「結論から言います。貴方は死にました。ですので、新しい世界で転生して下さい」
いきなり目の前の女性にそんなことを言われ、頭が混乱しているのはブラック企業に勤め、早数年が過ぎた社畜の主人公こと、大山誠
彼は小中高と特に目立った成績も無く、大学を卒業して就職した先の会社がブラック企業だった事を除けば特に一般人と変わらぬモブの1人だ
そんなモブ当然の彼が何故目の前の女性から死んだと言われたのか、理由を説明すると簡単だ。
彼は何時もの様にサービス残業を終え、帰る途中に度重なる疲労により、頭から倒れ、そのまま意識を失い死亡してしまったのだ
「あの、少し言ってる意味が分からないんですが」
「質問は受け付けません。すみませんが、速やかに転生して下さい。能力は此方で付与しますので」
書類に視線を落としたままそう伝える女性は指を慣らすと誠の周囲に光が宿り、そのまま何処かに消え去ってしまう
「………あ、彼が行く世界のレベルの上限を変えるのを忘れてました」
「此処、何処?」
転生した誠は周囲を確認するが周りには木々が生い茂るだけだった。
そう、彼が転生した地点は森のど真ん中だった
「いきなり死んだと言われて、すぐにこんな場所に飛ばされるなんてまるで夢を見てるようだ」
地面に座りハァーッとため息をつきながらリュックから携帯食品と水を取り出し食事を取る。
彼のリュックの中には仕事に使う物が大量に入っている。水、食料、寝袋、消毒液、絆創膏、小型コンロ、ガスバーナー、小型鍋等おおよそ、普通の会社勤めでは先ず使わないであろう物だらけだ
「今は明るいから朝か、昼だよな。どうするかな。取り敢えずは森を抜けるか」
携帯食品を一口噛り、水を一口飲み、誠の食事は終了し、リュックを背負い直し、森を歩くことに
しばらく歩くと森を抜けることが出来た誠は周囲を見える範囲で探す
周囲には平原が広がり、少し遠くの方に建物らしき物が見え、誠は安心する
「良かった。一応人が住んでる近くに飛ばされたのか。良かった」
そんな感想を溢しながら誠は建物がある方へと歩き出す。
3時間程歩き続けて漸く到着した場所は小さな村で建物や小さな教会がある程度の物だった
「……言葉通じるかな?」
そんなことを不安に思っていると1人、誠に近寄ってくる人影が現れる
「あの、どうかなされましたか?」
声を掛けられ振り替えるとこの村のシスターらしき女性が心配そうに誠の事を見つめていた
「………あ、それがその、此処に来る途中で食料が尽きてしまい、ボーッとしてしまって」
「まぁ!!それは大変です!もし、よろしければ少し食料をお分けしましょうか?」
「あ、いえ、それは悪いですよ」
とっさの嘘を信じてしまったシスターを見て罪悪感を覚え、シスターの申し出を断ろうとするが腕を捕まれ、ズルズルと協会に連れていかれてしまう
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