五等分の転生者   作:疾風“はやて”

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第二の家庭教師人生

屋上にて……。

 

 

風太郎は慣れないスマホを片手に持ち電話をかける。

 

 

ここまで長いようであっという間だった。

 

 

 

問題を起こしまくったあいつらも、あれから勉強を頑張った。

 

 

俺達はやれることはやった。

でも、少し時間をかけすぎた。

 

 

風太郎が持っているスマホは五月のものであり、何故借りたのかというと、、、。

 

 

『もしもし…?』

 

 

風太郎「もしもし、上杉です…」

 

 

『上杉くんか、、一体何の用だい?』

 

 

電話の相手は五月たちのお父さんである。

 

 

俺と風太郎はなんとなく分かっているのだ。

 

 

もちろんみんなのことを信頼していないわけではない。

 

 

実際、アイツらはよく頑張ってくれたほうだと思う…。

 

 

でも今回はきっと全教科赤点回避はかなり厳しいだろう。

 

 

よってオレらもそろそろ家庭教師としての能力を見限られてしまうだろうということも………。

 

 

でも、そんなことより俺達は心に引っかかっていたことがあった、、、。

 

 

 

 

アイツらの父親は何をやってるんだ、と。

 

 

 

 

 

母親は幼い頃に亡くしていることは聞いていたが、俺らなんかよりも一番身近にいるはずの父親が、子どもたちが家出しているというのに一切干渉してこないのはおかしい、、、。

 

 

どうせクビになるのなら、、、

 

 

風太郎「少しは父親らしいことしろよ!このバカ野郎が!!!」

 

 

珍しく声を荒らげてそう言い切り、風太郎は電話を切る。

 

 

優助「やっちまったな……」

 

 

風太郎「あぁ………。だが大丈夫だ、、、」

 

 

『お前たち五人が揃えば、無敵だ』

 

 

俺達は声を揃えて、空を見上げる。

 

 

そして教室へと戻り、テストが始まるのだった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

テストは無事に終わり、中野さんから連絡があった。

 

 

俺には引き続き家庭教師をお願いしたいとのことだったが、風太郎のいない俺には何もできないと断った。

 

 

そして風太郎と俺には、五つ子のマンションへの出入りを禁じられた。

 

 

親には申し訳ないと思っているが、仕方ない。

 

 

 

 

 

 

それからの一週間はあっという間だった。

 

 

そして週末、俺達はバイト募集をしていたお菓子屋で働くことになった。

 

 

店長「じゃ、こっちの方はいいから外にいる上杉くんを呼んできてもらえるかい?」

 

 

 

 

 

ある程度仕事が落ち着き、もうすぐでバイトも終わる時間なので店長にそう言われる。

 

 

 

 

 

優助「分かりましたー!」

 

 

 

 

 

俺は厨房を出て、店の正面の入口を出ていく。

 

 

 

 

 

優助「おーい、風太郎……!?」

 

 

 

 

 

呼ぼうと思って風太郎を見つけた時、俺は驚いて声が出なくなってしまった……。

 

 

 

そこに居たのは……。

 

 

 

 

 

一花「やっほー、ユースケくん」

 

 

 

三玖「ユースケもここで働いてたんだ」

 

 

 

二乃「アンタらどんだけ仲良しなのよ」

 

 

 

五つ子が五人揃って風太郎の周りに立っていた。

 

 

 

優助「なんでここに……?」

 

 

風太郎「俺にも分からん……」

 

 

予想外の事に風太郎もお手上げのようだ……。

 

 

五月「ケーキの配達をお願いします」

 

 

優助「で、でも……」

 

 

ここまで来といて、ケーキの配達て……。

 

そんなわけが無い。なにかもっと他の用事があってここに来てるはずだ。

  

 

店長「はい、真田くん」

 

 

すると後ろから店長が現れて、ケーキを手渡してくる。

 

 

風太郎「店長……」

 

 

店長「店はもう大丈夫だから、二人とも行っていいよ」

 

 

店長は言葉足らずな時があったり、たまに何考えてるか分からない時もあるけど……。

 

 

でも何となく気を利かせてくれてるのは分かる気がする。

 

 

風太郎も何となく感じ取ってるっぽいし。

 

 

優助「ありがとうございます、店長。では、お疲れ様でした」

 

 

風太郎「お先に失礼します」

 

 

俺と風太郎は店長に挨拶し、五つ子とともに歩き始める。

 

 

ていうか……。

 

 

優助「……みんなの家こっちじゃなくない?」

 

 

二乃「いいえ、こっちで合ってるわ」

 

 

俺たちは五人の後ろをついていく。

 

すると風太郎が口を開く。

 

 

風太郎「……あのさ、黙って辞めたことは謝る。だがもう家庭教師には戻れない……」

 

 

そうだ、俺たちはもう引き返すことは出来ない。

 

 

五月「コレを見てください」

 

 

そう言い俺たちの方に差し出してきたのは、新しい家庭教師の履歴書だった。

 

 

金髪で……、なんか、いかにもチャラそうな人だった。

 

 

でも、学歴はちゃんといい大学を卒業しているようだ。

 

 

優助「良かったな…、この人だったら教師の経験もあるし、安心でしょ……。」

 

 

俺がそう言うと、二乃がこちらに向かってきて……。

 

 

二乃「アンタらはそれでいいの?このままアタシたちを見捨てる気なの!?」

 

 

そんなの……!

 

 

風太郎「俺らは二度もチャンスを貰って結果を出せなかった……!次上手く行く保証は無い!」

 

 

優助「そうだ、俺たちは素人だ。だったらプロに任せるのが正解なんだよ」

 

 

風太郎「……これ以上、俺の身勝手にみんなを巻き込む訳には行かない…!」

 

 

やはり風太郎も責任を感じていたのだ。

 

 

二乃「確かにアンタは身勝手だった、勝手に家に上がり込んできて、したくもない勉強をさせられて……。でも、問題が解けるようになったら嬉しくて……!」

 

 

優助「二乃……。」

 

 

二乃「ここまで来られたのは、全部アンタらのせいよ!だったら最後まで見なさいよ!」

 

 

でも…。

 

 

風太郎「……悪い、だがもう戻れないんだ……。オレらはもう辞めちまったんだ。家にも入れない……」

 

 

一花「それが理由なの?」

 

 

一花が聞いてくる。

どんなに頑張ろうと、コイツらの家に入ることは出来ない。

 

 

優助「そうだよ…。だからもう、早く行こう……」

 

 

一花「ここまでで大丈夫だよ、配達ご苦労さま!」

 

 

突然そう言い、一花は俺からケーキの入った箱を受け取る。

 

 

風太郎「いや、でもまだ……?」

 

 

一花「ここだよ!ここが私たちの新しい家!!」

 

 

アパートを指さしながら得意げに言う一花。

 

 

優助「はぁ!?お前ら何考えてんだ……!?」

 

 

一花「これで障害は無くなったね」

 

 

一花はしてやったりという笑みでそう言う。

 

 

風太郎「それだけのために……!?」

 

 

四葉「前にも言いましたよね?大事なのは、どこにいるかではなく……」

 

 

『五人でいることなんです!!』

 

 

そういい、五人はマンションのカードキーをぶん投げる。

 

 

優助「ちょっ…!?ばかやろう!」

 

風太郎「マンションのカードキー……!?」

 

 

俺ら二人はマンションのカードキーをとろうと手を伸ばす。

 

 

ズルッ……!!!

 

 

あっ……。

 

 

俺は驚きのあまり、手を伸ばした時に体勢を崩して堤防から足を滑らせてしまった。

 

 

その時、風太郎とパチッ…と目が合った。

 

 

その瞬間、周りの景色がコマ送りのようになっていった……。

 

 

死ぬ直前とか死の間際ってスローモーションになって見えるっていうの…、本当だったんだな……。

 

 

それと同時に今までの記憶がよみがえってくる。

 

これが、走馬灯ってやつなのかな…。

 

二度目の人生の記憶が写真をパラパラめくっていくかのようによみがえってくる。

 

 

でもなんか……。

 

 

全部、直近のこと過ぎないか……?

 

 

 

 

 

 

バッシャーンッ…!!!

 

 

 

優助「冷たーーーいっ!!!!」

 

 

俺は顔を出す。

 

 

風太郎「なんでお前らも飛び込んでくんだよ!?」

 

 

五月「みんなで飛び込んで、どうするのですか……!?」

 

 

そこで三玖がオレらの方に寄ってきて…

 

 

三玖「たった二回で諦めないで欲しい…!今度こそ、ユースケ達とならできるよ……!!」

 

 

オレたちは、必要とされているのか…。

 

こんなオレを必要としてくれている人がいるのに答えないのは男じゃないな……。

 

 

四葉「二乃!大丈夫!?」

 

 

四葉が二乃に声をかけ、俺は二乃の方を振り向く。

 

 

二乃「つ、冷たくて…!?」

 

 

優助「二乃……!」

 

 

咄嗟に俺は二乃の方へ泳いでいき、肩を掴ませる。

 

 

優助「しっかり掴んでろよ…」

 

 

岸の方へ行き、水から上がる。

 

 

風太郎「お前ら、後先考えなさすぎだ!もうちょっと考えてから行動しろよ…」

 

 

優助「二乃、大丈夫か?これ着とけ…」

 

 

そう言い、俺は二乃に服をかけてやる。

顔真っ赤だし、急に冷えてうまく体が動かなかったのだろう。

 

 

二乃「あ、ありがと……///」

 

 

優助「ったく、風太郎の言う通りだ。この時期の川に入るのはお笑い芸人だけで十分だ」

 

 

風太郎「なんかもうバカらしくなってきた……」

 

 

そう言い、風太郎は落ちていた新しい家庭教師の履歴書を引き裂く。

 

 

風太郎「俺もやりたいようにやらせてもらう…!オレの身勝手に付き合えよ、最後までな!」

 

 

ここにいる皆から、思わず笑みがこぼれる。

コイツらしいな…!

 

 

風太郎「優助、お前もついてきてくれるよな?」

 

 

優助「もちろんだよ…!また一緒に頑張るぞ、風太郎!」

 

 

風太郎「おうよ!」

 

 

苦難を乗り越え、俺たち二人の家庭教師人生が再スタートするのであった……。




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