TSしたら足が動かなくて親友が過保護になったけど、優しくされると惚れちゃいそうなので乱暴に扱って欲しい。   作:貯水庫

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11話 中島が過保護っぽい?

 

 

クラスメイトの男の視線が変わってしまったのにはすっかり落胆してしまったが、俺には中島がいてくれると思うと安心したし、他の男のことは割り切ることができそうだ。

結局あの場は惰性で乗り切ることができたけど、仲の良かった友達に色目を使われるのはさすがに元男として耐え難いものがあった。

 

 

さて。次は5限。教科は、体育だ。

 

先生曰く、車椅子の生徒には個別の課題設定がされるからそれをしていけば単位は問題ない、とのこと。だったら俺も今回授業に参加するのだろうか。

体育の先生に指示を仰ぎに中島と職員室に行ったところ、俺が清水だとは信じてくれていない様子だったが、一応俺のことは考えてくれていたらしく、着替えて体育館に行っているように言われた。

 

......着替えて。

 

うちは体育は2クラス合同の形態をとっていて、着替えはうちのクラスに男子が、もう一方のクラスに女子が集まって行う。

 

故に、今うちのクラスからどんどん女子がいなくなっている。

俺は、ここで着替えてもいいよな?今までこっちだったし、こっちであれば中島に手伝ってもらえる。

 

ブレザーのボタンに手をつけると......

 

「こら、何してるの。行くよ清水くん」

 

と委員長。

 

「え?えっ?......え?」

 

委員長が俺のジャージ入れを取り、車椅子を押した。

待って待って。それはさすがにまずいって。俺、一応中身は男なんだけど。女子と着替えを一緒にするなんてあってはならない。

抵抗しようにも何もできない状況に泣きそうになりながら中島を見つめ助けを求めるが、中島は頑張れよとでも言いたげな顔で頷いて見送ってくれた。

ちくしょう!!

 

 

女子が着替える教室は、廊下から中が見えないようにドアのガラスに紙が貼ってある。委員長はためらいなくドアを開け、俺を中に入れた。

反射的に目を塞ぐ。

 

「うわぁあごめんなさい見てないですごめんなさい」

「あはは、何してるの?」

 

あははって。委員長って意外とほわほわしてるところあるんだよな。

 

「どこまでなら1人で出来るの?」

「......上だけならなんとか」

「はーい、じゃあほら、壁の方向けたから目開けていいよ」

 

少しずつ目を開けると、確かに目の前に壁があった。傍の机に俺のジャージ入れが置かれている。

 

「私も着替えるから、できるだけ自分でやっといてね」

「あ、ハイ」

 

なすすべもなく言いなりになってしまった俺は、車椅子のタイヤをロックして、見てはいけない、見てはいけないと自分に言い聞かせ、着替えを始めた。

 

「あの子清水くんらしいよ」

「聞いた聞いた」

「かわいい〜」

「清水くんこっちなんだ」

「見られちゃったかな?」

 

周りから女子の声しか聞こえてこない。やっぱり俺歓迎されてないだろ。恥ずかしがってそうな声も聞こえるし、俺も女の子の前で服を脱ぐのは恥ずかしいし、誰も得していない。

 

そして周りの反応を聞くに、俺のことは他のクラスにも結構広まっていたようだ。廊下からもかなり視線を感じたからそうだろうとは思っていたけど。

 

いたたまれない気持ちでいっぱいになりながらも、なんとか上だけジャージに着替えた。

ぶかぶかだ。普通にしていると萌え袖になってあざといので、少し折り返す。

 

「着れたみたいだね。じゃあ、ズボン穿かせるよ」

 

今し方委員長が着替え終わったようで、俺の靴を脱がし、ジャージの長ズボンに足を通してくれる。そうか、スカートは後から脱げるのか。

 

「ところで、下は普段どうやって穿いてるの?」

「トイレにつけた手すりを使うか、床をのたうち回るか、中島に持ち上げてもらうかだね」

「うーん、床をのたうち回るのはやめようね」

 

言いながら、ズボンをすっ、すっ、と上げてくれる。

やがてももにつっかえて上がらなくなったので、委員長は周りの女子に協力を仰ぎ、来てくれた3人が器用に俺を持ち上げてくれた。

その間に委員長がズボンをぎゅっと上げ、スカートを脱がしてくれる。

 

「はい、できた......あれ?清水くん結構ちっちゃいね」

「うっ」

 

女子達に着替えさせてもらっている時点で心が瀕死だった俺は、何気なく出たであろうその言葉によりあっけなくトドメを差されたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ふんっ!!」

 

 

俺が思い切り投げたバスケットボールは虚しくもゴールのネットをかすっただけに留まった。

 

 

「......」

 

 

壁に当たって跳ね返って来たボールをキャッチする。

 

今はバスケの授業。

俺はみんなとは別に先生とパスやドリブルの練習をして、たまにゴールを空けてもらってこうしてシュートを打っている。

 

ちなみに、前に倒れると危ないので、俺はベルト代わりに中島のジャージで車椅子に括り付けられている。

 

腕の力だけではこんなに難しかったのか。

どう投げても届かないし、筋肉痛は辛いし、生徒達は哀れむような目で見てくるし......

 

俺は前まで、体育は恥をかくし足を引っ張るから嫌だと思っていた。しかし実際みんなと別になってみれば、これほどまでに心が痛い。

体育はこれからずっと1人。あの中にはもう入れない。そう思うと切ない気持ちでいっぱいになる。

 

気づけば、向こうで普通に授業を受けている中島を頼るように見ている俺がいる。あいつといれば寂しくないのに、と。

 

ここ最近......特に今日は、中島がそばにいないとふと漠然とした不安に襲われる。自分が変わってしまうんじゃないか、前の俺を少しずつ忘れてしまうんじゃないかって。

でも、俺のことを知っていると言ってくれたあいつといればずっと自分でいられる気がしたし、心から安心することができた。どれだけ他の奴が離れていこうとも、寂しくなんてならないと思う。

多分、俺はあいつにただ一緒にいて欲しいのだ。

女々しいな。あいつに知られたらからかわれるかもしれない。

まあ、今は授業中だしあいつに何かできるわけでもない。俺に巻きついている中島のジャージだけで我慢しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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嫌なことは多かったが、なんとか学校初日を乗り切った。明日は土曜日なので、ゆっくり気持ちを整理して来週に備えたい。

 

俺と中島は帰宅部なので、ホームルームと清掃が終わり次第一緒に俺の家まで帰った。

ちなみに清掃では俺は邪魔にならないように教室をうろちょろしていた。

 

家に帰ったら昨日買った女性物の外着に着替えてスーパーで買い物をした。委員長に言われた美容品もスーパーで揃えることができた。

 

「清水、風呂掃除しとくぞ」

「ああ、ありがとう」

 

中島はどうやら今日も俺が寝るまでうちで過ごすらしい。申し訳ないけど、いろいろしてくれるのは助かるし、俺自身中島と一緒にいられるのが嬉しかったので何も言わないことにした。

 

のだが......

 

「着替えか?手伝うぞ」

「ありがとう」

 

「清水、どうした?」

「ん、トイレだよ」

 

「喉乾いてないか?」

「大丈夫」

 

「何かあったら言えよ」

「ああ」

 

「なんかテレビ見るか?」

「じゃあ昨日のアニメを見ようか」

 

「寒くないか?」

「普通かな」

 

「だ、大丈夫か......?」

「爪切りくらいは1人でできるぞ」

 

なんか、俺が何かする度に中島が心配そうに俺を見てくる。

 

いろいろ手伝ってくれるのはありがたいんだけど、もしかして、こいつ、過保護になってないか......?

 

 

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