ダンジョンに、ダンジョンマスターが現れた!   作:ずぼらさん

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ゴブリンの巣の崩壊まで、あと2歩

どうして、こうなってしまったのか。

ギルド長になってしまった。

正確には、ギルド長代理。

1度は夢を見た。

組織のトップになりたいと。

だが、あくまでも夢であり、現実とは違う。

ぐうっ!

精神心労(ストレス)で胃が痛い。

ギルドの会議室に、各ファミリアの団長達が集まっている。

招集を頼んだのは、ロキ・ファミリアの勇者(フィン)

今後の重要な話をしたいそうだ。

ああ、思い知らされる。

私は場違いだと。

ギルドの豚…ロイマン様の偉大さを知った。

仕事が出来るだけでは、長は務まらない。

言い方は悪いが、図太い神経と傲慢不遜な精神が必要なのだ。

それは私に無いモノだ。

何故貴方は、死んでしまわれたのか。

貴方だけではない。

重役達も。

1人でも生き残っていたら…。

いや、止めよう。

たとえ嫌でも、ギルドの者として、仕事を全うしなければ!

 

「全員揃ったみたいだね。集まってくれて感謝する。」

 

勇者が招集した内容を話す。

それは、今回オラリオに侵攻した魔物ゴブリン達の討伐。

そして、攫われた女性達の救出だった。

それも、今日中に。

馬鹿な!?

ダンジョンに、ゴブリンは多くいるし、倒しても産まれる。

全ての討伐は不可能だ!

攫われた女性達を助けたいが、どこに居るか分からない。

闇雲に探しても、見つからないだろう。

今日中も難しい。

深夜から戦い続けて、冒険者達は疲労している。

このような状況下だ。

一睡もしていない者達も居るはず。

編成は、ファミリアの数が多い程、時間が掛かる。

被災者が多い中、物資の準備も出来るかどうか。

私と同じような質問を、各団長達がした。

 

「それについてだが…。」

 

なんと!

こ、これが、世界中に名の知られた冒険者(フィン)か。

答えは以下の通りだった。

討伐するのは、小鬼の強化種(ゴブリンキング)

多くの目撃情報から、こいつがゴブリン達を率いていた。

頭を潰せば、ゴブリン共は有象無象。

オラリオの侵攻は、一先ず止まる。

次に攫われた女性達だが…。

前々からヘルメス・ファミリアに、ある調査を依頼していたそうだ。

罠のない階層。

最初は3階層で、現在は6階層。

まったく罠がない。

勇者は、何かあると考えていた。

その調査結果は、ゴブリンの巣がある可能性大と。

更にダンジョンで、攫われた一般市民を助けた冒険者達がいる。

渡された資料を見ると、結構な数の一般市民が救われていた。

情報をまとめると、6階層より下で、攫われた一般市民の救出報告は無い。

他にも、6階層の疑わしい報告が、異様な程多い。

も、もしかしたら…。

攫われた一般市民は、全員女性だ。

ダンジョンで行方不明になった女性冒険者達も、居るのではないか?

ゴブリンの巣に。

物資については、用意してくれるファミリアを確保済み。

これは!?

討伐部隊の編成案まであるのか!?

 

「冒険者とギルドは…信頼を失い、誇りを砕かれた。」

 

勇者が呟く。

その通りだった。

ギルドの被害を知ってか、非難や批判は少ない。

だが、0ではないし、今後大きくなるだろう。

冒険者達は全力を尽くしたが、守れなかった命は少なくない。

火事場泥棒した犯罪者(冒険者)も、出てしまった。

 

「僕達は奪われた人々を救い、オラリオから不安を振り払う!」

 

慎重過ぎるのは、ただの臆病者。

時には大胆な行動に出るべきか。

各団長達も頷き、参加を宣言した。

頑張ろう。

疲れているが、今こそ進まなければならない。

ウラノス様にも伝えなければ。

 

「………。」

 

会議室の入り口近くには、王者(オッタル)が険しい顔で立っていた。

メイド服を着た状態で。

何故!?

聞きたいが聞けない。

話しかけるなオーラが見えた。

笑う?

冗談でもやってはいけない。

殺されるぞ!

各団長達も、チラチラ見ているが、何も言わない。

君子危うきに近寄らずだ。

気になるが、オラリオ最強の冒険者(レベル7)に、聞ける勇気のある者など居ない。

 

「オッタル。どうして、メイド服を着ているんだい?」

 

「「「「「勇者いた!」」」」」

 

思わず団長達と一緒に、叫んでしまった。

これが、ロキ・ファミリアの勇者か。

なんという剛の者!

 

「…不甲斐ない俺に、フレイヤ様からの罰だ。」

 

「なるほど。ところで…良い胃薬を持っているけど、いる?」

 

「1つもらおうか。」

 

彼らも精神心労が…。

どこもトップは大変というわけか。

途中で医療施設に行こう。

こうして私こと、レッガス・ゼルバートのギルド長代理の仕事が始まった。

胃薬と共に。

 

 

 

 

 




ディアンケヒト・ミアハ
「「最近、胃薬がよく売れるなー。」」

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