優助「き、君は、確か京都で…」
俺の言葉であの子は振り返り、少し驚いた表情を見せる。
なんであの子がここに居るんだ?
優助「覚えてないかな…?5年前、京都で一緒に歩き回って…。あんまり変わってなくてビックリしたよ」
あの子の雰囲気は、あの頃のままだった。
白いワンピースに綺麗なピンクの長い髪の毛。
俺は少し変わっているかもしれないが、彼女は本当にあの頃から変わっていなかった。
優助「あの時に貰った言葉はずっと覚えてたけど、まさか本当に出会えるなんて思っても……」
少女「あ、あの、私とお会いしたことがあるのですか?」
優助「え…?」
少女「すいません、貴方の言っているその人は私ではないと思います」
優助「いや、見間違えるはずがない。君はあの頃から全く変わってない。5年前は、お互い変わってるかもって話してたけど……」
少女「申し訳ありませんが覚えていません…」
そう言い残し、俺は一人取り残されてしまった。
俺は信じ難い事実を受け、呆然としてしまった。
まさか覚えていないなんて…。
あの頃のことを記憶の引き出しに大切にしまって、舞い上がってたのは俺だけだったのか…。
確かにあの子からしたら、ただの通りすがりの少年という認知だったのかもしれないな…。でも少しも覚えていないなんて…。
それから数分経ったのだろうか、雨が降ってきた。
まるで、今の俺の心の中を表しているかのようだった…。
優助「…そっか、帰らなきゃな……。あ…、その前に二乃のところに行くか…」
優助「すいません…」
俺はホテルに入り、警備員らしき人に声をかける。
優助「ここのホテルに宿泊している、中野二乃に伝言をお願いします…」
俺が伝言を伝えようとすると、横からタオルが飛んできた。
二乃「そんな格好でウロチョロされると、他のお客さんにとってはいい迷惑だわ。着いてきなさい」
たまたま外へ出かけようとしていたのか、そこには二乃がいた。
優助「シャワー貸してくれてありがと」
二乃「別にいいわ」
二乃の部屋でシャワーを借り、濡れた服は乾燥をしてもらっている。さすが高級ホテルといったところか、もう1着服があったようなので、今はそれを借りている。
優助「二乃が部屋にいれるなんて珍しいね。明日は雪でも降るんじゃない?」
二乃「そんなことよりもアンタがそんな暗い顔してる方が珍しいわよ。何があったの?」
二乃が俺に気を使ってくれるなんてな…。
優助「昔、女の子と会ったんだ。その女の子とは目的がほぼ一緒で、人を探してたからあちこち一緒に回ってた…。でも、人を探すことよりも、女の子と一緒にいる方が楽しかったんだ。女の子も最終的には俺と歩き回ることを楽しんでたらしいし…。そして、その子とはまた会えたらいいねみたいなことを話したんだ。で、さっきその子と会うことができた…」
二乃「そうなの?それは良かったじゃない」
優助「うん。でもその子にその話をしたら、覚えてないって言われたんだ。たしかに今考えれば、あの子からしたらただの通りすがりの男の子にすぎなかったんだと思うけど…。でも、すごいショックだったんだ。あの子との思い出は、俺にとって大切なものだったから」
横を見ると二乃は泣いていた。
優助「何で二乃が泣いてんのよ」
二乃「だって、ずっと想ってた女の子にそんなこと言われて…、悲しすぎるじゃない」
やっぱり本当は良い奴なんだな二乃は…。
優助「ありがとね、話聞いてくれて。少し楽になったよ」
涙を拭いている二乃に俺はそう言う。
二乃「別にいいわ。たまたま泣きたくて、そういう話を聞きたかったから」
優助「今なら四葉の言ってたことが分かるわ」
二乃「なんの話?」
優助「四葉が二乃は人付き合いが上手で友達も多いって」
二乃「あの子がそんなこと言ってたの?」
優助「うん。今日二乃に話を聞いてもらって、本当は優しくて思いやりがあるんだなって思った。友達もいっぱいいる理由が分かったわ」
二乃「別に褒めても何も出ないわよ」
優助「二乃さえ良ければだけど、またここに来てもいい?家庭教師としてじゃなく、友達として」
二乃「…好きにすれば」
そう返し二乃はそっぽを向いてしまった。
そしてふと俺の視界にあるプリントが映る。
優助「そのプリントやってくれてたんだ」
二乃「いや、これはその…!この前のことに関しては…、アンタらには悪いと思ってるわ…」
優助「別に気にしなくていいよ。俺らにも悪いところはあったしね?まぁ、やってくれてるなら良かったよ」
そして別れの挨拶をして、俺は二乃の部屋を後にした。
よし、二乃に話をして少し楽になった。今は女の子のことなんかどうでもいい。目の前にあることだけを考えよう。
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あり。優助、役者の道へ……。兄妹ルート
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なし。優助に役者の才能なし。兄妹ルート
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なし。優助に役者の才能なし。五つ子ルート