もしかしたら起きるかもしれない。
そんな妄想の元、書いた〈Infinite Dendrogram〉の短編小説です。
原作の登場人物が登場するのでIF√が好きではない方は嫌いだと思うのでブラウザバック推奨です...。

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※注意。あらすじにも書きましたがこの作品は原作の登場人物が登場するIFストーリーです。そういったものが嫌いな方はブラウザバック推奨です。

僕自身の勘違いがなければ原作の設定との齟齬はないはずですが、間違っていたら指摘をお願いします。

誤字などもあったら指摘お願いします。

処女作なので文章におかしな事などがあるかも知れませんが暖かく見守っていただけると幸いです....。

あと、とても文字数が少ないのはあしからず....。これ以上膨らませて、文字を増やしても僕の文章力では蛇足にしかならないと判断したので...。



パターンA

□ <ヴァレイラ大砂漠> 【大戦士】(グレイト・ファイター)砂地

 

 

 

 そいつの見た目の印象は”黒”だった。鬼の顔を模した手甲、屍を模したブーツ。赤黒い鎧に、真っ黒なコート。極めつけは、60年近く前の有名SF映画の暗黒卿を連想させるガスマスク。

 

 だが、それだけであったなら魔王系ファッションなどとネタにすることもできただろう。しかし、俺が一番”黒”と感じたのはファッションではない。

 

 ───その()だ。

 

 そいつの目は深淵の如く何も映していなかった。俺の姿どころか光すら映っているのか怪しい。

 

 それだけではない。

 

 本当にその目には何も見えていないのか、何処を向いているのか定かではない虚ろな表情。

 

 儚げで今にも消えてしまいそうなのに何処か息が詰まる重苦しい威圧感。

 

 ...正直、俺はその”黒”い男が怖くてしょうがない。

 

 「お、お前は誰だ?」

 

 だが、恐怖心を抑えて聞く。お前は何者なのかと。

 

 これでも俺はカルディナ所属の〈マスター〉だ。こんな不審者を自国で放置するのは寝覚めが悪い。

 

 「俺?俺はアルター王国クラン...」

 

 そいつからの返答はある。

 

 だが、俺の質問に対して返って来た返答は()()()()な名乗り───既に()()()()()国のランキングだった。

 

 思わず相手の言葉を遮って言う。

 

 「あ、アルター王国?アルター王国はなくなったはずじゃ....」

 

 しかし、俺はその発言をした瞬間──そいつの()()を踏んだと悟った。

 

 そいつが直前までとは別人かのような....〈()()〉の如き威圧感を放ち出したからだ。

 

 この世界における最上位層──〈超級(スペリオル)〉。彼らは第Ⅶ形態に至った〈エンブリオ〉、〈超級エンブリオ〉によって圧倒的な能力を行使することが出来る。そして、この世界において圧倒的な力を持つものは往々にして能力と同じ様に周囲を圧倒する威圧感を放つことが出来る。

 

 目の前のそいつが放つ威圧感。それは彼らの()()に酷似していた。

 

 威圧感こそありながら何処か儚げな印象を受けたこれまでとは違う。

 

 これは──純粋な()()をを伴った威圧感だ。

 

 「お前を殺す。」何も言われていないのにそう言われていると錯覚する殺意。

 

 言葉よりも雄弁な()()()()

 

 何がおかしいのか。

 

 圧倒的な威圧感を放ちながらそいつは口角を上げ、死神の如き笑みを浮かべた。

 

 そして笑っているはずなのに感情を籠もっていないような──空虚な笑い声を上げながら言った。

 

 「はははは。名前を聞かれたなら答えなきゃいけないかな。無所属。”不屈(アンブレイカブル)”、いや、この二つ名はもう返上しなきゃいけないかな。まぁいいか。」

 

「俺の名前は()()()()()()()()。ジョブは【聖焔騎(セイクリッド・ブレイザー)】だ。」

 

 見た目とは裏腹に正義の味方のようなジョブと共に名乗られた二つ名。そして、()の名前とを俺は知っている。

 

 ドライフ皇国の〈超級〉──Mr.フランクリンがアルター王国に対して起こしたテロ、通称〈フランクリンのゲーム〉。当時、レイ・スターリングはルーキーであったのにも関わらず〈超級〉のMr.フランクリンに名指しされた上、彼の能力を完全に対策したモンスターと戦わされた。しかし、彼はその悪意にも折れず、戦い、ついには打倒した。

 

 その逸話から彼は”不屈(アンブレイカブル)”という二つ名で世間から呼ばれるようになった。

 

 

 

 

 しかし、彼は()()()。王都アルテアに出来た大きなクレーター。それに伴う()()()()()()()()()()()()()。彼は重度の世界派であることも知られていたため、世間の人々は彼がショックを受けて引退したと考えた。

 

 たしかに彼は折れて、引退した...()()()()()。だが、事実として彼はここに居る。

 

 彼の()()()()()()俺は憧れの彼が前にいるという事実。そして何より──彼の今の姿に呆然としてしまう。

 

 

 

 

 俺は今でもこの時、動揺してしまい何も出来なかったことを後悔している。

 

 

 

 

 その一瞬の隙を突かれたのか。気づいたときには()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。そしてそれは彼のスキルの発動条件だ。

 

 「《復讐するは我にあり(ヴェンジェンス・イズ・マイン)》」

 

 彼の代名詞たるスキル。

 

 淡々と。音もなく。そのスキルを炸裂させ、静かに俺の命を刈り取った彼の姿はあたかも──”死神”のようだった。

 

 その思いを口にしながら俺の体は光の塵へと変わっていく。

 

 「ッ!!”()...()..."のレイ・スターリング...!!」

 

 そして、俺が最後に放った言葉はカルディナの広大な砂漠に呑み込まれて......消えた。

 

 

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

 

 

■【聖焔騎(セイクリッド・ブレイザー)】レイ・スターリング

 

 ......思わずデスペナルティにしてしまった。

 

 自分でも自覚してしまうくらい俺は王国に関して過敏になってしまってる。...ついつい殺気も漏らしちゃったからな。

 

 「ネメシスも。ありがとう。」

 

 『あ、あぁ!』

 

 俺の考えに反応して、即座に()()()()()()()()()()()ネメシスに感謝を伝えながら俺は思考を重ねる。

 

 「”死神”か。魔王だの何だの言われてたけどここまで酷い呼ばれ方は初めてかな。ははは。」

 

 これからは”不屈(アンブレイカブル)”改め”死神”って呼ばれることになるんだろうか...

 

 『......』

 

 「それにしても...アルター王国がなくなった....か。そうだ、そうだな。()()()()()()()()()()。」

 

 『......』

 

 「ごめん...ごめんアズライト...」

 

 

□■〈ヴァレイラ大砂漠〉

 

 彼は──レイは目的もないままカルディナの砂漠を歩き続ける。

 

 あまりにも強く握りしめた拳が自身の体を傷つけて、それに()()()()()()()自罰として受け入れながら...。

 

 

 

 To be continued

 

 

 

 

 

 

 




僕の稚拙な文章を読んでいただいてありがとうございます。ここでは、本文を読んでいて疑問に感じたであろうことに答えます。

間合いの外に居たはずなのに当たったというのはネメシスが進化で得たスキルです。”目の前の、手が届く範囲の悲劇を見逃せない”のがレイであり、その手の届く範囲を広げるという思いの現れによって獲得したスキルです。

ダメージを受けていないのに《復讐するは我にあり》が使用できたのも同様です。文章の中に描写があったようにこのIFストーリーは”【聖焔騎】を獲得したレイ”と”議長の予言、王都のクレーターを回避できなかった”という二本の軸があります。(片方の設定はほとんど生きていませんが。)
そちらの”王都のクレーターを回避できなかった”、悲劇を救えなかったというのに影響を受け、本質から少しずれた、つまり歪んだ形で進化したことによって獲得したスキルです。自分だけの力では悲劇を回避できなかった。など複数の理由が重なり、”自分の力だけでは悲劇は回避できなかった。だが、他人の力(ダメージカウンター)を使えば救えたのではないか”ということからダメージカウンターを蓄積するスキルです。先程も言いましたが、このスキルは歪んだ形で進化したため、レイの本質から少しずれているということをご了承ください。

前書きにも書かせていただきましたが、これ以外なにか指摘があったらお願いします。


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