オリジナル展開、オリジナルキャラ、疑似ケルシー構文、他作品ネタ、などが含まれます。ご注意ください。
1月4日/p.m.7:40/雲天/龍門市内
戦火の広がる龍門市内でレユニオン過激派と近衛局が衝突を繰り広げる中、オレンジ色の上着に身を包んだ「スカルシュレッダー」が小さな体を震わせながら、暴徒と化した感染者に向かって訴えかける。
「私たちはタルラに利用されているだけだ! 無意味な戦闘はやめるんだ!!」
怒りと暴力が入り混じる狂騒に揉み消されそうになるが、何度も声を張り上げた。その懸命な様子に「彼」を知るレユニオン構成員達の間で徐々に動揺が広がる。
「お前たちは利用されているだけ……!?」
「そんなはずがない、あれはスカルシュレッダーじゃない、偽物だ!!」
「なら、なんでタルラは来てくれないんだ??」
「──黙れッ!!!」
多くの者たちが狼狽する中、怒りに燃えるループスが混乱を切り裂くようにナイフを振るった。
「スカルシュレッダーが、あいつがそんなこと言うはずない! おまえは誰だ!?」
クラウンスレイヤーの刃が「スカルシュレッダー」に向け放たれるが、それが届くことはない。火花を散らしてナイフは弾かれ、代わるように差し込まれたチェンの斬撃がクラウンスレイヤーの首をかすめた。
持ち前の危機感知能力で深傷を負うことは回避したものの、こうも体勢を崩されては反撃もままならない。クラウンスレイヤーは一旦距離を置いて割り込んできた龍と「スカルシュレッダー」を名乗る人物に鋭い目を向ける。
この青い龍、兵を従える女はその隙の見せない佇まいから素人でないのは明らか。直ぐに正面から相手取るのは危険だと感じ取った。ここは冷静にアーツを放ち、白煙から首を狙うのが一番だろう。
しかしクラウンスレイヤーにとって問題なのは龍の方では無い。その後ろの人物、「スカルシュレッダー」だ。
ひと目見ただけで子供とわかる小さな姿。よく知る「彼」と背格好はほぼ同じ。声質も「彼」との違いがわからない。だが、クラウンスレイヤーにはこの「スカルシュレッダー」は偽物であると断言することができた。
彼の得物であるはずの発射器の重さに慣れていないのか、少し動くたびふらついているのが見て取れる。それにいくら姿形を近づけようとも、簡単に臭いを変えることなどできない。
……それにしてもアイツは、「彼」に非常によく似た臭いを放っている。
ガスマスクが彼本人のものだとしても、ここまで近いのは妙だ。親族でもあるまいし……
「……!?」
スカルシュレッダーは、
「彼」の正体を察したクラウンスレイヤーの怒りは爆発し、驚異的な種族特有の瞬発力で稲妻のような一撃を龍にぶつけた。
『チェルノボーグから脱出した後、近衛局に捕らえられたミーシャをレユニオンが救出した』
それが全て仕組まれたことだとしたら?
初めからレユニオンを誘き出す罠だったとしたら? ミーシャの存在自体が意図的に流された情報だったとしたら?
「一体いつからだ!? いつから画策していた!? どこまでが作戦だ!? スカルシュレッダーは一体どうなった!?」
だが、叫びと共に斬撃は易々と受け流される。
「ミーシャ! お前は騙されているんだ!! こいつらは感染者を利用している!!」
彼女のあまりに強い訴えに「スカルシュレッダー」は動揺を見せるが、Wの横槍により狼は爆風に飛ばされる。
即座に体勢を整え、頭上から爆弾を落とした造反者に牙を剥く。
「W! この裏切り者め!」
彼女が笑い出した時はいつも良いことが無い。それに彼女はずっと笑っている。
「残念、この子任されたのはアタシなの。あんたじゃなくて、ね?
それに先に裏切ったのはアタシじゃ無いわ」
「何を言ってーー」
「よそ見をしている場合か?」
不敵な笑みを浮かべるWに気を取られ、危うく斬撃をモロに喰らうところだった。
龍門の龍とレユニオンの狼の剣戟が激しく交差する。お互い一歩も譲らない攻防が続くが、戦況は徐々に傾くこととなる。
近衛局の奮闘はもちろんのこと、Wと「スカルシュレッダー」の投擲武器による爆撃支援により、クラウンスレイヤーの部下は彼女の援護に向かうことができない。
奇襲を得意とする彼女が剣術の達人であるチェンと真正面から交えるのは非常に分が悪く、いくら近接戦もこなせるとはいえクラウンスレイヤーの顔には疲労の色が浮かび始めた。
一方、チェンはまるで呼吸をするかのように平然とクラウンスレイヤーの攻撃を躱していくではないか。いくら斬りかかっても当たる気がしない。不利だと分かっていたのに、若いループスは頭に血が上って正常な判断ができなくなってしまった。
「……お前たちのような人間がいるから!!」
目にもとまらぬ速さでクラウンスレイヤーのナイフがチェンの脳天へ振り下ろされるが、チェンは半歩体をずらして避けると同時に彼女の腕を掴み、そのまま背負い投げを食らわせる。
狼はそのまま受け身を取ることができないまま無防備に地面に叩きつけられた。
「……っ!」
肺の中の空気が一気に吐き出され、意識が飛びかける。勝負は決したといっても過言ではない。チェンは追撃を仕掛けることなく、クラウンスレイヤーを見下ろしながら告げる。
「おとなしく投降しろ」
青い龍は息一つ乱れていないが、一方の赤いループスは肩で大きく息をし、全身汗まみれになっていた。
だが、圧倒的な差を見せられたにもかかわらず、クラウンスレイヤーはまだ諦めようとしない。
彼女は怒りのままに痛む肺に無理やり空気を入れ、
「殉難者の苦しみを呑み込み」
何か呟くと突然周囲に霧が立ち込める。
「総員警戒に当たれ! これは奴のアーツだ!!」
チェンがいち早く部下に指示を出すも、すでにクラウンスレイヤーの姿は忽然と消え、周囲は濃霧に呑み込まれる。先程までとは違い、形勢逆転を確信した彼女の自信のこもった声が何処からともなく響き渡った。
「どんな術師でもこの濃霧は見破れない。私の位置を見抜くなど不可能……」
だがそれはある少年の声によって遮られる。
「チェンさん、うしろうしろー!」
意味を瞬時に理解したチェンは、反射的に背後に刃を向ける。
次の瞬間、チェンの首元に向かって一直線に迫る刃を間一髪で受け止め、金属同士が激しくぶつかり合う音が響く。
「ちぃ……!」
クラウンスレイヤーは歯噛みしながら力任せに押し返すが、相手の勢いが強く押し返せない。
それどころか鍔迫り合いの最中だというのに相手は涼しい顔をしている。
このままではまずいと本能が警鐘を鳴らし、クラウンスレイヤーはようやく理性を取り戻す。
状況は非常に悪いが、この濃霧に紛れ部下は脱出できたはずだ。嗅ぎなれた仲間の臭いが薄れていることを確認した彼女はこの場を退く。屈辱的だが、犬死するよりはマシだ。そう自分に言い聞かせながら、濃霧に溶けるように場を離れた。
さっきの声はなんだ? 濃霧を放っているのに何故私の場所がバレたんだ? 敵の動きが的確すぎる、奇襲が全く役に立たなかった。いや、ちがう。そもそも「奇襲」できていない。私たちは引き摺り出されたのだ、「スカルシュレッダー」という餌にまんまと釣られて。
仲間と断絶されたループスは1人下唇を噛む。
状況は最悪と言っていいだろう。わからないことが多すぎる。仲間と合流して一旦タルラに指示を仰ぐべきか……思考を巡らせていると、背後から迫る鋭い冷気に毛が逆立った。この感覚はスノーデビル部隊のアーツ、仲間が来たはず……なのだが、自身のアーツである濃霧の影響を受けない彼女の視界には受け入れがたい光景が入り込む。
クラウンスレイヤーが数日前チェルノボーグにて襲撃したロドスの黒いコータスの隣に、レユニオンの幹部の一人である白いコータスが黒いコータスと同様の上着に身を包み、ともにこちらへ向かってきているではないか。
立ちくらみがする。
スカルシュレッダーが敵の手に落ちた次はフロストノヴァ? 彼女が裏切るということはスノーデビル小隊そのものが敵になったのか? 近衛局に襲われたスカルシュレッダーを救出に向かったファウストやメフィストの動向も不明だ。ビックボブやマドロックに関しては龍門で活動していたようだが詳細は不明。アリーナは難民の誘導の為、龍門にあるという拠点に潜伏したというが定かではない。そもそも私たちはその潜伏拠点の場所すら明かされていない。そしてタルラはパトリオットに何かの捜索を任せチェルノボーグから動こうとしない。
わからない、わからない、わからない。
仲間と連絡を取ろうにも妨害を受けているのか、ノイズが強くこちらの通信機は役に立たない。
気が付けば敵地にて完全に孤立しているではないか。
タルラに、とにかくリーダーである彼女に知らせないと。彼女ならきっと正しく導いてくれるはずだ。
混乱するクラウンスレイヤーは唯一の退路となった頭上を見上げるが、すでに時遅し。
突然降ってきたフィディアの男によって地面に再び叩きつけられ、直後赤いフードを被ったループスに首元にナイフを突きつけられる。
「暴れるなリュドミラ! クソッ、いい加減にしやがれこの*クルビアスラング*!」
「だめだ、脊髄を貫いて動けなくする」
パニックを起こしたクラウンスレイヤーは拘束から抜け出そうとナイフの存在も忘れ藻掻き暴れる。言葉遣いは厳しいが何か懇願しているような口調でフィディアは怒鳴るも、彼女は聞く耳を持たない。このままでは危険だと赤ずきんはクラウンスレイヤーを過激な方法で大人しくさせようとナイフを振り上げたところで声が割って入った。
「マーシャル、情をかけるな。レッド、殺すな」
霧によって視界を遮られてはいるが、声の主に反応し近くまで来ていたアーミヤは明るい声を上げる。
「ケルシー先生! 来てくれたんですね」
「ケルシー……?」
唐突にもたらされた聞き覚えのある名前に、クラウンスレイヤーは我に帰った。
「近衛局及びロドス、そしてチェルノボーグ及び龍門にて潜入を行っていた「Mercury」との共同作戦は順調のようだな」
クラウンスレイヤーが後からやってきたサルカズの男、アイアンハイドのアーツによる拘束を受けると濃霧は薄れていく。霧が完全に晴れると、そこには脇に白髪のウルサス人の少年を抱えたケルシーが立っていた。
「待て、お前は……そうだお前だ! ようやく見つけたぞ! ケルシー所長!!」
探していた恩讐の相手が眼前に現れ、クラウンスレイヤーは完全に拘束され動けはしないが、噛みつかんばかりに吠え出す。
しかし殺意を向けられた当人は全く気にするそぶりを見せず、淡々と話を続けた。
「レユニオンの龍門城内での破壊活動は沈静化に向かい、龍門郊外に打ち捨てられていた移動都市に潜伏していたレユニオンの無力化も間もなく完了する。しかしこれは陽動に過ぎない。敵の最高司令官は此度の戦闘において一度も姿を現していない、この意味が分かるな? 敵はすでに次の一手を投じているだろう。住人の避難を徹底し、各自警戒及び現状報告を怠るな」
合流したチェンは剣の柄に手をかけたまま、何も言わずに佇んでいる。その表情は未だ険しく、龍門の空を覆う暗雲を睨みつけていた。
何かを感じ取ったのかアーミヤはピンッと耳を立て、食い入るように音を拾っている。
アイアンハイドにより拘束されて、アーツを無力化されたクラウンスレイヤーは迫る危機に気が付けないまま絶えずケルシーに向け強い殺意を放つ。
そんな眼光だけで喉を掻っ切ることができそうなクラウンスレイヤーにケルシーはひとこと投げる。
「リュドミラ、可能であるなら今すぐお前の仲間を戦場から下がらせろ。巻き込まれるぞ」
なにを、
彼女がそう言いかけた時、不気味な音が龍門に響き渡った。
「急速すぎる発展を遂げたクルビアの自立兵器、あれはその中でも安価かつ輸送容易で戦況を停滞させることに秀でた近年におけるベストセラー、黎明期に現れたのにも拘らず精神汚染のアーツなどを搭載したカスタム機が今なお戦場を荒らしている」
異なるエリアで任務に当たっていたグレースロートは、突如現れた巨大な羽獣のような異物に対し、クロスボウの引き金に手をかけたまま動けないでいた。
放たれる奇声に乗った精神汚染は人々を恐怖に染める。
未知の恐怖は瞬く間に伝染し、レユニオンも近衛局もみな飲み込まれていった。
逃げまどい、喚きたて、すでに敵味方の判別すらできなくなって、倒れた仲間を踏み潰す。その様子を呆然と見ることしかできないグレースロートの視界には、人波に飲み込まれた父親の姿が恐怖と共に重なり蘇る。足はすくみ、思考は回らない。眼前に大勢の理性を失った人々が押しかけているというのに、逃げることも思いつかない。
そのまま恐怖の波に押しつぶされ────
「こっちだ!!」
仲間の制止を無視し、迷彩を解いて駆け出した彼は叫ぶ。
立ちすくむグレースロートの腕をつかみ、人波に攫われぬようファウストは走った。
「あの羽獣に類似した形状の自律兵器は鳴き声のような独特な起動音と共に恐怖を増進させる精神汚染のアーツを放っている。攻撃手段は中型機においては脚部の爪のみと挙動自体は極めて原始的だ。しかし大型機となると射撃武器を備え、強襲形態を取り超高速の突撃を行うため一筋縄ではいかないが、一定の行動を終えた際は放熱のためしばらく動きが止まる。部隊での運用が前提であり、大型機を主力に置きクールタイムを中型機によってフォローするというというのが基本的な動作だ。対処法は一体ずつおびき出し、各個撃破が最も確実だが、あれの精神汚染のアーツによって正常な思考を奪われ陣営が機能不全に陥ることを防ぐ必要がある。幸いに汎用源石回路に搭載できるアーツはさほど複雑ではないため、多少の精神干渉アーツへの対策講習を受けるだけで影響を受けることを回避することが可能だ。他にも空気の振動を利用して拡散する仕組みを逆手に取り、爆発の衝撃や音撃、空気に干渉するアーツによって防ぐこともできる。だが、対策を取っていたとしても決して油断してはならない。なぜなら恐怖は感染するからだ。自身が無事であったとしても周囲が完全に恐怖に呑まれていれば、激流に流されるように簡単に足元をすくわれるぞ。大事なのは一人一人が徹底した対策をとるということだ。これを肝に銘じておいてほしい」
「確かにウルサスは幾度の戦争を経て強大な国家となった国だ。だが、彼らは「クルビア」を身をもって体験したことは無い。ましてや、この近年戦場に現れたばかりの巨大自律兵器の脅威などもってのほかだ。それを現在の相場価格も知らぬまま購入した旧貴族はあまりに楽観的すぎであり、ベストセラーということはそれだけ多くの人間に認知されているということを意味する。彼らは、対策手段が既に構築されているということを念頭に置いておくべきだった。クルビア武器商人の巧みな話術に呑み込まれたのか、情報を精査する余裕すらなかったのか定かでは無いが、私個人は後者だと推測する。
核となる新型源石エンジンはプロテクトを兼ねた厳重な外壁に包まれており、強力な衝撃を外部から受けるとエンジンの仕組み上、自動的に機能が停止する。これにより今日まで解析は成功しておらず、いまだ類似品も現れていない。発明した科学者達の「石棺」の惨劇を繰り返すことがないようにという願いは、それほどまでに強固なのものなのだ。中規模艦船ならいとも容易く溶け落ちる熱量を持ちながら、取り出せるのはエネルギーの総量に対し極僅か。要するに大河を一般家庭基準の蛇口から取り出し続けるようなもの。そしてそれは強力な打撃を与えれば緊急停止し、外部からの複雑な操作を受けない限り再起動することはない」
ケルシーのロドス職員へ向けられた忠告に耳を傾けることができたものが居たかどうかは定かでは無いが、さほど問題ではない。
あれを倒せるものは何人もいるのだから。
龍門の地に大きな影を落とす最も巨大な個体を閃光が包む。
その場を遠くから見ていたスラムの人々は日が昇ったと勘違いするほどの光が夜の龍門に一瞬だけ降り注ぐ。
その雷鳴の如く轟音を伴ったサンクタの銃火を皮切りに、「狩り」が開始された。
放たれる精神汚染のアーツはある傭兵の音を曲げるアーツによりことごとく無力化され、本陣に届くことはない。サルゴン・ボリバル・クルビア国境付近で度重なる戦火を潜り抜けた傭兵たちに、かつての戦争で名を馳せ、理不尽に抗ったゆえに軍から追い出された「パトリックの春雷」に、軍の思惑により大義名分を作るための犠牲となりかけた「進撃のリバティ」のロドスとMercury混成部隊。
龍門の近衛局やウルサスのレユニオンとは違い、クルビアの戦場を駆け抜けた彼らにとってあの手の大型兵器はもはや慣れたものだ。そして彼らからすればあれは「型落ち」に該当する。
自律兵器のパーツ、特に新型源石エンジンが高額で取引されることを知る熟練の傭兵達は我先にと高所から攻撃を仕掛ける。これがクルビア周囲の戦場なら決して考えられないことだが、この戦闘においてパーツの回収を指示するものは誰もいない、すべてが自分のポケットに入る格好の機会なのだ。
個体を分散させ、閉所に誘導し、高所から襲撃。それは各地で同時に展開され、自立兵器は恐怖とともに瞬く間に消えていく。
「妙だな」
もはや解体工事と化した現場を見つめながら、真っ白な体毛に身を包んだ小柄なオコジョは違和感を口にした。
彼はクルビアでも有名な、傭兵部隊を率いる元軍人「砂漠のアナティ」ことロンメルだ。作戦区域で共に活動していたロドスから緊急の知らせを受け、チェルノボーグから大型ヘリを用いてとんぼ返りで戻ってきた彼らは、飛ぶ鳥を落とす勢い(実際に落としている)で戦場と化した龍門を駆け抜け、出現した自律兵器の半数をすでに無力化することに成功している。
かの兵器を持ち出したのはレユニオン・ムーブメント、もしくはそれを支援するものだろう。
だが現場は阿鼻叫喚。特に「レユニオン」達の混乱が凄まじく、もはや組織として成り立ってはいない有様。この様子から、レユニオンが用意したものではないのは明らか(これで自分たちで用意したというなら、今後数十年笑い話のネタにできるだろう)。きっとここにいる者たちは捨石でしかないのだろう。作戦の成功率を上げるため敵を何も知らぬ人々と戦わせ時間稼ぎをするなど戦場ではよくあることだ。
だが彼の疑問はそこでは無い。何故チェルノボーグの「レユニオン」と龍門の「レユニオン」が別物なのかということだ。
練度の違いはさることながら、「根本」があまりにも違いすぎる。龍門で逃げ惑う彼らはただの蜂起した元民間人。だがあそこにいたのは彼がよく知る物に酷似していた。そう、軍隊にだ。
チェルノボーグで遭遇したレユニオン全員とはいかないが、明らかに洗練された動きをとる者たちがいた。おそらくレユニオンという組織は脱走兵など軍人崩れが中核となり、末端は地元で引き入れた感染者なのだろう。
だとしてもだ、あまりにも違いすぎる。
他国に比べ感染者と接する機会が非常に多いクルビア出身の彼の経験上、感染者組織というのは大抵少なからず感染者同士という結束感を持つものだ。一部のならず者は別として、一般人に毛が生えた程度の構成員ならよほど劣悪な関係でない限り、互いに助け合う。そんな認識すらあった。
しかしチェルノボーグに居たレユニオンは異なる。彼はクルビア製ステルス仕様の偵察用ドローンを介してその目で目撃してしまった。あの天災によって崩壊した都市にいた一部のレユニオンが、助けを求める民間人だった感染者を「処分」するところを。
クライアントから開示された情報では、レユニオンは感染者主義の過激派と共存ないしは不干渉を望む穏健派に二分しており、今回の事変は過激派が起こしたものだと断言されていた。
過激派といえど感染者主義を掲げる者たちが、助けを求める感染者をああまで淡々と殺すものなのだろうか? 過激派も内部分裂しているか、レユニオンを装った武装集団がいるのか?
どのみち碌な状況ではなかろう。
気質が違いすぎるレユニオン
一向に現れぬレユニオンのリーダー
あと、製薬会社とは思えないほど戦場慣れしたロドス
CADUCEUSが支援する
そして我々の依頼者である、チェルノボーグ市長ボリス侯爵。
わざわざクルビアの機関を介して依頼を出すような者が自律兵器の価値を知らないはずがない。
意図的に、指示を出さなかったのか。もしくは依頼者は第三者を介して依頼を出し、クルビアのことをほとんど知らないのか。
……裏で糸を引くのはウルサスかクルビア?
「やはり簡単にはいかんな……面倒な事になった」
アナティはくたびれた軍帽を深く被り直した。
恐怖を撒き散らす怪鳥をまるで手慣れた作業のように淡々と各個体撃破していく様子にクラウンスレイヤーの口から乾いた笑いが漏れる。
こいつらも、そしてタルラも、私たちなんか眼中に無いのか、と。
局部壊死は実質スキップしてオリジナル展開です。
質問があればお気軽にどうぞ。
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