イャン's ライフ! 作:一般通過鳥竜種
いきなりだが、モンハン世界で最も危険な生物といえば何を思い浮かべるだろうか?
天候を変える程の力を持つ、最早自然現象そのものと言って差し支えない古龍達?
イビルジョーやラージャンといった、他に見境なく襲い掛かり生態系を破壊する古龍級生物?
それらを上回る、一夜で国を滅ぼす力を持ち、存在が伝説扱いの禁忌のモンスター達?
遭遇率を考えると今挙げた珍しい3括りより、広い生息地を持ち数も多いリオス夫婦といった普通の飛竜系の方が危険だといった意見もあるかもしれない。
だが違う。もっとヤバい奴らを詳しく知っているはずだ。そんなモンスター達全てを物ともしない超存在を。
そう、ハンターである。
モンスター(な)ハンターとはよく言ったもので、天候を変えたり山並みに巨大だったりする生き物や、伝説と謳われる存在にたった4人……なんだったらソロで真っ正面から向かって討伐してしまう力を持つのだ。
いや、当たってますよね? ってな攻撃だろうと、咆哮という全周囲への音の衝撃だろうと回避一つでノーダメージ。
頑丈さもズバ抜けている。どれだけ高い所から飛び降りようとも無傷で済む強靭な足腰に、いくらダメージを負おうと薬を飲んだりベッドで寝たりすればいくらでも継戦可能な肉体。裂傷を負っても数秒(リアル時間でだが)しゃがんでいれば治癒するどころか自然回復力をも向上させる。
20mを超える竜だろうが関係なく狂わせるウィルスを、適当な生物をいくらかしばけば克服する免疫力。麻痺・睡眠毒はすぐ治るし、出血毒もしばらく経てば治る。ベッドで寝ればこれも即完治どころか最近は寝る必要すらなくキャンプに入るだけでいい。
水中で戦闘しながら長時間活動出来る心肺能力。
俺はフロンティアはやった事はないのだが、そこでは完全に消滅させられても復活したのだという。……本当に生き物か?
これらはプレイヤーハンターだから? いいや、馬鹿言っちゃいけない。確かにプレイヤーには劣るが、NPCもとんでもない能力を持っている。
今より遥かに狩り技術が発展していない頃に単身でモノブロスを討伐したどこぞの村長を始め、単身で古龍を狩る笑いが五月蝿い某兄弟に、自身の身長を超す大岩を持ち上げるラージャンもどき、分厚い鋼鉄の扉をドロドロに溶かす程のミラボレアスのブレスを浴びても生還するお調子者、太刀の一振りで兵器を超える威力の飛ぶ斬撃を放つ里長を始め超人集団の里やらetc.……人外魔境である。
お分かりいただけただろうか。こんなマジモンのバケモンがこの世界をうろうろしていて、遭遇=死となるやもしれん状況下に放り込まれている俺の気持ちを(震え声)。
確かにゲームだからと言ってしまえばそれで終わりだ。取り越し苦労ならそれでいい。笑い話で済む。リアルであり得る能力ぐらいに落ち着いているかもしれないしな。
だが俺が恐れ、危惧するのはハンター達が実際にゲーム準拠の超人的能力を持っていた場合だ。ゲームの能力そのままのハンターが襲い掛かってくるなんて命がいくつあっても足りない。
俺が何の前触れもなくいきなり人外転生させられた以上、何が起こっても不思議じゃない。死ぬかもしれないのにのほほんと過ごす訳にはいかない。実際にどうなのか確認するまでは慎重を期す必要がある。
というかここはモンハン世界で俺はモンスター。ならハンターの能力がリアル寄りだろうとゲーム寄りだろうと、どのみち俺はハンターへの対策を持つ事は必須である。
俺はイャンクックに転生し、成長すれば10mを超す大きさとなるだろう。しかしモンスターが持つ巨体故の力強さも、当たらなければどうということはない、寧ろ多少当たっても大丈夫なハンターにはそれほど役に立たない。
では、そんなハンターに対して俺が持つアドとは何か?
単刀直入に言おう。それは空を飛べる事である。
さて、初期のモンハンをやった事があるならリオレウスのワールドツアーに苦しめられた人は多いだろう。アレをやってやろうと思う。
簡単に説明すると、初期のリオレウスはとにかく飛行状態が長かったんだ。それもこちらの攻撃が全く当たらないような高高度を。相手はエリアの外周付近を悠々と飛行し続け、こちらはただそれが終わるのを待つだけ。コレが何度も続くとダメージが足りずに時間切れでクエスト失敗なんて事もある。
当時のプレイヤーはそんなレウスに心を籠めて“チキンレウス”や“空の王者(笑)”という敬称()をプレゼントしたのである。
そう、相手の得意な土俵に立つ必要はないというだけである。当たり前の話だが。
空中で慣性の法則を無視して移動するなど変態機動もお手の物なハンターだが、ずっと空中に居たりは出来ないし高所への攻撃手段を持っていたりはしないのだ。
ずっと空中に居て、ハンターに狩りをさせないようにする。時折嫌がらせのように火炎液でも吐きかけてやればいい。エリア移動しかしないというのも手だな。ハンターが追いかけて来たら移動する、を繰り返してエリア間をシャトルランさせてやろう。あ、ちょっと楽しみになってきた。
ゲームでやられればクソゲーオブザイヤーまっしぐらの行動でもここは現実。人の嫌がる事を進んでやりなさいとはよく言った物だなぁハッハッハッ!(曲解)
ようは、“コイツを狩るのは割りに合わない”、“狩りたくない”と思わせれば勝ちなのだ。
俺を狩るというクエストを悉く失敗させてハンター達のやる気を失わせ、誰もクエストを受けないようにしてやるぞ!
そんな訳で、長時間飛行可能な肉体作りとスタミナを鍛える為、幼体の頃からトレーニングだ! とパタパタと小さな翼を羽ばたかせている俺です。長く飛び続ける事になるのに疲れてもう飛べないなど言語道断。
この世界のモンスターは亜種や二つ名など、通常個体とは異なる特殊な発達をした者達もいるのだし、こうやってずっと鍛えていれば翼がデカく飛行能力に優れた進化をしたりしないかと考えての行動だ。目指せ二つ名クック!
ママンは巣の横で頑張っている俺を微笑ましそうに見つめております。子供が遊んでるとでも思ってるのかね?
さあ、頑張ってイクゾー!