魔王に侵攻されてるらしいね   作:ぜろぜろん

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部員が増えたよ

それはいつも通り部室で喋っていた時だった。

「ねぇー、大富豪しよー」

 

「またですか……?」

 

「だってかえでんがしてくれないんだよー」

 

「二人で大富豪ですか……」

連日負け続けてとうとう嫌になったか……まあ、負け続けたにしては頑張ったと思うよ。

にしても二人だと手札が多過ぎてやりにくいんだよな……

初草先輩を説得しようかなーとか考えていたらノックが鳴る。

「どうぞ」

初草先輩が返事をする。

「失礼しまーす」

入って来たのは派手な子だった。

その子は一目で髪を染めているのがわかる。金色に近い茶髪、制服も着崩しており、いかにもギャルって感じの女子だ。

リボンの色から一年生とわかる。同級生か……

「こんにちはー! 真中愛理です。よろしくおねがいします!」

いかにも、きゃぴっと自己紹介する。

ああ、俺が苦手なタイプだ。

「私は初草楓よ。よろしく」

なんか、ぶっきらぼうに返答をしている気がする。初草先輩もこういうタイプ苦手なのかね?

「岐阜有里香だよ! 宜しくね!」

岐阜先輩は楽しそうな子が入ってきたと思って喜んでいるだろう。

「俺は船上晴也、よろしく」

挨拶をされたら挨拶を返す。これ、基本

「そうね、とりあえず椅子を……」

 

「俺がやりますよ。一応後輩だし」

俺の時と同じように椅子を用意しようとしたのだろう。それくらいは俺がしよう。

「ほれ」

 

「あ、ありがとう」

俺が椅子を置いて真中に座るように促す。一応礼は言えるタイプなのな。最近の女子は礼すら言わない奴もいるというが。

「もしかして、入部希望者?」

 

「うん、親が何らかの部に入れと言ってきてここがいいと思ったんです」

タメと敬語が混ざってるな……敬語が苦手と見える。

しかし、その言い方はいいのだろうか。それだと部活はめんどくさいけど入らなければならない。だからゆるそうなこの部に入ろう。って読めるぞ。まあ、ゆるいってのは否定しないが……

「やったー! また一人部員が増えたよ! これで大富豪三人でできるね!」

 

「大富豪したかっただけですか……」

確かに二人ではやりにくいからな……でもベストは四人だ。手札の数がちょうどいい。

やがて、真中と岐阜先輩は二人で話し出した。

そんな中初草先輩は少し顔をしかめていた。

「どうしたんですか?」

 

「部員が増えたのは喜ばしいけど、なんかこの部が馬鹿にされたような気がして……」

やはり初草先輩はそう思ったか。

「そりゃ、そんなもんですよ。この部は」

 

「!? 船上君! あなたも!」

 

「否定、出来ますか?」

そう問うと初草先輩は口を閉じる。そりゃ、初草先輩は基本、本を読んでたまに会話に参加するだけだからな。俺と岐阜先輩だって話したり遊んだりしている。

初草先輩が顔を上げる。

「ごめんなさい、でも貴方達との楽しい時間が馬鹿にされてると考えてしまって……」

その言葉に少し驚いた。そう言えば初草先輩はやれやれと思いながらだろうけど会話に参加してくれている。

やはりこの先輩はいい人だった。

連日負け越しても楽しいと思ってくれていたのか……

「そうだ、初草先輩」

「何?」

さっき考えていたことを言おう。三人より、四人でした方が楽しい。

「大富豪しませんか?」

 

「ふふっ……ええ、喜んで」

先輩の浮かべた優しい笑みに少しドキッとした。

また、先輩が負けたのは別のお話……

 

 

部活も終わり俺は帰り道を歩いていた。しかし、この年頃のせいか寄り道がしたくなったので目に入ったコンビニに入った。

「あっ」

 

「おおっ」

そこでさっき見た顔のやつと出会う。

真中だ。彼女はコンビニで立ち読みをしていた。

そう言えば、大富豪の際もあんまり彼女とは話していない。これを気にコミュニケーションでも図ろうか。

しかし、

「……」

 

「……」

(話しかけずらい!)

いやいや、同級生だぞ! あの中では一番声掛けやすいはずだぞ! どうしようか迷っていると向こうから話しかけてきた。

「さ、先程ぶりね」

 

「お、おう、先程ぶり……」

そして会話は途切れる。いや、俺諦めんなよ!

「ま、まあ、同級生が入ってくれたのは嬉しいな、よろしく頼む」

 

「う、うん……」

何故こんなにぎこちない……?

「あ、私もう帰るね……」

真中はそう言って読んでいた雑誌をレジに持っていく。

俺も何か買うかと思いコーラをレジに持っていくと真中がまだいた。

「どうしたよ?」

俺が話しかけると真中がビクッとする。そんなに驚くなよ……

「いや、財布がどこにもなくて……あれ?」

彼女は制服のポケット、カバンの中といろいろ探っていたが見つかる気配がないのか雑誌を戻そうとする。

「真中、待て」

 

「何って、え……?」

俺は真中の手から雑誌を撮りコーラと会計を済ます。

「え、な、何やってんの!? マジありえないんだけど!」

「うるせーな、ほらよ」

俺は真中に雑誌を渡す。真中は少し慌てているのか顔が赤い。

「知り合って少ししか経ってないのによくできるね」

真中も話すのが慣れたのか普通に話してくる。

「少しとはいえ一応知り合いだろ。」

もう今日は帰ろう。俺がレジから出ようとすると、

「明日、お金返すからー!」

そんな声が聞こえてきた。別に返す必要はないんだがな……

なんだ、いいやつじゃねーか。校則を破ってようが派手だろーがいいやつはいいやつなのかもしれない。

ギャルっぽい女ってだけで判断するのは悪いなと今改めて思った。

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