ダンジョンに、ダンジョンマスターが現れた! 作:ずぼらさん
酒場≪神娯亭≫。
俺が経営する酒場だ。
他の酒場と比べて、少々変わっている。
客は神々のみ。
下界の子供達に聞かれたくない話や愚痴を、酒を飲みながらする場所だ。
ここでの出来事は外には漏れない。
元冒険者だった俺の
従業員達は勿論、俺も墓場まで持っていく。
そのおかげか、酒場は盛況だ。
今日も多くの神々が来ている。
さあ、仕事だ仕事!
1番テーブルに果実の盛り合わせを運ぶ。
客は、貧乳の女神と巨乳の女神。
どちらも美しい。
眼福眼福。
「最近ダンジョンの話を、よく聞くわ。」
「聞くねー。あたし達みたいな生産系ファミリアには、関係ないけど。」
「そうでもないでしょ。冒険者が減ったら困るもの。」
「大丈夫大丈夫。下界の子供達は、しぶといもん。」
「相変わらず、お気楽ね。今まで無かった罠とか…私は心配よ。」
オラリオで話題になっているダンジョンの話か。
過去にない異変らしい。
魔物の異常行動。
嫌がらせレベルから危険なレベルの罠。
一体ダンジョンで、何が起きているのか?
冒険者がダンジョンで死ぬのは、よくある事だ。
ダンジョンは、それだけ危険な魔境。
とはいえ…。
異変が起きてから、死者数は跳ね上がっている。
冒険者を引退して正解だったな。
3番テーブルに魚料理を運ぶ。
客は、仮面を付けた男神と前髪が超長い男神。
どっちも顔の大半が隠れている。
怪しさ大爆発だ。
まあ詮索しないのが、ここの
「不確かな情報だが…ダンジョンは何者かに、干渉されているらしい。」
「馬鹿な、有り得ん。どこの情報だ?」
「不確かな情報と言っただろう。情報源はヘルメスだ。」
「あいつか。ウラノスの祈祷は?効果がないのか?」
「ない。狡猾になった魔物や恐ろしい罠の数々が、それを証明している。」
「一体誰だ?俺達は下界で、
「さあな。もっと情報が欲しいところだ。」
おいおい。
とんでもない話をしているぞ。
ダンジョンに干渉している奴がいる?
何者だよ。
俺達人間には不可能。
目的の為なら手段を選ばない
もしかしたら…。
天界に送還されなかった邪神がいる?
ははは、それはないか。
4番テーブルに葡萄酒を運ぶ
客は、泣いてる男神と慰めている男神。
あー想像はつく。
大体こういう時は…。
「俺の
「泣くな泣くな…って、言っても駄目か。初めての経験だし。」
「行方不明の
「分かった分かった。でも、そっちは恩恵が消えていないんだろ?」
「ああ、まだ感じる!生きている!」
「捜索したのか?」
「うううっ、しているけど、見つからないんだよおおおおおぉっ!」
「ぎゃあ!鼻水垂らしたまま抱きつくな!」
やっぱりか。
眷属を失った神だ。
しかし、行方不明で生きているか。
そうなるのは、女性の冒険者達だけらしい。
犯人は
殺さず、喰らわず、何をしている?
………エロい事とか?
いかんいかん、不謹慎だな。
無事を祈るのみだ。
9番テーブルの空になった皿を片付ける。
客は、陽気な男神達だ。
「聞いてくれ!我は悔しい思いをした!」
「どうせ、眷属の女の子に振られたんだRO!」
「ぎゃははは、これで35回目か~?」
「うるせえ!違うわ!ダンジョンを徘徊していた裸の女についてだ!」
「「詳しく聞かせろ。」」
「新しい罠っぽいんだが、人に化ける。裸の状態で!見たい!見たいぞ!」
「ひゅー、最高の罠じゃんKA!」
「マジかよ~!俺も見てえ~!」
「
「ぶーぶー、最低の罠じゃんKA!」
「女の子限定にしとけよ~。」
ただの変態共だった。
あっ、やばい。
直ぐに9番テーブルから離れよう。
10番テーブルの女神達の視線が怖い。
13番テーブルは…うおおおっ!?
美の女神イシュタル様だ!
抜群のスタイルに、蠱惑的な雰囲気。
目のやり場に困る大胆な衣装。
俺の酒場に来て頂けるとは、感激だ!
もう1人は…見た事のない男神だな。
「ふーん、これがダンジョン産の媚薬かい?」
「うん、そうだよ。あと僕が手を加えたから、より強力だよ。」
「くれるなら、遠慮なくもらっておく。」
「好きに使ってよ。ああ、副作用とかないから安心して。」
「実験したのか?」
「うん。うちの実験た…じゃなかった。眷属で試したよ。」
「そうか。危険がないなら、アレに使ってみよう。」
「イシュタルの眷属?」
「ああ、大切な
「いやいや、大切なら使うのおかしくない?」
「ふっ、優しい親心さ。死ぬ前に、女の喜びを経験させてやろうと思ってね。」
はっ!
イシュタル様の魅力に、ちょっと意識が飛んでいた。
何を話していたのだろうか。
相手の男神が羨ましい。
おっと、いけない。
素晴らしい接待をして、また来て頂くのだ。
ふーーー。
最後の客が帰った。
疲れたが、いつも通り売り上げは良い。
神様々だ。
ボーナスは期待していいぞ!と言えば、従業員達から歓声が上がる。
ははは。
冒険者の時より、俺の生活は充実している。
普段は聞けない、神々の会話も聞けるしな。
よし、さっさと片付けを終わらせて、昼まで寝るか!