◇◆◇◆◇
奏音のデッキに混入していたカードは、デステニー・クロスロード初日、ブラッディが消える直前に奏音に手渡したカードだった。それはブラッディの持つ【マスカレード継承名】の力そのものであり、その性質は以下の通りである。
《『旧世界』のカードの力を【継承名】カードとして一時的に再現する》
チェスと『約束』を交わした奏音にも【マスカレード継承名】を使う“資格”は当然あるのだが、チェスやブラッディと異なり奏音には『旧世界』のカード知識が“ほぼない”。そこでブラッディは【マスカレード継承名】の設定を変更し、所有者の窮地において大量に発生する精神エネルギーを検知して出現、その精神エネルギーを吸収することで自動的に奏音の助けとなるカードに姿を変える、いわばオート仕様にしていた。しかし今回は奏音の窮地にも関わらず、大量の精神エネルギーが子宮内に密封されていたため、奏音がデッキ内で見つけた時点では【マスカレード継承名】はカードとしては不完全、【力のマーズ】のカード名と完成イメージだけの状態であった。
((そうか、だから今まで……でもこれ、どうやって使うんだよ……?))
ここでマッスル剛力の備えが活きた。ブラッディの託した力のことを知っていた剛力は、奏音が将来的にその力を主体的に使う可能性も考慮し、スキルを錬成する技術を通して、奏音に“精神エネルギーを操作する感覚”を身につけさせていた。さらに言語化された理屈ではなく、体験として伝えたことが、後に奏音の“気付き”を促す効果もあった。
((そっか……スキル【誕生のお告げ】の演出を利用して私の体に、妊娠を体験させるための精神エネルギーを送り込んでるんだ……ん?ということは、もしかして……できるかも……))
奏音は段階を分けた。まずは自分ができると確信があるスキル錬成。“妊娠”をもたらす精神エネルギーを自分の体内から抽出しスキルへの変換を試みた。
『思った通りだ……!体内の精神エネルギーを消費すれば痛みは和らぐんだ……!』
そして自分の体内のエネルギーであれば注入されたものであっても利用できるという、さらなる確信を得た奏音は、スキルでセットした【力のマーズ】に精神エネルギーを与えその場で完全な状態に仕上げることにした。美咲に注入されたエネルギー量が想像より多く、自分の腹を割くという、奥の手を使う羽目にはなったが。
◇◆◇◆◇
《大河美咲 LP3650》手札3
神翼翼
翼翼
翼
力誕
光伏
《求道奏音 LP21150》手札3
「【マスカレード継承名 力のマーズ】で、【翼を織りなす智天使】を攻撃!」
赤い天使が大地に向かって拳を叩きつけると、凄まじい衝撃波が生まれ、四枚の翼を持つ天使を飲み込んだ。
「甘いわね!手札の【翼を織りなす物の怪】を捨てるわ!」
《誘発即時効果:この戦闘で受けるダメージを0にする》
《大河美咲 LP3650》手札3→2
「さらに破壊された【翼を織りなす智天使】の誘発効果発動!」
《リンク素材としたモンスターを墓地から1体特殊召喚》
《光・天使・効果・✪5》《DEF1600》
【翼を織りなす物知り】が場に復活する。美咲が小馬鹿にするように言う。
「私をぶちのめせなくて残念だったわね?」
奏音の怒りはまだ収まっていないが、頭は冷静だった。
「……チャンスはまたあるさ。カードを1枚伏せてターン終了」
神翼翼
翼翼翼
力誕
光伏 伏
エンドフェイズをっ迎えたことで、場に残っていた最後の【誕生の天使】が空へ羽ばたいていく。“妊娠”体験が強制終了したせいか、もう精神エネルギーの光を振り撒くことはなかったが……
「本当にチャンスがあるかしら?ここで儀式魔法【神子守(みごもり)】の効果!3体の【誕生の天使】が揃ったことで儀式召喚が行われるわ!」
「でもこの伏せカードは知ってるでしょ?【ロスト・イン・ジ・エコー】発動!」
奏音は発動コストで手札を1枚捨てた。
《モンスターの特殊召喚を含む効果を無効にし破壊》
「もちろん対策済みよ!チェーン発動!【紫光の宣告者(バイオレット・デクレアラー)】!」
《手札のこのカードと他の天使族1枚を墓地に送り発動。罠の発動を無効にし破壊する》
美咲が残りの手札2枚をすべて墓地へ送り、【ロスト・イン・ジ・エコー】は消滅した。美咲は歪んだ笑みを浮かべた。
「じゃあ儀式を始めるわよ。リリースはあなた自身!」
《このカードを墓地へ送る。相手のライフが8000になるようダメージを与え、儀式召喚するモンスターは与えたダメージ分の攻撃力となる》
《奏音 LP21150→8000》
「私のライフを回復させてた本当の狙いはこれか……!」
「儀式召喚!【紅き業の神聖児】!!」
返り血で赤く染まり切った、形だけは天使だと分かるモノが現れた。両手に剣を携えており、神聖からはほど遠い。
《闇・悪魔・儀式・✪12》《ATK13150》
さらに奏音のライフポイントが大幅に減ったことで、【力のマーズ】も攻撃力が落ちた。
《ATK17500→4350》
《美咲》手札0
翼翼
赤翼翼翼
力
光 伏
《奏音》手札1
「本当はね、こんな儀式モンスターなんかどうでもよかったのよ。デュエルで“妊娠”や“出産”を再現したかっただけ。私の固有スキルが『創造』へと生まれ変わったら、『旧世界』への『道』を造るためにデュエルを中断する予定だったのよ」
「デュエルを中断?ここ『擬似空間』でしょ?」
「“一応”ね?でも『改造』を重ねてほとんど別物。少しの精神エネルギーで出られるのよ。だけど予定変更、デュエルを続けるわ……あなたをこの場で潰したいから!知ってるわよ?あなたが負けるとこの『世界』が『崩壊』するんでしょ?」
さすがに『約束』を知られているとは思わず奏音が焦った顔になったのを見て、美咲はケタケタ笑っている。
「私の計画を台無しにしたお返しよ!あなたの『世界』を壊してあげる!」
「簡単に言うじゃん……私がダメージを受けたことで、墓地の【継承名 ブリード・イット・アウト】の誘発効果を発動!」
《攻撃表示で特殊召喚し、そのダメージと同じ数値の攻撃力になる》
「私もこのタイミングで【赤き業の神聖児】の誘発効果を発動するわ!」
《儀式召喚成功時に発動できる。場の他のカードをすべて破壊。さらに1枚につき400のダメージを自分は受ける》
「その効果、お前の損失の方が多くない?」
赤黒い天使から噴き出した血が津波のように場のカードを押し流していく。その血の海から、奏音の【ブリード・イット・アウト】が飛び出した。血がまるでスライムのようにこねられ変形し、数メートルはある血の巨人となって【神聖児】に対峙した。効果の発動順が幸いし破壊を免れたのだ。
《美咲 LP3650→450》(8枚破壊)
《闇・水族・効果・✪4》《ATK1600→13150》
美咲の【神聖児】と攻撃力が並んだが、彼女は特に驚きもせず微笑んでいる。
「これでいいのよ。【赤き業の神聖児】は自分の残りライフに応じて適用される永続効果が増えていくんだから」
《8000以下:お互いにライフを払うことができず、相手にダメージを与える効果も使用できない》
《4000以下:このカードは戦闘・効果で破壊されない》
《2000以下:相手の効果の対象にならない》
《1000以下:自分が受ける戦闘・効果ダメージは0になる》
「どうりで今まで、自分のライフを回復しなかったわけだ……」
(しかも儀式魔法【神子守】と同じ、ライフポイント保護効果を引き継いでるせいで、手札の【パワーレス】が使えない……!)
「そして【赤き業の神聖児】の最後の効果!」
《誘発:お互いがダメージを受けた場合はその数値分、モンスターが墓地へ送られた場合はその合計攻撃力分、このカードの攻撃力をアップする》
「最初の効果で私が受けたダメージは3200ポイント、モンスター4体の破壊された時点での合計攻撃力は9450ポイントね」
《ATK13150→16350→25800》
「うそでしょ……?!」
奏音はマッスル剛力を相手にしたゲシルの気持ちが嫌というほど想像できた。
「そういえば今はあなたのエンドフェイズだったわねぇ」
美咲はあたかも今思い出したかのように言った。
「じゃあ、私のターンに移るわね?」
《美咲 LP450》手札0→1
赤
血
《奏音 LP8000》手札1
「【光の護封剣】も消え、【パワーレス】も使えない!歯を食いしばるのはあなたの方だったみたいね!バトルフェイズ!【赤き業の神聖児】で、【ブリード・イット・アウト】を攻撃!」
赤黒い天使が両手の剣を血の巨人に振り下ろした。
「まだだ!墓地の【ネクロ・ガードナー】を除外して効果発動!」
《このターン、相手モンスターの攻撃を一度だけ無効にする》
振り下ろされた剣がブリード・イット・アウトを切り裂く寸前で止まり、美咲が舌打ちをする。
「そんなカードも入れてたの?!【ブリード・イット・アウト】といい、墓地にいろいろ仕込んでたのね?」
「後攻1ターン目の【熾天使】による手札破壊と、さっきの【ロスト・イン・ジ・エコー】のコストでね……おかげで“チャンス”が巡ってきそうだ」
「与えないわよそんなもの。メインフェイズ2で私は魔法カードを発動!」
【翼を織りなす物置】《通常魔法》
《デッキからカードを1枚選んで除外する。自分のスタンバイフェイズ時、それを手札に加える》
奏音がすかさず言った。
「今使っても手遅れな効果だね」
美咲は悪意のこもった笑みを浮かべた。
「忘れたの?私は『特異点』よ」
その言葉と同時に、場で発動している魔法カードが光りだした。すぐに奏音はそれが効果の演出ではないと気付いた。
(精神エネルギーの光……?何をする気だ?)
「私の固有スキルは『改造』なの!この魔法カードの効果を少しだけ手直しするわ」
すでに歪みが生じていた中庭に、さらなる亀裂が増えていく。美咲は『不定空間』を形成している精神エネルギーを固有スキル発動のコストにあてがっていた。中庭の風景はまるでメッキが剥がれ落ちるように崩れだし、剥がれた部分から背後には白い光だけの空間が広がっているのが見えた。
(あの光……たしか、マッスルとのデュエル後に私はあの光に包まれたよな……あれがマッスルの言ってた“道”なんだとしたら、過去に送り届けられる途中だった私を、あの女が蜘蛛の巣みたいに張ってたこの空間で捕まえたってこと?)
すぐに『改造』が完了し、【翼を織りなす物置】の新たなテキストが表示された。
《相手のデッキからカードを1枚選んで除外する。自分のスタンバイフェイズ時、それを手札に加える》
「ほんとにデュエル中に『改造』しやがった……」
奏音も先ほどスキルを錬成した身ではあるが、この行為は、ルールの未整備な部分を利用しており、さらにスキルの枠を空けていたこと、標準的な効果のスキルに留めること、対戦相手もスキルの『改造』を行っているなど、いくつもの条件を満たした上での緊急措置に近い。すでにデッキに入れていたカードをデュエル中に別物へと書き換えるなど、ゲーム性の否定である。奏音は今度はデュエリストとしての嫌悪感が湧いてくるのを感じた。
「普通はバグやチートして検出されるでしょうね……でも私が作った『空間』内なら、ちょっとした『改造』くらいは誤魔化しきれるみたいなのよねぇ」
美咲は笑いながら、ホログラムのリストで表示された奏音のデッキを確認した。
「さすがに【継承名】カードはプロテクトかかってるわね。でも【ミラーフォース】や【ガンドラ】なんかははっきり見えるし、公式の場で使われたことのある【継承名】は名前と絵柄が表示されてる。十分探せるわ」
美咲が選んだカードはまさに、奏音が次のターン【ブラックバーズ】でサーチしようと考えていたカードだった。
【継承名 インビジブル】《闇・海竜族・効果・✪6》
「あなたが過去一度だけ使った【継承名】の上級モンスター……この状況を覆せる唯一のカードをもらうわね。次のターンであなたにとどめを刺すのにも役立ちそう、ウフフフ……これでターンを終了……あら?」
美咲は奏音がため息をついたのを見逃さなかった。悪意のこもった猫なで声で聞く。
「どうしたのぉ?カードを取られて悔しいのかしらぁ?」
「いや……堂々とチートに及んだ割には、その程度なんだなって」
「はぁ……?何それ、強がり?」
「本音だよ。やっぱりお前には、デュエリストとしての自覚が無いよ」
「状況が分かってないのかしら?あなたにもう勝ち筋ないでしょう」
「そっちこそ分かってない、私を誰だと思ってるの?【インビジブル】は勝利への最短ルートでしかない……見せてやるよ!このエンドフェイズに、私は墓地の【継承戦術 ウェイク】の効果を発動する!」
《お互いに自身の墓地からモンスターを1~2体、守備表示で特殊召喚する》
「また墓地から!それは【神聖児】の効果で破壊した伏せカードね?このタイミングで使うってことは……ああ!そういうこと?」
すぐに奏音の狙いに気付いた美咲は墓地から【翼を織りなす物の怪】1体のみを特殊召喚した。
《光・天使・効果・✪2》《DEF400》
一方、奏音の場には2体の天使が並んだ。
【継承名 バトル・シンフォニー】《DEF800》
【マスカレード継承名 力のマーズ】《DEF0→7550》
「やっぱり!たくさん並べて【神聖児】の攻撃力を超えるつもりね!でも超えるだけじゃだめなのよ?【神聖児】は破壊されないし、ダメージも通らないの。【バトル・シンフォニー】の効果は1ターンで終わるでしょう?次のターンどうやってダメージを防ぐの?」
わざとらしい“母親”口調に、奏音は平然と返した。
「心配しなくても、ちゃんとぶちのめしてみせるさ!私のターン!」
《美咲 LP450》手札0
赤 翼
力銃 血
《奏音 LP8000》手札1→2
「スタンバイフェイズ!【ブラックバーズ】は手札に帰還する!続いてメインフェイズ!場の【ブリード・イット・アウト】を守備表示に変更!さらに墓地の【ロボット・ボーイ】をデッキに戻して効果発動!」
《手札の【継承名】を特殊召喚》
「【パワーレス】を守備表示!」
緑の鱗の老いた竜。翼はボロボロで両目は白濁している。
《闇・ドラゴン・効果・✪4》《DEF800》
「ここで【バトル・シンフォニー】の起動効果を発動!アイズ・ワイド・アウェイク!」
天使の閉じていた目が開いた。手にした銃が場のモンスターから力を受け継ぎ、どんどん形を変え巨大化していく。
《場の守備表示モンスターすべての合計攻撃力分、このカードの攻撃力をアップ》
赤 翼
力銃 老血
現在の場の守備表示モンスターは【翼を織りなす物の怪】【パワーレス】【ブリード・イット・アウト】【力のマーズ】そして【バトル・シンフォニー】自身の5体である。
《バトル・シンフォニー ATK1600→26050》
バトル・シンフォニーの銃はマッスル剛力とのデュエルの時のような、巨大レールガンになっていた。それを見て美咲が面白そうに笑う。
「わずかに超えられちゃったわねぇ!すごいすごい!」
「まだだ!【ブリード・イット・アウト】の起動効果を発動!」
《このカードをリリースし発動。デッキから【継承名】カード1枚を手札に加えるか特殊召喚する》
血の巨人が溶け崩れた。その中から一人の影法師が現れた。実体はあるが全身が影そのものであり、翼と角があることで、それが悪魔の類だと分かる。
「日が沈み、落ちた影にて寄り添う友……【シャドウ・オブ・ザ・デイ】!」
《闇・悪魔・効果・✪4》《DEF800》
「へぇ、悪魔族の【継承名】ね。でも分かってる?【ブリード・イット・アウト】が墓地に送られて、【赤き業の神聖児】の攻撃力がさらに上がるわよ?」
《ATK25800→38950》
「かまわない。【バトル・シンフォニー】を対象に【シャドウ・オブ・ザ・デイ】の起動効果を発動!サンセット・フォー・ユー!」
バトル・シンフォニーの影が伸び、その先にいるもう一人の天使に重なる。
《このターン、対象モンスターの効果を1度だけ、場の他のモンスターが自身の効果として発動できる》
美咲の顔から笑みが消えた。
「効果のコピーですって?!それじゃあ、」
「【力のマーズ】は今、【バトル・シンフォニー】の効果を得た!もう一度発動!アイズ・ワイド・アウェイク!」
《場の守備表示モンスターすべての合計攻撃力分、このカードの攻撃力をアップ》
赤 翼
力銃影老
マーズがつけていた無地の仮面が割れ、勇壮な表情が露になった。守備表示モンスターは引き続き【翼を織りなす物の怪】【パワーレス】、【ブリード・イット・アウト】の代わりに【シャドウ・オブ・ザ・デイ】がおり、【力のマーズ】自身、そして攻撃力が上がった状態の【バトル・シンフォニー】である。
《力のマーズ ATK7550→44900》
「これでお前のライフを削り切れるようになった」
美咲が声を荒げて言い返す。
「だからっ!どれだけ【神聖児】の攻撃力を超えてても、破壊できないしダメージも0なのよ!!」
「手札から魔法カード発動」
【継承秘術 リーヴアウト・オール・ザ・レスト】《速攻魔法》
《相手の墓地のカード1枚を自分の場にセットするか手札に加える(このターン中に反転召喚および発動可能)》
「私の墓地から……?」
美咲の墓地からカードが一枚飛び出し、奏音の手元に加わる。自らの下を去ったカードを確認した美咲は悲鳴を上げた。
「そんな、ダメよ……!」
「そのまま魔法発動!【ソウルテイカー】!対象は【翼を織りなす物の怪】だ!」
《対象の表側表示モンスターを破壊。その後相手は1000ライフ回復する》
物の怪が消滅した。
「このために私の場にモンスターを……!」
《美咲 LP450→1450》
《力のマーズ ATK44900→43900》
「私は【力のマーズ】を攻撃表示に変更……お前のライフが回復したことで、【赤き業の神聖児】は永続効果を一つ失っている」
《1000以下:自分が受ける戦闘・効果ダメージは0になる》
「くっ……!」
「もう躱せないはずだ。バトルフェイズ!」
力のマーズが飛翔した。拳を構え、滑空しながら血塗られた天使に突っ込んでいく。美咲が死に物狂いで叫んだ。
「ま、まだよ!!!もう一度『改造』すればいい!!!」
精神エネルギーの光が【赤き業の神聖児】を包み込む。
「ライフ1500以下でも適用されるように『改造』すれば、もうあなたに勝ち目はないわ!!!」
(しまった、デュエル用のスキルじゃないから相手ターン中でもできるのか……!)
マーズの拳を神聖児が剣を盾のようにして受け止め、衝撃波が起きた。美咲が慌てて注いだ精神エネルギーが衝撃を本物に変えたのだろうか。飛ばされそうになった奏音を甲化鎧骨格が受け止めた。
(ありがとう、インゼクトロン……!)
さらに連鎖するように、中庭が本格的に崩れだした。『改造』のエネルギーコストを賄いきれず、『不定空間』が空間として保てなくなったのだ。空が剥がれ、建物が砕け、足場も消滅していく中、美咲の高笑いが聞こえた。
「成功よ!カード効果が『改造』されたわ!私の勝ちよーーー!!!」
しかし次の瞬間、
《デュエルを中断します》
『不定空間』の崩壊を、デュエルデバイスが緊急事態と検知したのだ。赤き業の神聖児も力のマーズもすでに消えていた。美咲の歓喜は一転、狂乱へ。
「おのれっ!おのれぇぇぇ!!!」
その声も『不定空間』の崩壊に巻き込まれすぐに聞こえなくなった。奏音を捕らえていた空間が完全に取り除かれたことで、マッスル剛力の作った“道”が再び機能し、奏音の視界は白い光だけになった。
Bパートへ続く。
~オリカ紹介~
継承名編
【継承名ロボット・ボーイ】《機械》
①誘発:召喚・特殊召喚時に手札から【継承名】1体を特殊召喚。さらに自身の表示形式を変更することもできる。
②誘発:墓地のこのカードをデッキに戻し発動。手札から【継承名】1体を特殊召喚。
【継承名ブリード・イット・アウト】《水》
①起動:このカードをリリースし発動。デッキから【継承名】1体を特殊召喚。
②誘発:1ターンに二度まで、このカードが墓地に存在し自分が相手から戦闘・効果ダメージを受けた場合に発動できる。このカードを攻撃表示で特殊召喚し、受けたダメージと同じ数値の攻撃力になる。
【継承名シャドウ・オブ・ザ・デイ】《悪魔》
①起動:場のモンスター1体を対象。このターン中自分の【継承名】モンスターは一度だけ、場の対象モンスターの効果を自身の効果として発動できる。
②内緒!
【継承戦術ウェイク】《通常罠》
①デッキ・墓地から【継承名】をそれぞれ1体まで特殊召喚。
②このターンに墓地に送られていないこのカードをデッキに戻し発動。お互いに自身の墓地からモンスターを1~2体、守備表示で特殊召喚する。
【継承名インビジブル】《闇・海竜・効果・✪6》《ATK2400/DEF1200》
①起動:手札のこのカードを見せて発動。このターン中、このカードをアドバンス召喚する場合、自分のモンスターの代わりに相手のモンスターをリリースできる。※効果を受けないモンスターはリリース不可
②永続:このカードは一度のバトルフェイズ中に2回攻撃できる。
大河美咲編
【赤き業の神聖児】《闇・悪魔・儀式・✪12》《ATK0/DEF0》
【神子守】により降臨
①永続:自分のライフポイントの数値によって以下の効果を適用。
●8000以下:お互いにライフを払うことができず、相手にダメージを与える効果も使用できない。
●4000以下:このカードは戦闘・効果で破壊されない。
●2000以下:相手の効果の対象にならない。
●1000以下:自分が受ける戦闘・効果ダメージは0になる。
②誘発:儀式召喚成功時に発動できる。場の他のカードをすべて破壊。さらに1枚につき400のダメージを自分は受ける。
③誘発:お互いがダメージを受けた場合はその数値分、モンスターが墓地へ送られた場合はその合計攻撃力分、このカードの攻撃力をアップする。
【翼を織りなす物置】《通常魔法》
デッキからカードを1枚除外する。自分のスタンバイフェイズにフィールド・墓地に【翼を織りなす】モンスターが存在する場合、この効果で除外したカードを手札に加える。