ダンジョンに、ダンジョンマスターが現れた!   作:ずぼらさん

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※異端児の悪夢その3

「待ちな、蜥蜴人(リド坊)!」

 

こりゃ駄目だのう。

わしの声が聞こえてない。

ペパ坊を見つけて、はやる気持ちは分からんでもないが…。

約束の1つ。

勝手な行動せず、団体行動をする事。

あっさり破るんじゃないよ!

 

「ジャジャ、追イカケル!」

 

落ちつきな、半人半蛇(ラウラ)

周りが見えてないリド坊の代わりに、わしらが警戒するぞ。

ダンジョンの異変のせいで、魔物と人間の溝は更に深まった。

こんな所で冒険者と鉢合わしたら、最悪じゃ。

 

「………。」

 

戦影(オード坊)が踊っていた。

いや、違うか。

何か伝えたいらしい。

うむ、さっぱり分からん。

 

「ペパあああああああああああああああああああっち!」

 

「リザードマン!?ドウシテ俺ノ名前ヲ!?」

 

「オレっちを忘れたか!?リドだ!同じ異端児(ゼノス)の仲間だ!」

 

「…知ラヌ!失セロ!」

 

リド坊がペパ坊に、追いついたようじゃ。

見えた、あれか!

なるほどのう。

フェルズの言った通りか。

身体が一回り大きくなっており、生意気に王冠とマントを装備しておる。

多少違う姿じゃが、間違いなく小鬼(ペパ坊)

 

「行かせるか!」

 

「邪魔ヲスルナ!」

 

2人の戦いが始まったわい。

ラウラとオード坊には、手を出さんように言った。

リド坊に任せる。

兄貴分として、しっかり弟分を説得せい。

しかし、無理かもしれんのう。

ペパ坊の表情と雰囲気。

魔物より凶暴で、人間より凶悪に感じる。

ダンジョンの異変の影響を、濃く受けたゴブリン達。

よもや、ここまで酷いとは…。

 

「正気に戻れ!ペパっち!」

 

「俺ハ正気ダ!」

 

通路を移動しながら、激しく攻防を繰り広げる2人。

力量は、リド坊の方が上。

ペパ坊も以前より強くなっとるが、まだまだじゃ。

とはいえ、戦いが終わらん。

気持ちの差か。

逃げる為に、殺す気で攻撃するペパ坊。

無力化を狙って、手加減しているリド坊。

おっと、いかん。

 

「罠じゃ!」

 

「おう!見えてるぜ!」

 

「チッ!」

 

わしの警告に、リド坊は頷き、ペパ坊は舌打ちした。

ダンジョンに発生するの罠。

何故か人間達には見えず、異端児(わしら)や魔物には見えていた。

原因は不明じゃ。

助かるから文句はないがのう。

今見つけたのは、大きな落とし穴。

ペパ坊の真後ろにある。

決着がつきそうじゃな。

飛び越えて逃げようとすれば、隙だらけの背中に攻撃を叩きこまれる。

戦いを続ければ、一緒に落ちて、完全に退路を断たれる。

仮にリド坊を突破しても、わしが居るから逃さん。

 

「「「「「グギャ、ガガガアッ(キング、助けに来た)!」」」」」

 

ほほー、初めて見た。

ダンジョン・リザードに乗ったゴブリン。

確か、ゴブリンライダーと呼ばれていたか?

数は…3…4…5匹。

少々厄介じゃな。

ダンジョン・リザードは、壁や天井を歩けるからのう。

リド坊の邪魔はさせんぞ。

わしらが相手をして…むっ?

気絶した人間を、担いでいるゴブリンがおる。

地上(オラリオ)から攫ってきた一般人か?

 

苗床(人間)ヲ、罠ニ向カッテ、投ゲ捨テロ!」

 

ペパ坊!?

何を言って…。

まさか、わしらの気を逸らす為に!?

なんて事を!

気絶した人間は冒険者ではない。

投げ捨てれば大怪我するし、落とし穴に落ちたら死ぬぞ!

 

ゴゴギャ(御意)!」

 

まずい。

わしの位置からでは、遠過ぎて助けられん。

 

「うおおおおおおおおおおおっ!」

 

リド坊が跳躍した。

地面へ激突する前に、人間を受け止める。

でかした!

じゃが、罠の範囲から抜け出せてない。

着地した瞬間に、足元が崩れ落ちた。

 

「リド!」

 

ラウラが叫んだが、心配せんでもいい。

人間を抱えたままでも、リドは平気じゃ。

問題なのは…。

 

「気ヲ逸ラス為ダッタガ、助ケルトハ愚カナ。」

 

嗤いながら、落とし穴を飛び越えるペパ坊。

ふざけるでないぞ。

愚か者は、お主じゃ!

 

「ラウラとオード坊は、リド坊達を。」

 

「ジャジャ!?」

 

「ペパ坊を捕まえて、お仕置きじゃああああぁっ!」

 

落とし穴を飛び越え…ぬおおっ!?

目の前に突然、黒い煙のようなモノが!?

何も見えぬ!?

 

「ダンジョン・リザードの黒息ダ!毒ニヤラレロ!」

 

小癪な真似を。

この程度の毒、わしに効果無しじゃ!

辺りを包む煙も、範囲は狭かろう。

抜けたら…。

 

「馬鹿メ、毒ハブラフダ。」

 

「なんじゃと!?」

 

視界が戻ると、詠唱しているゴブリン達がいた。

し、しもうた!

空中では身動きが!

 

「「「「「ガゴギャギャア(魔法を喰らえ)!」」」」」

 

「むおっ!?」

 

2発命中した。

痛いが、大したダメージではない。

自慢の体毛が焦げた程度じゃ。

 

「くっ、やられたのう。」

 

魔法の勢いに押され、落とし穴へ落とされた。

なんの!

体勢を立て直し、何事もなく底へ着地。

 

「ジャジャ、大丈夫か?」

 

「うむ、そっちも大丈夫そうじゃな。」

 

やはり、リド坊と人間は無事じゃった。

 

「行クゾ!」

 

複数の足音が遠ざかって行く。

逃がしてしまったか。

あそこまで見事な連携攻撃をするとは…。

ペパ坊とゴブリン達を、甘く見てたわい。

 

「くそ!追いかけるから、人間を頼む!」

 

「駄目じゃ!」

 

「痛っ!?」

 

リド坊の足を蹴った。

涙目で抗議してきたが、睨んで黙らす。

お前さんは、約束を破った。

故に、隠れ里へ帰還じゃ。

 

「大体ペパ坊を正気に戻す方法は、あるのか?言ってみるがいい。」

 

「うっ、それは…。」

 

「ないなら1度帰って、皆と相談すべきじゃろ?」

 

闇雲に追いかけても、同じ結果になる。

知恵を出し合った方が早いわい。

ペパ坊の状況を、確認出来ただけでも、良しとすべきじゃ。

 

「…分かった。」

 

渋々了承するリド坊。

さて、まずは落とし穴を登るとしようかのう。

この人間を地上へ返さんといかんし。

色々あって、老骨には堪えた。

今度は石竜(グロス)に行かせよう。

絶対じゃ!

 

 

 

 

 

2日後。

わしは後悔する。

あの時が、ペパ坊を助ける最初で最後の機会だったと…。

 

 

 

 

 

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