魔王に侵攻されてるらしいね   作:ぜろぜろん

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勇者って意外と卑屈

現在、地球は魔王軍と名乗る軍勢から侵攻を受けていた。

各国一丸となり侵攻を防いでいるものの魔王軍の勢いは衰えを知らない。そして魔王軍はヨーロッパへと上陸、激しい地上戦が繰り広げられている最中、遥か東の国、日本はというと……

 

 

キーンコーンカーンコーン

「おはよーう」

 

「おーっす」

 

「ねぇ、知ってる? 国連軍が久々に勝ったらしいね」

 

「へー、あ、飴食べる?」

緊張感の欠片もない生活をしていた!!

この状態は海外にも驚かれ

「日本人って、度胸があるのかそれかただ能天気なのかわからないね」

 

「平和ボケにも程があるよ」

 

「真面目な人間が揃う国だと思ってたのに……」

などの海外からのコメントもある。

これはそんな日本に住む少年少女のお話。

 

 

市立謎野高校旧校舎三階の一角にこんな部屋がある。『談話室』それが彼らの拠点だった。

謎の部活談話部、それが彼らの所属する部活だった。

そこに向かって近づいてくる一つの影が見えた。

「はぁ……なんで俺がこんな変な部活に……」

船上晴也、勇者になることができるも財政面の関係で前線で戦うことを諦めつい最近まで引きこもっていた勇者(笑)である。

では視点を彼視点にしてみよう。

 

 

まず、談話部って何だ? 談話する部活なのか? それって行く意味あんのか?

「はぁ……」

今日はやけにため息が出る。

「くそっ、どうしてこうなった」

それは今日の朝まで遡る。

 

今日の朝

どういう訳か俺は職員室の前に来ていた。呼び出されたのだ。

いや、呼び出しならいつもみたいに無視すればいい。しかし、朝、担任から病んでる子みたいなメールが沢山来て怖くなって学校に来た。って訳だったよ。

「ただの脅迫じゃねーか……」

そう小さくつぶやく。引きこもり初めて今は早くも夏休みも終わり涼しくなろうとしていたじきである。外へ出るというのは慣れない。

そんなことを考え少し待っていると職員室のドアが開いた。

「君が船上晴也君ね」

あんたほんとに担任かよ。引きこもってたとはいえ写真くらいはあるだろ……

「は、はい船上晴也です」

久々に人と話すと緊張する。

「えーと、君は勇者なんですってね。なぜ戦わなかったのですか?」

「は、はい、金がなくて……」

 

「なんか嫌ですねー財政難に苦しむ勇者……」

しょうがないじゃん、無いもんはないんだからどこぞのゲームみたいに人の家勝手に入ってタンスとかクローゼットとか探れないし。

にしてもあれってすごいよね。樽やツボを割るわ、モノは盗むわ……普通なら家に無断で上がっても犯罪だし、思春期真っ盛りの男子高校生にはタンスやクローゼットを開けるだけでドキドキするだろう。

偶に男物のパンツとかが出るのがきついと思う。

「まあ、それでなんでひきこもったの?」

 

「えーと、なんかめんどくさくなって……」

せっかくあんだけ勉強して体も鍛えたのに、そんな理由で断念したらそうなるよ……

「だめだよ!」

先生が突然大きな声を出す。周りの注目が先生と俺に注がれる。

「その時期に人と関わりを持たなければ後々苦労しますよ!」

 

「そ、そうですか」

 

「それにそろそろ成績もやばいしねー」

どこか脅しているようにも見える。

「君には部活動に入ってもらいます!」

そう言われて俺の中で何かが崩れさった。ごめんよ友よ……これからin出来そうにない……

 

 

そんな流れでここに来ました。談話室、

でもここで帰ったらめんどそうだし……行くか。

俺は意を決してドアを叩く。

「はーい、入っていいよー」

部屋からそんな能天気そうな女の子の声が聞こえてきた。

「し、失礼しまーす……」

中には二人の女子生徒がいた。一人は茶髪のふんわりした髪のポニーテール、活発そうな子だ。もう一人は紺色のロングヘアーで大人しそうな子だ。

「おお! 入部希望者!?」

そのポニーテールの子が話しかけてくる。ちらっと制服のリボンを見る。青色、ということは二年生か

「は、はい。一応……」

 

「やったね! かえでん! 部員が増えるよ!」

にしても元気すぎる先輩だなぁ……

そしてかえでんと呼ばれた人があの、大人しそうな先輩か。

「普通に楓って読んでって言ってるでしょ……」

そして、楓先輩は本を閉じて俺と向き合う。

「ごめんね。すぐ椅子を用意するから待っててね」

 

「あ、ありがとうございます」

良かった。いい人っぽい。一時はどうなることかと思ったがまあ、行けそうだ。

「私は初草楓宜しくね」

 

「私は岐阜有里香! 宜しくね!」

二人とも名前以外は同じことしか言ってないのになんだこの差は……

「俺は船上晴也です。よろしくおねがいします」

 

「晴也君か……うーん……」

俺が二人に習い自己紹介すると岐阜先輩が腕を組んで何かを考えてるようだ。なにか嫌な予感がする……

「あ!」

ぱぁぁ、っと効果音がなりそうな顔をする。何かひらめいたようだ。

「宜しくね! ハレルヤ君!」

 

「は、ハレルヤ?」

 

「うん! ハルヤ君だからハレルヤ君!」

なんだその妙に絶妙なネーミングセンスは……

「いや、ハレルヤは……」

 

「船上君、諦めなさい……」

俺がやめてと言う前に初草先輩に止められる。ハレルヤってなんか恥ずかしい……

「ハレルヤ君! 君なにかしてる?」

岐阜先輩が唐突に聞いてくる。

「何かとは?」

 

「なんでもいいよ! 野球してるとか勇者だとか!」

勇者、そのワードを聞いて少し冷や汗をかく。あんまりいい思い出ないからな……

まあ、正直に言っておこう。

「えーと、勇者育成学校次席で卒業しました」

 

「次席? なぜこの学校に?」

「確かに戦線に行っても普通に活躍できると思うよ!」

う、何か夢を壊すようで言いたくないなぁ……

「俺、一回だけ戦線に行くのを考えたんですよ」

 

「そうなの? ではなぜ……」

 

「戦線ってヨーロッパっすよね?」

まず二人に問う。これはニュースなんかに良くやってるから解るはずだ。

「そうだね」

 

「あれ、ヨーロッパまで行くのは自腹なんですよ」

 

「「え?」」

二人の声が重なる。夢、壊れたろうな……

「政府が負担してくれないの?」

 

「昔はその制度があったらしいですが観光だけして帰ってくる人が続出したらしいですよ。」

 

「それに勇者って燃費悪いですし」

ゲームのように敵は倒してもお金は落とさない。まあ、たまたま持ってたら別だが。それに回復アイテムなんてものもない。休むには食事、睡眠だ。それでも完全に回復するとは限らない。それに勇者ってのはいわゆる義勇軍だから軍の後ろ盾もない。だから補給がもらえるのも珍しいことである。確かに勇者は戦闘能力が常人を遥かに上回るがされど人間だ。無理をすると死ぬ。

このことを二人に伝えると二人は苦笑いをしていた。

「もっと勇者ってかっこいいイメージがあったわ……」

 

「なんか夢が壊された気分だよ……」

大丈夫、俺もその時何かがひび割れたような気がしたから。

「それで金がないから断念したんですよ。ほんとこんな状況でも世の中金ですね」

 

「そんな皮肉を言われても……」

初草先輩がなんか悲しそうな目で見てくる。止めて! なんか悲しくなってくる!

 

「ま、まあ、とにかくこの三人で頑張ろう! えいえいおー!」

 

「「お、おー……」」

岐阜先輩が何とかしてくれました。




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