未来のヒィズル国に来てしまった俺
アルミンは有実だし
キース教官は鱚野さんだし
ミカサは三笠で会えないし
てかなんで俺ここにいるんだ?
「ん?今なんか聞こえなかったか?」
有実がふすま、とよんでいた扉の向こうから声がした。
「まさか…起きちゃった?」
有実が立ち上がる。
その瞬間、今聞こえた声と聞き慣れた声が一致した。
「ミカサっ!」
勢いに任せふすまを開ける。
三笠は布団の中で竹を咥えていた。
「ミカサ!ミカサ!わかるか?俺だ!エレンだ!」
こっちのミカサには分からないと分かっていても叫んでしまう。
「江蓮!だめだ!」
有実に無理やり元の部屋に戻される。
「っ!なにすんだよ!」
「……三笠は今、鬼になってしまっているんだ。」
「……は?」
一瞬世界から音が消え、目の前が真っ白になった。
「……鬼?三笠が?」
「軸は自分の血を飲ませ、鬼を増やしながら旅をしている。おそらく、家が襲われたとき三笠は抵抗して軸に怪我をさせて、その時に飛んだ血を飲んてしまったんだ。」
「そんな…」
また会えたのに。もう二度と離れないと思ったのに。
一瞬で打ち砕かれた夢。
「ただ、軸を倒せば戻る可能性がある。」
「……え?」
「江蓮はそのために鬼殺隊に入ろうとしてたんだ。」
軸を倒せば三笠が戻る。
なら答えは一つ。
「アルミン、ありがとう。」
「ん?だから僕…」
「戦おう。」
「………うん。」
ミカサを元に戻すために…。
「ところでなんだけど。」
「ん?」
有実が尋ねてきた。
「絵蓮、記憶喪失じゃないでしょ。」
「へ?」
有実もどうやら勘が鋭いらしい。
「いや、そんなことねえぞ。」
「絶対嘘。」
これバレてるな…。
仕方ない、話そう。
「巨人?!壁?!立体機動装置?!」
すごい目を輝かせている。
アルミンの時もこんなことあった気がする。
「すごい…そんな世界に僕が…。」
「ん?世界?」
「え?」
世界?なんだ?
「多分エレンは別世界、つまりこの世界にやってきて江蓮になったんだ。転生ってやつだと思う。」
「転生か…」
「僕らも同じように転生してきたんだと思う。エレンだけ特殊な死に方をしたから江蓮になっても記憶が残ってるんだ。」
エレンと江蓮使い分けられてるのすげえ。
「すごいな。もっと詳しく知りたいな!」
有実のも好奇心旺盛と見た。
「また明日早くに起きないと鱚野さんが怒るだろ。もう寝るぞ。」
「ああ、そっか。」
「おやすみ。」
「うん。おやすみ。」
この生活にもだいぶなれてきた。
ただ、三笠とはあれ以来会ってない。
鬼になったから昼は寝てないといけない。
夜は夜で人間の名残があるから寝ないといけない。
「今日はついに呼吸法について教える。」
鱚野さんが言う。
呼吸法?
なにそれ美味しいの?
「三笠。」
「……むっ?」
「早く江蓮にあいたいね。」
「むうっ!」コクコク