はぁ、まさか体調崩すなんてな~…。
今はもう外が暗くなり始めている時間帯だ。少し寝たお陰で熱は少しひいたっぽい。そして、今日で林間学校最終日…。
色々あったけど、なんだかんだ忘れられない、いい思い出になったな…。
俺はふと横を見る。
そこにいるのは同じくベッドに入ってダウンしている風太郎がいる。
こいつは、きっとらいはちゃんから貰っていたのだろう。こいつは意外と体調崩しやすいし、風太郎のことだからつきっきりで看病して、あまり睡眠もとっていなかったのだろう。
俺も、こいつから貰ってたのかもな。ま、98パーセントくらいスプリンクラーに当たったせいだろうけど…。
優助「………俺も大人しく寝るか…………。」
そう呟いて、深い眠りへと誘われたのだった…………。
一方その頃、林間学校最後にして最大のイベント……、キャンプファイヤーが行われていた。
キャンプファイヤーで盛り上がっている生徒達………。
一花は、そんな人たちを眺めていた。
そしてそこに、抹茶ソーダを手にした三玖がやってきた。
三玖「風邪は水分補給が大事」
一花「…ソーダなのにホットなんかあるんだ…。ありがとう三玖……。それと、ごめんね…」
一花は顔を俯かせながら言う。
一花「ユースケくんとのダンス…断るべきだった。もっと早く気づいてあげれればよかったのに。伝説のこと、三玖の思い……(そしてこの思いにも…)」
そう一花が言うと、三玖はそっと一花を抱き締めた。
三玖「ずっと気にしてた。一花や二乃、皆がユースケやフータローとどう接しているのか…」
一花「え…?」
三玖「私だけが特別なんて『平等』じゃないと思ってたから…」
一花「そんなこと……、」
三玖「でも、もうやめた。(“独り占めはしたい”、この感情に嘘はつけない。だけど、それは今じゃない…。)」
その時、三玖の頭に一つの言葉が浮かぶ。
『公平に行こうぜ』
三玖「私は、『公平』がいい……。その代わり、一花や二乃も………“お好きにどうぞ”…。負けないから」
三玖の言葉に、優しい笑みを浮かべた一花は、プシュっと抹茶ソーダを開けて一口飲む。
一花「……絶妙に不味い…、でも、効力は抜群だよ。ありがとね」
三玖「………うん…!」
三玖が返事をすると一花は立ち上がり……、
一花「じゃあ、行こっか!」
その言葉に三玖も立ち上がり二人は歩き始める。
四葉「…私、上杉さん達に悪いことしちゃったかな……?こんなに楽しみにしててくれたのに……」
しおりを眺めながら四葉が申し訳なさそうに言う。
そのしおりにはたくさんの付箋が付いており、名前の欄には“上杉風太郎”と書かれていた。
五月「……それは上杉くん達に聞いてみなければ分かりませんが………」
そう言いながら四葉からしおりを受けとる五月。
四葉「体調のわるい二人を連れ回して……。二人の林間学校、台無しにしちゃった……」
そんな四葉の声を聞きながら、五月はしおりを開く。
しおりを見た五月は、少し安心したような表情をして四葉に言った。
五月「そんなこともなかったようですよ」
四葉も一緒になって覗き込んでいるしおりには、らいはちゃんへの思い出話として、日記のようにその日の出来事が書かれていた。
それを見た四葉は……、
四葉「…三玖は残念な終わり方って言ってたけど、楽しんでくれたのかな……?私、上杉さん達に聞いてくる!」
そしてフィナーレが始まり、キャンプファイヤーの火が最大となった瞬間……
林間学校を締めくくる、最高に綺麗な光が辺りを照らしたのだった。
その光は、宿舎のとある部屋を照らし…
そこには、二人の手をそっと掴む五つ子の姿が映っていたのだった……。
「やっベー、寝坊したっ…!!!」
息を切らしながら、タクシーの方へと走る青年。
バタンッ…
「ここの結婚式場までお願いします!なるべく早く…!」
タクシーの運転手さんは“あいよ”と言うと、車を出した。
「あいつ、なにやってんのかしら…、もうすぐで式始まっちゃうって言うのに……」
「あの人は、ああいう人だからしょうがないんじゃない?」
「大事なときに限って何か忘れ物したり」
「しっかりしてるように見えて、どこか抜けてるところがあるんですよね…」
「でも、あのときの伝説が本当になるなんてね」
「キャンプファイヤーの伝説…だっけ?懐かしいね」
「今思えば、本当だったのかもしれませんね。あの二人もそうですし……」
そこに扉の開く音が聞こえた。
「危ねー…!遅れるところだった!」
「大分ギリギリだったわよ」
「マジでごめんっ…!寝坊しちゃって……!」
「もしかしたら明日の式にも遅刻するかも」
「いや流石に明日の式は余裕持って行くつもりだから!自分の式だし」
「なんか心配だけどね」
「てか、お前ら全員同じ髪型なんだな」
「確かにそうですね」
「じゃあ問題」
『明日キミと式をあげる人が分かるかな?』
四人が一斉にそう言う。
「分かるに決まってるだろ」
自信満々にそう言った青年は、まっすぐ一人の女性の前に向かっていって…
「おまえだよ」
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