ対象モンスター1体を効果無効・攻撃不可・攻撃対象不可・効果対象不可にし、いないも同然にする強力な効果だ!
②は墓地効果で、自分のターン中に相手の破壊効果から自分のモンスターを守れる効果だ!一度しか使えないが、自分のモンスターがそう簡単に倒れなくなるのだ!
【有毒ネズミハナビ】《炎属性・炎族・効果・✪1》《ATK2000/DEF200》
①は手札からの起動効果。自分か相手の場に自身を特殊召喚できる。ネズミ以外の素材にできずリリースもできない上、②の効果でエンドフェイズに自爆しコントローラーへ2000のダメージだ!フィールドに一体までしか出せないので注意しよう!
※元ネタのカードはギャンブルする効果なので設定上出せず、リメイクするしかありませんでした。結果的に架空デュエルに都合のいいカードになりました。
マッスル剛力編
【パワー・ブレイカー/バスキュラリティ】《地・戦士・効果・✪4》《ATK2400/DEF500》
①は戦闘後に場のモンスター1体の表示形式を変更できる効果、②は破壊された時に表側のモンスターか魔法・罠を一掃する効果。どちらもオリジナルの効果を強化したものだ!
③は【/バスキュラリティ】の共通効果だぞ!
【パワー・ボンディング・コネクター】《通常罠》
①は対象モンスター1体に装備する効果だ。装備モンスターに他のモンスターの攻撃力を加える効果があるが、装備が解除されると加えた分は失われ、②の攻撃力分のダメージ効果が発生してしまう。
※元ネタのカードは二枚あります。