ありふれた悪意で世界滅亡 連載版   作:fruit侍

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今回は、原作通り魔物肉を食べて変貌します。変身はまた次回。


アクイは生まれ変わる

「正直言って調理は無理だよね」

 

持って帰ってきた二尾狼の肉を目の前に何か喋っているのは絶大な悪意を宿す少年、南雲ハジメ。

 

彼はアークの力を使って二尾狼を殺害した後、自らの腹ごしらえに近くに落ちていた二尾狼の肉を持ち帰って、調理するか生で喰うかで迷っていたのだが、つい先程どう喰うかが決まり、それを実行しようとしていた。

 

しかし肉に食らいつこうとした瞬間、アークに止められる。

 

(生で喰うのは構わんが、念のため神水を用意しておけ。この先何が起こるか、私も予測不可能だ)

 

「へぇ、アークも魔物の肉を喰ったらどうなるか分からないのか。面白いことが起きそうだねぇ」

 

ハジメにあるのは純粋な興味。博識なアークでさえ魔物の肉を喰った結果どうなるかを知らないと聞き、何が起こるのか楽しみで仕方なかった。

 

そして口を大きく開け、ギラついた歯で肉を噛み千切った。

 

「血抜きしてないから不味い……けど旨い……」

 

硬い筋ばかりの肉を、血を滴らせながら必死に飲み込んでいく。およそ二週間振りの食事だ。いきなり肉を放り込まれた胃が驚き、キリキリと痛みをもって抗議する。だが、ハジメはそんなもの知ったことかと次から次へと飲み込んでいった。

 

嗤いながら生肉を喰うその姿は、完全に野生児といった様子だ。現代の人間から見れば酷くおぞましい姿に映っただろう。

 

酷い匂いと味に涙目になりながらも、ハジメは飢餓感が癒されていく感覚に陶然とする。飯を食えるということがこんなに幸せなことだったとは思いもしなかった。夢中になって喰らい続ける。

 

どれくらいそうやって喰らっていたのか、腹が膨れ始めた頃、ハジメの体に異変が起こり始めた。

 

「あ? ――ッ!? アガァ!!!」

 

突如全身を激しい痛みが襲った。まるで体の内側から何かに侵食されているようなおぞましい感覚。その痛みは、時間が経てば経つほど激しくなる。

 

「ぐぅあああっ。な、何がっ――ぐぅううっ!」

 

耐え難い痛み。自分を侵食していく何か。ハジメは地面をのたうち回る。幻肢痛など吹き飛ぶような遥かに激しい痛みだ。

 

直ぐ様ハジメは神水の溜まり場に顔を突っ込み、神水をがぶ飲みする。直ちに神水が効果を発揮し痛みが引いていくが、しばらくすると再び激痛が襲う。

 

「ひぃぐがぁぁ!! なんで……なおらなぁ、あがぁぁ!」

 

ハジメの体が痛みに合わせて脈動を始めた。ドクンッ、ドクンッと体全体が脈打つ。至る所からミシッ、メキッという音さえ聞こえてきた。

 

しかし次の瞬間には、体内の神水が効果をあらわし体の異常を修復していく。修復が終わると再び激痛。そして修復。

 

神水の効果で気絶もできない。絶大な治癒能力がアダとなった形だ。

 

ハジメは絶叫を上げ地面をのたうち回り、頭を何度も壁に打ち付けながら終わりの見えない地獄を味わい続けた。いっそ殺してくれと誰ともなしに願ったが当然叶えられるわけもなくひたすら耐えるしかない。

 

すると、ハジメの体に変化が現れ始めた。

 

まず髪から色が抜け落ちてゆく。許容量を超えた痛みのせいか、それとも別の原因か、日本人特有の黒髪がどんどん白くなってゆく。

 

次いで、筋肉や骨格が徐々に太くなり、体の内側に薄らと赤黒い線が幾本か浮き出始める。

 

壊れた端からすぐに修復していく。その結果、肉体が凄まじい速度で強靭になっていく。

 

壊して、治して、壊して、治す。

 

脈打ちながら肉体が変化していく。

 

その様は、あたかも転生のよう。脆弱な人の身を捨て化生へと生まれ変わる生誕の儀式。ハジメの絶叫は産声だ。

 

やがて、脈動が収まりハジメはぐったりと倒れ込んだ。その頭髪は真っ白に染まっており、服の下には今は見えないが赤黒い線が数本ほど走っている。

 

ハジメの右手がピクリと動いた。閉じられていた目がうっすらと開けられる。焦点の定まらない瞳がボーと自分の右手を見る。やがて地面を掻くようにギャリギャリと音を立てながら拳が握られた。

 

ハジメは、何度か握ったり開いたりしながら自分が生きていること、きちんと自分の意思で手が動くことを確かめるとゆっくり起き上がった。

 

「……ア"ア"……一体何だったんだよ」

 

疲れ果てた表情で、悪態をつくハジメ。アークがそれに答えた。

 

(魔物の肉は人間にとって猛毒だ。肉に含まれている変質した魔力が、人間の体内を侵食し、内側から細胞を破壊していく。その結果、貴様は体を内側から壊されるような痛みを感じたのだ。常人なら廃人になってもおかしくないが、貴様は耐えきれたようだな)

 

「……ああ、そういやなんか本で読んだな。んで、僕の体がこうなってるのは何でさ」

 

ハジメは以前と比べて明らかに変わった自分の体を見て言う。肉を喰う前はブカブカだった服が、今では少し小さいくらいだ。

 

(超回復。筋トレなどにより断裂した筋肉が修復されるとき僅かに肥大して治るという現象。おそらくそれが高速で何度も行われた結果ではないかと思われる。骨なども同じく折れたりすると修復時に強度を増す)

 

「へぇ……ま、いいや。さっきの痛みで幻肢痛も吹き飛んじゃったみたいだし、飢餓感もないし、久々にいい気分だ」

 

途方もない痛みに精神は疲れているものの、むしろベストコンディションといってもいいのではないだろうか、とハジメは思っていた。

 

体の変化だけでなくハジメは体内にも違和感を覚えていた。温かいような冷たいような、どちらとも言える奇妙な感覚。意識を集中してみると腕に薄らと赤黒い線が浮かび上がった。

 

「……人間を辞めた気分だな……そうだ、ステータスプレートは……」

 

すっかり存在を忘れていたステータスプレートを探してポケットを探る。どうやら失くしていなかったようだ。現在のハジメのステータスを確認する。体の異常について何か分かるかもしれない。

 

 

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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:8

 

天職:錬成師 仮面ライダーアークゼロ

 

筋力:100(変身時:47600)

 

体力:300(変身時:46300)

 

耐性:100(変身時:43800)

 

敏捷:200(変身時:48000)

 

魔力:150

 

魔耐:300(変身時:49200)

 

技能:錬成・魔力操作・胃酸強化・纏雷・言語理解・脳波ハッキング・結論予測・悪意変換・武器生成・ゼツメライズキー生成・フォースライザー生成・金属操作

 

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「……何だこれ」

 

ハジメはそんな言葉しか出てこなかった。ステータスが軒並み急増しており、魔力以外の隣にある数値は最早次元が違う。技能も増えており、見慣れないものばかり。しかもレベルが未だ8にしかなっていない。レベルはその人の到達度を表していることから考えると、どうやらハジメの成長限界も上がったようだ。

 

「アーク、ゼツメライズキー生成とフォースライザー生成ってのは何?」

 

ハジメは一番最初に目についた技能の説明をアークに求める。カタカナ表記のため目立っていたのだ。

 

(私の力の一部だ。いずれ使う日が来るだろう。その時に教える)

 

「ふーん……」

 

説明を後回しにされたことに少し不機嫌になるハジメ。

 

「脳波ハッキングの前の技能はアークの力じゃないのかな?」

 

(魔力操作。人間なら魔物を取り込むことで得られる技能。文字通り魔力の直接操作が出来、この技能を持つ者は無詠唱で魔法を発動できる)

 

その説明を聞き、ハジメの表情が明るくなっていく。

 

「すごいじゃん! これで僕も魔法を撃てるようになるの!?」

 

(ただし魔力適正がない者は巨大な魔法陣が必要となるため、魔法を使うことが出来ない)

 

「ッチ! 使えないことには変わりないのか!」

 

盛大に舌打ちをし地面を蹴るハジメ。

 

「んで、あと二つは何?」

 

(胃酸強化。本来人間が魔物を取り込むことで感じる激痛を消す技能。ただし自分より強い魔物を取り込むと、完全には消せない。

 

纏雷。二尾狼の固有魔法。発動することによって、紅色の電気を纏うことができる。発動しながら物体に触れることによって、その物体を感電させることもできる)

 

「まああって困らないようなもんか」

 

他二つに対するハジメの反応は薄かった。

 

「さあて、今すぐあの熊野郎をブチ殺したいけど、痛みで疲れてるし少し休もっかな」

 

(……技能の練習はしないのか?)

 

「僕にはアークの力があるってんのに、そんなことして意味ある? ま、通常時で使える程度には練習しておくよ。けど今は休みたいんだ」

 

(……貴様がそうしたいのならそうしろ)

 

「じゃ、そうさせてもらうよ。お休み~」

 

ハジメは眠りについた。久々の安眠だ。ここ二週間ほど深い眠りをしていなかったので、ハジメはすぐに寝てしまった。




アーク様と言えばアズ。というわけでタグにもある通り、アズも出ますよ~。出るのはまだまだ先ですが。

滅亡迅雷.netは登場させますか?

  • もちろんメンバーは滅、亡、迅、雷で!
  • 原作ヒロインをメンバーにすれば…?
  • 神の使徒(人形)を乗っ取ろう
  • 解放者生き返らせてもいいんじゃ?
  • なしなし! アズだけで十分!
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