ダンジョンに、ダンジョンマスターが現れた! 作:ずぼらさん
「そっちからも来たぞ!」
「ちょっ、数が多過ぎませんか!?」
どうして、こんな事に…。
冒険者を引退して、実家で農業を手伝うはずだったのに!
「ゴブ!ガウウゥッ!」
ゴブリン達に囲まれた。
乱戦になる。
味方との距離に注意しながら、愛用の槍で攻撃する。
薙ぎ払い、突き刺し、叩き潰す。
くっ、一向に数が減らない!
「おい!こっちからも来たぞ!」
冗談でしょ!?
「もうやだあああああぁっ!」
私は、パルゥムのロナロ。
冒険者になったけど、ずっと
魔法の才能もなく、武器の才能もない。
同期達も後輩達も、みんな
ああ、私は駄目なんだ。
夢を持って、オラリオに来たけど、もう疲れた。
引退しようかなー。
そう思っていた時、ダンジョンに異変が起きた。
魔物が強くなり、複数の罠が出現した。
発見し難い罠で、何度も痛い目に遭った。
先輩が1人、同期が2人、後輩が1人。
罠が原因で死んだ。
悲しくて、悔しくて、怖かった。
罠を発見できる力があれば…。
ううん、違う。
早く引退した方がいい。
弱い私は、いつか必ず死ぬ。
主神へ伝えに行くと、えっ?
ランクアップできる!?
………今更だよ。
心は折れかけている。
こんな状態で、上級冒険者になっても、きっと途中で折れる。
何の才能もないし。
そんな私に、主神は言った。
最後の思い出に、念願だったランクアップをしよう。
ランクアップと一緒に、アビリティが発現。
何コレ。
い、嫌な予感が…。
案の定、主神は大喜び。
ファミリアの仲間達は、私を逃がさなかった。
拒否権はなく、ダンジョンに
うわーん!
実家に帰りたいよ!
「ロナロ!大丈夫か!」
「死にそう!冒険者を引退したい!」
「よし、大丈夫そうだな。」
ひどっ!
同期のベックスが悪魔だよ。
私の願いを無視した。
ゴブリンを倒しながら、戦況を確認する。
数は、あちらが圧倒的に有利。
でも個々の強さは、こちらが上。
何事もなければ、勝てるはず。
「っ!」
アビリティが反応した。
罠の位置が分かる。
全部で2つ。
「トーネラさん、3歩手前に落とし穴!」
「了解だ!」
「ザーネ、壁から離れて!」
「えっ、ひょわぁっ!?
はあー、よかった。
あとは、ゴブリンを…。
「待て!」
「ぐへっ!?」
服の襟元をベックスに掴まれ、強引に引っ張られた。
く、首が絞まって苦しい!
文句を言おうとして、私は固まった。
地面の中から、フロッグシューターが飛び出してきた。
口を大きく開けた状態で。
さっきまで居た場所だ。
助けがなかったら、今頃は…。
身体が震える。
「安心しろ、何度でも助けてやる。」
ベックスが、ポンと頭を軽く叩く。
「さっきは、ありがとうございます!命拾いしました!」
ザーネが、笑顔で感謝してくる。
「無理をさせて、本当に悪い。だが、お前の力が必要だ。」
トーネラさんが、世話になった先輩が、頼ってくれる。
「あっ。」
身体の震えが止まった。
私は弱い。
心も枯れている。
引退して、実家に帰りたい。
だけど…。
仲間達には、死んで欲しくない!
【ロナロ】
本来は、語られる事のない冒険者。
才能の無い自分に絶望して、冒険者を引退。
その後、実家に戻り、農家を継いだ。
新しいアビリティを発現させ、一時的に運命が変わったが…。
まだ、本来の運命に戻る可能性がある。
「これが…子供達の可能性か!」
ダンジョンの異変後のランクアップ。
子供達の中に、新しいアビリティを発現させた者達がいた。
現在3名。
これから、発現する者が増えるのか?
はたして、ダンジョンの異変に通用するのか?
まだ誰も分からない。
神々すらも…。
死んだゴブリン達の経験が、他のゴブリン達に継承されました。
「危険ナ奴ラ、イル、殺ス」