海老の惑星─ジェネシス─(仮)   作:COTOKITI JP

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今回から主人公エビが登場するのであらかじめ書いておきますが、

「」人間の言語

『』エビ語

です。


今週のビックリドッキリメカ『エビロボ』

UFO騒動からそれなりの時間が経ち、MNUによるエイリアン捕獲のニュースが報道されてからも続報が来ることは無く次第に冷めていった。

 

一方でその頃、特地で新たなる勢力が動き出し始めていた。

 

 

 

 

『捕まった仲間の位置が分かった!』

 

狩りから帰って来たエビ、『フランク』を出迎えたのは知的階級でも頭一つ抜きん出た頭脳を持つインテリエビ、『ヒューイ』であった。

 

『本当か!?』

 

狩ってきた鹿を地面に放り、ヒューイのいる輸送機の中へと入っていく。

 

機内には物資や武器だけでなく、ヒューイが独自で用意した様々な機材が置かれていた。

 

『ここだ、アイツに持たせてた無線機から発せられた一番新しい信号』

 

ホログラムの画面に表示された地図のある点を指さす。

そこには無線機から信号が送られて来た事を示すマーカーと、その付近に大きな人工物群があった。

 

『通信が途絶えた日と、その日に人間から傍受した無線の内容からしてウォルトはここで捕まったに違いない』

 

『ウォルト』は、2人の仲間であり宇宙船から脱出する際に一緒に輸送機に乗っていた。

 

しかし数日前に宇宙船の残骸を探しに行った際にMNUの偵察部隊と遭遇し、捕まってしまったのだ。

 

『じゃあ可能性があるとすればここの都市の中か』

 

フランクがタッチパネルのように画面を操作して地図を拡大する。

都市と思われる場所はかなり面積が広く、そして全包囲が壁に覆われているようだ。

 

『いつ助けに行く?』

 

『無論、明日にでも助けに行くつもりだ。 その為に輸送機とアイツ(・・・)を整備していたのだからな』

 

輸送機に貨物室の中には、エビの英知の結晶の一つである『エグゾスーツ』が佇んでいた。

 

武骨な見た目のその機体には、多種多様な武装を搭載している。

アサルトライフルにアークガン、アークジェネレータ。

 

『決行は深夜。 侵入ルートは事前にエグゾスーツに入力しておく。 フランクは輸送機を外で待機させておくから何とか無事にヒューイを外まで護衛してくれ』

 

『分かった』

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

特地、ファルマート大陸帝国領に存在する商業都市『イタリカ』。

 

そこにはちょうど3つの勢力が集まっていた。

 

一つはこの都市に襲い来る盗賊と戦う為の殆ど民間人のみで結成されたレジスタンス。

 

2つ目はエイリアンを捕獲したまま休憩目的でイタリカにやってきてそのまま盗賊の襲撃に巻き込まれて外に出れなくなったMNUの偵察部隊。

 

そして3つ目はなんやかんやあって同じく巻き込まれて出れなくなった『伊丹耀司』率いる自衛隊の偵察隊である。

 

日が沈み、辺りが暗闇に包まれた頃だった。

 

伊丹達がいる場所とは真反対の方角から敵がやってきたという報せが来たのだ。

 

レジスタンス達の予測とは全く違う場所を突かれたイタリカは呆気なく門を破られ盗賊の侵入を許してしまう。

 

しかも彼らは、盗賊と言うにはあまりにも統率が取れ過ぎておりその姿は最早軍隊と変わり無かった。

 

元正規兵の集まりと言うだけで、既にレジスタンスとの戦力差は開いていた。

 

MNUは自己防衛の為無論動き出し、自衛隊も連れの死神が先走ってしまった為参戦する羽目に。

 

LAVに乗り込み、交戦中のレジスタンスとMNUと合流するべく反対側の門を目指す。

 

イタリカの向こう側は火が放たれ、暗闇を淡く照らしていた。

 

狭い通路をLAVで走り抜け、もう目的地に着こうとした時、突然右から大きな何かが躍り出てきた。

 

「うわっ!?」

 

「き、急にどうしたんで──」

 

急ブレーキを掛けた伊丹に半ば苦情を言うかのように身を乗り出して来た栗林が目の前に佇むそれを見た瞬間固まって動かなくなった。、

 

石畳を踏み砕きながら出てきたのはLAVよりも一回りは大きい二足歩行の物体。

 

というよりロボットだった。

 

そのロボット、エグゾスーツはこちらに気付くと右腕をLAVに向けた。

 

それが武装だと察知した伊丹は銃座席の富田に向かって叫んだ。

 

「撃て!!」

 

銃座のM2から放たれた12.7mm弾はたった数m先のエグゾスーツに外れるはずもなく命中した。

 

しかし、弾は軽快な金属音を立てるばかりで装甲に傷すら入れられていなかったのが遠目でも分かった。

 

「駄目です!! キャリバー(50口径)がまるで効いてません!!」

 

「嘘だろ……!?」

 

本格的に不味い状況に陥った伊丹は一度逃げようか考えるが、その前にエグゾスーツの方が腕を下げ、何かに気付いたのか後ろを振り返った。

 

向こうにはMNUの車両と随伴の歩兵がエグゾスーツに向かって発砲していた。

 

「行け行け行け!!」

 

その内の一人はRPG-7を構えている。

 

対戦車火器の有しているMNUの部隊の方を脅威とみなしたのかエグゾスーツは向こうへと走っていく。

 

「突っ込んでくるぞ!!」

 

「撃て!!足を止め──」

 

エグゾスーツの右腕のアサルトライフルがガトリングガンの如き連射速度でRPG-7を構えていた兵士を薙ぎ払った。

 

エグゾスーツのアサルトライフルに高性能な防弾プレートがまるで意味を成さず、上半身をズタズタに引き裂かれて周りの兵士ごと絶命していった。

 

装甲車の銃座に座っていた兵士に向かって右腕武装の『アークジェネレータ』を放つ。

 

僅かなチャージの後に放たれた稲妻のような光弾に貫かれると銃座の兵士は針で刺された風船のように肉片と鮮血を撒き散らしながら爆発四散した。

 

「クソォッ!!」

 

「下がれ!!下がるんだ!!」

 

何百発もの銃弾を身に受けながら続け様に『アークガン』を逃げようとする装甲車に向かって撃った。

 

電磁加速で発射される高速弾はいとも容易く装甲を貫き車体と中にいる乗員を抉った。

 

運転手が死亡した装甲車はコントロールを失い、バックで建物に突っ込んだ。

 

「う、うわあああああああああああ!!!」

 

「くっ来るなぁ!!」

 

バラララララララッ!!

 

残りの兵士達も逃げる暇も与えられずにアサルトライフルでなぎ倒され、アークジェネレータで遮蔽物ごと吹き飛ばされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

MNUの部隊を殲滅すると、エグゾスーツは辺りを何かを探すように見回し、暫くしてそのまま走り去っていった。

 

伊丹達には目もくれずに。

 

「嘘…でしょ………うぅっ……」

 

先程まで人だった肉塊を見た黒川が吐き気を催し嘔吐きそうになる。

 

「い、伊丹二尉……あんなのが特地にいるなんて聞いてないですよ……!!」

 

倉田が声を震わせながら目の前の惨状を見ている。

 

最早人としても原型を留めることも無く一方的に虐殺された彼らを見て、皆恐怖していた。

 

しかし、ここで自分まで怯えてはならないと隊長ながらにそう思った伊丹は息を整えて改めて指示を出す。

 

「……とにかく、作戦続行だ!」

 

 

 

このイタリカ攻防戦が後に、人類とエビのファーストコンタクトとなるのであった。




第9地区のエグゾスーツはかっこいい。
光学系と実弾系を両方使えるというのがいい。


感想、評価の程をよろしくお願いさしすせそ。

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